金 日 成

朝鮮労働党中央委員会第2回総会での結語
 −1949年12月18日−


 みなさん!

 我々は数日にわたって、重要な意義をもついくつかの問題を討議しました。このたびの党中央委員会総会でのように、重要な問題をいく日にもわたって真剣に討議したのは今回がはじめてであります。会議では多くの人が、高度の熱意をもって討議に参加しました。これは、我が党の活動が大きく発展したことを示すものであります。

 報告と発言で多くの問題が扱われたので、私はいくつかの問題に限って強調しようと思います。

 今回の総会で多くの人が発言したように、こんにち、国際舞台では反動勢力と民主勢力が鋭く対立しています。しかし、全般的な国際情勢は、我々に有利に発展しています。民主陣営の力は日増しに強化されており、平和運動は世界的規模で広範に展開されています。

 こんにちの国際情勢は、国際民主勢力が団結してたたかうならば、帝国主義者の戦争挑発策動を粉砕し、戦争を防止できるということを確信させてくれます。

 我々は、決して戦争を恐れるものではありません。帝国主義者があえて戦争を引き起こすならば、それは、かれらの滅亡を早めることになるでしょう。これは歴史が実証しています。第1次世界大戦の結果として社会主義国家−ソ連が誕生し、第2次世界大戦の結果、ヨーロッパとアジア諸国に人民民主主義制度が樹立され、中国革命が勝利しました。いま帝国主義者が第3次世界大戦を引き起こすならば、それは世界帝国主義の墓場となるでしょう。我々は勝利の確信をもって、帝国主義者、戦争放火者に反対する闘争を強力に展開しなければなりません。

 国際舞台における力関係の変化、民主主義と反動間の闘争は、我が国の情勢にも反映されています。こんにち、我が国の情勢は、国際情勢と同様にたいへん好ましい方向に発展しています。有利な内外情勢のもとで、我が党が共和国北半部の民主基地を強固にし、祖国統一民主主義戦線の活動を強化して各階層の広範を大衆をかたく団結させるならば、同胞同士争う内乱の挑発をねらう李承晩一味の企みを破綻させ、祖国の平和的統一を達成することは十分可能です。したがって、民主基地を強化し、祖国統一民主主義戦線の活動を大胆に、そして綿密に組織しなければなりません。

 祖国統一民主主義戦線の活動を強化するためには、その中核をなす勤労大衆の統一と団結を強めることが重要です。反動派は、勤労大衆の団結をもっとも恐れ、その分裂を狙って悪らつに策動します。南朝鮮で共産党、新民党、人民党の合同を破綻させようとしたアメリカ帝国主義者と李承晩一味の策動がそれをよく示しています。

 我々は、反動派のあらゆる妨害策動を粉砕し、勤労大衆の統一と団結をさらに強化しなくてはなりません。

 共和国北半部では、すべての勤労者が労働党の指導のもとにかたく統一し団結しています。我々は、これをさらに強固にし、その戦闘力を不断に高めなくてはなりません。

 共和国南半部では、ひきつづきアメリカ帝国主義者と売国奴李承晩一味に反対するたたかいを力強く展開する一方、合法的なすべての可能性を利用して、反動団体の影響下にある勤労者を獲得しなければなりません。また、他の政党に属する勤労者との下部統一を強め、かれらが封建思想とブルジョア思想の影響を受けないようにすべきです。

 産業部門の活動を決定的に改めなければなりません。

 総会では、産業部門の活動にたいする批判が活発におこなわれませんでしたが、これは決して産業部門に欠陥がないことを意味するものではありません。現在、産業部門の活動には早急に是正すべき欠陥が少なくありません。特に、軽工業と基本建設部門に多くの欠陥があります。

 織物生産問題だけを見ても、国家が織物不足を解決するため手工業的な綿布の機織りまで組織しているのに、沙里院(サリウォン)紡織工場では2交替制でしか生産をおこなっていません。ところが、産業省軽工業管理局の働き手たちは、この工場で3交替制の作業を組織する対策を全く立てていません。

 現在、建設部門は、主人不在といった状態にあります。基本建設部門では、建設の順序もなくいたるところに工事を広げており、設計もなしに建設工事を進めています。甚だしいことに、雲山(ウンサン)鉱山などでは、鉱脈の調査もおこなわずに空中ケーブルを架設しています。今年も建設工事は始めたものの、技術者や資材不足のため完成できない対象が少なくありません。各地に建設工事を広げるだけで完工しないので、大事な国家資金が凍結され、国に大きな損失を与えました。これは、極めて重大な問題です。

 一部の地方では、学校や病院をさきに建てずに機関の事務所から建てています。平安(ピョンアン)北道寧辺(ニョンビョン)郡では、急を要しない橋の工事をおこない、竜門(リョンムン)炭鉱村の学校は建設しませんでした。この学校は労働者の子弟が80%をしめるので、優先的に建設すべき対象です。ところが、これは建設計画にも入っていません。郡機関所在地の学校は立派に建てながら、炭鉱村の学校を建設しないのは、労働者にたいする働き手たちの観点が正しくないからです。道路建設の場合を見ても、緊要なところは後回しにして不急のものから着手しています。

 現在、産業部門の仕事が順調にはかどっていない主な原因は、産業省が管下の工場、企業所にたいする指導を具体的におこなわないところにあります。産業省の働き手は、工場、企業所の欠陥を指摘することで指導にかえており、その是正対策を立てていません。かれらは、工場、企業所の行き詰まっている問題を適時に解決するための努力も十分に払っていません。生産者大衆がいくら奮起しても、産業省が正しい指導をおこなわず、行き詰まっている問題を早急に解決しないならば、生産が正常にはかどりません。

 産業部門の仕事が順調にはかどらないのは、産業省が正しい指導をおこなわないばかりでなく、党組織が産業の発展にあまり関心を向けないところにも原因があります。道党委員会をはじめ各級党組織は、工場、企業所にそれほど関心を払っていません。党組織は、工場、企業所が人手不足で生産に支障をきたしても、それを解決するためのなんの助力も与えていません。党中央委員会労働部と平壌市東区域党委員会の活動家は、東平壌で最も大きい平壌紡織工場の建設現場には一度も出向かず、その建設工事についての記事さえ新聞に載せたことがありません。

 産業省と各級党組織がこのように活動しては、産業を発展させることができません。産業の発展なしには、人民民主主義制度の優位性を発揮させることは不可能であり、労農同盟を強化することもできません。人民民主主義制度の優位性は、産業の発展によってのみ高度に発揮されます。労働者、農民の同盟も、土地改革をおこなって農民に土地を与えた後、産業を発展させて農機具や肥料、農薬、それに日用品を農民に十分に供給してこそ、いっそう強固なものとなります。したがって、すべての働き手は、産業を早急に発展させるために努力しなければなりません。

 産業省の働き手はまず、管下の工場、企業所の指導を決定的に改善しなければなりません。相、副相、管理局長、技師長は、管下工場、企業所の生産指導を具体的におこなうべきです。

 産業省の働き手は、基本建設事業を統一的に掌握し指導しなければなりません。特に基本建設の順序を正確に定め、重要対象に力を集中して一つ一つ完成するようにすべきです。

 労働力の問題を解決しなければなりません。労働力の不足をよその国から補充してもらうことはできないのです。関係部門の働き手は、みずからこの問題の解決策を見つけるべきです。

 党組織でも、産業の発展に大きな関心を向けなければなりません。党中央委員会から下部党組織にいたる各級党組織は、産業部門の指導と援助に力を傾けるべきです。

 工場、企業所の民青と女性同盟組織の役割を高めなければなりません。現在、紡織工場に技能工、熟練工が不足しているそうですが、それは女子労働者が結婚して家庭にとじこもるか、職場を変えるからです。したがって、工場、企業所の民青や女性同盟組織は、女子労働者のあいだでこうしたことがないよう、教育を強化すべきです。

 現在、都市経営省管下の一部土木建設労働者のあいだには、国家から食糧配給や労賃をもらいながら国家の仕事は日に2時間しかせず、あとは手間賃をもらって個人の仕事をする者もいるとのことです。都市経営省と関係部門の党組織は、労働者にたいする教育を強めて、こうしたことがないようにすべきです。

 商品流通事業を改善しなければなりません。

 総会で商業省の活動に多くの批判が加えられましたが、それはすべて正しい批判です。現在、商業省の働き手は無責任に仕事をしています。

 かれらの無責任さのため、満浦(マンポ)国営商店では、リンゴが品切れになって住民に供給できないのに、商業省の倉庫では、それを処理できなくて腐らせています。商業省の働き手は、輸送が輻輳して、リンゴの運搬が思うようにいかないからだと言っていますが、鉄道では貨物がなくて手持ちぶさたの有様です。かれらはまた、国家の倉庫にソバムギを積んでおきながら、ソバをつくって売る手配はしていません。平壌市には、国営そば屋が2軒しかありません。これは、商業部門の働き手が勤労人民に奉仕する精神に欠けているためです。

 商業部門の働き手は、こうした欠陥を早急に是正し商業流通事業を決定的に改善して、勤労人民の便宜をはかるためにいっそう努力しなければなりません。

 農村における人手の雇用をなくさなければなりません。

 農村が富裕になるにともない、人手を雇用する農家があらわれています。もちろん、政権が人民の手中にあって、労働者階級が主導的役割を果たしている状況のもとで、これは大きな脅威にはなりません。しかし、それを看過してはならず、当然禁止すべきです。

 農村で人手の雇用をなくすためには、農民、ことに富農のあいだで勤労精神をつちかうと同時に、かれらが人手を雇ったり商売をしたりするのに金を使わず、それを文化的な生活をきずくのに有効に使うようにすべきです。職業同盟、労働省、党中央委員会労働部は、農村の雇用労働者で職業同盟組織をつくって使用者側と団体契約を結ばせ、できるだけかれらが人手を雇えないようにすべきです。そして、農村の余裕労働力を国営工場、企業所にふり向けるようにしなければなりません。

 人民軍を強化しなければなりません。

 民青と女性同盟組織では、青年にたいする教育を強め、かれらが人民軍に服務することを最も栄誉に思い、すすんで入隊するようにすべきです。また、人民軍留守家族の援護活動を強化し、軍人が後顧の憂いなく軍務に専念できるようにしなければなりません。

 軍人の戦闘・政治訓練を強化すべきです。今年の冬季訓練は、将校の用兵術の向上に重点をおいて進めなければなりません。

 このたび内閣では、幹部の政治理論水準を高めるため、働きながら学ぶ政治経済大学を設立することにしました。この大学を立派に運営して、幹部の政治理論水準を早急に向上させなければなりません。今後、この大学を理論幹部養成の強固な基地につくるべきです。

 私は、みなさんが今回の党中央委員会総会が提起した課題を実行するため、積極的に努力するよう望みます。

出典:『金日成著作集』5巻


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