金 日 成

楽元機械製作所鋳鉄職場党細胞の党員におこなった談話
 −1952年6月21日−


 今夜の鋳鉄職場の党細胞会議も終わりましたので、この機会にいくつかの点について述べたいと思います。

 現在、楽元(ラクウォン)の党員と労働者の意気は上々です。私は、楽元の党員と労働者が戦時の困難な状況下でも、健康で意気込みもよく働いていることを非常にうれしく思います。

 鋳鉄職場の党細胞が、細胞会議を定期的に開いているのはよいことです。党規約どおり細胞会議を計画的に、実質的におこなうことが重要です。党細胞会議を定期的に実質的におこなえば、党員を教育し、その前衛的役割を高め、細胞に提起される課題を遂行することができます。

 この党細胞の細胞会議は定期的におこなわれていますが、会議の水準はさほど高いように思われません。今晩の党細胞会議は、管理技術協議会のような感じがします。党細胞会議は党会議らしい雰囲気がなければなりませんが、そうしたものがありません。

 かなりの党員が会議で、銑鉄やコークスなど燃料や資材を保障してほしいという式の発言をしましたが、それは党員みずからが解決する問題であって、党会議にもちだすべきものではありません。燃料や資材などの問題は党にではなく、所轄部署に提起すべきです。

 党会議は、困難で骨の折れる問題を党員が解決するためにおこなうものです。党会議では、党員の党性と階級性を高め、自発的熱意を呼び起こすべきであります。そして、提起された問題の解決方法を見出し、その遂行対策を討議すべきであります。すなわち、党会議では、提起された革命課題をどのように遂行すべきかを党の原則に立って真剣に討議し、それを遂行するための党の任務分担を具体的におこなうべきです。

 党会議ではあくまでも、党員の活動と生活上の問題を討議しなければなりません。

 今晩のこの党細胞会議のように、戦時生産遂行の問題を討議するとすれば、当然、党員は大衆をどのように奮起させ、戦時生産でゆきづまっている問題をいかに解決すべきかを真剣に討議し、対策を講じるべきです。党会議がこのようにおこなわれれば、生産でゆきづまっている問題の解決方法を見出し、党員の創意と熱意を高め、党員に課された戦時生産の課題を遂行することができます。この党細胞では、今後、会議の準備を十分におこない、細胞会議が党会議らしい雰囲気でおこなわれるようにすべきであります。

 こんにち、工場で働く党員の第一の戦闘的任務は、戦時生産を遂行することです。

 戦時生産を遂行すれば、前線に兵器、弾薬など軍需物資をより多く補給し、人民生活の安定と後方の強化をはかることができます。戦時生産のたたかいは、とりもなおさず戦争勝利のたたかいであります。したがってみなさんは、工場の戦時生産課題を遂行するために全力を尽くすべきであります。

 もちろん、戦時生産を遂行することは容易なことでありません。戦争によって燃料や資材の順調な供給がなされず、労働力も非常に不足しています。それに、敵機の爆撃が激しいため作業中にも待避しなければならず、停電で溶銑炉が止まるときもしばしばあります。

 しかし、戦時生産計画はどんなことがあっても必ず遂行しなければなりません。ここで党員は先頭に立ち、大衆を導いていかなければなりません。きょうの党細胞会議で、党から与えられた任務であれば水火をいとわずあくまで遂行すると、発言した人がいましたが、党員は当然そうあるべきです。党員は、銑鉄やコークスが切れればそれを補充し、停電で送風機が止まれば、手で回してでも溶銑炉を止めないようにすべきです。党員がこのようにすれば、労働者たちが後に続くようになり、労働者が奮起すればいかなる障害や難関をも克服し、戦時生産を遂行することができます。党員は大衆の先頭に立って障害や難関を乗り越え、戦時生産の遂行で中核的、前衛的な役割を果たさなければなりません。

 会議で銑鉄の運搬作業を押し車でしようという意見が出ましたが、生産工程の機械化は極めて重要な問題です。生産工程を機械化すれば、仕事を楽にし、戦時生産を遂行することができます。銑鉄の運搬で小さなねこ車などを利用しても、背負って運ぶよりは、はるかによいはずです。

 私は先ごろ、平安(ピョンアン)南道に行っても、労働者が荷かつぎ作業をするのを見て、それを機械化するようにと言いました。資本主義社会では、労働者を牛馬のように酷使しますが、労働者階級をはじめ、勤労人民が国の主人となった共和国では、それではいけません。我々は人間を酷使しようとせずに、生産工程を機械化、自動化して機械を働かせなければなりません。鋳鉄職場では、大きなものだけ機械化しようとせずに、小さいものから機械化して、労働者が楽に働けるようにすべきであります。

 現在、我々は、世界戦争史上比類のない苛烈な戦争をおこなっています。アメリカ帝国主義侵略者に抗して2年間も戦争をつづけています。

 アメリカ帝国主義侵略者は、朝鮮人民が日本帝国主義者の破壊していった工場を復旧して生活が豊かになりかけたときに、戦争を引き起こしました。かれらは、朝鮮を植民地にしようとする暴虐な強盗です。かれらは、我が国の工場、企業所を無残に破壊し、平和な都市や農村を廃墟に変え、多数の人民を野蛮に虐殺しました。さきほどある婦人党員が敵機の爆撃に2人の子供を失ったと言いましたが、アメリカ帝国主義侵略者は、朝鮮人民にはかり知れない不幸と苦痛をもたらしています。これを朝鮮人民がどうして許すことができるでしょうか。我々は、アメリカ帝国主義侵略者を撃滅しなければなりません。

 アメリカ帝国主義者は、100余年の侵略戦争の歴史をもつ侵略者であります。アメリカ帝国主義の侵略に抗して立ち上がった共和国は創建されて間もありませんが、正義の戦争をたたかっているため必ず勝利します。

 我々は、はかり知れない底力をもっています。全人民と人民軍は、党のまわりにかたく団結して、アメリカ帝国主義侵略者に抗する正義の戦争に決起しており、すべてをささげて戦っています。勇敢な人民軍はいっそう強化されました。特に、航空兵力が急速に強化されています。いま人民軍の航空兵力は、日を追ってめざましい成長を遂げています。

 人民民主主義諸国と世界各国の人民がまた、朝鮮人民の正義の戦いを積極的に支援しています。したがって、祖国解放戦争が朝鮮人民の勝利に終わることは確定的であります。

 戦争が終われば、我々は破壊された工場や都市や農村を復興建設しなければなりません。そのためには、多くの困難がともなうでしょう。労働力も不足し、技術も問題になるでしょう。しかし我々は、どのようにしてでも破壊された都市や農村を復興しなければなりません。

 さきほど婦人の党員が、戦争に勝利すれば復興建設は問題ない、日本帝国主義者があれほど破壊したのも2、3年で復旧して立派な暮らしができたのだし、戦争が終わればまた復旧して立派な暮らしができるからあまり心配しないようにと言いましたが、私もこれに同感であり、非常に勇気づけられました。この婦人の言葉は、労働者階級の不抜の意志の表現であります。我が国の労働者階級は、難関と試練に屈しない不抜の意志をもつ労働者階級であり、このような労働者階級がある以上、我々は必ず戦争に勝利し、戦後の復興建設も立派になし遂げることができます。すべては、労働者階級の手にゆだねられており、党員の双肩に担わされています。

 党員は、仕事にも励み、勉強にも励まなくてはなりません。この婦人党員は、働きながら夜間党学校に通っているとのことですが、立派なことです。すべての党員がこの人のように仕事も、勉強も熱心にしなければなりません。

 工場では夜間技術学校を設け、労働者に技術を教えるべきです。この先、戦争が終わり、復興建設をするときには、多くの技能工や技術者が必要になります。したがって、いまから多くの技能工や技術者を養成すべきであります。この楽元機械製作所は、戦争が終われば破壊された各工場の復旧に大いに寄与しなければなりません。

 将来、楽元機械製作所を近代的な機械工場に発展させるべきです。戦争が終われば工場も大きく建設し、近代的な機械設備を備えつけ、工場区域も拡張すべきです。工場の後ろは山にふさがれて拡張できませんが、前面は野原ですので工場の敷地はいくらでも拡張できます。

 工場では、労働者の安全と生活の改善のために努力すべきであります。戦時生産の向上も重要ですが、なお重要なのは、敵機の爆撃から労働者を守ることです。世の中で最も貴いものは人間です。敵がいかに破壊しても、人間さえいれば復興は十分可能です。

 工場では、防空対策と労働保護に万全を期すべきです。機械の騒音で敵機の爆音が聞きとりにくいということもあるでしょうが、防空監視組織を徹底させ、防空壕を堅固につくって人命被害を出さないようにすべきです。また、工場を安全地帯に疎開する対策も講じるべきです。

 現在、国の事情は非常に困難であります。しかし、党と国家は、人民生活に深い関心を払っています。

 党と国家では現在、前線で戦っている人民軍に、多くの食糧や軍需物資を優先的に送っています。我々は、祖国と人民のために敵と勇敢に戦っている人民軍軍人に十分な食事をとらせるためなら、なにものも惜しみません。

 党と国家は、労働者、事務員の生活の改善にも深い注意を払っています。今年の冬から労働者、事務員の食糧配給量を増やし、綿入れと靴を供給することにしました。労働者、事務員の給料も引き上げる予定でしたが、そうすれば商売人が物価をつり上げ、結局、労働者、事務員の生活は改善されないため、給料は上げないかわりに供給活動を改善するようにしました。

 労働者、事務員の生活を改善するためには、国家的な対策を講ずる一方、工場自体としても労働者、事務員に副食物を多く供給するために努力すべきです。副業に力を入れて、労働者に野菜類も多く供給し、豚などの家畜を飼育して食肉も供給しなければなりません。労働者は、自力で生活をより立派にきずくために努力すべきであります。

 私は、みなさんが健康な身体で仕事にも、学習にも励むよう期待します。

出典:『金日成著作集』7巻


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