金 日 成

より多くの兵器を生産して前線に送ろう
 65号工場の働き手におこなった談話
 −1951年2月17日−


 65号工場の労働者は、その間多くの仕事をしました。65号工場は、後退の困難な状況にあっても、機械設備と熟練工を立派に保護したばかりでなく、後退先から戻ってきていくらもたたないあいだに工場の復旧整備を基本的に終え、兵器や弾薬を生産しています。前線により多くの兵器や弾薬を送るために決起したこの工場の労働者の働きぶりを見ると、勝利の信念がいっそう強くなります。

 私は、65号工場のすべての労働者、技術者、事務員が、党と祖国と人民にたいする高度の忠誠心を発揮して、工場に提起された課題を立派に遂行していることにたいし、非常に満足に思います。

 現在、戦局は、我が方に有利に変わっています。英雄的な人民軍将兵は、共和国北半部地域に侵入した敵を38度線の南に駆逐し、ひきつづき輝かしい戦果をあげています。

 しかし、朝鮮人民がアメリカ帝国主義者とその手先を撃滅し戦争の最後の勝利をかちとるためには、今後も長期かつ困難な戦いをつづけなければなりません。

 アメリカ帝国主義者とその手先は、なんとしてでも惨敗を挽回し侵略的目的を達成するために、前線に兵力を大々的に増強し、戦争を拡大しようとはかっています。それゆえ、我が党は、全党員と勤労者に長期戦に対処する万端の準備をととのえるよう呼びかけました。

 長期戦に対処する準備において重要な問題は、より多くの兵器と弾薬を生産することです。この瞬間にも前線で戦っている人民軍の勇士は、より多くの兵器と弾薬を求めています。

 前線での兵器と弾薬の需要を充足させるうえで、65号工場の労働者は重大な使命を担っています。前線に多くの兵器と弾薬を送れるかどうかは、この工場の従業員の努力にかかっています。兵器と弾薬の生産は、祖国解放戦争の最終的勝利を早めるための戦いです。65号工場の従業員は、工場に課せられた重大かつ栄誉ある任務を深く自覚し、兵器と弾薬をより質的に、より大量に生産するために奮闘すべきであります。

 65号工場の当面の任務は、迫撃砲と自動短銃の生産を増大することであります。

 迫撃砲は、山の多い朝鮮の地形条件に適した威力ある兵器です。迫撃砲は、構造が簡単なので生産も容易です。

 65号工場は、迫撃砲の生産に力を集中すべきです。工場の機械運転工を一部調整してでも迫撃砲職場の機械をフルに稼働させ、迫撃砲の生産を増やすと同時に、故障した砲やろ獲した砲も修理して前線に送るべきです。

 自動短銃は、朝鮮人の体力に合い、近距離射撃では機関銃に劣らぬ強力な兵器です。前線で戦う人民軍勇士は自動短銃が一番だと言っています。

 工場では、技術革新運動を力強く展開し、設備利用度を高めて、自動短銃の生産を増やし、特に自動短銃の銃身生産を倍に増やすべきです。銃身の予備をつくっておき、銃身が古くなって使えなくなったら直ちに交換すべきです。

 兵器と弾薬の生産を増加するためには、設備管理を改善すべきです。

 設備の管理を改善すれば、その利用度を高め、生産を正常化することができます。工場では設備の計画的な予防補修制度を設け、それを厳守することによって、設備の事故を防止し、その利用度を最大限に高めるべきです。特に、工具職場のもくねじ研摩室にある機械などの精密機械にたいする湿気防止対策を徹底的に立て、正しく管理すべきです。

 労働者が、主人らしい態度で設備管理に責任をもつようにすることが大事です。機械設備の主人は労働者であり、それを動かして製品を生産するのもほかならぬ労働者であります。したがって、労働者の自発的熱意を高めるならば、設備の管理がうまくゆきます。工場は、労働者にたいする政治・思想教育を強化し、機械設備を宝のように愛護し、技術規定を自覚的に守り、設備に精通するようにすべきです。

 これとならんで機械設備を合理的に配置し、その利用度を高めなければなりません。

 技術革新運動を広く展開すべきです。

 生産成長の重要な潜在力は、技術革新にあります。技術を革新すれば、仕事は楽にしながらも労働生産性を向上させることができます。工場では、当面問題となっている労働力不足を解決するためにも、また設備利用度を高めるためにも、技術革新が緊切な問題となっています。工場のすべての労働者、技術者は、先進技術を積極的に導入し、創意考案および合理化運動を広く進めるべきです。

 技術革新運動は、とりもなおさず立ち後れた技術を先進技術に革新する運動であるから、この運動で成果をおさめるためには、消極性と技術神秘主義に反対してたたかわなければなりません。工場の幹部は、古い技術と経験を固執し、技術革新を妨げるあらゆる間違った傾向と強い思想闘争を展開し、労働者の技術革新案を積極的に奨励しなければなりません。

 また、労働者と技術者の創造的協力を強化し、互いに助け合い学び合いながら、生産設備と生産工程を不断に改造するようにすべきです。

 工場では、技術発展目標を正確に立て、困難で手間の多くかかる部門から技術革新をおこなうべきです。工場の労働力が極めて緊張している実状にあって、一人が数台の機械を受け持つ技術革新運動から展開するのがよいでしょう。

 資材と工具を円滑に供給しなければなりません。

 戦時の困難を状況のもとで、資材をとどこおりなく供給することは容易でありません。もちろん、兵器生産に要する資材は国家が優先的に供給しますが、工場の幹部は資材の供給を綿密に計画化し、資材不足によって兵器生産が中断されないようにすべきです。また、資材の保管・管理を責任をもっておこない、労働者が貴重な国家資材を浪費しないようにすべきです。

 工具生産の組織を合理的におこなって、必要な工具は自力で生産して使用しなければなりません。そのためには、工具生産の土台をしっかりきずかなければなりません。工場は、現在の工具生産土台を最大限に利用すると同時に、より多くの工具生産設備を製作して工具生産能力を拡大すべきです。そして、工具生産部門に優秀な人を配置し、この部門の熟練工を定着させるべきです。

 労働力不足の問題を解決すべきです。

 工場から多くの青年が軍隊に入隊したために労働力が不足しているとのことですが、この問題を早急に解決しなければ、戦時生産を円滑に進めることができません。

 こんにち、労働力不足の問題を解決する基本方途は、労働力の管理を改善して工場の内部で労働力の予備を見つけだすことです。工場では,労働力の配置状況を検討し、生産部門に労働力を集中し、作業組織を合理的におこない、労働者の自発的熱意を高めるべきです。特に労働者のあいだで、仇敵アメリカ帝国主義を撃滅する意気込みで、前線で戦う同僚の分まで生産する運動を展開すべきです。こうすれば,労働力不足をある程度埋め合わせることができるでしょう。

 今後、この工場に必要な労働力は、国家が補充することにしましょう。前線に出動したこの工場の技術者、熟練工を呼び戻す措置を講じたので、近くかれらは工場に戻ってくるでしょう。他の労働力もいくらか補充する予定なので、その受け入れ準備をすべきです。

 技術者の養成を正しくおこなうことは、工場の重要な課題の一つです。

 性能のよい兵器を生産し、兵器工業を新たな技術的土台のうえに発展させるためには、先進思想を身につけ、近代的科学・技術を所有した多くの技術者、専門家が必要です。

 65号工場を我が国の兵器工業発展に必要な技術者、専門家の養成基地にすべきです。当面して工場では、金策(キムチェク)工業大学の分校として夜間大学を設け、戦火のなかで鍛えられたすぐれた人を選抜して立派な民族技術幹部に育てるべきです。工場の幹部は責任をもって夜間大学の指導、援助に当たり、特に学生の学習に支障がないよう必要な条件を十分に保障すべきです。工場では、自力で養成した技術者で職場責任技師と副職場長をかためるべきです。

 技術者を多数養成すると同時に、労働着の技術熟練度を決定的に高めるべきです。現在、労働者の技術熟練度が低いために兵器生産でおさめられるはずの成果をおさめていません。労働者のあいだで技術学習と技能伝習を強化し、すべての労働者が短時日内に仕事に精通し、技術熟練度を一段階高めるようにしなければなりません。特に、工具生産部門の熟練工を多く養成するために、大きな力を注ぐべきであります。

 革命的警戒心を高め、工場をしっかり守らなければなりません。

 いま敵は、前線で冒険的な攻撃を企図する一方、共和国北半部にスパイ、破壊・謀略分子を送り込んで後方を攪乱し、我々の隊列を内部から切り崩そうと策動しています。共和国北半部に潜んでいる反動分子も、戦時生産を破綻させ、民心をかき乱そうと策動しています。こうした状況にあって、革命的警戒心を高めなければ、取り返しのつかない重大な結果をまねく恐れがあります。

 工場内の党組織は、従業員の思想教育を強化して、かれらが敵の破壊・謀略策動をいち早く摘発、粉砕するようにすべきです。

 工場の防衛を強化しなければなりません。工場では、自力で武装警備隊を組織し、敵の侵害から工場をかたく防衛すべきです。

 米軍機による激しい爆撃がつづく状況にあって、徹底した被害防止対策を溝ずるべきです。工場が露出しないよう工場の周辺に樹木を多く植え、偽装を巧みにほどこすべきです。従業員の退避壕を設け、工場の周辺に対空火力を配置し、その他にも敵のいかなる爆撃にも工場の安全を保てるよう必要な対策を講じるべきです。

 労働者にたいする給養活動を改善すべきです。

 給養活動を十分におこなって、労働者が些細な不便も感じないで生産に全力を尽くせるようにすることは、工場の幹部の重要な義務です。

 工場の幹部は、労働者の食生活の改善に深い関心を向けるべきです。

 食堂を完備し、食事の質を改善するようにすべきです。幹部が努力さえすれば、労働者の食生活は十分に改善できます。国家の供給する大豆のモヤシ、大豆のにしめ、豆腐などを作って労働者に与えるべきです。兵器生産に従事するこの工場の労働者には、1日20グラムの食用油を供給すべきです。

 労働者の食生活を改善するためには、工場独自の副業を合理的に営むべきです。国家が工場の副業に必要な土地を与え、国営牧場も一つ移管するようにしましょう。みなさんは、それを立派に運営して、労働者に野菜と食肉など各種の副食物を十分に供給しなければなりません。

 工場の幹部は、労働者の住宅、寮、浴場をはじめ、サービス施設を完備するためにも大きな力を注ぐべきです。

 工場の寮は、満足なものだとは言えません。日当たりのよい山裾に寮を分散させて建て直すべきです。浴場や理髪所などのサービス施設も十分にととのえて、いつでも労働者が理髪や入浴ができ、生活に不便を感じないようにしなければなりません。工場に婦人労働者が多いだけに、その生活に特に気を配らなければなりません。

 労働者の健康増進のために努力しなければなりません。

 工場に夜間静養所を新設し、労働者が昼は工場で働き、夜は静養所で休息するようにすべきです。また、労働者を国家静養所と休養所にも多く送るべきです。

 労働者の医療を改善するために、工場の診療所を病院に拡張すべきです。今後、国では工場病院に医師を補充し、医療器具と医薬品を十分に供給しなければなりません。

 労働者階級は最も革命的な階級であるばかりでなく、最も文化的な階級です。苛烈な戦火のなかでも、労働者が読書に親しみ、歌と踊りに興じ、常に楽天的に生活し働けるよう、文化生活に必要な条件を十分に保障すべきです。今後、労働者のあいだで芸術サークル活動を広くおこなうようにするのがよいでしょう。必要であれば工場に作家、芸術家を派遣して芸術サークル活動を援助させましょう。

 65号工場労働者の英雄的闘争にかんする資料を総合すれば、立派な教育資料になります。この工場の労働者の英雄的な闘争ぶりを映画におさめ、戦争に勝利した後、人民と新しい世代に見せるべきです。そして、祖国解放戦争が終われば、兵器生産に貢献した機械を博物館に陳列し、労働者階級の戦時闘争業績を広く紹介すべきです。

 私は、65号工場のすべての従業員が、これまでと同じく今後も、愛国的献身性と集団的英雄主義をいかんなく発揮して、性能のよい兵器をより大量に生産して前線に送り、祖国解放戦争の最後の勝利をかちとるうえに大いに貢献するものと確信します。

出典:『金日成著作集』6巻


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