金 日 成

党組織の組織活動におけるいくつかの欠陥について
 朝鮮労働党中央委員会第4回総会でおこなった報告
 −1951年11月1日−


 解放後朝鮮人民は、我が党の指導のもとに国の北半部に人民政権を樹立して民主改革を実施し、こんにち、民族解放革命を全国的に完遂するためにたたかっています。

 我が党は、朝鮮人民の自由と幸福、祖国の統一と独立をめざす闘争のなかで急速に成長し強化され、全朝鮮人民の指導的・嚮導的力量となりました。朝鮮人民は、我が党の政策を自己の政策とみなし、ただ、我が党の政策のみが自己の利益に合致することを知っています。特に、アメリカ帝国主義者の武力侵略に反対する激しい闘争を通じて、我が党と人民との団結はいっそう強固なものとなりました。

 我が党は、マルクス・レーニン主義の学説にもとづいて、あらゆる困難にうちかちながら内外の敵を打ち破り、民族の自由と独立をかちとる正義の闘争に朝鮮人民を立ち上がらせています。我が党の政策とスローガンは、労働者、農民とすべての勤労大衆を勝利へと励ます大きな力となっています。

 朝鮮人民は、我が党の指導のもとに17カ月間もアメリカ帝国主義武力侵略者およびその手先と勇敢にたたかっており、その底知れない威力を発揮しています。我が党は、戦争を通じて広範な人民大衆との結びつきをさらに強め、多くの貴い闘争経験をつみあげました。

 我が党が、戦争の厳しい試練にうちかって人民大衆のあつい信頼をかちとり、その活動において大きな成果をおさめたのは、党が常にマルクス・レーニン主義に忠実であり、勤労人民の利益にあくまで忠実であったからであります。

 マルクス・レーニン主義は、党と人民大衆との結びつきを強めることが革命勝利の決定的な条件であることを教えています。レーニンはその著書『何をなすべきか』のなかで、革命的社会民主主義者に「人民のすべての階級のなかに入ってゆき、自己の軍隊の諸部隊をあらゆる方面に派遣せよ」と呼びかけました。スターリンは、ギリシア神話の主人公アンティウスの不敗の力が、その母である大地との結びつきから生まれたのと同じように、ボルシェビキ党の偉大な力の源泉は、人民大衆との密接な結びつきにあると述べています。

 我が党は常に、労働者階級を中核とする広範な勤労大衆との団結の強化にたえず努力するとともに、そこから尽きることのない力と勇気をえてきました。

 この数か月間我が党は、党の隊列を組織的にいっそう強化するため、敵の一時的な占領から解放された地域で党員の再登録と組織の整理をおこないました。我々は、短期間内に党組織の立て直しを基本的に終えました。これは、我々の大きな勝利であります。これは、我が党が祖国の自由と独立をめざす闘争で勤労大衆の積極的な支持をえており、今後、大衆のあいだでより大きな影響力をもつことができることを意味します。

 しかし、組織問題を整理する活動において、一部の党組織と幹部は党の路線を正しく貫いていません。我が党の一部の幹部と党組織は、それぞれの時期に提起されたキャンペーンだけに没頭して党の組織活動と党の政治活動に当然払うべき関心を払わず、また党の内部活動にたいする細心の研究が足りないため、祖国発展の歴史的条件と当面の具体的環境を考慮に入れず、党の路線からはずれる重大な誤りをおかしています。

 最近、一部の党組織の活動にあらわれた欠陥は2つに分けることができます。1つは、組織問題の取扱いにあらわれた偏向であり、他の1つは祖国統一民主主義戦線とこれに参加している諸政党にたいする活動にあらわれた間違った傾向であります。


 1 党の組織活動について

 我が党の組織原則は、党の綱領と戦術を実践するための強力な武器であります。鉄のような組織がなく、そして、組織活動を立派におこなわなければ、党に提起されるすべての課題を成功裏に遂行することができません。それで我々は、組織活動のもつ大きな意義を常に強調してきました。

 我が党は、労働者階級を中核とする勤労人民の前衛部隊であり、革命的なマルクス・レーニン主義の新しい型の党であります。我が党は、マルクス・レーニン主義の学説を活動の理論的指針としており、ソ連共産党をはじめ、兄弟諸党の闘争の経験からたえず学んでいます。これと同時に、我が党は、我が国の歴史的条件と具体的実状からして、その発展において一連の特殊性をもっています。

 我が党は常に、マルクス・レーニン主義の原則と我が国の具体的な現実から出発して、自己の組織原則と政治路線を規定しています。それゆえ、各級党組織は必ず、我が党の路線にもとづいて党組織を強固にきずき、大衆との結びつきを強め、党を大衆的政党に発展させ、党員の党性を鍛え、みずからの指導水準をたえず高める方向で党の組織活動と政治活動を進めるべきであります。

 しかし、一部の党組織は、我が党の大衆的性格を十分理解しておらず、我が党の歴史が浅く党員の政治的水準が低いという実状を考慮に入れていません。かれらは、大衆の頭には、まだ日本帝国主義思想の残りかすがかなりあり、南北が分断されている極めて複雑な状況のもとで闘争がおこなわれていることなどを考慮せず、党員を完全なマルクス・レーニン主義者とみなし、その水準以上のことを要求しています。

 我々は、労働者階級を中核とし労働者階級の思想とその指導的役割をしっかりと保ちつつ、人民各階層の愛国的な先進分子を党に受け入れ、党を大衆的に拡大強化しなければなりません。

 こんにち敵は、国家建設の主動力であり祖国解放戦争での戦闘的中核である我が党を切り崩し、大衆から孤立させ、その戦闘力を弱めようと悪辣な策動をおこなっています。このような状況のもとで、我が党の大衆的性格にかなうよう党の組織活動を改善強化することは極めて重要であります。

 しかしながら、一部の党組織は、新しい諸条件を考慮せず機械的に党の組織活動をおこない、多くの欠陥をまねいています。


 1 党勢拡大にあらわれた欠陥

 多くの党組織と党幹部が我が党の大衆的性格と現情勢を正しく理解していないため、党勢拡大が順調におこなわれていません。一部の党組織では、いろいろと不当な条件をあげて愛国的な先進分子を入党させない関門主義の傾向があらわれています。

 少なからぬ党組織と党幹部のなかには、いま、敵の野蛮な爆撃によって、工場が破壊され労働者の数が急激に減った事情を考慮せず、戦争前の労働者出身党員の増大比率だけを問題にして、労働者出身の比率が低下するのを恐れ、前線と後方で愛国的献身性を発揮してたたかっている勤労農民をひろく我が党に受け入れようとしない、正しくない傾向があらわれています。

 慈江(チャガン)道のように生産職場の多くないところでは、勤労農民のあいだで我が党の党勢拡大活動を強めるべきであるにもかかわらず、道の党組織は今年の上半期に、道内の20歳以上の無所属の農民同盟員のなかから、そのわずか0.8%の少数の農民を入党させたにすぎず、平安北道博川(パクチョン)郡党委員会では多数の入党対象者がいるにもかかわらず、農民出身は毎月平均17名以上は入党させないよう機械的に制限しています。

 平安南道江西(カンソ)郡党組織では、増産と前線援護活動ばかりでなく、反動分子との闘争でも愛国的献身性を発揮した積極的な農民や、戦争で立派に戦った軍人および敵に虐殺された人の遺族などが少なからず入党を希望したにもかかわらず、かれらを受け入れませんでした。また今年の上半期に、亀山(クサン)面と蘇里(ソリ)面の党組織をはじめ、郡内の党組織の77%にあたる細胞(分細胞)では、党勢拡大を全くおこなっていません。

 党勢拡大に当然払うべき関心を払わないため、交通省内の一部の党組織では労働者、貧農出身の従業員が数千人もいるのに上半期のあいだにただの一人も入党させていません。こんにち人民軍には、敵との戦いで愛国的献身性と英雄主義を発揮している軍人が多数集結しています。それにもかかわらず、かれらを積極的に教育し、正常に入党させていません。一部の党組織では、一時的な戦果だけを基準にして軍人を入党させているので、戦闘のないときは党勢の拡大が中断されるありさまです。

 労働者階級の集中している産業・運輸部門の企業所は、党勢拡大の重要な源泉であるにもかかわらず、党組織が労働者にたいする活動を十分おこなわなかった結果、今年の上半期に党勢拡大の活動はほとんどおこなわれていません。黄海(ホンヘ)道の一部の炭鉱と慈江道の一部の林業部門の党組織でも、これと同じような欠陥が少なからずあらわれています。

 咸鏡(ハムギョン)北道の一部の炭鉱の初級党組織では、入党対象者にたいする教育を正常におこなっていないばかりでなく、戦時増産闘争で愛国的献身性を発揮している多くの壮年層の労働者を、年が多すぎ無学だという理由で入党させていません。

 堅実な入党対象者を党に受け入れて政治教育と組織的な訓練を立派に与えれば、その政治的水準を急速に高めることができます。ところが一部の党組織では、些細な問題で入党対象者を受け入れなかったり、入党問題を討議する党会議のときに政治問題の応答で少々間違いがあったことを理由に、教育不足だとして入党を否決する傾向があります。

 咸鏡南道恵山(ヘサン)郡党委員会では、1951年上半期に212件の入党申込みを否決しましたが、そのうち教育不足という理由による否決が77.4%をしめています。

 人民軍の一部の党組織では、戦闘で愛国的献身性と勇敢さを発揮した労働者、農民出身の軍人を党の綱領、規約を暗唱していないとか、政治理論水準が低いということで機械的にその入党を許していません。

 平安南道南浦(ナムポ)市の党組織では、海薪(ヘシン)里の初級党組織の管下に勤労婦人をはじめ、100余名の勤労者がいるにもかかわらず、敵の一時的占領期間に敵の脅迫に抗しきれず、2、3日間歩哨に立ったことから、信頼できない者と規定し、かれらにたいし党的になんの関心も払っていません。また、生産職場で組織的に移動してきた労働者たちが仕事に熱意を示し、入党を申し込んでいるにもかかわらず、初級党組織の幹部は、からの以前の職場の勤務年限は考慮に入れず、いまの工場の勤務年限が短いという理由で入党申込みを受けつけていません。土建部門のある分細胞で入党を決定した、ある模範労働者の勤務年限が15日間足りないという理由で、その分細胞の決定を否決した事実さえあります。

 我が党の規定する基本階級の出身で他の政党に入っていた者が脱党して、現在、職務に忠実で党と政府の政策実行に熱意を示し、勤労者団体の組織生活にも積極的に参加している場合には、入党させることができます。しかし多くの党組織では、他の政党に入っていた人は機械的にその入党を許していません。


 2 処分問題にあらわれた欠陥
 
 党員登録と党隊列の整理を通じて、党内に潜入していた敵対分子や破壊分子が党から取り除かれ、我が党はいっそう強化されました。

 しかし組織問題を取り扱うに当たって、一部の党組織では党員の組織規律を強めるために思想闘争を展開し、教育活動にいっそう力を入れるのではなく、みだりに党の処分を適用してすべてを解決しようとする重大な誤りをおかしました。このような間違った方法では、党の規律を強めることはおろか、かえって、それを弱める結果をまねきます。

 少なからぬ党員が後退の時期に、党員証を敵に奪われないように、どこかに埋めたとか他人にあずけたとかということで、除名されたり党の処分を受けたりしました。もちろん、党員証は光栄ある労働党員であることを証明する証拠文書であるので、党員にとって極めて貴重なものであり、各党員はそれを正しく保管しなければなりません。もしも、党員証が敵の手にはいれば、敵がそれを利用して我が党に害悪を及ぼしかねないのは確かです。しかし、戦時の状況で事態が極めて危急であったことと党員の水準を考慮せずに、ただ党員証を本人の身からはなしたという理由で有無をいわせず除名するとか、処分に付すのは甚だよくないことです。党員証の問題で処分された党員が、処分を受けた党員総数の80〜85%をしめるという事実は、党の処分をいかに機械的に適用したかをよく示しています。

 一部の党組織では、党の処分にかんする規約上の原則と手続きまでも無視しています。咸興(ハムフン)市の本宮(ボングン)工場党組織では、誤りをおかした党員を党員候補に格下げしたうえに、譴責または厳重警告などの処分までつけ加えました。

 平安北道雲山(ウンサン)郡党組織では、平素党生活に忠実でなかったり積極性の足りない党員にたいする教育をねばり強くおこなわずに、登録をきっかけにかれらをことごとく党の隊列から追い出す方針をとりました。その結果、除名された党員総数の80%が不当な理由で、除名されたことが道党委員会で判明し是正されました。これと似た傾向は龍川(リョンチョン)郡党組織にもありました。

 各級党組織では、すでに処分を受けた党員が前線や後方で、党と祖国のために献身的にたたかっているにもかかわらず、処分を解除しないので、今年の9月1日、党中央委員会組織委員会は、そのような党員の処分を早急に解除するよう決定を採択し、各級党組織に厳格な指示を与えました。それにもかかわらず、一部の党組織では依然として処分の解除を積極的に進めていません。一部の道党組織では、この仕事にかんして下級の党組織を正しく指導していないばかりでなく、提起された問題を適時に解決せず、登録上の間違いを大胆に是正しようともしていません。黄海道党組織では、市・郡党組織で除名または党員候補への格下げ決定がなされた者にたいする結論を、9月15日までに16.2%しか与えていません。


 3 党細胞中核の育成にあらわれた欠陥

 偉大な祖国解放戦争を勝利へ導くためには、党と大衆との結びつきをさらに強めなければなりません。

 我々は、すべての活動を大衆のなかで力強く展開すべきであり、すべての党員と広範な大衆の積極性と創意性を正しく発揮させるべきであります。

 大衆のなかに我が党の政策を浸透させ、大衆を動かすうえで主動的な役割を果たすのは、初級党組織の幹部と細胞委員長、細胞内の中核的党員であります。

 ところが、我が党の中核的党員の多くは前線で戦っており、また一部のアクチブ党員が一時的後退の時期に敵に虐殺されたため、いま初級党組織では、党の訓練を十分に受けておらず、党活動経験の浅い人たちが幹部に抜擢されて活動しています。かれらは、党の組織活動や、大衆を教育し奮起させる活動を満足におこなっていません。それゆえ、我が党を立て直すうえでいちばん重要な課題の一つは初級党委員長や委員、細胞委員長、細胞の中核分子を育成することです。

 党中央委員会政治委員会は今年の春、細胞の中核分子と初級党組織の幹部の実務能力を高め、実際の活動を助け、かれらを政治的に教育、訓練するようなんども強調しました。ところが各級党組織は、細胞の幹部や中核的党員をキャンペーンにばかり動員し、仕事が不手際だと毎日のように叱責するだけで、かれらを援助し育成する活動はほとんどおこなっていません。一部の活動家は、大衆にどなりつけ、強制的に動員するためにせわしく走りまわっている人を党の中核だと思っています。これは大変間違っています。こんにち、大衆のなかに我が党の政策が十分浸透せず、党活動が機械的、形式的におこなわれ、解説し納得させるのではなく命令と強制によって大衆を動員するやり方が多くあらわれている主な原因は、大衆活動のできる中核的党員を育成しなかったところにあります。


 4 幹部配置に関連してあらわれた欠陥

 幹部を正しく登用し配置するのは、我が党の組織活動で最も重要な問題であります。多くの党組織では、いまだに幹部を系統的に育成し、正しく登用することに当然払うべき関心を払っていません。後続幹部の養成が足りず、部門別に幹部を研究し理解して計画的に選抜、配置するのではなく、思いつきであちこちから引き抜き緊急なところを埋めあわせています。

 幹部をその能力に応じて計画的に選抜、配置して相当な期間定着させるのではなく、頻繁に異動させるので、かれらは仕事のうえで自分の能力を発揮することができません。慈江道満浦郡党委員会の指導員たちは平均4か月しか同じ部署で仕事をしておらず、黄海道谷山(コクサン)郡党委員会では谷山鉱山の初級党副委員長を6か月間に4回もかえました。このため幹部は、安定して仕事をすることができず、自分の仕事を研究し、それに深く打ち込む余裕をもつこともできません。したがって、かれらの実務水準は極めて低い状態にあります。


 2 祖国戦線にたいする我が党組織の活動について

 こんにち我々は、アメリカ帝国主義者およびその手先李承晩売国奴一味と戦っています。アメリカ帝国主義者と反逆者李承晩一味は全朝鮮人民の不倶戴天の敵です。我々は、この凶悪な敵を撃破するために、すべての力を結集しなければなりません。

 現情勢のもとで、祖国の自由と独立を望むすべての愛国勢力を結集することは、いつにもまして切実に必要であります。それゆえ、我が党は、各階層の広範な愛国勢力の参加する祖国統一民主主義戦線をさらに拡大強化しなければなりません。祖国戦線を強化する問題は、祖国の統一独立と民主的発展を保障する闘争の基本問題の一つであり、我が党の基本路線の一つであります。

 祖国戦線を強化するためには、これに参加しているすべての政党、大衆団体との関係をさらに改善し、それらの政党、大衆団体のすべての構成員が祖国と人民に忠実であるように教育しなければなりません。もしも、我が党組織が、祖国戦線の意義を深く認識せず、それを正しく指導しないならば、我々は祖国戦線を強化することも、祖国統一をめざすたたかいで勝利をおさめることもできません。

 それにもかかわらず、一部の党活動家のなかには祖国解放戦争開始後、特に一時的後退の後に祖国戦線にたいして正しくない見解をもつ傾向があらわれています。

 1 一部の党活動家は、祖国戦線は不必要だと考えています。かれらは、人民軍の一時的後退の時期に発生した諸事件を通じて、すでに誰が敵で誰が味方であるかが明らかになったと言って、さまざまな過ちをおかした人たちをみな排斥し敵にまわそうとしています。これは重大な誤りです。

 我々は、後退の時期に反動団体に加わったとか、さまざまな罪をおかした人をすべて敵とみなすことはできません。反動団体に加わった者のうちごく少数の悪質な主謀者は反動分子でしたが、圧倒的多数は敵の強迫にかてず追従した人たちです。これらの人を一律に反動分子と規定して敵とみなすのは大きな誤りであります。

 反動団体に加わった者については、かれらが反動団体に加わるようになった原因を具体的に分析し、また、かれらの意識水準を考慮に入れなければなりません。朝鮮人民は、長いあいだ日本帝国主義の支配下にあって先進的な思想を学ぶことができず、解放後はじめて民主的教育を受けるようになりました。解放後、5、6年の短期間に、大衆がすべて進歩的思想で武装することはできませんでした。それゆえ、敵の強迫にまけてやむを得ず反動団体に加わった者や若干の過ちをおかした人たちを排斥すべきではなく、たゆみなく教育して我々の側に獲得しなければなりません。

 もちろん、我が党は、大衆のなかから最も先進的な分子だけを党に吸収します。我が党が大衆的政党だからといって、祖国の民主主義的統一独立を希望するとか、共鳴する程度の人をみな入党させるわけにはいきません。

 しかし、党外の進歩的な人士や広範な大衆を放置すべきではなく、ある一つの組織に加入させて政治的、思想的に教育し、侵略者との闘争に立ち上がらせるべきであります。

 祖国戦線は、職業、性別、信教、政党の相違をとわず、祖国の自由と独立を志向するすべての階層を参加させています。祖国戦線は、我が党の政策をより広範な大衆のなかに浸透させ、すべての愛国勢力を侵略者との闘争に立ち上がらせるために、必要欠くべからざる重要な組織であります。我々は、ひきつづき祖国戦線を拡大強化するためにたたかわなければなりません。

 2 一部の人は、青友党や民主党のような友党は反動的であり、これらの政党と手を握る必要はないと考えています。これは正しくない見解です。反帝闘争を成功裏に進めるためには、民主的諸政党と手を握って協力していくべきであり、かれらが正しい方向へ進むようにたえず援助しなければなりません。

 我々は、マルクス・レーニン主義の原則をしっかりと守りながら、友党とともに活動できるようにならなければなりません。友党の党員のなかに部分的に反動分子がいるからといって、友党全体が反動的であると規定すべきではありません。一時的に敵に占領された期間に、友党のなかから反動的要素が少なからずあらわれました。しかし、それは友党の政策によるものではありません。

 我々は、友党の政治的水準を我が党と同じように見てはなりません。我が党は、マルクス・レーニン主義によって指導され、祖国の自由と独立のためにたたかった輝かしい革命伝統をもっており、朝鮮勤労人民の最も先進的な分子で組織され、国家建設で主導的な役割を果たしています。友党が我が党と同一の政治的水準で同一の役割を果たさないからといって、その党を反動的だとか、または不必要な党だと規定してはなりません。

 友党は、その目的と政策が民主的であり、したがって外来侵略者に反対し、祖国の統一と独立を達成する闘争で我が党と十分統一戦線を結ぶことができます。我々は、友党内の反動分子の行動によって友党を評価すべきではなく、友党の基本路線と政策を見なければなりません。

 3 一部の活動家のなかには、友党にたいする活動を強めるということで、その内部活動に干渉する傾向があります。永興(ヨンフン)郡、端川(タンチョン)郡の党組織は、友党が会議をおこなうことに干渉し、甚だしくは、友党の会議に友党の党員が多く参加するよう保障せよという指示まで下部の党組織に与えています。友党にたいする我が党組織の援助は、友党の党員がすべての国家活動に熱心に参加するようにし、かれらの政治教育活動をあらゆる面から援助し、友党内に潜んでいる反動分子を友党みずからが一掃するように援助することであります。こうして、友党の独自性を生かし、かれらが人民の敵を掃討する大業で積極性を発揮するようにすべきであります。


 3 党活動にあらわれた欠陥の原因

 すべての活動にあらわれている欠陥を深く認識し、それを是正するためには、欠陥の原因を正しく分析しなければなりません。党の組織問題の処理と祖国戦線にたいする党組織の活動にあらわれた欠陥の原因はなんでしょうか。

 1 一部の党組織と党幹部は、大衆との緊密な結びつきが我が党の威力の源泉であることを忘れています。これは我が党の力を弱める最も危険なことです。

 我が党は、朝鮮勤労大衆の利益を代表しており、そのためにたたかっています。大衆の利益を擁護するためには、必ず大衆との結びつきを日常的に強化し、大衆の声に耳を傾けなければなりません。

 大衆との結びつきを強化してこそ、その生きた経験を学び、かれらを教育し、かれらを闘争へ立ち上がらせることができるのです。大衆との緊密な結びつきがなければ、我が党は労働者階級を先頭とする幾100万大衆を指導する大衆的な党になれません。

 大衆のなかから新しいものを発見し、すべての現象を深く掘りさけて研究し、適時に対策を立てなければなりません。一部の党組織が大衆から遊離していることが、こんにち我が党の活動にあらわれている欠陥の第1の原因となっています。

 2 一部の党組織と党幹部は、自己に課された任務を遂行するうえで前衛の役割を果たしていません。

 我々が低い段階から高い段階へ発展するためには、活動にあらわれたすべての欠陥を勇敢に取り除かなければならず、新しいより高い目標に向かってたえず前進しなければなりません。しかし、一部の党活動家は、欠陥の是正に極めて消極的であり、大衆に追随しています。もし我が党が、大衆の体験と考えを記録するのにとどまり、大衆の自然発生的な運動に追随するだけであったり、大衆の一時的で部分的な利益にのみとらわれてより重要な利益をしっかりと守れないならば、党は大衆闘争にたいして目的志向性のある指導をおこなうことができず、大衆の利益を守る党にはなれません。

 我々は常に、大衆よりも遠い先を見通さなければならず、大衆の手本となり大衆の先頭に立ってかれらを導かなければなりません。

 大衆の手本となるためには、決して自分の欠陥を隠すべきでなく大胆に暴露し、欠陥の原因、条件、環境を詳しく分析し、それを改める対策を立てなければなりません。このような党であってこそ、大衆と団結し、大衆を指導することができるのであります。

 ところが一部の活動家は、この真理をよく理解していません。これが、こんにち我々の活動に欠陥をもたらした原因の一つであります。

 3 一部の党組織と幹部のあいだでは、批判と自己批判が活発におこなわれていないばかりでなく、多くの場合、方向を誤っています。

 批判のための批判ではなく、活動を発展させるための建設的な批判をおこなわなければなりません。欠陥を取り除き、幹部を教育するための批判が建設的な批判であります。官僚主義、へつらい、気ままな自由主義的行動、無益な固執、小市民的な自己満足、互いにかばいあう地方主義や家族主義の傾向などをするどく批判しなければなりません。これらは、すべて我々の前進を阻むものであり、適時に批判して是正させるべきであります。党員は誰もが謙虚でなければならず、原則的な問題では常に非妥協的でなければなりません。批判をおさえたり、建設的な批判をけむたがる人とは強くたたかわなければなりまぜん。また批判されて誤りを認めながらも、それを改めようとしない傾向と断固たたかうべきであります。

 誤りと欠陥にたいする批判と自己批判は、活動を発展させる大きな推進力であります。批判を恐れ、それを妨げるものは卑怯者であって大衆の尊敬をうける資格がありません。こんにち、批判と自己批判が活発におこなわれないため、十分是正できる欠陥や誤りが助長され、結局は重大な政治的誤りにまで進展する場合が少なくありません。

 4 一部の党組織と党幹部は、目先のキャンペーンだけに没頭し、党の内部活動にほとんど関心を払っていません。党組織に提起されるすべての課題を遂行するためには、まず党の組織活動と政治教育活動を改善、強化しなければなりません。

 スターリンが指摘しているように、政治的問題を過小評価したり、おろそかにして経済的キャンペーンだけにかたより、経済的成果にのみ目がくらむならば、それはすべての活動を袋小路に追い込むことになりかねません。我々は、必ず政治活動と経済活動を結びつけ、党の内部活動に日常的に深い関心を払わなければなりません。

 もちろん、我々はある一方の活動にかたよってはなりません。党組織と党活動家は、経済部門にたいする指導をおろそかにしてはなりません。しかし、党組織と党活動家は、経済機関や行政機関の活動を代行すべきではなく、それらの機関の活動家が仕事を立派におこなうように指導、援助し、それらの機関をひきつづき強化するようにすべきです。経済および行政活動にたいする党の指導水準を高めるためには、必ず党の内部活動を強化しなければなりません。党自体の強化なしには、大衆にたいする政治活動を積極的に進めることも、経済活動と行政活動にたいする党の指導をおこなうこともできません。

 党の内部活動を強めるということは、党の組織活動と思想活動の水準を高めることを意味します。

 党の組織活動では、党の指導を強める問題が極めて重要です。一部の党組織と党幹部は、いまだに事務室的指導方法を一掃していません。下級の党機関と正常なつながりをもち、幹部を理解し、大衆の声を聞き、大衆の経験から学び、適時に大衆に正しい指導と援助を与え、かれらの誤りや欠陥を是正させる生きた指導が我々にとって切実に必要であります。こんにち、初級党組織の委員長の圧倒的多数は、党活動の経験をもたない、新しく選ばれた人たちですから、道・市(区域)・郡党および政治機関は、かれらに親切で具体的な、生きた指導を与えるように努力しなければなりません。

 一部の党組織と幹部は立派な決定さえ採択すれば、万事がうまくいくものと考えています。これは正しくありません。決定書には、ただ我々がなそうとする決意が記されているにすぎません。その決意と実践とのあいだには相当なへだたりがあります。我々の決意を実現するためには、具体的で計画的な組織活動が必要です。このような組織活動とその実行にたいする系統的な点検がおこなわれなければ、どんなに立派な決定書であっても机上の空文にすぎなくなってしまいます。

 党活動を活発に推進できるかどうかはまた、党員の政治的・思想的水準にかかっています。したがって政治教育活動は、すべての党組織と幹部にとって最も重要な活動の一つであります。ところが、多くの党組織では、この活動を形式的におこなっています。

 このほかにも党の内部活動には、少なからぬ欠陥があります。すべての党組織と党活動家は、党を強化するために党の内部活動により深い関心を払うべきであります。

 5 一部の党組織と党幹部は、党活動のうえにあらわれたいっさいの否定的、あるいは肯定的事実をほりさげて分析し、妥当な政治的結論をくだすことができません。

 党活動についての記録と統計が正確に整理されておらず、それにたいする分析がなされていません。各級党組織で作成する党の統計は、もっぱら上級の党機関に報告するための資料となっているにすぎず、その統計を詳しく分析し、そこから活動に必要な政治的結論を引き出している党組織や党幹部はごくまれであります。

 党活動の正確な統計は、党の内部生活を正しく反映する鏡となります。しかし、統計そのものが我々に活動の改善方向を示すものではありません。問題は、統計を詳しく分析し、そこから一定の政治的結論を引き出し、活動を改善するための適切な対策を立てることにあります。

 かりに、党勢拡大にかんする統計を分析するときは、その量的な面にも関心を払うべきですが、どの程度の知識水準と政治的水準をもった人がどれほど増えたかといった質的な面を念頭におき、党の質的強化の目標に合致するよう組織活動と教育活動を進めることが必要であります。

 党幹部の党活動にかんする理論水準は、実践、すなわち実際の党活動を通じてこそ高めることができます。我々は、自分の活動過程で得た経験を体系づけ、一般化することによって生きた理論をもつことができます。党幹部が本当に党活動にかんする理論水準を高めようとするならば、党活動の豊富な資料を分析し、そこから得た経験と教訓を総合して体系づけ、それをさらに今後の活動に適用するようにすべきであります。こうして、活動の過程で各自の理論水準をたえず高めるように努力しなければなりません。


 4 我々の課題

 党活動にあらわれた欠陥を速やかに取り除き、党組織の活動をいっそう強化発展させるためには、次のような課題を果たすべきであります。

 1 こんにちの我が国の状況にてらして、我が党を大衆的政党に拡大強化することは、我々に課された最も重要な任務であります。我が党の大衆的性格と我が党発展の特殊性に即して党を拡大強化するという我が党の組織路線を、各級党組織の幹部とすべての党員に明確に認識させるべきであります。

 労働者党員の比率だけを問題にし、党員の階級構成のうえで労働者出身党員の比率が低下することを懸念して先進的な勤労農民を党に受け入れず、工場や人民軍部隊で訓練が足りないとか、水準が低いとか、勤務年限が短い、などという不当な条件や口実をもうけて入党対象者を受け入れないような関門主義の傾向を徹底的に排撃し、我が党をいっそう広範な大衆的政党に発展させなければなりません。

 しかし、これは決して入党対象者にたいする審査や点検をおこなわず、無原則的に入党させてもよいという意味ではありません。新しく入党する者にたいする個別的な入党手続きを厳格に守るべきであります。アメリカ帝国主義者と反逆者李承晩一味のスパイ、謀略分子、その他の不純分子が我が党の隊列に潜入できないようにしなければなりません。そういう連中にたいしては、常に党の門をかたく閉ざすべきであります。

 自由と独立のための闘争で我が党の政策を支持し、その実行のために熱意を発揮する先進分子を党に受け入れるべきであります。

 2 党隊列の整理にあらわれた懲罰主義の傾向に反対する闘争を、中央から細胞にいたるまですべての党組織で徹底的に進めなければなりません。

 党中央委員会組織委員会の1951年9月1日付決定にもとづいて、党員に適用された不当な処分は取り消し、ゆき過ぎた処分は是正すべきであり、処分を受けてからも熱心に働いている党員の処分は早急に解除すべきであります。そして、党員の政治・意識水準を高め、かれらがすすんで党の規律を守るようにすべきであります。

 3 党中央委員会と各級党組織は、党細胞の中核分子の育成に深い関心を払い、初級党委員長をはじめ、初級党委員や細胞委員長をはじめとする細胞の中核分子が、我が党のすべての決定と指示を正しく受けとめ、それを実行する闘争のなかで党員と大衆の手本となり、かれらを導いていくようにしなければなりません。

 細胞の中核分子を育成することは、党を強化し、党と大衆との結びつきを緊密にするうえで最も重要な対策となります。このようにしてこそ、我が党は祖国解放戦争であらゆる困難を克服し、輝かしい勝利をかちとることができます。

 細胞の中核分子を育成するために、党中央と道党組織の幹部は初級党組織に出向いて初級党および細胞の委員やアクチブ党委員の実際の活動を助け、また、かれらの政治理論水準と活動水準を高めるように指導しなければなりません。

 4 各級党組織は、実際の活動を通じて幹部を教育し養成することに深い関心を払わなければなりません。各級党委員長は、直接、自分が責任をもって2人以上の副委員長級の幹部を養成する任務を果たすべきであります。幹部の異動を極力おさえて同じ部署に長いあいだ固定させるべきであり、実際の活動を通じてかれらの発展状況を把握し、適当な時期に登用するようにすべきであります。

 5 各級党組織は、全党員の思想・意識水準を高めなければなりません。党員をマルクス・レーニン主義の理論で教育することに特別な関心を払い、特に新入党員の教育活動を強め、かれらを思想的に鍛えなければなりません。新入党員の教育は、党の教育網を通じておこなうだけでなく、大衆文化活動を通じてもおこない、党会議で理論的・教育的意義をもつ問題を討議する方法でもおこなうべきであり、また能力のある人に任務を分担しておこなうこともできます。こうして、すべての党員をマルクス・レーニン主義の先進的理論で武装させ、我が党を組織的、思想的に強化しなければなりません。

 6 祖国統一民主主義戦線の活動を強めなければなりません。我が党は、祖国戦線で主導的役割を果たしているだけに、この活動を強めるために積極的に努力しなければなりません。

 祖国戦線の活動を改善するためには、形式的なキャンペーンのみにかたよる傾向をなくし、各階層の民主的人士を計画的に教育してかれらの思想的進歩を促し、かれらが国家活動に積極的に参加するよう、たえず励ますべきであります。

 我が党は、祖国戦線各機関の活動計画の作成からはじめて、それを実現するための具体的な組織活動にいたるまで、日常的に援助しなければなりません.

 祖国戦線の活動を強めるためには、特に次の諸点に留意しなければなりません。

 @ 各政党、大衆団体のすべての力をアメリカ帝国主義侵略者およびその手先李承晩一味とのたたかいに動員すべきであり、各政党、大衆団体の内部と各階層のなかに潜んでいる反革命分子を摘発して一掃し、各階層の人民が敵にたいする憎しみをいっそう高めるようにすべきであります。

 A 我が国の現情勢について正しく解説、宣伝して、全人民の愛国心を強く発揮させ、勝利への信念をかためさせ、国家が示した政治的・経済的任務の遂行にすべての愛国的勢力を奮い立たせなければなりません。

 B 祖国戦線傘下の各政党、大衆団体の団結を強め、統一戦線を拡大するために大きな力を注がなければなりません。

 C 祖国戦線の活動を正しくおし進めるために、友党にたいする活動方法を党員に教え、上層部統一ばかりでなく、我が党の党員と友党の党員との下部統一を強めることに多くの力を注ぐべきであります。いま、統一戦線傘下の各政党、大衆団体の下部の大衆は、その圧倒的多数が勤労大衆ですから、最後まで我々とともに進むことのできる同盟者であります。各政党、大衆団体の下部の大衆と常に接触して、かれらに民主的教育をおこない、かれらが我々と手をとり、祖国の統一独立と人民の自由と幸福のためにたたかう闘士となるようにすべきであります。

 下部の統一戦線を強化することによって、上層部に残っている一部の動揺分子に進歩的な下部からの圧力を加えてかれらの動揺をおさえ、また上層部の一部の不純分子を大衆から孤立させるようにすべきであります。

 下部の統一を強めるためには、相互にしばしば接触して友党の党員に我が党の影響を与えなければなりません。互いに離れて別々に進む傾向をなくし、クラブ、民主宣伝室の活動や座談会、会読会などを共同でおこない、政治、経済、文化など各種のキャンペーンも一緒におこなって、友党の党員に思想的影響を与えなければなりません。

 7 党内にまだ残っている官僚主義的活動作風に反対して、ひきつづきたたかわなければなりません。政治的水準と実務能力の足りない人にたいして教育し援助するのではなく、いたずらに叱りつけ、人のおかした誤りを批判して是正させるのではなく、へつらいと情実関係によって妥協し、下部の創意的意見を受け入れずにそれを抑えつけ、自分の主観的な意見のみを固執して仕事を失敗させ、解説と説得によってではなく命令と強制によって大衆を動かそうとし、我が国の民族的特性を考慮せず他人のものを機械的に受け入れて、どこにもあてはまらないものを無理やりにおしつけるなど、いっさいの官僚主義的・形式主義的活動作風に反対して、全党的な闘争をくりひろげなければなりません。

 本総会において、以上指摘した問題を真剣に討議し、我が党の活動にあらわれた欠陥を大胆に暴露してそれを是正する対策を立て、今後の党活動の画期的な発展のために全党を奮い立たせなければなりません。

出典:『金日成著作集』6巻


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