金 日 成

迫撃砲を広く利用することについて
朝鮮人民軍最高司令官訓令第00468号 
1951年8月11日

 米英武力干渉者と李承晩かいらい軍に反対して勇敢に戦っている人民軍部隊の戦闘経験が示しているように、82ミリ迫撃砲と120ミリ迫撃砲は、山地における歩兵の強力な火力支援兵器である。迫撃砲がこのように威力ある兵器であるにもかかわらず、大多数の歩兵指揮官はいまなお迫撃砲を正しく利用していないばかりか、過小評価する傾向さえある。

 歩兵大隊の82ミリ迫撃砲は、構造が極めて簡単であり、迫撃砲砲手の教育も比較的短期間におこなうことができ、迫撃砲弾の威力も76ミリ砲弾に比べ特異な点をもっている。

 歩兵連隊の120ミリ迫撃砲は、敵の兵員を撃滅し制圧する強力な手段であり、塹壕と斜面の裏側にある目標を消滅し、遮蔽の甚だしい山岳地帯で他の砲の射撃が不可能なところにも、任意に射撃することができる。

 迫撃砲は、他の火砲に比べ、山地における使用にも便利である。

 迫撃砲の火力陣地は、起伏の甚だしい山地でなんらの支障もなく選択でき、地形を正しく利用して配置した火力陣地は、敵機や砲火力の被害から免れることができる。したがって、敵にとって、わが軍の迫撃砲兵を制圧することは、最も困難な問題となっている。

 戦争の経験が示すように、迫撃砲区分隊および部隊は、山地戦で重要な役割を果たし、それらは他の砲兵の行動の困難な山地戦にいつでも出動できる。

 このように迫撃砲は多くの優位性をもっているが、一部の歩兵大隊長と連隊長のあいだには、迫撃砲を正しく利用しない傾向が見られる。

 一部の歩兵大隊長は、戦闘序列の移動、前進に応じて迫撃砲弾の補給が難しいことを口実に、ごく少数の迫撃砲のみを利用し、多数の迫撃砲を後方に残しておく重大な誤りをおかしている。そして、敵の兵員と火器機材の大量消滅に迫撃砲を十分に使用できなくしている。これは、迫撃砲の広範な使用がより大きな戦果をもたらすことを忘却しているためである。

 一郎の歩兵大隊長と連隊長は、戦闘の際、迫撃砲区分隊が歩兵戦闘序列とともに進出して、攻撃する歩兵の頭ごしに、あるいは区分隊のあいだをぬって射撃し、側面射撃や斜面射撃を広く適用するなどの基本的な問題を無視し、迫撃砲兵指揮官に具体的な任務を与えていない。

 戦闘序列の移動、前進に応じて、歩兵指揮官が迫撃砲兵を支援しないため、迫撃砲区分隊は孤立するか戦闘から離脱している。

 山地における行動の困難を克服するために、82ミリ迫撃砲の砲手を8名に増員した。しかし、これは、迫撃砲区分隊の通過の困難な地形で歩兵区分隊の援助を必要としないことを意味するものではない。

 右に指摘した基本的な欠陥を早急に是正し、今後の戦闘で迫撃砲を十分に使用させるため、次のように訓令する。

 1.迫撃砲の戦闘使用における以上の欠陥を迫撃砲区分隊長と歩兵大隊長および歩兵連隊長に知らせること。

 2.すべての軍勤務者に迫撃砲が歩兵の強力な兵器の一つであることを広く解説し、1951年8月中に、迫撃砲の戦術技術的諸元と迫撃砲区分隊の基本戦闘任務を内容とする講習をおこなうこと。

 3.迫撃砲の広範な使用に当たって提起される諸対策を講じ、あらわれた欠陥を早急に是正すること。

 4.前線司令官は、本訓令にもとづいて講じた対策を1951年8月15日まで、最高司令官に報告すること。
                                                
出典:『金日成著作集』6巻


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