金 日 成

人民政権の強化は祖国解放戦争勝利の重要な保障
中央高級指導幹部学校の教職員、学生におこなった演説 
1952年6月23日

 私は、中央高級指導幹部学校の教職員、学生が、戦争の困難な環境でどのように生活し、勉強しているかを知るためにここを訪ねました。学校にきて、諸君が各自の任務を誠実に遂行しているのを見て、たいへんうれしく思います。

 この学校は、わが党と共和国政府の重要な幹部養成基地であります。中央党学校が党機関の中堅幹部の養成機関であるように、中央高級指導幹部学校は人民政権機関と経済機関の中堅幹部の養成機関であります。

 これまで、わが党と共和国政府は、この学校の運営に大きな関心を払ってきました。戦争の困難な状況下においても、この学校を運営させ、特に、一時的後退の時期には安全な地域に疎開させて、学業をつづける措置を講じました。

 常に強調していることですが、幹部は、国の柱であり、革命の指揮メンバーであります。したがって、幹部養成事業は一時も中断することができません。わが党は戦争の困難な環境においても、中央党学校と中央高級指導幹部学校をはじめ、各級幹部養成機関を運営し、数多くの党および国家・経済機関の幹部を養成し、現職幹部も少なからず再教育しました。

 これまでこの学校は、人民政権機関と経済機関の幹部を多数養成して、その栄えある使命を果たし、人民政権の強化に大きく寄与しました。今後も、この学校は、人民政権の強化において重要な役割を遂行しなければなりません。

 周知のように、正義の祖国解放戦争は2年間もつづいています。昨年は朝鮮人民にとって実に困難な年でした。しかし、我々はあらゆる難関を克服して、軍事分野で大きな成果をおさめたばかりでなく、後方を強化する活動においても少なからぬ成果を達成しました。敵の一時的占領から解放された地域での党組織と政権機関、勤労者団体の再建、整備を短時日に終え、破壊された工場を復旧して戦時生産を遂行し、人民生活を基本的に安定させました。また、学校と病院を復旧して教育と医療奉仕を正常におこないました。このように、後方を復旧整備し強化することによって前線の勝利を保障しました。

 祖国解放戦争は、長期戦に移行しています。長期戦で勝利をかちとるためには、革命勢力をいっそうかため、前線と後方をひきつづき強化しなければなりません。そのため、最近、わが党は党組織と人民軍の強化とあわせて、人民政権の強化を重要な問題として強調しています。現軍事・政治情勢に即して人民政権を強化してこそ、後方を強固にし前線への人的・物的補給を保障し、人民生活を安定させることができます。人民政権の強化は、祖国解放戦争の勝利の重要な保障であります。

 人民政権を強化する課題については、この2月の道・市・郡人民委員会委員長および党幹部連席会議で具体的に述べました。皆さんもその演説を研究し討論したものと思います。しかし、この学校の学生は、今後、人民政権機関で活動するようになる関係上、きょうもう一度その課題について強調したいと思います。

 人民政権の強化において重要なのは、政権機関の働き手のあいだで日本帝国主義思想と封建思想の影響と官僚主義的活動作風を一掃することであります。

 官僚主義的活動作風は、封建制度や資本主義制度のもとで、人民大衆を抑圧する官僚の反人民的な活動作風であります。人民政権機関の働き手のあいだで官僚主義的活動作風を一掃せずには、人民政権が人民大衆のなかに深く根をおろすことも、党と政府の施策を正しく実行することもできません。

 政権機関の働き手の官僚主義的活動作風は、2月演説以後、少なからず改められました。しかしまだ、それが完全になくなったとは言えません。官僚主義的活動作風は、政権機関の働き手の活動にいろいろな形であらわれています。

 しかし現在、官僚主義とのたたかいは、全面的かつ深刻におこなわれておらず、形式的に進められています。一部の省では、官僚主義的活動作風を一掃するたたかいを厳格な反省と批判もなしに、1、2回の会議を開くことで済ましています。また一部の働き手には、活動作風を改めるということで仕事を大胆におし進めず、下部からの無原則なつきあげに迎合する現象まであらわれています。

 官僚主義を1、2度の会議や批判で克服できると考えるのは大きな間違いです。これまで官僚主義を一掃する問題をもって、たびたび会議も開き批判もしました。しかしいまなお、働き手のあいだには官僚主義的悪弊が残っています。これは、官僚主義が1度や2度の会議や批判によっては克服できないことを示しています。

 官僚主義は、日本帝国主義思想と封建主義思想の影響に根ざしています。したがって、これは、1、2度の会議や批判だけで一掃されるものではなく、根気よく粘り強い思想闘争と実践闘争を通じてのみ克服することができます。政権機関の働き手は、これを銘記し、官僚主義とのたたかいを中断することなく、粘り強く進めなければなりません、これと同時にに、人民のためにすべてをささげてたたかい、自分の仕事について人民に責任を負い、人民大衆に虚心に学び教える人民的活動作風を身につけるために、絶えず努力しなければなりません。

 人民政権の強化において次に重要なのは、幹部の指導水準を早急に向上させることであります。

 中央から里にいたる各級政権機関の幹部は、指導水準の向上のために極力、努力しなければなりません。

 現在、幹部構成は、極めて複雑です。幹部陣容は、日本帝国主義支配当時、国外あるいは国内でたたかった人、獄中生活をした人、ソ連や中国から帰った人、解放後に新しく成長した人などで構成されています。幹部構成が複雑なうえに、その水準がまた極めて低い状態にあります。特に、解放後に成長した新しい幹部の水準が低いのです。

 朝鮮人民は、半世紀近くも、日本帝国主義の植民地的奴隷の生活を強いられたため、政権に参与した経験がありません。当時、政権に参与した人といえば、ごく少数の親日派、民族反逆者だけでした。現在の幹部は、解放後はじめて政治にたずさわり経済を管理運営しています。中央の幹部にしても、道・市・郡・面人民委員長にしても、里人民委員長にしてもみな同じであります。

 こうした事情は、幹部はすべて自分の仕事について絶えず研究し、わが党の政策と革命理論をたゆまず学ぶことを求めています。ところが一部の幹部は、自分の地位を生来の官職とはき違えて尊大になり、虚心に学ぼうとせず、学習するにしても深みのある学習はしません。したがって、彼らは高い地位についてはいても、その職務の遂行能力に欠けています。

 過去に革命闘争に参加した幹部のなかには、それをたてにして虚心に学ぼうとせず、闘争経歴だけを売りものにする人も一部に見受けられます。これは、甚だ正しくない行動であります。

 花は美しく咲きつづけてこそ、人から愛されるものです。一度咲いたきりで二度と咲かない花は、人々から愛されません。これと同様に、過去、革命闘争に参加した幹部も、ひきつづき革命に忠実であってこそ人民に愛され、そうでない場合は見捨てられ、役に立たなくなってしまいます。したがって、革命家は過去と同じように、きょうも立派にたたかい、今後も立派にたたかわなければなりません。

 幹部はどこからこようと、また革命闘争の経歴があろうとなかろうと、すべて正義の祖国解放戦争の勝利のために、人民の幸福のために全力を尽くしてたたかうべきです。わが党は、すべての幹部がこのようにたたかうことを求めています。

 幹部が党の求めるとおり活動するためには、たかぶらず虚心に学び、さらに学ばなければなりません。そして、指導水準と政治的・思想的水準を決定的に向上させなければなりません。

 学習で重要なのは、それをわが国の現実と結びつけて着実におこなうことです。

 マルクス・レーニン主義理論を深く修得したと言われる幹部のなかに誤りを犯す人がかなり見られますが、その原因はほかでもありません。それは、マルクス・レーニン主義をわが国の現実と結びつけて研究せず、機械的に暗記したところにあります。

 学習は、問題の本質をとらえず、丸暗記するやり方でしてはなりません。機械的に暗記した知識は、何の使い道もありません。いくら多くのことを学んだとしても、教条主義的に学習した人は、実際上、無知な人と変わるところがありません。

 スイカは、うわべを見ただけで味を知ることができません。割って食べてみなければ本当の味はわからないものです。これと同様に、マルクス・レーニン主義学習を、スイカの皮をなめるようにしたのでは、その理論の本質をつかむことができません。それをわが国の現実と結びつけて研究すれば、その真髄をとらえ朝鮮革命に正しく適用できるのです。それゆえ、幹部は、マルクス・レーニン主義を機械的に暗記しようとせずに、わが国の現実と密接に結びつけて深く学ぶべきです。

 特に、わが党の路線と政策の学習に大きな力を注ぐべきです。党の路線と政策は、朝鮮革命の指導指針であります。党の政策を深く学習すれば、生きた知識と実践能力を備えた人民の働き手になれます。

 人民政権の強化において次に重要なのは、里人民委員会を強化することであります。

 里人委員会は、直接人民を対象にして活動する人民政権の末端機関であります。里人民委員会は、党で言えば党細胞と同じであり、人民軍で言えば中隊と同じです。党を強化するためには党細胞を、人民軍を強化するためには中隊を強化しなければなりません。これと同様に、人民政権を強化するためには、里人民委員会を強化しなければなりません。里人民委員会が強化されれば、すべての人民政権機関が強化され、里人民委員会の活動が順調にいけば、人民政権機関の活動がすべて順調に進みます。里人民委員会の強化は、人民政権そのものの強化だけでなく、こんにち後方の重要任務を担当している農村を強化するためにも緊要であります。道・市・郡・面人民委員会は、里人民委員会の強化に主力を注ぐべきです。

 里人民委員会を強化するためには、里人民委員長の水準を高めなければなりません。

 里の主人は里人民委員長であるだけに、その水準が高くなければ里の仕事がうまく運びません。現在、里人民委員長の水準は、極めて低い状態にあります。したがって、その水準を早急に高めなければなりません。

 内閣では、里人民委員長の水準を高めるため各道の幹部学校に、現職の里人民委員長の再教育クラスを設置する措置をとりました。道・市・郡・面人民委員会では、里人民委員長の水準を高めるための講習会を計画的に組織する一方、責任幹部がしばしば里に出張して活動方法を教えるべきです。

 この学校の教員や学生も、周辺の里人民委員会の活動を援助しなければなりません。そうすれば、里人民委員会の強化にも役立ち、各自の水準の向上のためにも助けとなるでしょう。この学校は、平安北道に所在しているのですから、平安北道党委員会や人民委員会は、学校との連係のもとに教員や学生を学校周辺の里人民委員会の指導に積極的に参加させるべきです。

 里人民委員長の水準を高めると同時に、里の中核の育成に深い注意を払うべきです。里の中核を掌握し育成するに当たっては、必ず農村の現状を考慮に入れなければなりません。農村の住民構成は、戦争前とは大分変わっています。男子はほとんど前線に赴き、婦人が多数をしめています。婦人のうちから堅実な人を選抜して中核に育て、里の仕事に積極的に参加させるべきです。まだ、一部には婦人をないがしろにし幹部に採用したがらない人がいますが、それは間違っています。政治的自覚が高く、仕事に積極性と熱意のある若い婦人を里の幹部に大胆に登用し、その活動を極力援助すべきです。また、その政治・実務水準を向上させるため短期移動講習会などを広範に組織すべきであります。

 民主宣伝室の運営を改善するのは、農村の強化にとって重要な意義があります。

 民主宣伝室は、大衆教育の拠点であります。そこでは、大衆のなかに党と政府の政策を解説し浸透させ、共和国の社会制度の優位性を正しく認識させ、戦争勝利の確信を抱かせる活動を日常的におこないます。そこではまた、農民のあいだに先進的な営農技術を普及し、増産競争運動を組織し、農民を戦時食糧増産へ決起させる活動をおこないます。したがって、民主宣伝室の活動を強化すれば、農民の政治的・思想的水準を向上させ戦時食糧増産へ力強く奮起させ、党の農村陣地を強化することができます。

 ところが、いまの民主宣伝室の運営状況を見ると、民主宣伝室を整えておいただけで日常運営せず、運営する場合もその水準が極めて低調です。会議や講演会をおこなう程度です。民主宣伝室に農民の興味をひきそうな図書もそれほどありません。

 民主宣伝室で会議や講演をおこなうだけでは、人があまり集まりません。宣伝室は、多くの人が興味をもって集まるように正しく運営しなければなりません。以前に教会の牧師たちは、青年を引きつけるため、はじめは教会に青年が集まるとノートや鉛筆などを与えたり、歌を教えたりしました。こうして、彼らに興味をもたせてから、徐々にキリスト教の教理を説教しました。青年たちは、キリスト教を信ずるために教会に集まったのではなく、実は歌を歌ったり、交際のために集まったのです。

 民主宣伝室を多様な形式と方法で正しく運営すれば、多くの人が興味をもって集まるようになるでしょう。宣伝室に各種の図書や娯楽器具を備えておき、青年には学習や文芸サークル活動をさせ、年寄りには面白い昔話でもさせれば、多くの人が喜んで集まるでしょう。

 民主宣伝室を活発に運営するためには、民主宣伝室長を堅実な人でかため、その水準を向上させなければなりません。農村には、しっかりした婦人が大勢います。そういう婦人を室長に配置すべきです。

 次に、当面して人民政権機関が政治・経済分野で遂行すべき課題について述べたいと思います。

 人民政権機関は、人民大衆の思想、意志の統一の強化に深い関心を払わなければなりません。偉大な祖国解放戦争は、各階層の広範な人民大衆を結集して戦争勝利へ奮起させることを求めています。それゆえ、人民政権機関は、わが党の統一戦線政策を貫いて各階層の広範な人民大衆を結集し、戦争勝利のためにすべてをささげてたたかうようにすべきです。

 これと同時に、人民大衆の教育を強めなければなりません。教育で重要なのは、人民大衆が民族的自負と戦争勝利への確信、燃える敵がい心と革命的警戒心をさらに高めるようにすることです。また、我々の戦いを積極的に支援している社会主義・人民民主主義諸国人民との友好と団結を強化し、プロレタリア国際主義に忠実であるように人民を教育することが重要です。

 人民政権機関は、人民大衆の積極性と創意を全面的に発揮させ、あらゆる難関と障害を克服して軍需品を増産し前線に送るようにすべきです。

 人民政権機関は、人民生活の安定に大きな力を注がなければなりません。手工業的方法であっても、各地で生活必需品を生産して人民に供給すべきです。

 食糧の増産と軍需物資の前線補給のために全力を尽くさなければなりません。人民政権機関は、農民が「食糧のためのたたかいは祖国のためのたたかいであり、前線の勝利を保障するためのたたかいである」というスローガンをかかげ、今年度の営農を立派に締めくくるようにしなければなりません。これと同時に、来年度の営農準備のため、いまから大衆的運動を起こして自給肥料を大量に生産するようにすべきです。

 人民政権機関の重要課題の一つは、いまから見通しをもって戦後復興建設の準備を進めることです。戦争終結後、破壊された経済を復興するためには、多くの幹部と機械設備、資材が必要です。したがって、いまから見通しを立てて、戦後の復興建設に必要な幹部を養成し、機械設備と資材を準備しなければなりません。

 それでは、戦時生産の遂行と戦後の復興建設準備を同時に進めることができるでしょうか。それは十分に可能です。すべてを自力でなし遂げようとする自力更生の精神を発揮して、国の資源を合理的に利用し、節約運動を強化して国家蓄積を増やせば、それを並行して進めることができます。

 次に、全朝鮮人民と全世界人民の関心事となっている戦争の見通しについて述べましょう。

 アメリカ帝国主義侵略者は、朝鮮戦争で敗北を重ね進退きわまるや、昨年の6月、わが方に停戦会談を申し入れてきました。こうして、昨年の7月から1年近くも停戦会談がつづけられていますが、まだ妥結を見ていません。これは、全的にアメリカ帝国主義者が会談を引きのばしているからです。

 それでは、アメリカ帝国主義者が停戦会談を引きのばしている理由は何でしょうか。

 第1に、アメリカ帝国主義者は、完全に失墜した威信を挽回する手段として停戦会談を利用し、停戦会談を通じて、戦争で達成できなかった侵略的目的を達成しようとしています。彼らは、停職協定を「勝利者」の立場で締結しようともくろんでいます。すなわち、「名誉ある停戦」に持ち込もうと妄想しています。

 我々は、敗者である彼らを勝利者と認め、勝利者である我々を敗者として自認することはできません。我々は、停戦協定を公明正大に締結することを主張しています。アメリカ帝国主義侵略者が、わが方の合理的な提案を受け入れず、「名誉ある停戦」を企んでいるため会談が進捗しないのです。

 第2に、アメリカ帝国主義者は、停戦会談の裏で長期戦をもくろんでいます。アメリカ独占資本は、朝鮮戦争が終結し国際情勢が緩和されるのを望んでいません。それは、戦争が彼らに莫大な利潤をもたらし、軍備競争の重要な手段となるからです。アメリカ独占資本の指図に従って、アメリカ側は、停戦会談の裏で戦争をつづけることによって、その侵略的目的を達成し、独占資本により多くの利潤を与えようとしています。

 第3に、アメリカ帝国主義者は停戦が実現すれば、わが方の力が急速に強大になることを恐れています。

 アメリカ帝国主義者が停戦会談を遅らせている基本的な理由は、およそ以上のとおりです。

 停戦会談に臨むわが党の立場は確固たるものです。我々は、停戦でも、長期戦でもかまいません。朝鮮人民は、長期戦を決して恐れません。

 我々は、停戦会談を遅らせようとする敵の策動を暴露しつつ、停戦を実現するため一貫して誠意ある努力を尽くしてきました。その結果、多くの問題について合意を見ました。現在、未解決の問題は捕虜送還の問題だけです。

 アメリカ帝国主義者は、わが方の戦争捕虜を強制抑留するため、「自由意思による送還」を持ち出してきました。しかし、彼らの主張する「自由意思による送還」の反動的本質は、すでに余すところなく暴露されました。巨済島捕虜収容所でわが方の戦争捕虜がおこなっている「自由意思による送還」に反対する決死的な闘争は、彼らのいう「自由意思による送還」の反動的本質を白日のもとにさらけだしています。

 我々は、わが方の戦争捕虜を全員連れ戻さなければなりません。これは、わが党の一貫した主張であります。祖国と人民のために戦った彼らを、絶対に敵の手に渡すことはできません。

 アメリカ帝国主義者は、わが方の戦争捕虜を強制抑留するための不当な主張を固執する一方、それを実現する目的で平和な都市や農村を野蛮に爆撃し、わが方に圧力を加えています。しかし、そうした方法で朝鮮人民を屈服させることはできません。わが方は、絶対に不当な停戦条件を受け入れないでしょう。アメリカ帝国主義者はいかに狂奔しようとも、結局は、わが方の正当な要求を受け入れて、停戦協定に調印せざるを得なくなるでしょう。

 わが方は、停戦の実現のためにひきつづき努力するでありましょう。しかし、停戦が実現しない場合は、長期戦で勝利を達成しなければなりません。

 現軍事・政治情勢は、わが方に有利に変わっています。日がたつにつれて、わが方の力が強大になる一方、敵の力はますます弱体化しています。我々は、敵を最終的に打ち破る十分な可能性をもっています。

 我々には、不敗の威力をもつ朝鮮労働党と共和国政府があり、そのまわりにかたく結集した愛国的人民があります。朝鮮人民は、かつての立ち後れた人民ではありません。朝鮮人民はその手に政権を握った人民であり、朝鮮労働党の正しい指導を受ける人民であります。朝鮮人民は自力で祖国と政権を守り通せることを、この2年間の戦争経験を通じて十分に証明しました。

 我々には、強力な人民軍と堅固な後方があります。人民軍は、戦争を通じて豊富な経験をつみ、いかなる敵も撃滅することのできる革命武力に成長しました。

 我々にはまた、社会主義・人民民主主義諸国の人民と全世界平和愛好諸国人民の積極的な支援があります。

 しかし、アメリカ帝国主義者の事情はこれとは全く異なっています。

 敵の内部には大きな混乱が起きており、その戦闘士気はますます衰えています。アメリカ帝国主義侵略軍は、雇い兵であります。彼らは、戦争でひともうけして、本国に「凱旋」することを夢みて朝鮮戦線にやってきました。しかし、戦争は彼らに金もうけの機会や「凱旋者」の栄誉を与えたのではなく、死を与えました。それゆえ、アメリカ帝国主義侵略軍をはじめ、他の追随国軍隊の内部には、敗北主義思想と厭戦気分が蔓延しています。

 アメリカ帝国主義者は、軍需物資の補給でも非常に困難な状況におかれています。彼らは、数千キロも離れた本国から、長い時間と膨大な労力を費やして軍需品を運んでいます。したがって、彼らはわが方に比べて戦略上たいへん不利な状態にあります。

 我々に勝利の可能性が十分にあり、敵が大きな混乱に陥っているからといって、勝利が自然にもたらされるものではありません。勝利は必ず戦いを通じて勝ち取らなければなりません。我々は勝利の可能性を現実に変えるため、積極的に戦わなければなりません。

 我々はいま、全世界平和愛好諸国人民から積極的に支援されています。しかし、祖国の統一独立を達成し、人民民主主義制度を守るための正義の祖国解放戦争において、
主人は朝鮮人民自身であります。誰が援助しようと、主人である我々が主人としての役割を立派に果たし、
主人らしく勇敢に戦わなければ、アメリカ帝国主義を撃滅することはできません。

 勝利は、我々のものです。アメリカ帝国主義がその侵略的目的を達成するため、朝鮮で戦争を長びかせばそれだけ、大きな敗北を喫し、自滅を免れなくなるでしょう。

 最後に、教職員と学生の遂行すべき課題について簡単に触れたいと思います。

 いまわが党は、政治的、実務的な能力を備えたより多くの国家管理幹部を養成することを求めています。党の必要とする有能な国家管理幹部を多く養成するためには、教授・教育の水準を向上させなければなりません。

 そのためには、何よりも講義を立派におこなうことが重要です。教員は、内容の充実した、しかも、学生の水準に適した講義をおこなわなければなりません。特に、理論科目は、わが国の現実と結びつけて学生に理解しやすく講義すべきです。さきほど経済学とマルクス・レーニン主義の講義を参観しました。経済学の講義は国の実状と結びつけて学生に理解しやすくおこないましたが、マルクス・レーニン主義の講義はそのようにおこなっていません。

 講義を立派におこなうためには、教員がわが党と政府の政策と決定、指示を深く研究し講義内容に精通し、授業方法を絶えず改善しなければなりません。講義は、筆記させる方法ではなく、解説式におこなうべきです。

 教員の講義案作成に資するため、この学校に党と政府の決定、指示を系統的に伝達するようにしましょう。

 学生は在学期間、現実のなかに入り、実際の活動を通じて学ぶようにすべきです。学生が講義を受けるだけでは、学んだ知識を自分のものにすることができず、実務能力を高めることもできません。学校では学生を理論と実践を結びつけることのできる働き手に育成するため、学生の実地研究を計画的に組織すべきです。

 学生たちは、人民政権機関と経済を巧みに管理運営できる働き手になるため懸命に努力しなければなりません。在学期間に学習に励み、人民的活動作風を身につけるべきです。これとあわせて、思想鍛練を強め、学校の規則と規律を自覚的に守り、緊張した生活をおこない体力を鍛えなければなりません。諸君は、社会に出て、文化活動も指導しなければならないだけに、在学中に文化水準を高め、文化的な生活環境をつくるように努めるべきです。また、軍事も誠実に学び、いつでも敵と戦えるよう準備を整えなければなりません。

 学校を立派に管理運営すべきです。教室と職員室を清潔にし、学校周辺の道路もよく整備すべきです。

 供給活動を立派におこなうべきであります。いくら戦時下であっても、幹部が綿密な組織さえおこなえば、学生の学習や生活に不便な点がないようにできるはずです。寄宿舎と食堂を衛生的に整え、食事を改善しなければなりません。副業を活発に運営し、野菜と食肉を自力で解決すべきです。

 私は、中央高級指導幹部学校の今後の活動において大きな成果をおさめるよう望みます。
                                                
出典:『金日成著作集』7巻


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