金 日 成

現時点における朝鮮人民の闘争任務と
海軍を強化するための課題
―海軍軍官学校でおこなった演説― 
1954年7月6日 

 私はまず、祖国の独立と自由を守る正義の祖国解放戦争で勇敢に戦った海軍の将官、将校、下士官、兵士に熱い謝意を表したいと思います。

 アメリカ帝国主義者とその手先、反逆者李承晩一味の武力侵攻に反対する偉大な祖国解放戦争は、朝鮮労働党の正しい指導と朝鮮人民と人民軍の英雄的な戦いによって勝利のうちに終結しました。

 しかし、我々は決して勝利におごってはなりません。緊張した動員態勢をゆるめず、高度の警戒心をもって敵の策動を見守り、人民の創造的な勤労生活を守れるよう常に備えを怠ってはなりません。停戦を恒久平和にかえ、停戦期間を最大限に生かして革命勢力をあらゆる面から強化しなければなりません。

 私はここで、わが国の発展の見通しと朝鮮人民の闘争任務、海軍の課題について述べたいと思います。

 戦後におけるわが党の経済建設路線と人民の闘争任務は、党中央委員会第6回総会で示されています。

 現段階の第一義的課題は、祖国の統一を達成することであります。

 朝鮮人民は、単一民族として同じ国土でむつまじく暮らしてきました。しかし、朝鮮はアメリカ帝国主義者によって南北に分断されてから、まだ統一を達成しておりません。我々は祖国の分断を決して容認することができず、速やかに分断された祖国を統一しなければなりません。朝鮮人民は朝鮮労働党と共和国政府の指導のもとに、必ず祖国の統一を実現するでありましょう。

 祖国の平和的統一を実現するためには、朝鮮革命の基地であり、その威力の発源地である共和国北半部を強固にかためなければなりません。

 我々は解放後、北半部に人民政権を樹立し、民主諸改革を実施して革命的民主基地をきずきあげました。朝鮮人民が解放後、党の指導のもとに革命的民主基地をきずき強化しなかったとしたら、偉大な祖国解放戦争で世界「最強」を誇るアメリカ帝国主義を撃破することができなかったでしょう。朝鮮人民の不敗の力と民主基地の生命力は、数倍も強大な敵との戦いでいかんなく点検されました。

 戦争で勝利した気勢を少しもゆるめず、全力をつくして共和国北半部の革命的民主基地をかためなければなりません。

 共和国北半部の革命的民主基地をかためるためには、全人民と各政党、大衆団体をわが党と共和国政府のまわりにかたく団結させ、人民武力をひきつづき強化し、経済建設を大々的におこない、戦争によって疲弊した人民生活を早急に安定向上させなければなりません。

 何よりもまず、戦争によって破壊された人民経済の急速な復興建設に大きな力を注がなければなりません。破壊された人民経済を早急に復興して戦争の被害から立ち直り、人民生活を安定向上させ、わが国を社会主義建設の新たな高い段階に引き上げなければなりません。

 勤労者の盛り上がった気勢を正しく導いて、重工業と軽工業、農業、文化の高揚をはかるならば、共和国北半部は人民の楽園に変わるでしょう。これとは逆に、南朝鮮はアメリカ帝国主義者の植民地的略奪政策のために、ますます悲惨な地獄に転落するでありましょう。

 共和国北半部と南半部のあいだに「天国」と「地獄」ほどの開きが生ずるようになれば、南朝鮮人民は南北朝鮮の全く相異なる現実を目のあたりに見て目覚め、アメリカ帝国主義者と李承晩一味に反対し、共和国を支持するたたかいに決起するでしょう。こうなれば、祖国の平和的統一が達成されるのです。

 朝鮮人民は、党の示した経済建設課題を実現する十分な条件と可能性をもっています。

 第1に、朝鮮人民は党と政府の指導のもとに、5年のあいだに平和的民主建設をおこなった経験と3年間の祖国解放戦争で勝利した貴い経験をもっています。我々には、意志が強く、才能にたけ、労働を愛し、難関に屈しない勇敢な人民があり、人民の先頭に立って献身的にたたかう労働党員があり、人民を常に勝利に導く党中央委員会と共和国政府があります。

 第2に、我々は経済建設に必要な豊かな天然資源と一定の経済土台をもっています。わが国には、金、銀、銅、鉄など各種の地下資源が豊富に埋蔵されており、地上には電力資源が豊かで、工場、企業所の設備もかなり残っています。戦時中に工場、企業所は甚だしく破壊されましたが、労働者の犠牲的なたたかいによって60%以上の設備が救われました。

 朝鮮には元来、製鉄工業、非鉄金属工業、電力工業、化学工業など重工業の土台がある程度ありました。しかし、重工業の中核をなす機械工業と軽工業の土台がきわめて微弱でした。それは、日本帝国主義が残した工業の植民地的跛行性によるものです。

 こうした跛行性を一掃し、人民経済を自主的に発展させるためには、機械工業を創設しなければなりません。機械工業の発展なくしては、人民経済の他の部門を発展させることができません。それで、党中央委員会は機械工業の発展に大きな力を注ぎ、戦時中に煕川と江界などの山間部に機械工場を建設する対策を講じました。

 戦時中にこのような措置をとったので、戦後に機械工場を速やかに建設できるようになりました。もし戦時中から着手せずに、戦後になって始めたとすれば、それは現在のように急速に進捗しなかったでありましょう。工場の設計に1年、建設にさらに数年を費やすようになるでしょう。

 建設中の煕川機械工場が竣工すれば、旋盤、ボール盤などの工作機械を年に1000台生産し、北中機械工場が竣工すれば、起重機、ポンプをふくむ多くの機械を生産するようになります。3カ年人民経済計画の最終年度である1956年になれば、旋盤、ボール盤などの工作機械を自力で生産するようになり、そうなれば船舶を建造し、農業機械を生産することもできるでしょう。

 第3に、我々にはソ連、中華人民共和国をはじめ、人民民主主義諸国人民の国際主義的援助が寄せられています。ソ連はわが国の戦後人民経済復興建設のために、10億ルーブルを、中華人民共和国は8兆元を援助しました。ドイツ民主共和国、チェコスロバキア、ポーランド、ブルガリア、ルーマニア、ハンガリー、モンゴル、アルバニアなどの兄弟諸国からも物質的・技術的援助が寄せられています。

 経済建設には、資金と資源、労働力と技術が必要です。わが党が勤勉で才能のある人民を正しく導き、豊かな天然資源を積極的に開発し、兄弟諸国の援助を有効に使うならば、これらの問題を円滑に解決し、人民経済を急速に発展させることができます。

 わが党の戦後経済建設の基本路線は、重工業に偏ることなく、重工業の優先的発展を保障しながら、同時に軽工業と農業を発展させることです。これは、わが国経済発展の客観的合法則性を踏まえた正しい路線であり、朝鮮人民の要求に全く合致するものであります。我々は党のこの基本路線にもとづいて、重工業部門の企業所を復旧すると同時に、近代的な大規模の紡織工場、食肉総合加工工場、かん詰工場、漂白剤工場などの軽工業工場を建設しています。

 我々は現在、3カ年人民経済計画を遂行しています。3カ年計画の基本課題は、戦争によって破壊された人民経済を復興発展させ、人民生活を急速に安定向上させることであります。

 我々は3カ年計画を完遂した後、第1次5カ年計画の遂行に取り組むようになります。この期間に社会主義工業化のゆるぎない土台をきずき、人民生活をさらに向上させなければなりません。したがって、第1次5カ年計画には、新たな技術で装備した工場を多く新設することを見込んでいます。

 人民経済がたえず発展し、人民生活が向上するに伴って、北半部の革命的民主基地が強化され、南北朝鮮の全人民はわが党と共和国政府を積極的に支持し、そのまわりにいっそうかたく団結するでありましょう。

 経済建設を立派におこなうことがいかに大きな力を発揮するかは、1948年に開かれた南北朝鮮政党・大衆団体代表者連席会議のときの出来事がよく示しています。

 1948年4月の南北連席会議には、それまで共産主義に頑固に反対した南朝鮮の金九、金奎植も参加しました。彼らは北朝鮮にくれば、過去祖国と人民の前に犯した罪科のために抑留されるかと恐れ、事前に特使をよこして我々の意向をたずねました。それで我々は、過去のことは不問に付す、これから新しく出発するのだと答えました。

 金九が北朝鮮にきたときには、北半部で土地改革など民主諸改革は実施されていましたが、経済建設はまだ広くおこなわれていませんでした。しかし、金九は共和国北半部の経済建設状況を見て、これで朝鮮は主人を見つけたと言って、上海にいたときから長年のあいだ持っていた「上海臨時政府」の印章を我々にゆずりたいと申し出ました。それで私は彼に、朝鮮人民はみずから真の主権を樹立したので、あなたの「法統政府」をひきつぐ必要はないと答えました。

 金九は南朝鮮に帰る際私に、北朝鮮に留まっていたいが、そうすれば自分が北朝鮮に抑留されたと敵が宣伝するだろうから、帰らざるをえないが、もう2度とアメリカのために働くようなことはしないと言いました。そして彼は、南朝鮮に帰ってたたかうが、どうにも困難になったら再び北朝鮮に来るから、そのときは果樹園でもあてがって欲しいと言いました。それで、そうしようと答えました。このように齢70を越えた頑固な金九も北朝鮮を見て我々の側につきました。それでアメリカ帝国主義者は彼を暗殺しました。

 金奎植も北半部を訪れて、真の愛国者はここにいると言って、南朝鮮に行ったら2度とアメリカのために働かないと言いました。

 金九や金奎植が我々を支持するようになったのは、誰かの演説に感銘を受けたからではなく、共和国北半部の経済建設状況を目のあたりに見て、我々が正しいということを認識したからであります。

 経済建設を立派におこなって共和国北半部を楽園に変えることは、祖国の平和的統一の実現にとって決定的な意義をもちます。

 もちろん、かいらい李承晩一味は、祖国の平和的統一にかんする我々の提案を受け入れないかも知れません。彼らは現在「北伐」「北進」を叫んでいます。しかし、それを恐れることはありません。彼らは、経済建設をせずに軍隊を増強しているので、究極には滅亡します。軍隊の維持は容易なことではありません。そのためには、食糧、被服、軍事装備、訓練機材を補給しなければならないので、巨額の費用がかかります。訓練用に発射する1発の砲弾は、牛1頭の代金に相当します。ところが、かいらい李承晩一味には膨大な軍隊を維持するだけの財政・経済力がありません。彼らは、人民から収奪した税金で辛うじて生き延びています。それで、唯一の活路を「北伐」に求めているのです。もし、敵が再び共和国北半部に侵攻してくれば、我々は一撃のもとに撃滅することができます。

 共和国北半部の革命的民主基地を政治的、経済的に強化すると同時に、軍事的にも強化しなければなりません。

 祖国防衛の強力なとりでである人民軍の強化は、敵の新たな戦争挑発を防止して平和を守り、祖国の平和的統一を達成する重要な保障であります。我々の軍事力が強大であってこそ、敵があえて共和国北半部を侵攻できなくなり、もし、向こうみずに戦争を始めたとしても、それに直ちに強力な反撃を加えることができます。敵が公然と「北進」騒動を起こしている状況において、人民軍を強化することなしには、新しい戦争を防止し祖国の平和的統一を達成することができません。それゆえ、停戦期間を最大限に生かして、人民軍をあらゆる面から強化しなければなりません。

 人民軍の強化において、基本はその質的向上に努めることです。我々は南朝鮮でのように経済的考慮を抜きにして、軍隊を量的にのみ増大させることはできません。我々は、国の政治的・経済的発展に即して人民武力の質的向上に努めるべきです。

 人民軍の質的向上をはかるためには、人民軍を幹部軍隊化し、技術兵種を増強しなければなりません。

 何よりもまず、人民軍は訓練を強化して軍人の軍事技術水準と用兵術を高めなければなりません。こうして、兵士は分隊長、分隊長は小隊長、小隊長は中隊長、中隊長は大隊長、大隊長は連隊長、連隊長は師団長、師団長は軍団長の任務を円滑に遂行できるよう準備させなければなりません。

 人民軍を鉄の幹部軍隊につくりあげることがきわめて重要です。人民軍を幹部軍隊化し、すべての軍人が一階級上の職務を遂行し、連隊長は師団長、師団長は軍団長の任務を遂行しうるようになれば、有事の際に多くの師団、軍団を編制することができます。

 我々には、マルクス・レーニン主義を身につけた労働党員だけでも100万人います。他はさておいて労働党員だけを武装させても、100万の軍隊を編制することができます。100万の軍隊を巧みに指揮すれば、アメリカ帝国主義者と反逆者李承晩一味が侵攻してきても、それを十分に掃滅することができます。労働党員をすべて武装させれば、人民軍は南朝鮮のかいらい軍に比べて質的にすぐれているばかりでなく、量的にも優位を占めるでありましょう。

 我々が1950年に、一時的後退をせざるを得なかった主な原因の一つは、軍事幹部の不足にあります。当時、労働者や人民は総動員されましたが、それを指揮する軍事幹部がいませんでした。入隊して1カ月しか訓練を受けていない大学生に将校服を着せ、仁川防御戦に派遣しましたが、訓練と鍛練が足りず、軍事知識と技術に欠けていたため、戦闘を満足に指揮できませんでした。

 祖国解放戦争の経験は、人民軍を強力な幹部軍隊につくるために積極的に努力しなければならないことを示しています。人民軍の幹部軍隊化、これは現在人民武力の強化における第一義的課題であります。

 人民軍を幹部軍隊化すると同時に、空軍、海軍、砲兵、通信兵などの技術兵種を強化すべきです。

 戦闘の勝利を保障するためには、勇敢さだけでは不十分です。そのためには、敵を掃滅できる高度の軍事技術を所有しなければなりません。祖国解放戦争のとき、人民軍の飛行士は敵機と勇敢に戦いました。しかし、技術がすぐれていなかったため、100余年の戦争の歴史と経験をもつアメリカの航空機を、巧みな迂回・奇襲戦で全滅させることができませんでした。

 戦時中に無線通信も円滑に保障されませんでした。平時には訓練を多く積み、通信を円滑に保障するということでしたが、戦場ではそれが不十分でした。

 人民軍の軍事技術水準は、まだあまり高くありません。人民軍の軍人はおごることなく、たゆまず虚心に軍事技術を修得すべきです。そして、すべての軍人の軍事技術水準をたえず高め、特に、空軍、海軍、砲兵、通信兵などの技術兵種を強化すべきです。

 人民軍はさらに、軍需物資の予備を多く蓄えなければなりません。特に、海軍は水雷、機雷、艦船その他装備の予備を多く持つべきです。我々が1950年に一時的に後退したのは、幹部の不足とならんで武器、機材など必要な軍需物資の予備がなかったことにも原因があります。それで戦時中安全地帯に工場を建設し、軍需物資を生産するようにしました。戦時中、後方の工場で生産した軍需物資は、勝利をかちとるうえで重要な働きをしました。

 人民軍の質的強化において重要な問題の一つは、軍人の思想教育を強めることです。

 軍人を思想的に備えさせるのは、人民軍の質的強化において最も重要な問題であります。軍人がいかにすぐれた技術と機材で装備しても、健全な思想をもたなければ敵と戦って勝利することができません。

 人民軍の不敗の力の源は、軍人を革命思想で教育することにあります。我々は、軍人をわが国における社会主義・共産主義建設のために、自己の階級と人民の利益のために、みずからの幸福のために忠実に服務するよう教育しています。それゆえ、人民軍は自己の使命と任務を深く自覚し、党と祖国のために限りない献身性と勇敢さを発揮しているのです。

 人民軍は今後、軍人の思想教育を強化するために格別の関心を払わなければなりません。

 人民軍軍人の思想教育で重要なことは、帝国主義は滅亡し、社会主義・共産主義は必ず勝利するという社会発展の法則を明確に認識させることです。

 歴史の経験が示しているように、帝国主義は滅亡し、社会主義・共産主義は勝利します。第1次世界大戦の結果、帝国主義戦争放火者は滅亡し、社会主義国ソ連が誕生しました。また第2次世界大戦の結果、ドイツ、日本、イタリアは敗北し、朝鮮をはじめ人民中国、ヨーロッパの人民民主主義諸国が創建され、イギリス、フランス帝国主義は弱体化し、植民地諸国の民族解放闘争がいっそう盛り上がっています。帝国主義者が再び世界大戦を挑発するなら、そのときにはある一つの帝国主義国ではなく、帝国主義国全体が崩壊し、国際反動のかしらであるアメリカも滅亡するでしょう。

 我々が15年間にわたって困難な抗日武装闘争をおこなったのも、革命の勝利を確信したからです。当時、抗日パルチザンは日本帝国主義の滅亡と社会主義の勝利を確信し、あらゆる艱難辛苦を乗り越えて、民族の独立と勤労人民の解放のために最後まで戦い、ついに勝利をおさめました。

 こんにち我々は、軍人を勝利の信念をもつように教育する有利な条件をもっています。

 何よりもみずからの力を確信しうる条件をもっています。我々には、マルクス・レーニン主義で武装した100万の党員を擁する朝鮮労働党があります。わが党は、民主建設の経験と戦火のなかでアメリカ帝国主義を屈服させた経験をもっています。解放前にはこのような党がありませんでした。過去、分派分子は派閥争いに明け暮れ、党を破壊しました。我々にはまた、堅固な革命的民主基地と強力な人民軍があります。そして、ソ連、中華人民共和国をはじめ兄弟諸国人民から強力な支援を受けています。人民軍が思想教育を強化して、勝利を保証するこれらの諸条件を軍人に正しく認識させるなら、彼らはいかなる苦境にあっても失望することなく、勝利を確信して勇敢に戦うでありましょう。

 次に、海軍を強化することについて述べましょう。

 朝鮮は3面を海にかこまれているため、海軍を強化しなければなりません。海軍の強化は、祖国を統一するためにも、そして祖国を統一した後にも必要です。それは、わが国の近辺に侵略的な日本軍国主義が復活しているからです。日本軍国主義者は常に、外国を侵略するための機会を狙っています。日本が民主国家にならない限り、我々は寸時も安心することができず、海上防衛をおろそかにできません。それゆえ、海軍をあらゆる面から強化するために努力しなければなりません。

 海軍の強化は、国の経済発展水準に見合うようにおこなうべきです。国の経済土台に依拠せずには、海軍の強化は不可能です。海軍を強化するためには、何よりも艦船を建造しなければなりません。それには、多くの資金と鋼材など各種の資材が必要です。特に、大型軍艦の建造は、国の工業化が実現されない限り不可能です。したがって、海軍を二つの段階にわけて漸進的に強化しなければなりません。

 第1段階は、小型艦艇で海岸の警備を強化する段階です。この段階では小型艦艇で沿岸警備に当たり、敵の海上機動を監視し、その上陸を阻止しなければなりません。

 海軍に小型艦船しかないということで、引け目を感じる必要はありません。小型艦艇をもっても勇敢に戦えば、祖国の海岸を十分守ることができます。

 対艦砲の火力を強化すべきです。現状では大型軍艦よりも対艦砲火力を増強するのが妥当です。

 第2段階は、領海をゆるぎなく守れるよう海軍を強化する段階です。この段階では海上作戦を能動的におこなえる強力な艦隊を編制しなければなりません。そのためには、かなりの時日を要します。それでも必ず強力な艦隊を編制しなければなりません。そうしてこそ、敵の侵略を防ぎ、祖国の領海を鉄壁のように守ることができます。

 海軍を強化する二つの段階の任務遂行において重要なことは、指揮官の養成を立派におこなうことです。第1段階では多くの小型艦艇を運用する指揮官と、多数の対艦砲指揮官が必要です。第2段階では大型艦船を運用し、海上作戦を巧みにおこなえる有能な指揮官がいなければなりません。ところが、指揮官の養成には長い期間を要します。海軍指揮官を1、2カ月間で養成することは不可能です。それゆえ海軍の幹部養成に深い関心を払い、必要な諸条件を十分に保障しなければなりません。

 対艦砲指揮官の養成にも大きな関心を向けるべきです。対艦砲指揮官が海岸防御戦を立派に指揮できるよう教育しなければなりません。

 海軍軍官学校の当面の課題は、海軍指揮官と対艦砲指揮官を多く養成することです。海軍軍官学校は海上作戦と海岸防御戦を立派に指揮し、海軍と対艦砲兵との共同作戦を巧みにおこなえる有能な指揮官を多く養成するために尽力しなければなりません。

 海軍では船舶の建造に援助を惜しんではなりません。性能のよい船舶を建造して平時には漁船に、戦時には警備艇に使用できるようにすべきです。そのためには当然、海軍が船舶の建造に関心を払い援助しなければなりません。

 最初は小型艦艇を多く建造し、漸次、技術の上達に伴って大型艦艇の建造に移行すべきです。わが国造船業の前途は有望です。今後、船舶の建造に必要なエンジンや資材を大量に生産するようになるでしょう。それに、わが国には木材も豊富にあります。したがって今後、多くの船舶を建造することができます。

 私は、海軍軍官学校の教員と学生が党中央委員会の方針に従って、海軍の強化のためにいっそう力強くたたかうものと確信します。
                                              
出典:『金日成著作集』9巻 

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