金 日 成

党の組織的・思想的強化は、我々の勝利の基礎
 朝鮮労働党中央委員会第5回総会でおこなった報告
 −1952年12月15日−




 同志のみなさん!

 党中央委員会第4回総会が開かれてからすでに1年たちました。この1年間は、朝鮮人民がアメリカ帝国主義武力侵略者とその手先、売国奴李承晩一味に反対する正義の戦いでおさめた大きな成果で輝いています。

 この期間に、国際・国内情勢には、多くの変化が起こりました。国際生活の分野では、ソ連を先頭とする社会主義・民主主義陣営の威力がよりいっそう強化された反面、世界資本主義体制の全般的危機がいっそう深まりました。

 ソ連共産党第19回大会の決定とスターリンの賢明な指導に励まされたソ連人民は、共産主義建設の雄大な綱領の実行に着手しました。ソ連は、共産主義建設の計画を実現しながら、平和と諸国人民との友好政策を実施しています。

 スターリンの著作『ソ連における社会主義経済の諸問題』は、マルクス・レーニン主義の宝庫に新たな貢献をなしました。この著作は、新しい生活の建設をめざしてたたかう人民に強力な武器を与え、資本主義の発展法則と資本主義諸国間の矛盾にかんする我々の知識を豊かにしてくれました。スターリンは、現代社会発展の客観的法則にかんするマルクス・レーニン主義の理論をいっそう深め、第2次世界大戦の過程とその後に生じたすべての出来事を概括して、世界資本主義がその全般的危機の第2段階に入ったことを明らかにしました。

 ヨーロッパとアジアの多くの国々が資本主義体制から脱して人民民主主義国家を創建した結果、ソ連を先頭とする社会主義世界体制が形成されるようになりました。これは、平和と民主主義の勢力をかつてなく強め、アメリカをかしらとする戦争と帝国主義の反動勢力を著しく弱めました。

 社会主義の道に入った人民民主主義諸国は、ソ連とともにこの1年間、新しい生活の建設で大きな成果をおさめました。これら諸国の勤労大衆は、社会主義の道を進むことによってのみ、それぞれの国がたえまない経済的高揚を実現することができることをみずからの経験を通じて確信するようになりました。かれらは、社会主義が、抑圧され搾取されていた勤労大衆を自己の運命の完全な主人にかえ、自覚的な歴史の創造者にかえることを知るようになりました。

 人民民主主義諸国の経済発展の総括は、社会主義・民主主義陣営にたいするアメリカ帝国主義者の経済封鎖政策が失敗に帰したことを示しています。そのような封鎖はただ、その提唱者に害を及ぼしただけであります。社会主義・民主主義陣営について言えば、この陣営の国々は、帝国主義者の封鎖にたいする答えとして、団結と経済的協力をさらに強めて、資本主義世界市場に対抗する社会主義的世界市場を形成しました。

 世界資本主義市場がせばまるにつれ、商品市場と原料産地のための帝国主義諸国間の争いはいっそう激しくなっています。最も侵略的で野獣的なアメリカ帝国主義は、こんにち、後進国の人民を略奪しているばかりでなく、他の資本主義諸国の経済までも従属させようと狂奔しています。それゆえ、アメリカとイギリス、アメリカとフランスその他ヨーロッパ諸国との矛盾は日ましに先鋭化しており、西ドイツとフランス、イギリスと日本、その他の資本主義諸国間の闘争も激しくくりひろげられています。

 アメリカ帝国主義者によって結成された侵略的な大西洋軍事ブロックは、アメリカとイギリス、アメリカとフランスその他このブロック参加国間の矛盾によって、ますます、その間隙が広まっています。アメリカは、このブロック参加国間の深刻な意見の相違をおおい隠そうとして、あらゆる手段を尽くしているにもかかわらず、他の参加国政府は、人民大衆の圧力と経済的困難のために、アメリカの露骨な圧力にたいする不満をしばしば表明しています。

 アメリカ帝国主義者は、資本主義体制のこのような危機を脱するため新たな世界戦争を準備する道に踏み込んでいます。このような目的のもとに、かれらは狂気じみた軍備競争をおこなっており、従属諸国の経済を軍事化し、戦争ヒステリーを助長し、ソ連と中華人民共和国その他の人民民主主義諸国に反対する宣伝を強め、可能な地域で戦争を挑発しようと狂奔しています。朝鮮にたいするアメリカの武力侵略も、アメリカ帝国主義者が早くから追求してきた侵略と戦争放火政策の所産であります。

 アメリカ帝国主義者は、朝鮮民主主義人民共和国にたいする侵攻を開始したときから、全世界人民のまえに侵略者としての正体をいっそう露骨にさらけだしました。アメリカ帝国主義者をはじめとする武力侵略者たちは、我が国の平和な都市と農村を手当たりしだいに破壊し、罪のない人民や老人、子供を殺りくすることによって、朝鮮人民ばかりでなく、世界のすべての平和を愛する良識ある人々の憎しみと憤りを買っています。そして、アメリカ帝国主義の朝鮮侵略の中止を要求し、野蛮なアメリカの化学兵器、細菌兵器の使用に反対し、抗議する全世界数億人民の声は、日を追ってますます力強くもりあがっています。

 アメリカ帝国主義者とその御用学者たちは、戦争と略奪の政策を正当づけるために人口過剰にかんする反動的な学説を広め、人間の大量虐殺を目的とする核兵器や細菌兵器をたたえています。アメリカのマルサス主義者ペンデルは、1951年に『人口の無制限増加』という著書をだしましたが、そのなかでかれは、地球上から約7億の人口、すなわち、世界人口の約3分の1を減らすべきであると公言しています。

 朝鮮は、強盗アメリカが殺人技術を練摩し、かれらの人間憎悪思想を実現するための実験場となりました。アメリカの将軍たちがなんのために1年半も停戦会談を遅延させ、最後までそれを破綻させようとしたかは誰にも秘密ではありません。

 最近、アメリカ大統領に選ばれたアイゼンハワーは、1952年9月4日に「いまや、我々の創意と幻想と生産体制は、再び戦争と戦争の展望に集中された。我々の経済は戦争経済であり、我々の繁栄は戦争による繁栄である」と声明していますが、これは「平和愛好」というアメリカの宣伝が、いかに破廉恥きわまる欺瞞的な空論であるかを如実に示しています。

 全世界が知っているように、戦争はアメリカの億万長者に膨大な利潤をもたらしています。かれらは、朝鮮人民の血と苦痛によって巨額のドルを得ています。貪欲あくことを知らないアメリカの財閥は、是が非でも朝鮮戦争を拡大して中華人民共和国とソ連にたいする侵略戦争にかえようとあらゆる策動を弄しており、我が方の合理的な提案を無条件拒否し、停戦会談を破綻に導こうとしています。

 周知のように、ソ連代表団は第7回国連総会で、朝鮮問題にかんする新しい提案を出しました。この提案は、交戦双方間にすでに合意にたっした停戦協定草案にもとづいて軍事行動を直ちに中止し、戦争捕虜の全員送還を、朝鮮問題の平和的調停のための委員団に移管することを提議したものであります。しかし、アメリカ帝国主義者は、このたびも国連の「投票機械」をあやつって、朝鮮での戦争の停止を目的とするこの合理的な提案を否決させました。

 米英干渉者たちは、武力をもって自由愛好諸国人民を征服しようと、すでに2年半以上も侵略戦争をつづけています。この期間に、武力侵略者は数十万の将兵と莫大な兵器と軍事機材を失いました。そして、朝鮮人民を征服し、朝鮮民主主義人民共和国を圧殺しようとしたかれらのあらゆる企みは、そのつど恥ずべき惨敗をこうむりました。

 いま、アメリカの将軍たちは、年若い我が共和国を圧殺しようとする新たな企みとして、自国の軍隊を日本や蒋介石の雇い兵に肩代わりさせようとする凶悪な策動をおこなっています。しかし、この企みもまた失敗を重ね、その組織者たちの恥さらしに終わるであろうことは間違いありません。

 3年間も戦争をつづけている朝鮮人民は、ソ連、中華人民共和国、ポーランド、チェコスロバキア、ルーマニア、ブルガリア、ハンガリー、ドイツ民主共和国、モンゴル人民共和国、その他の諸国から真心のこもった援助を受けており、我が共和国とこれらの国々との友好と団結はいっそう強固なものになりました。社会主義・民主主義陣営の兄弟的人民は、アメリカ侵略者に反対する朝鮮人民の困難なたたかいを援助するために、可能なあらゆる手段を尽くしています。兄弟諸国の人民が戦う朝鮮人民に与えている援助は、社会主義・民主主義陣営諸国人民間の国際主義的友好の明白なあらわれであります。

 兄弟諸国人民の大きな援助と全世界の平和愛好人民の一致した支持を受けている朝鮮人民は、侵略者を撃滅し、祖国の自由と独立のための正義の解放戦争で必ず勝利をかちとるでありましょう。

 国際分野におけるすべての出来事は、朝鮮人民に最終的勝利の信念を強めさせ、アメリカ帝国主義侵略者と李承晩一味を、祖国の領土から完全に駆逐し掃滅する日が近づいていることを示しています。




 この1年間の前線の状況は、双方が38度線付近で対峙したまま膠着し、激しい攻防戦をつづけてきたことで特徴づけられます。

 勇敢な人民軍と中国人民志願軍は、防御陣地を強化する一方、積極的な防御をもって局部的な敵の攻撃を撃退し、かれらの兵員と軍事機材に莫大な損失を与えました。

 人民軍と志願軍部隊は、長期の防御戦でいっそう鍛えられ、豊かな経験を積み、部隊を質的に、技術的に強化するうえでも大きな成果をおさめました。

 我々は、人民軍の指揮官が戦闘のあいまを利用してその経験を総括し、先進的な軍事理論と軍事技術を習得するよう再教育をおこないました。そして、部隊で模範中隊創造運動を全面的に展開し、各部隊が技術的に不十分な部門の補強に力を注ぐようにしました。前線部隊への補給活動が大いに改善され、部隊の装備と輸送能力も著しく強化されました。こうして、人民軍部隊は、量的にも、質的にもいちだんと成長しました。いま人民軍は、みずからをいっそう現代化し、正規化した強力な軍隊に鍛えあげるために全力を尽くしています。

 後方の全人民は、「すべてを戦争の勝利のために!」というスローガンを高くかかげて、後方を強固にするためにねばりづよく戦い、祖国の自由と独立をかたく守りぬきました。

 厳しい戦火のなかで、我が党が人民を導いてきた道は決して平坦なものではありませんでした。この過程には、はかり知れない重大な難関や障害がよこたわっていました。しかし、我が党はあらゆる難関や障害を乗り越え、内外の敵との激しい戦いで常に勝利をおさめました。

 我々はこれまでの戦争過程で、我が国社会制度の堅固さと不抜の生命力を全世界に示しました。熱烈な祖国愛と人民民主主義制度を死守する断固たる決意にみちた朝鮮人民は、我が党の指導のもとに、一日も早くアメリカ帝国主義侵略軍を祖国の領土から駆逐するため生命を賭して戦い、無比の英雄主義と不屈の闘志を発揮しました。前線で戦う人民軍勇士と後方の勤労者がたてた偉勲は、祖国の歴史に永遠に輝くことでしょう。

 党中央委員会第4回総会から第5回総会にいたる期間に、人民は人民経済各部門で少なからぬ成果をおさめました。そして、勇敢な人民軍部隊に兵器をはじめ、各種の軍需物資をひきつづき生産供給し、後方人民の生活をある程度安定させることができました。

 この1年間、共和国の産業、運輸および農業の各部門はひきつづき発展しました。1952年の国営および協同経営工業総生産高は1951年に比べて19%増大し、そのうち協同経営工業生産高は18%増えました。

 国営軽工業工場と協同組合の生産の増大、それにソ連、中華人民共和国その他の人民民主主義諸国の援助によって、1952年の国営および協同経営小売商品流通額は1951年に比べ232%に増えました。

 1952年に我が党と政府は、通貨の安定をはかるために一連の財政的・経済的対策を講じ、国家予算の赤字をなくしました。通貨の安定は、戦時経済の計画的管理を改善し、勤労大衆の生活を安定させるうえで大きな役割を果たしました。

 運輸部門の従業員は敵の気違いじみた爆撃にもかかわらず、破壊された橋梁と道路を適時に復旧し、機関車と車両を修理して貨物の輸送を機動的に保障しています。1952年の鉄道による貨物輸送量は、1951年に比べて113%に増大し、車両数もはるかに増加しました。

 農民は、人民軍と勤労者により多くの食糧を供給するためめざましい闘争をくりひろげました。アメリカ帝国主義者の蛮行のため灌漑施設が破壊され、電力と化学肥料の供給が中断され、労働力も畜力も不足している状況のもとで、農民は敵の爆撃や機銃掃射にもひるまずにたたかい、今年の春耕からまきつけや田植え、刈入れをすべて期限前に終え、穀物増産で大きな成果をおさめました。1952年の穀物総収穫高は1951年に比べて113%に増加し、家畜頭数もひきつづき増えています。

 今年、人民経済各部門でおさめたこのような成果は、工業と農業の今後の復興発展のための有利な条件をつくりだしています。

 来年は、国営および協同経営工業総生産高は今年に比べて123%に、鉄道貨物輸送量は118%に、穀物総収穫高は105%にそれぞれ増大し、牛の頭数は14%増加するはずです。そして、国営および協同経営小売商品流通額は今年に比べて117%に増大するでしょう。我々は来年度にも、この困難な課題を十分なし遂げるものと確信しています。

 工業と農業でおさめた諸成果にもとづいて、党と政府は勤労者の物質生活を改善する一連の措置をとることができました。

 我が党中央委員会の提議によって共和国政府は、勤労大衆の生活改善のために貧農の現物税と国家貸与穀物の返還を免除し、労働者・技術者・事務員世帯にたいする食糧の配給を増やしました。労働者、事務員と大学、専門学校の学生に冬服と靴が供給され、勤労者の住宅問題の解決策が講じられ、政府の特別決定によって勤労者にたいする無料治療制が実施されています。これらの措置は、労働者、事務員と勤労農民の生活を著しく安定させ、アメリカ帝国主義侵略者に反対するかれらの戦いを励ましています。

 厳しい戦時下でも教育事業をつづけるという党と政府の方針が実行された結果、現在では学齢児童の大部分が学校で正常に学んでおり、一時中断されていた共和国のすべての大学が再び開校して民族幹部の養成に当たっています。

 我が国の科学の最高の殿堂であり、今後すべての科学研究事業を統一的に指導する使命をおびた科学院が、戦争のさなかに創立されたことは我々の大きな誇りであります。文学・芸術の分野でも、その間、少なからぬ成果をおさめました。前線と後方で、アメリカ帝国主義侵略者と戦っている朝鮮人民の生活とその英雄的な姿をリアルに描いた立派な作品が数多く創作され、それらは人民をいっそう勇敢な闘争と愛国の偉勲へと励ましています。

 保健医療機関もその任務を立派に果たしています。保健医療部門の働き手は、アメリカ帝国主義侵略者の細菌兵器の使用による重大な害毒を迅速に取り除きました。

 人民が政治と経済の主人となっている共和国北半部では、厳しい戦争の条件のもとでも工業と農業が復旧し、前線への供給と後方人民の生活がしっかりと保障されていますが、アメリカ帝国主義者とその手先李承晩一味の支配下にある南朝鮮の情勢は、これとは全く異なっています。

 「民主主義的自由」をうたっているアメリカ帝国主義者は、南朝鮮にファッショ的な警察・テロ支配制度を樹立し、人民の些細な不満にたいしても厳しい弾圧を加えています。

 アメリカ帝国主義者と反逆者李承晩は、「立法機関」の「選挙」においても軍隊や警察の暴力をもって反対派をことごとく検挙、投獄し、人民を威嚇、恐喝して「選挙」にかりたてました。その結果、国家機関には、国の独立と民族の利益を売り渡している朝鮮人民の反逆者だけがポストを占めるようになりました。

 アメリカ帝国主義者の植民地略奪政策と反逆者李承晩一味の売国政策によって、南朝鮮の民族経済は破綻の一路をたどっており、人民は窮乏と飢餓の悲惨な状態におかれています。

 1951年に李承晩かいらい政府が実施した「農地改革」は、農民の破産をさらに早めています。かれらは、「土地収得税」の名目で農民から65〜80%の現物と265五種の過酷な雑税を収奪し、全羅(チョンラ)南道だけでも「作戦機密費」という項目で100億円(ウォン)を徴収しました。

 このような過酷な搾取と略奪によって、農民は農村をはなれ都会へ流れてさまよわざるをえなくなり、農業生産は急激に低下しました。その結果、朝鮮の穀倉として知られた南半部の穀物の収穫は甚だしく減少し、今年だけでも100万トン以上の食糧不足をきたしています。

 南朝鮮の産業も破綻しています。民族産業は、必要な施設と原料、資材がえられず、大量に流入するアメリカ商品や日本商品とはとうてい競争できない有様です。そうして、工場、企業所の閉鎖があいついでいます。

 南朝鮮の日用必需品生産は、ほとんど全滅状態にあります。反逆者李承晩一味がひかえめに公表した数字によっても、1952年に南朝鮮で最も発達したといわれた紡織工業さえ戦前より63%激減し、食品工業は70%も減少しました。

 民族産業の破綻と農業の衰退によって、失業者の数はたえず増加しています。現在、南朝鮮の完全失業者数は100万に達しており、1400万の半失業者および戦災民はなんの保護も受けられず、そのうちの500万は特別収容所に入れられて悲惨な生活をしています。就業労働者が受け取っている飢餓賃金でさえ戦時に入ってなお著しく低下し、とうてい生活を維持できない状態にいたりました。今年の9月現在、南朝鮮の賃金指数は1950年6月に比べて33.3%減となり、同期間の物価指数は15倍も上昇しています。こんにち南朝鮮では、生活難のために自殺する人の数が各地で激増しています。

 南朝鮮人民は暴虐非道な警察・テロにもかかわらず、共和国を熱烈に支持し、かれらに不幸と苦痛をおしつけたアメリカ帝国主義者の侵略政策と李承晩一味の売国的・反民族的政策に反対して勇敢にたたかっています。アメリカ帝国主義侵略者とその手先の蛮行を暴露糾弾し、人民を正義の闘争へ呼び起こしている「反帝救国闘争同盟」の活動と、祖国の自由と独立のために武器をとって立ち上がった南半部人民の遊撃闘争は日ましに拡大強化されています。

 南半部と北半部のすべての愛国的人民は、我が党と共和国政府のまわりにかたく団結し、アメリカ帝国主義の侵略から祖国の自由と栄誉を守りぬくために英雄的に戦っています。

 国内の軍事・政治・経済分野におけるこれらの変化は、朝鮮人民が侵略者に反対し、祖国の自由と独立をめざす正義の戦いで必ず最後の勝利を達成することを明らかに示しています。

 同志のみなさん! 1952年に工業と農業をはじめ人民経済各部門では、大きな成果が達成されましたが、我々にはまだ重大な欠陥があります。

 少なからぬ省や局では、こんにちの戦争の状況下においても十分生産できる製品を生産していません。それらの省や局ではこの1年間、国家計画のみにこだわり、それに予定されていない製品の生産を度外視しました。もしも、各省や局で創意性と積極性を発揮したならば、国家計画のほかに、さらに多くの各種製品を生産することができたはずです。もちろんこれには、各省や局管下の企業所の生産能力を正確に見積もることができなかった国家計画委員会にも責任があります。

 私は、各経済機関の活動について簡単にふれたいと思います。

 重工業省は、国家計画に予定した軍需品の生産を順調におこなわなかったばかりでなく、一部の軍需物資は全く生産できず、人民の需要をみたすべき日用品はごくわずかしか生産していません。国家で生産した鉄が私営企業に流れ、個人がそれで家庭用品や各種の日用品をつくって市場にだし、投機的な価格で売っているのに、国営商業機関や消費組合商店にはそれらの品物がありません。

 化学建材工業省は、国家に緊要なセメント、塩酸、酢酸、肥料その他の物資を生産する準備を怠っています。化学建材工業省の幹部は、省が組織されて間もないので事業がはかどらないと言っていますが、化学建材工業省が設置されてからすでに半年になります。もし、この機関の幹部たちが戦時状況にふさわしく積極的に活動しようという熱意さえもっていたならば、仕事をすでに軌道に乗せていたはずです。

 軽工業省は、人民生活に必要な綿織物、絹織物、ゴム靴、紙などの生産を満足におこなっておらず、その計画を60%しか実行していません。それにもかかわらず、軽工業省の幹部もやはり、省管下の企業所の欠陥を是正するために努力せず、ただ安易に仕事をしています。地方の紡織工場では、綿を多く浪費しているばかりでなく、少なからぬ原料が盗みとられて、原価が高くなり、不合格品が増えています。だが、誰ひとりこれにたいして責任を負おうとしません。

 特に、各省や局の幹部たちは、外国から輸入した機械設備を愛護しておらず、それを十分利用することにあまり関心を払っていません。その結果、多くの機械がさび付き、こわれ、故障をおこして正常に動いていません。

 鉄道省の主な欠陥は、空車運行の多いことです。運搬すべき貨物は各地に散在しているのに、80%の車両が空車のままで走っています。西部地方に山と積まれている塩が、東部地方に輸送されていないのも偶然とは言えません。

 農業省は、いまだに作付面積を戦前の水準に回復していません。現在、7万ヘクタールの農地が耕されていませんが、これは全く許しがたいことです。ところが農業省の一部の幹部は、戦時の困難な条件にかこつけて作付面積を縮小しようとする正しくない考えをもっており、甚だしくは、農地を遊ばせておこうという地方人民委員会の幹部の意見を支持しています。

 農業において少なからぬ作物、例えば小麦、大麦、大豆、野菜などの収量が極めて低い水準にあるのも、農業省の幹部の指導と活動力が弱く、先進農法がひろく普及していないことに原因があります。農業省はまた、国営農牧場の収益性を高める方法を講じていません。特に、農業省と地方政権機関の働き手は、零細農の生活の改善と安定対策を徹底的に実施していません。

 財務省は、財政予算執行規律を厳守し、財政および貸付機関の仕事を点検し、統制する機能をまだ十分に果たしていません。財務省の点検・統制活動が十分でなかった結果、農民銀行は農民に貸付けをおこなうべき基本任務を忘れて、資金の60%を各機関に貸し付けるという重大な誤りをおかしました。農民銀行のこのような誤りに乗じて、高利貸業者がいたるところで貧農を借金で縛りあげました。そのため、共和国政府は内閣決定を採択し、貧農の債務関係を適切に解決する措置をとらざるをえなくなりました。

 保健省では、外国から貿易または救護物資として入ってきた薬品をよく管理していません。その結果、地方の病院では薬品が不足しているのに、保健省の薬品倉庫では薬品が死蔵されているばかりでなく、数千万円分も盗まれています。そして病院の管理も不十分です。

 教育省では、戦時の困難な状況にふさわしく教育体系を改め、学校を立派に管理する対策を立てていません。多くの愛育院が正しく運営されておらず、子供たちの健康状態もよくありません。

 生産協同組合では、いまだに品質のよくない商品や人民が求めていない商品をつくっています。生産協同組合の中央機関と人民政権機関は、これに当然の関心を払っておらず、協同組合の仕事をなりゆきに任せています。

 各省、局の活動における一般的な欠陥は、計画性と集団協議が不十分であり、統計と計算、報告制度が確立されておらず、また人材の選抜と配置、その育成事業が満足におこなわれておらず、決定および指示の実行にたいする強い要求と厳格な点検がおこなわれていないことです。

 各級党組織と国家・経済機関は、このような欠陥を早急に取り除き、1953年度人民経済計画の遂行のためにすべての力と創意を発揮しなければなりません。




 同志のみなさん!

 我が党は、アメリカ帝国主義者とその手先、売国奴李承晩一味に反対し、民族の独立と自主権の旗を高くかかげて朝鮮人民の先頭に立ってたたかっています。朝鮮人民の将来の運命は、もっぱら、この戦いの結果にかかっています。

 この戦いは、一方では外国帝国主義侵略者に反対し、祖国の自由と独立を守る任務をおびた反帝国主義的民族解放革命であると同時に、他方では我が国においてアメリカ帝国主義者の同盟者に、その手先になっている民族反逆者、地主、買弁資本家の徒党である反逆者李承晩一味を打倒し、共和国を守り、その旗のもとに国土保全の任務をおびた全人民的な民主主義革命であります。朝鮮人民の敵は、アメリカ帝国主義侵略者であり、その手先である親日・親米派、民族反逆者・地主、買弁資本家の徒党である売国奴李承晩一味であります。そして、現段階における我が国の革命の任務は、内外の2つの敵を撃滅して祖国の自由と独立を守り、共和国の旗のもとに国の統一を実現することであります。

 朝鮮革命のこの2つの任務は密接に結びついています。それは、祖国の領土から外国帝国主義勢力を駆逐しなければ民族解放の任務を達成することができず、また帝国主義者に庇護されている親日派、民族反逆者、地主、買弁資本家の抑圧と搾取から人民を解放することもできないからであります。我々はすべての力をアメリカ帝国主義武力侵略者とその手先、売国奴李承晩一味の撃滅、掃討に向けなければなりません。

 アメリカ帝国主義武力侵略者に反対する朝鮮人民の闘争は、祖国の完全な解放と独立のための闘争であると同時に、世界の平和と安全のための闘争であり、植民地従属国人民の民族解放運動の旗印となる闘争であります。それは、こんにちアメリカ帝国主義が国際反動と新しい世界戦争放火者の元凶となっており、勤労者の解放と民族独立にたいする国際憲兵の役割を果たしているからであります。

 朝鮮労働党は、アメリカ帝国主義武力侵略者と英雄的に戦っている朝鮮人民の前衛部隊として、祖国と人民の運命を担っており、また平和と進歩をめざす人民の共同の大業に貢献すべき崇高な国際主義的任務を担っています。我が党は、マルクス・レーニン主義の旗を高くかかげていっそうねばりづよく戦い、自己に課された光栄ある使命を輝かしく遂行しなければなりません。

 我々は、アメリカ帝国主義侵略者とその手先である売国奴李承晩一味に反対し、祖国の独立と人民民主主義制度を守る闘争で最終的勝利をおさめるために、我が党を組織的、思想的に強化し、そのまわりに、すべての愛国的民主勢力を団結させなければなりません。

 周知のように、昨年11月に開かれた党中央委員会第4回総会は、党の組織活動にあらわれた極左的な誤りを是正し、党の隊列を強化するうえで大きな意義をもつ会議でした。党中央委員会第4回総会以後、我が党の組織活動は著しく改善され、党の隊列は急速に拡大強化されました。

 第1に、党勢拡大で多くの党組織がおかしていた関門主義の傾向が是正された結果、前線上後方で愛国的熱意と献身性を発揮した軍人、労働者、勤労農民および勤労インテリのなかから、今年の10月までに教十万のすぐれた人たちが我が党に入党しました。いま、我が党は、その隊列に100万以上の党員を擁する大衆的政党に、4万8933の初級党組織をもつ威力ある党に拡大強化されました。我が国の農村や職場、軍部隊を問わず、我が党組織のないところはなく、我が党の力の及んでいないところはありません。これは、広範な人民大衆のなかで我が党の威信がかつてなく高まったことを意味し、かれらが我が党の路線と政策を積極的に支持していることを示すものです。

 我が党の成長を出身階級別に分析すれば次のとおりです。
 
 党員の出身階級別構成(%)
   1950年7月1日現在  1952年11月1日現在
 労働者  21.2  22.2
 貧 農  54.7  57.4
 中 農   7.5   3.9
 事務員  11.4  12.5
 学 生   1.0   1.4
 富 農   0.3   0.1
 (1)   3.9   2.5
 (1)=商人・企業家・手工業者・自由業者・その他

 この表でわかるように、戦争がはじまった当時に比べて我が党の階級構成はさらに改善されました。この期間に労働者出身は1%、貧農出身は2.7%、事務員出身は1.1%それぞれ増加し、その反面に、中農出身は3.6%、富農出身は0.2%、商人・企業家・手工業者・自由業者その他の出身は1.4%それぞれ減少しています。

 第2に、党組織が、党員の登録でおかした懲罰主義の誤りを是正しました。

 党員登録の過程で我が党組織は、多くの党員に不当な処分を加える誤りをおかしました。これは、党組織を弱め、党員の熱意と創意性を麻痺させる極めて重大な結果をもたらしました。

 それゆえ、党中央委員会第4回総会では、各級党機関や党組織が機械的に適用した処分にたいする取り消し、是正または解除を決定しました。この決定が実行された結果、今年の10月末までに除名件数の29.8%が取り消され、正党員の党員候補への格下げを改めたのが総件数の62.1%であり、処分を解除した件数は処分を受けた党員数の69.2%に達しました。これは、我が党組織が党員登録の際にどれほど大きな誤りをおかし、もしこの誤りを適時に是正しなかったならば、我が党の強化と発展にどれほど大きな損失をもたらしたかをはっきり示しています。

 党組織がおかしたこのような誤りが適時に是正されたので、党生活と党活動で党員の積極性が高まり、党員の自覚にもとづく規律が強まりました。そして、我が党は、組織的、思想的に統一と団結が強化されました。

 第3に、党中央委員会第4回総会以後、党組織の役割が高まり、党員が党活動に積極的に参加し、党内で批判と自己批判が活発におこなわれ、党内民主主義がいっそう発揮されるようになりました。

 多くの党機関や党活動家に見られた官僚主義的、形式主義的な活動作風が改善されはじめ、党と人民大衆との結びつきは強まりました。

 党中央委員会第4回総会以後の特徴的なことは、党および国家機関の活動で、以前には見逃され、隠されてきた不正事実が摘発され、暴露されるようになったことです。これは、党組織の活動が強化され、党員の熱意と創意性が高まっていることを示しています。

 このように党中央委員会第4回総会以後、党機関と党組織と党幹部は、党の組織路線の実行過程でおかした極左的な誤りを基本的に改め、我が党をますます拡大強化しました。こんにちの我が党は、戦う朝鮮人民のいっそう頼もしい指導的・嚮導的力量となりました。

 同志のみなさん! 党中央委員会第4回総会以後、党が急速に拡大されたため、党の量的成長と質的成長とのあいだには、ある程度の不一致が生じるようになりました。戦争期間に、我が党にはほぼ45万の党員が新しく入党しましたが、かれらの圧倒的多数は政治的水準や活動の経験の幼い党員であり、新入党員の約半数はようやく国文を読み書きできる人たちです。このような事情から、党を質的にかため、特に入党して間もない党員にたいする党の政治教育を強化する必要が切実に提起されます。

 党隊列を強化するためには、党の組織活動の水準を高め、党の思想教育活動を決定的に強めなければなりません。




 党活動において組織活動は極めて重要な位置をしめています。我が党の組織活動は第4回総会以後、かなり改善されましたが、まだ低い水準にあります。党の組織活動は、党の政治的任務の水準にまで達しておらず、また党決定の迅速かつ正確な実行を保障していません。

 では、我が党の組織活動にはどのような欠陥があり、それを是正するためには何をなすべきでしょうか。

 1 一部の党組織では、党勢の拡大に当たって量的成長のみに没頭して質的成長に注意を払わず、入党の個別的手続きに違反して党勢拡大をキャンペーン式におこなったため、党の隊列に偶然分子や敵対分子が潜入するすきを与えた事実が少なくありません。こういう事実は、咸鏡(ハムギョン)南道の一部の山間部の党組織と海岸沿線地帯の党組織にあらわれました。

 党組織の革命的警戒心が鈍っているところでは、敵が里級の幹部を買収して反人民的謀略活動に利用した事実もあります。これは大変危険なことです。このような事実を今後の活動の教訓としなければなりません。

 咸鏡北道の一部の党組織では、入党問題を慎重に取り扱わなかったために、郡党委員会で入党の承認を否決された者の70%近くが政治的に信頼できない者でした。これは、初級党組織が、党勢の拡大は個別的手続きによるべきであるという党中央委員会のたび重なる指示にひきつづき違反し、革命的警戒心をもたずに仕事をしたことを示しています。

 今後もひきつづき党勢拡大につとめるべきですが、スパイ、謀略分子、投機分子などが党内に潜入できないよう厳格に統制すべきであります。同時に党を質的にかためるため、党員の階級意識と思想的・理論的水準を高め、かれらを政治的に鍛えるよう力を注ぐべきであります。もし、戦争期間に入党した党員を政治的に教育せず、かれらを党生活と実際の活動を通じて鍛えなければ、我が党は勤労人民の前衛部隊としての役割を果たすことも、党の戦闘力を強めることもできません。

 2 政治的指導機関としての党機関の役割と政治的指導者としての党活動家の役割を高めなければなりません。

 いま、我が党の多くの指導機関は、党の組織活動を行政的におこない、党の指導を下部に接近させていません。

 いまだに、多くの党機関は政権機関の仕事を代行しています。これは、我々の活動で最も好ましくないことです。党機関が政権機関の仕事を代行すれば、党組織は自己の役割を果たせなくなるばかりでなく、政権機関の責任感と創意性を麻痺させ、結局政権機関と党機関自体の活動をともに弱めることになります。

 例えば、ある地方では党機関が政権機関の仕事を代行したあまり、前線への輸送のために何台かの荷車を動員することまでも、党機関の許可なしに政権機関が独自で処理できないほどになりました。これは大変危険なことです。我々は、人民政権の権威と役割を高め、政権機関に独自性と創意性を発揮させなければなりません。

 党機関の任務は、経済課題の遂行で政権機関の仕事を代行するのではなく、それを政治的に指導し、党の力量を適切に配置して、各党員が経済課題の遂行で前衛の役割を果たすように組織することであります。

 また、我が党および政権機関とその活動家の指導水準は、まだ非常に低い状態にあります。かれらの活動上の位置と準備程度とのあいだには著しい差があると言えます。ところが多くの幹部は、政治・実務水準を高めるために努力せず、担当部門の専門知識と技術を学び、自分の仕事を分析し総括しようとせず、活動のなかで集団的指導方法を十分に適用していません。

 党および国家機関の幹部の政治水準と実務能力を高める問題は、現在、我が党の重要な任務の一つとなっています。我々はこの問題に深い関心を払わなければなりません。

 地方の党組織にたいする生きた指導がゆきとどかず、上級党機関が下級党組織の党政策の実行を具体的に、こまかいところまで援助する活動が不十分であります。いまだに一部の党機関の活動には、有害な事務室的・官僚主義的活動作風と形式主義が多分に残っています。このような事情から党活動において一部の幹部のうぬぼれと虚飾、追従が助長され、甚だしくは官僚主義の典型的特色である個人英雄主義のために、党中央の路線を「自分の路線」におきかえようとする行動さえあらわれました。

 咸鏡南道党委員会の活動にその実例を見ることができます。咸鏡南道党委員会は、個人英雄主義の病にかかった朴英(パクヨン)の「創意」によって、党中央委員会が送った全国農民大会のアピールを人民に浸透させずに、自分の名でつくったアピールを下部に通達し、指示された増産闘争はおこなわずに、独特な「創意性」を発揮して「倍加運動」を展開しました。そして、少なからぬ農地を遊ばせておきながら一部の農地だけで「倍加運動」をしたので、結局、倍加ではなく倍減になってしまいました。肥料も貧農には与えずに「倍加運動者」だけに与え、かれらだけが増産できるようにしたため、貧農の生活はますます困難になり、また、富農に利益を与える役牛共同利用班をつくって、富農が貧農を搾取する条件を党が「保障」したのです。

 このような、個人英雄主義的傾向と決定的にたたかわなければなりません。すべての党機関は、党中央の路線に厳密に立脚して指導活動をおこなうべきです。

 3 多くの党機関と党組織の組織活動におけるいま一つの欠陥は、決定の実行にたいする点検と幹部の選抜と配置が正しくおこなわれていないことです。

 党活動の目的は、決定を採択することはあるのではなく、採択された決定を正しく実行し、革命の任務を遂行することにあります。これは、決定の実行にたいする徹底した点検なしには保障されません。それゆえ、決定の実行にたいする点検は、我が党の組織活動の基本形態の一つであります。

 点検は、点検のための点検となってはなりません。点検は、決定を実行するための組織活動と密接に結びつかなくてはなりません。点検する人は、活動のなかから欠陥ばかり探しだそうとすべきではなく、それをいち早く取り除くよう党組織を援助しなければなりません。点検は必ず一定の目的のもとに計画的に進め、有能な責任幹部をもって組織すべきであり、あらわれた欠陥の原因を明らかにし、それを是正する方針を明確に教えなければなりません。

 スターリンが述べているように、点検で重要なことは第1に、点検は断片的でなしに、必ず系統的でなければならず、第2に、点検には二次的な人物が当たるべきではなく、真に権威があり、活動経験が豊富で、有能を責任ある幹部が当たるべきであり、第3に、点検は事件の記録にとどまらず、あらわれた欠陥をいち早く改めるよう現地で具体的な指導と援助を与えることです。

 しかし、点検だけでは活動の成果を完全に保障することはできません。

 幹部の選抜と配置は、党の決定の実行を保障するうえで極めて重要です。幹部は、党と国家の指導の決定的な力であり、すべての活動の成否は幹部にかかっています。

 正確な政治路線と方針が立てられた後には、それを思想的に受け入れ断固擁護し、実生活に具体化できる人がいなければなりません。党に忠実で有能な幹部を正しく選抜、配置しなければ、いかに立派な路線や決定も紙上の空文にすぎなくなるでしょう。

 幹部を正しく配置するためには、それぞれの幹部の長所と欠点を詳しく研究し、その幹部がどういう仕事で自分の力と才能を十分に発揮できるかを知らなければなりません。

 いったん幹部を配置した後は、忍耐づよく教育し、提起される問題をすべて独自的に処理できるよう援助し、その活動を点検して欠陥を是正し、活動上の隘路を適時に解決してやらなければなりません。これは、すべての上級指導機関の習わしとならなければなりません。

 国の発展にともなって幹部にたいする要求はますます高まり、幹部を教育、訓練し、その実務水準を高める問題は緊切な課題となっています。この分野での我々の活動は極めて不十分であります。

 幹部事業における主な欠陥は、幹部の異動を頻繁におこなうことです。これは、我が党組織や機関、企業所の活動にも、幹部自身の発展にも大きな悪影響を及ぼしています。

 幹部事業におけるこのような欠陥を是正し、幹部陣容をかため、革命的に鍛え育成することに全力を尽くさなければなりません。

 4 党員の党性を強め、自由主義的な傾向やセクト主義の残りかすと断固たたかわなければなりません。

 党性を強めるということは、個々の労働党員が党に限りなく忠実で、党活動に積極的であり、革命の利益と党の利益を第一の生命とみなして個人の利益をこれに服従させ、いつどこで、どのような条件のもとでも党の利益と党の原則をかたく守り、いっさいの反党的、反革命的な思想と妥協することなくたたかい、党の組織生活を忠実におこない、党の規律を厳格に守り、党と大衆との結びつきをたえず強めることを意味します。このような党員であってこそ、党性があり、党性の強い党員であると言えます。これが、各党員の党性と党的態度を評価する尺度であります。偉大なレーニンが述べているように、我々は言葉のうえでではなく実際の活動において、党性が表現されるようにしなければなりません。

 我が党は年若い党ではあるが、党員の党性鍛練で少なからぬ成果をおさめており、党員の絶対多数は党に忠実な党員であります。特にかれらは、祖国解放戦争で党のため、革命のために生命も惜しまず、最後の血の一滴までささげる覚悟をもって戦っており、すでに数万の我が党員が祖国と人民のために生命をささげました。

 しかし、一部の党員のなかには、党性に欠け政治的に腐敗した者がいます。そのような分子は、国家・政権機関や党機関の責任ある地位に登用されると、物質的特典に目がくらみ、大衆の利益をおかして大衆から浮き上がり、党活動、革命活動を忘れて、貪欲な個人の利益のみを追求し、党と国家に重大な罪をおかす場合が少なくありません。特に一部の党幹部のなかには、祖国と人民が困難に直面している時期に、党からゆだねられた仕事を忠実に実行せず、党にたいして無原則な不平をならべ、甚だしくは不平分子同士が集まってあれこれと陰口をきき、党組織には自分の意見を建議せず、会議のときや面と向かっては言わずに陰で勝手なことを言い、党の決定や革命の利益に服従せず、自分の意見が第一だと考え、幹部の配置を口実に党の組織規律を無視して勝手をことを言う連中もいます。また、仕事には関心をもたず、間違った行為を見ても見ぬふりをし、うやむやのうちにその日その日を送りながら自分の身の上だけを気遣うといったことなかれ主義者もおり、高い地位のみを求めて仕事には全く責任感がなく、かつての革命闘争の経歴を鼻にかけてもったいぶり、大きなことはできもしないくせに、小さいことはやろうともしない分子もいます。また親戚、同窓、友人だからとか、故郷や出身地が同じだからとか、または南朝鮮だとか、北朝鮮だとかいうことばかり詮議して人々を無原則的に引き寄せ、かれらに過ちがあっても黙認することすらあります。

 このようなことは、すべて有害な自由主義的傾向であります。このような自由主義者は、小ブルジョア的自己本位の思想から個人の利益を革命の利益に服従させない、党性にかけた連中です。このような自由主義的傾向とは断固たたかわなければなりません。

 また、我が党内には分派がないとはいえ、セクト主義の影響は一掃されていません。このセクト主義の影響が我が党の統一と団結を妨げかねません。

 セクト主義の影響は、かつての無原則な派閥争いの習性を捨てず、地方主義的傾向のある者や地位に不満をいだく者、党から処分された者などをあつめて、なんの根拠もなしに「党は、おまえを信任するの、しないの」といって、出身階級があまり純潔でない党員を動揺させて自分の味方に引き寄せることにあらわれています。

 セクト主義の影響は、ほかの問題にはあまり関心がなくても幹部の登用と配置にたいしては目を光らせ、自分と親しいか、あるいはかつて自派に属していた人であれば、その思想・意識程度や出身階級、または能力を考えずに無原則的に登用しようとし、はては革命の裏切者まで登用しようと奔走しているところにもあらわれています。それで、過去の政治生活が潔白でない者、出身階級の関係で登用されなかった者は、実際の闘争を通じて自己の党性を強め、党と革命に身をささげてたたかうことによって党の信頼を得ようとするのではなく、そのような分派分子に追随し、それを手づるにして党あるいは政権機関の高い地位を得ようとするのです。セクト主義の影響を捨てきっていない連中は、これをよい機会にして、もっぱら、そういう人たちを引き寄せています。

 セクト主義の影響は、党または政権機関で高い地位を占めるために、過去の「革命生活」で潔白でなかった点を互いにかばいあい、仲間同士で互いにほめ、なれあい、また幹部のあいだに意見の相違があるとか、仲がよくないすきに乗じてそれを離間させ、漁夫の利を得ようとすることにもあらわれています。

 セクト主義の影響のもう一つのあらわれとして、党の路線と党中央をうわべでは支持し、陰では背き、口先では全部賛成だと言いながら心のなかでは別のことを考え、面前では義理をわきまえるふりをしながら陰では裏腹な行動をとる者がいますが、このような二面主義分子とは断固たたかわなければなりません。

 分派分子のとのような行動を放置するならば、それが助長されて分派的行動に発展しかねません。こんにち我々は、そのような要素をこれ以上見過ごすわけにはいきません、そのような連中は、党に率直に告白し反党的な行動をやめた方がよいでしょう。我が党のすべての党員は、革命的警戒心と党性をさらに高めて、そういった連中の行動を厳しく監視し、分派分子が党内で一歩も動けないようにしなければなりません。特に、アメリカ帝国主義武力侵略者との苛烈な戦争がおこなわれているいま、このような分派的行動を少しも許しておくことはできません。

 すべての革命的党の経験が示しているように、もし、分派分子を放置するならば、結局かれらは、敵のスパイに転落するということを我々は深く銘記すべきであります。

 また、一部の党員のなかには、党の路線と党組織に依拠せずに、特定の人をあてにし、かれに頼ろうとする傾向がありますが、これは結局、個人英雄主義者に利用されやすいのであります。

 このような、すべての正しくない傾向を克服するためには、党員の党性をたえず鍛えなければならず、党の組織規律を強化し、党生活で民主集中制の原則を貫かなければなりません。党員は党組織に服従し、少数は多数に服従し、下級の党組織は上級の党機関に服従し、全党は中央委員会に服従する原則にもとづいて党が一体となって団結し、鉄の規律に従って動いてこそ、我々は長期間にわたる複雑で困難な革命闘争で人民を勝利へ導くことができます。

 党性の重要な特質は、党と革命の利益を断固として守る原則性であり、活動における欠陥とあらゆる反党的・敵対的傾向にたいする非妥協性であります。それゆえ我々は、党および国家機関の個々の責任幹部と軍事幹部の活動を評価するに当たって、かれらがこのような革命家的原則性、欠陥にたいする非妥協性、高い党的自覚と革命的警戒心をもっているかどうかを重視するのであります。

 5 党性を鍛練する闘争において、我々には批判と自己批判という点検ずみのするどい武器があります。この武器をもって、党性から逸脱したあらゆる傾向を一掃し、活動上の欠陥や誤りを暴露し是正することによって、我々の活動をたえず改善しなければなりません。

 スターリンは「我々の活動において欠陥や誤謬をボルシェビキらしく率直に、正確に指摘し、究明しないならば、我々は前進の道をみずからふさぐことになる。ところで、我々は前へ進むことを望んでいる。前進を望んでいるがゆえに、我々は、正直で、革命的な自己批判を自己の最も重要な課題の一つとして提起するのである。これなしに前進はない。これなしに発展はない」と述べています。

 党内では、まだ批判と自己批判が十分に展開されていません。それは批判すべきことがないからではなく、おそらく指導的地位にある一部の同志が批判と自己批判を快く思わず、党組織もまたこのことに当然の注意を払わないためだと思います。

 我が党は、党員を下級党員と、党の規約や党の義務から「免除」され、ある種の「特典」を享有する上級党員とに区分したことはなく、また、そういうことはありえないことです。党の規律は、どの党員もひとしく義務的であり、どんな地位にいようと誰もこれに違反することはできません。もし、ある責任幹部や軍事幹部が、自己の政治水準を高めるための努力をおこたり、堕落した生活をしたり、党の任務遂行をおこたったりするならば、そのような幹部にたいしては、党員たちが必ず党会議で厳しい批判を加えなければなりません。このような批判は、かれらにその非をさとらせて、誤りを是正させ、党員の権威を保たせることができます。

 原則的で謙虚な批判と自己批判は、党発展の原動力です。しかし一部の党活動家、特に幹部のなかには、自己批判をすればあたかも自分の「権威」が失墜するかのように考え、それを極力避けようとする人がいます。このような考え方をするのは、ただ尊大ぶり、是正の余地のない官僚主義者だけであります。自分の誤りを率直にみとめ、その誤りを正す決意をもつことは、その活動家の権威を失墜させるのではなく、かえって高めるものです。

 これと同時に、我々の要求する自己批判は、懺悔式の空念仏ではありません。自己批判で重要なことは、言葉のうえで誤りや欠陥を認めるだけでなく、あらわれた誤りや欠陥を早く克服し、活動を積極的に改善することであります。

 たんに口先だけで批判の正しさを認めるめは、実際には批判を避けることであり、自分の誤りや欠陥をおおい隠し、粉飾することであります。我々のいう批判と自己批判は、常に良心的で、大胆で、言動の一致する実践的な批判をさすのです。このような批判のために、個々の党組織と幹部は、批判と自己批判を発展させることのできる雰囲気をつくり、批判と自己批判を妨げる者と断固たたかわなければなりません。

 批判は必ず具体的でなければならず、欠陥の指摘にとどまらず、その欠陥を是正する方法まで明確に教えることが望ましいのです。そうすれば、その批判がより大きな効力をあらわすでしょう。

 批判と自己批判は、個々の党員のうぬぼれや高慢さ、官僚主義的作風などを未然に防ぎ、革命的警戒心がゆるまないようにするうえで大きな意義があります。批判と自己批判が広範な勤労大衆の創造的積極性と結びつくとき、それは我が国の政治、経済、文化の発展を促す大きな力となるでしょう。

 我が党は、批判と自己批判の精神で党員と幹部を教育し、各党員が会議のときだけ批判するのでなく、毎晩、みずから一日の仕事を批判的に検討し、総括する習慣をやしなわなければなりません。

 革命的なマルクス・レーニン主義党の特徴の一つは、欠陥や誤りにたいして非妥協的にのぞみ、批判と自己批判の精神をもって党員や幹部を教育し、公開的で原則的な批判と率直で誠実な自己批判を日常化するように導くことです。これは我が党を強化し、生気ある戦闘的な党にする重要な条件であります。

 6 我が党の基本単位である初級党組織の活動を強化し、党員の前衛的役割を高めることが、いつにもまして切実な問題となっています。ところが、多くの党機関の細胞にたいする指導は極めて不十分です。

 細胞を強化するには、まず細胞の中核分子を育成し、堅実な細胞委員長を選ぶことが重要です。多くの党機関が、細胞委員長の選抜に深い関心を払わなかったため、今年の上半期だけでも、細胞委員長のうちで除名処分を受けたものが79名にもなります。そのうちの一部の者は、敵に買収されたスパイとして除名処分を受け、実務能力と政治的水準が低すぎるため解任された細胞委員長も少なくありません。また、党機関では細胞委員長を頻繁に交替させ、かれらに活動上の経験を積み熟達する機会を与えていません。例えば、平壌市党組織では、今年の上半期に細胞委員長総数の37.3%を交替させました。このようなことは、今後必ずなくさなければなりません。

 我が党のすべての政策が貫徹されるかどうかは、それを大衆のなかに浸透させ、直接、実践する細胞の活動にかかっています。細胞を強化することなしには、我が党を強化することも、革命の任務を遂行することもできません。

 細胞を強化するためには、細胞を強化できる中核分子を育成しなければなりません。中核分子を育成する問題は、すでに何年間も繰り返し強調してきましたが、こんにちにいたるまで十分に解決されていません。

 我々はいま、上部の指導を下部に接近させ、党と国家の政策を迅速に実行にうつせるよう行政区画を変更する準備をおこなっています。行政区画の変更は、郡を細分し、面を廃止するとともに里を強化する方向で準備が進められています。したがって、いま我が党には、党および政権機関の里級幹部を大量に養成すべき任務が提起されています。各種の講習体系と道党学校、道人民委員会幹部学校などを通じて里級幹部を養成する対策を早急に立てなければなりません。

 細胞を強化するためには、細胞の中核分子を育成することだけでは足りません。そのためには、党内民主主義を発揚し、党の任務分担を正しくおこなって、すべての党員を党活動に積極的に参加させ、党会議の政治的・思想的水準を高めて、それが党員教育の学校となるようにすべきであります。

 敵は、我々の後方を攪乱するためにあらゆる策動をおこなっており、党細胞活動の弱いところにその触手をのばそうとやっきになっています。最近の資料によれば、各地で敵が里級幹部を買収し謀略活動に利用した事実があります。これは大変危険なことです。

 それゆえ、各級党機関は細胞委員長を正しく選抜、育成し、細胞の中核分子を育成し、初級党組織を強化することに細心の注意を払わなければなりません。

 7 我が党の組織活動における重要な問題は、党と大衆との密接な結びつきを保つことであります。我が党の威力の源泉は、広範な人民大衆との血の通った結びつきにあり、それを強化することによって我が党を不敗の革命的党に発展させることができます。

 党中央委員会第4回総会以後、党と大衆との結びつきを強化する活動は著しく改善されました。しかし、いまなお人民大衆にたいする活動では官僚主義的な作風が完全に一掃されていません。

 官僚主義は、大衆の創意的な意見を聞き入れようとせず、大衆から離れてことを処理し、事務室に閉じこもって机上の計画を立て、決定書や命令をおしつけ、大衆に号令ばかりかける活動方法であります。このような活動方法は、必ず大衆の不満をかい、党を大衆から離脱させ、党および国家活動に大きな害悪を及ぼすことになります。

 我々はこのような作風を一掃して大衆の声に耳を傾け、いかなる場合にも徹頭徹尾、大衆の利益を守り、かれらの忠僕として奉仕し、大衆が党の呼びかけを思想的に受けとめて党の示した課題の遂行に自発的に立ち上がるよう、説得し、教え、導いていかなければなりません。すべての党組織と党員は、まさに、このような方法で活動すべきであり、このような作風で大衆に接しなければなりません。我々は、常に「大衆に学び、大衆を教えよ」という原則を忘れてはなりません。

 党のかかげるスローガンは、すべて人民の利益と願望を反映するものであるので、必ず人民大衆の支持を得ることができ、かれらの尽きることのない創造力を引き出すことができます。これを明確に認識し、大衆をどなりつけるのではなく、すべてのことを大衆と相談し、大衆を政治的にめざめさせ、かれらが革命の最終的勝利のためすべての力と熱意をささげるように指導すべきです。

 人民大衆のなかに党の路線と政策を浸透させる基本的な方法は、説得と教育であります。党は自己の政策を常に勤労大衆に解説し、党政策の正しさを大衆に確信させなければなりません。そうすれば、勤労大衆自身が我が党の政策を貫くために献身的にたたかうようになります。「戦争をしているのに、解説などやっている暇はない」というようなことがあってはなりません。困難な戦争のときであればこそ、党は人民大衆をたゆまず説得し教育して、その自覚的な熱意を引き出すべきであり、大衆のなかに深く根をおろし、かれらと一体となって敵を撃滅しなければなりません。




 同志のみなさん!

 我が党を強化するためには、組織活動の改善のみでは不十分であり、思想活動もまた強化しなければなりません。思想活動は我が党の活動で常に重要な位置をしめますが、現在では特に緊切な意義をもっています。それはいま、我々がアメリカ帝国主義侵略者とかつてない苛烈な戦争をおこなっており、我が党には40%以上の新入党員がいるからであります。

 偉大なレーニンが述べているように、小規模生産は、毎日、毎時、自然発生的に、大規模に資本主義とブルジョアジーを生みだします。小生産が大きな比重を占めている我が国において、ブルジョア思想はたえまなくあらわれています。

 これとともに、アメリカ帝国主義の侵略によって我が国に生じた特殊な情勢を必ず考慮に入れなければなりません。すでに平和的建設の時期に、アメリカ帝国主義者とかいらい李承晩一味は、我が人民民主主義制度を破壊する目的で、共和国北半部にスパイや謀略分子をひきつづき送り込みました。戦争を引き起こしてから、アメリカはこの卑劣で汚らわしい謀略活動の範囲をいっそう拡大しました。アメリカ帝国主義者と売国奴李承晩一味のスパイは、戦時の困難によって動揺する一部の不健全な分子を破壊工作に利用しようと企んでいます。そのような分子に反動思想を浸透させるために、アメリカ帝国主義者と反逆者李承晩一味はあらゆる宣伝手段を動員しています。我々が敵との苛烈な戦争をおこなっている状況のなかで、敵対的ブルジョア思想の影響が、我が党内に浸透しないはずがありえません。それゆえ、我々は、必ず思想活動を強化し、この活動に全党の関心を集中しなければなりません。

 思想活動の基本は、我が国の勤労者をマルクス・レーニン主義の革命思想で武装させることであります。

 朝鮮人民は、日本帝国主義との長期の民族解放闘争のなかで、そして解放後、新しい生活を建設する過程で革命的に鍛えられ、ブルジョア的思想の影響や習慣が著しく克服されました。特に、アメリカ帝国主義者の武力侵略を撃退し、祖国の自由と独立を守りぬく正義の解放戦争で、朝鮮人民の民族的自覚と階級意識は高度に高まりました。朝鮮人民は、厳しい試練にも属せず勇敢に戦い、気高い愛国主義精神と、党と革命への限りない忠実さを発揮しました。これは、我が国を占領し、朝鮮人民を征服しようとするアメリカ帝国主義者の侵略計画を破綻させる重要な要因となりました。

 共産主義思想は世界の多くの国々で発展しており、勝利をおさめています。共産主義思想は、現代社会発展の根本的要求を反映した最も先進的な階級であるプロレタリアートの思想として発生しました。

 革命的マルクス・レーニン主義思想の勝利的進出は、死滅しつつある資本主義の野獣じみたあがきを惹起しました。帝国主義者は、その腐敗した思想を人民大衆に浸透させ、人民の革命意識を麻痺させるためにあらゆる手段を動員しています。

 凶悪な敵は、みずからを自由と民主主義の「守り手」と呼んでいます。かれらは、人民を欺き、大衆の意識を麻痺させ、大衆に卑劣な品性を植えつけるためにあらゆる手段を用いています。特に帝国主義者は、青年に腐敗した思想を吹き込もうとやっきになっています。

 こんにちアメリカ帝国主義者は、新たな世界戦争の挑発を容易にするため、人民大衆と軍隊に中世的な人間憎悪の思想を植えつけようとしています。朝鮮人民は、戦争の過程でアメリカ帝国主義者のそのような中世的蛮行をはっきり体験したし、いまも体験しています。我が国の都市と農村にたいするアメリカ帝国主義者の無差別爆撃と婦人、子供にたいする野獣じみた虐殺は、人間憎悪思想の直接のあらわれであります。

 民主主義と社会主義にたいする帝国主義の思想「攻勢」が、現在のように悪辣な性格をおびたことはいまだかつてありませんでした。それゆえ、反動的で腐敗したブルジョア思想と妥協のない闘争をくりひろげ、革命的なマルクス・レーニン主義教育を強化せずには、帝国主義の思想的侵害から人民を守ることも、困難な革命闘争で勝利をおさめることもできません。

 思想活動の分野で我々は多くの欠陥を露呈しています。

 我々の思想活動は、いまだに形式的におこなわれており、党員と人民大衆のなかに深く浸透していません。

 宣伝扇動活動は、往々にして我が国の具体的な現実の問題から離れて、重点や目的志向性なしに進められるため当然の効果をおさめていません。党および政権機関の責任幹部は、宣伝扇動活動にほとんど参加していません。

 党政治学校や学習会も質的に低い水準で運営されており、教員や学習指導者を正しく配置し、再教育する活動も極めて不十分であります。党および国家機関の多くの幹部は、自己の思想・理論水準の向上に関心がうすく、独習党員の学習はほとんど統制からはずされています。

 マルクス、エンゲルス、レーニン、スターリンの著書の出版事業がまだ十分でなく、定期刊行物の雑誌や新聞の思想的内容も極めて貧弱です。

 作家、詩人、作曲家、美術家、俳優にたいする活動も不十分であり、自由と解放をめざす朝鮮人民の英雄的抗争の時代にふさわしい文学・芸術創作の高揚がおこっていません。その結果、我が国にはいま、すぐれた文学作品や歌、絵画、演劇、映画などがあまりありません。

 思想活動におけるこのような欠陥を、これ以上許すことはできません。

 敵は、朝鮮人民の意識に存続している古い思想の影響、特に日本の略奪者が残した植民地的奴隷根性を利用しようとしています。アメリカ帝国主義者は、朝鮮人民の団結力と愛国的闘志を弱めるために、我々の思想活動における些細な弱点をもすべて利用しようとしています。それゆえ、我々はすべての欠陥を早急に取り除き、思想活動を現情勢が要請する革命任務の水準にまで高めなければなりません。

 我々は、思想活動にたいする過小評価の傾向を一掃し、思想的誤りを黙視する自由主義的傾向と決定的にたたかい、勤労者をマルクス・レーニン主義思想で武装させ、かれらの階級意識と革命的自覚を高めるために全力を尽くさなければなりません。

 マルクス・レーニン主義理論の意義は、それが党員と勤労者に確固とした闘争の目的とその目的を達成する道を示し、かれらの革命的意志と勝利の信念を強めるところにあります。理論を知らず、理論水準を高めることに無関心な実務主義者は、活動において信念をもつことができません。

 レーニンは、革命的理論なしに革命的実践はありえず、革命的党はただマルクス主義の理論で武装したときにのみ、労働者階級の前衛部隊としての役割を果たすことができると教えています。スターリンは、党がさまよわず、多くの犠牲を出さずに人民を革命の勝利へ導くためには、マルクス・レーニン主義理論を体得し、それを羅針盤とすべきであり、理論がなければ暗闇で手さぐりをするようなものになるであろう、と述べています。

 党内の思想教育を強化して、党員が明確な革命的展望をもち、すべての出来事を階級的に正しく分析し、革命課題を正しく実践できるマルクス・レーニン主義者となるようにしなければなりません。

 マルクス・レーニン主義の教育を強化するというのは、マルクス、エンゲルス、レーニン、スターリンの著作を手当たりしだいに読ませ、その個々の命題を覚えさせるということではありません。それは、党員がマルクス・レーニン主義の思想観点と方法を体得し、それを我が国の実状に即して適用できる能力をもち、マルクス・レーニン主義にもとづいて我が国の軍事・政治・経済情勢を分析し、その現状を正しく把握するばかりでなく、将来までも予見できるようにするということであります。

 ところが我々には、これまでマルクス・レーニン主義を我が国の革命の具体的な実践と結びつけて研究する活動が極めて不十分でした。我々には、我が国の問題をマルクス・レーニン主義的に分析した理論的な著書や論文が非常に限られています。これは、我々の思想・理論活動において必ず改めなければならない重大な欠陥であります。

 大学や党学校、党の教育体系では、こうした欠陥を改める方向でマルクス・レーニン主義を研究し、兄弟党の先進的経験を研究すべきです。新聞社、雑誌社その他の出版機関では、我が国におけるマルクス・レーニン主義理論の創造的適用にかんする論文や著書、各種の教育資料を広く掲載し出版しなければなりません。

 これとともに思想活動には、祖先がきずきあげた貴重な文化遺産をマルクス・レーニン主義的見地から継承、発展させようとするのではなく、その遺産を捨て去ろうとする傾向がまだ部分的に残っています。甚だしくは昔話や歌なども、外国のものはみな立派で、自分のものはみな感心できないとするような弊害さえあります。

 我々は、自民族の貴い文化遺産を継承、発展させる基盤のうえでのみ、外国の先進文化を正しく摂取することができることを銘記すべきであります。

 各級党機関は、党政治学校と学習網の活動を根本的に改善し、教員と講師の選抜に深い関心を払い、その理論水準を高める対策を立てなければなりません。そのためにはまず、党学習指導者と細胞中核分子の冬期講習会の水準を高め、理論的に準備された党幹部が講義をするようにしなければなりません。

 我々は、社会主義的文化・芸術をいっそう発展させ、ラジオ、出版物を、はじめすべての宣伝扇動手段が党員の政治的・思想的水準と労働者、農民、インテリの政治的自覚の向上に奉仕するようにすべきであります。

 我々は、口頭による宣伝扇動活動を活発にくりひろげ、その水準を高めるために幹部がこの活動に直接参加すべきです。党と共和国政府の政策を大衆のなかに深く浸透させ、農村における大衆政治活動の拠点である民主宣伝室を効果的に運営しなければなりません。

 思想活動に関係のあるすべての機関、団体にたいする指導を根本的に改善し、特に朝鮮文学芸術総同盟の活動に深い関心を払わなければなりません。いま同盟の内部にある、南だの、北だの、あるいは何とか派だのといったような、狭い地方主義的・セクト主義的傾向を徹底的に粉砕することが必要です。そして、文化人の誰もが、党と革命のために奉仕する崇高な精神で祖国解放戦争の勝利のためにすべての力と才能をささげるようにしなければなりません。

 各党機関と党組織は、政権機関の行政活動を代行すべきではなく、党を強化し、大衆を党のまわりに結集するための党の思想教育活動と大衆政治活動に力を注ぐべきであります。

 党員の政治的・思想的水準が高まれば、かれらはおのずから仕事に熱を入れるようになり、党が強化され、党活動はもちろん、政権機関の活動も立派にできるはずであります。マルクス・レーニン主義の教育活動と大衆政治活動が強化されれば、党の思想と意志の鉄のような統一が保たれ、党員と人民大衆の政治的熱意と創意性が高度に発揮されるでしょう。

 我が党は、朝鮮人民の極悪な敵アメリカ帝国主義者とその手先の侵略から祖国の自由と栄誉を守る大業に、思想戦線のすべての力を結集しなければなりません。

 我々には、民主主義の旗のもとに祖国の独立と民族の統一を達成すべき歴史的任務が課されています。党の思想活動が改善、強化されるならば、朝鮮革命のこの光栄ある任務が成功裏に達成されます。

 同志のみなさん!

 こんにち、祖国の運命を決する朝鮮人民の解放戦争において、勝敗はもっぱら我が党の団結の威力とその嚮導的役割にかかっています。

 アメリカ帝国主義武力侵略者とその手先一味を撃滅、掃討して祖国の自由と統一独立をかちとるためには、なによりもまず我が党を強化しなければなりません。

 我が党を強化するということは、何を意味するのでしょうか。

 それは、資本主義の転覆と勤労者の解放の道を照らす百戦百勝の革命的学説であるマルクス・レーニン主義で我が党を武装させることを意味します。

 党を強化するということは、党内に鉄のような規律を確立し、党の統一を固守し、些細なセクト主義の傾向をも許さず、ブルジョア思想の侵入から党を徹底的に守り、党を政治的、思想的に鍛えることを意味します。

 党を強化するということはまた、党と祖国と人民に忠誠を尽くし、勤労大衆の解放の大業に献身し、プロレタリア国際主義の原則に忠実であり、階級の敵を憎み、革命的警戒心を高め、ブルジョア思想のわずかなあらわれにたいしても妥協することなくたたかう精神で党員を教育することを意味します。

 党を強化するということは、党と人民大衆の結びつきを強め、大衆から党を離脱させる官僚主義的・形式主義的活動作風に反対してねばりづよくたたかい、党内に革命的活動作風をうち立てることを意味します。

 党を強化するということは、党内において保守と停滞と安逸を許さず、党員のなかであらゆる困難にうちかち、献身的にたたかって勝利をかちとる不撓不屈の闘志と生気はつらつとした創造的気風をつちかうことを意味します。

 こんにちの情勢は、帝国主義の武力侵略者とその手先一味に反対して正義の祖国解放戦争に決起した朝鮮人民に有利に発展しています。朝鮮人民のすべての勝利の組織者であり、鼓舞者である我が党は、全人民を党のまわりに鉄のごとく団結させ、戦争の勝利へと確信をもって導いています。

 祖国解放戦争での最終的勝利のために、朝鮮人民の自由と明るい未来のために、我が党を組織的、思想的に強化することに全力を尽くしましょう。

 ともに、正義の大業の勝利をめざして勇敢に前進しましょう!
出典:『金日成著作集』7巻 


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