金 日 成

南北朝鮮の労働党を朝鮮労働党に合同することについて
南北朝鮮労働党中央委員会連合総会でおこなった報告 
1949年6月30日

 同志の皆さん!

 朝鮮人民は、近く8.15解放4周年を迎えます。祖国が日本帝国主義の植民地支配から解放されて満4年になろうとしていますが、国土はまだ南北に分断された状態にあります。

 国土の南北分断は、日増しに国内の政治情勢を複雑にし、朝鮮人民の民族的独立と自由を脅かし、祖国の民主主義的復興発展を大きく妨げています。

 朝鮮の勤労大衆の戦闘的前衛部隊である南北朝鮮の労働党は、祖国が日本帝国主義の植民地支配から解放されて以来、こんにちにいたるまで、全人民とともに国土の保全と祖国の統一独立と民主化のために頑強にたたかってきました。

 しかし、アメリカ帝国主義者の南朝鮮に対する悪辣な植民地従属化政策とその手先、親日派、民族反逆者の反逆行為によって、祖国の統一はいまなお実現していません。

 こんにち、朝鮮の政治情勢は、極めて緊張しています。朝鮮の植民地化を狙うアメリカ帝国主義者の悪辣な侵略策動はいっそう公然化し、その忠実なしもべである親日派、民族反逆者の反逆行為はその極に達しています。

 外国侵略勢力およびそれと結託した国内反動勢力に反対し、国土の保全と祖国の統一独立をかちとるために決起した全朝鮮人民の闘争はいっそうもりあがり、熾烈な武装闘争に発展しています。

 こうした複雑な国内の政治情勢のもとで招集された今度の南北朝鮮労働党中央委員会連合総会は、南北朝鮮の労働党を統一的な一つの党に合同するという、歴史的意義をもつ重要な問題を討議することになります。


 1 南北朝鮮の労働党合同の歴史的必然性

 同志の皆さん!

 南北朝鮮労働党の合同問題は、組織原則や思想的基礎を異にする党の合同問題ではなく、同一の組織原則と思想的基礎をもつ党の合同問題であり、情勢と政治活動の必要性から暫定的に別個に存在していた党の合同問題であります。

 わが党の前身である共産党は、南北朝鮮の労働党が創立されるまで、すなわち1946年まで存在しました。

 北朝鮮で共産党は、日本帝国主義支配の最も暗たんとした時期に、祖国の解放と人民の自由と解放のために、武器をとって日本帝国主義に対する武装闘争をくりひろげた共産主義者を根幹にし、内外で各種の反日闘争に加わった共産主義者が参加して創立されました。それゆえ、共産党は、創立当初から全人民の支持と信頼を得、祖国と民族の運命を担い、朝鮮人民を自由と民族独立に導く最も権威あり戦闘力のある党となりました。共産党は創立後3か月間に、既に、数千名の先進分子と愛国者を結集し、大衆のあいだに深く根を張った強力な党となりました。

 共産党は当時の北朝鮮の有利な状況を利用して、モスクワ3国外相会議の決定を正確に実行し、人民政権機関を創設し、民主諸改革を実施するたたかいをくりひろげました。こうして、1946年2月に北朝鮮臨時人民委員会が創設され、同年3月には東方で最初の無償没収、無償分配の原則にもとづく土地改革が実施されました。ついで、労働法令、男女平等権法令、重要産業の国有化などの民主改革が実施されました。北朝鮮で民主諸改革が成功裏に実施された結果、わが国は民主主義的基盤を踏まえて復興発展できるようになりました。

 アメリカ軍占領下の南朝鮮で共産党は、解放直後の情勢と可能をすべての条件を利用して合法的に活動しながら、朝鮮問題に関するモスクワ3国外相会議の決定を実践するたたかいをくりひろげると同時に、アメリカ帝国主義者の朝鮮に対する侵略政策と親日派、民族反逆者の正体を暴露し、人民大衆から孤立させるための広範な大衆運動を展開しました。

 しかし、朝鮮問題に関するモスクワ3国外相会議の決定が発表され、わが党の指導のもとにそれを支持する広範な大衆運動が始まったときから、南朝鮮における共産党の合法的活動は困難になりました。

 1945年12月、朝鮮に関するモスクワ3国外相会議の決定が発表されると、国内の政治勢力は愛国的民主勢力と反人民的反動勢力とに完全に分裂し、この2つの勢力間の矛盾と闘争が激化しました。

 アメリカ帝国主義者と親日派、民族反逆者をはじめ、反動分子は、民主勢力の拡大強化に恐れをなし、南朝鮮共産党に対する迫害と弾圧を強化しました。敵は人民大衆のあいだで共産党の権威を失墜させるために、「紙幣偽造事件」をでっちあげで公判をおこない、共産党に対する恥知らずな中傷と悪宣伝をおこないました。アメリカ帝国主義者とその手先は、共産党の幹部と党員を大量に検挙、投獄、虐殺し、その機関紙『解放日報』を廃刊させ、党機関の事務所を破壊しました。

 新しい情勢は、南朝鮮で共産党の合法的地位と活動を保障する適切な対策を講ずることを求めました。もし、我々がそうした対策を講じないならば、南朝鮮共産党を弱体化し、人民大衆のたたかいを弱める結果をまねく恐れがありました。

 南北朝鮮に労働党を創立するのは、党のまわりに広範な人民大衆を結集し、アメリカ帝国主義者とその手先の策動を粉砕し、朝鮮革命を成功裏に遂行するために緊切に必要でありました。

 当時、北朝鮮には新民党、南朝鮮には新民党、人民党などの政党が存在して、労働者階級をはじめ勤労人民大衆は、組織的には事実上分裂していました。敵とのたたかいにおいて最大の危険は勤労大衆の分裂であります。

 民主勢力を結集し勤労大衆の統一を保つうえで、何よりも重要なのは、彼らを統一的に指導する勤労人民の唯一の戦闘的前衛部隊を組織することであります。このため、共産党と類似した綱領をもっている党を合同する問題が提起されました。

 こうして1946年8月に、北朝鮮では共産党と新民党が合同して北朝鮮労働党を創立し、同年11月南朝鮮では共産党、新民党、人民党が合同して南朝鮮労働党を結成しました。

 南朝鮮における労働党の創立は、階級の敵と分派分子の策動によって順調には進展しませんでした。

 アメリカ帝国主義者と反動分子は、南朝鮮における労働党の創立を破綻させるために狂奔しました。彼らは、南朝鮮共産党の幹部に逮捕令をだし、多数の党員を検挙、投獄、虐殺するなど、党の合同を公然と妨害すると同時に、スパイ、謀略分子や日和見主義者を利用して党を内部から切り崩そうと策しました。

 分派分子も党の合同を妨げました。当時、南北朝鮮で労働党を創立する必要性は誰の目にも明らかでしたが、分派分子は、偏執にとらわれて、情勢の評価を誤り、南北朝鮮における労働党の創立に反対しました。

 分派分子は、みずからを党の統一のためにたたかう「闘士」をもって任じ、南北朝鮮に労働党を組織する措置はマルクス・レーニン主義を放棄し、党を「弱体化」し、党を「小ブル化」するものであると非難しました。彼らは、みずからの分派的反党行為が、わが党を内部から破壊し、勤労者の民主的大衆運動を分裂させようとするアメリカ帝国主義者とその手先、親日派、民族反逆者の策動に手をかすことになることを理解しませんでした。

 分派分子は、南朝鮮労働党を創立するときにも、北朝鮮労働党を創立するときにもそのように策動しました。

 南朝鮮共産党に潜入した姜進をはじめ、反党分子は1946年8月5日、共産党、新民党、人民党の合同に反対する反党的声明を公然と発表しました。

 分派分子は、資本主義の社会的基盤として、反動分子の手先として共産党に潜入した後、党内に動揺と瓦解、不信をもたらそうとはかりました。我々が反動派と正面からたたかいなから、党内にそうした「同盟者」をもつことは、2つの方面、すなわち、正面と背後から攻撃を受けることを意味しました。そこで、南朝鮮共産党中央委員会は、人民の大業のために活動するのではなく、自分一個人の出世と地位のために策動し、党活動に大きな害悪を及ぼした分派分子と日和見主義者を党中央委員会から除名する正しい決議を採択しました。
 アメリカ帝国主義者とその手先の弾圧と、分派分子、日和見主義者の妨害にもかかわらず、南北朝鮮の労働党創立の活動は成功裏に進められました。

 南北朝鮮の労働党が創立された後、両党指導部間には正常な連係が保たれ、両党は緊密な連係のもとに活動しました。1946年8月5日、姜進をはじめ、反党分子が南朝鮮労働党の創立に反対する共同声明書を発表したことと関連し、北朝鮮労働党創立大会は彼らの反動的破壊策動を暴露し、南朝鮮での3党合同を支持する決議を採択しました。

 北朝鮮労働党創立大会の決定書は、次のように指摘しています。

 「北朝鮮労働党創立大会の代表は、南朝鮮の3つの政党が合同する方法で勤労大衆の唯一の党を創立することに関する3党の決議を全幅的に支持し歓迎する。
 これは、民主主義完全自主独立国家建設の途上において、最大の障害となっている反動派とたたかい、全朝鮮人民とすべての民主勢力を結集する大業において大きな歴史的な意義をもつものである。
 同時に大会は、南朝鮮で3党の合同があまりにも遅延し、十分な組織活動が伴っていない事実を指摘する。特に、大会は、南朝鮮の反動勢力が3党合同の妨害策動を強化しており、党内にも3党合同に意識的に反対し、セクト主義的分裂行為によって敵に手をかす分子がいることを指摘する。遺憾ながら、こうした分派分子は3党のいずれにもおり、指導機関にまで潜入している。
 大会は、党内で分派的分裂行為に終始した姜進、金綴洙、金謹、徐衆錫、李庭尹、文甲松を党中央委員会から除名するという、南朝鮮共産党の決議を正しいものと認める。
 大会は、人民党と新民党も、民主勢力の統一を破壊し、党の分裂をはかる者に対して、そうした決議を採択するものと確信する。
 大会は、共産党、人民党、新民党が唯一の労働党への合同を破綻させようとはかる分派分子と分裂主義者に対し、断固とした対策を講じることによって、反動派の破壊行為をはねのけ、合同事業を促進することを、南朝鮮の3党の指導機関と党員に呼びかける」

 南北朝鮮の労働党創立以後のすべての事態は、南北朝鮮で共産党を他の勤労者政党と合同して労働党を創立した措置が、当時の情勢において最も正しい方針であったことを立証しています。

 南朝鮮で共産党は、南朝鮮労働党という新たな名で活動するようになり、アメリカ軍政当局とかいらい李承晩一味をはじめ、親日派、民族反逆者は、労働党に対し公然と非難し弾圧とテロを加える条件と口実を失いました。こうして、南朝鮮労働党は、しばらくのあいだ合法的に活動することができました。

 南朝鮮労働党はアメリカ帝国主義者とその手先に反対し、国土の保全と祖国の統一、民主主義自主独立国家建設のたたかいを展開する過程で広範な人民大衆をそのまわりに結集し、党の大衆的基盤を強化しました。

 南朝鮮労働党の影響のもとに、南朝鮮人民のたたかいがもりあがりました。

 南朝鮮では、1948年2月に「国連臨時朝鮮委員団」反対闘争が、3月22日にはゼネストが起こり、ついで5.10単独選挙に反対する闘争が展開されました。

 南朝鮮人民のたたかいは、アメリカ帝国主義の植民地従属化政策と親日派、民族反逆者の反人民的犯罪行為を暴露し、朝鮮人民はアメリカ帝国主義者の新たな植民地従属化政策と反動支配を望まず、民主制度の樹立と祖国の統一を願っていることを全世界に示しました。

 北朝鮮労働党は、創立以後、組織的、思想的に急速に強化され、民主主義自主独立国家建設のたたかいで主導的な党となりました。人民政権を強化し、民主改革の成果をかためる闘争過程で党の権威はさらに高まり、党員の中から数多くの国家活動家が生まれました。北朝鮮労働党は、民主党をはじめ、友党との統一戦線を強化し、民主主義自主独立国家建設の政治的・経済的土台を築く大事業をおし進め、大きな成果をおさめました。

 同志の皆さん!

 わが党が勤労大衆の統一的な党である労働党に発展した結果、党勢を強化し、広範な勤労大衆を党のまわりに団結させ、民主主義自主独立国家を建設するたたかいをさらに力強くおし進められるようになりました。

 しかし、国内の情勢と事態は急変しました。

 アメリカ帝国主義者とその手先は、5.10単独選挙を実施して親日派、民族反逆者による反逆的なかいらい政府の組織を画策する一方、南朝鮮の愛国的民主人士、特に、南朝鮮労働党に対する弾圧を強化しました。このため、南朝鮮労働党は、再び地下に入らざるを得なくなりました。

 アメリカ帝国主義者とその手先、親日派、民族反逆者は、南朝鮮労働党に対する弾圧を強化すると同時に南北朝鮮の労働党を離間させ、両党間に対立と分裂をもたらそうと悪辣に策動しました。こうした卑劣な策動は、南北朝鮮労働党間に紛争を引き起こし、両党の団結を破壊して、わが党を弱体化することにその狙いがありました。

 南朝鮮労働党が地下に入り、民主勢力に対する反動派の攻撃が強化され、南北朝鮮の労働党を離間させようとするスパイ、破壊分子の悪辣な策動が激化している状況にあって、南北朝鮮の労働党が別個に存在することは、祖国の統一と民主主義自主独立国家建設のたたかいで党の戦闘力を弱める恐れがありました。

 事態は、別個に存在する南北朝鮮の労働党に対する指導の統一を、いつにもまして緊切に求めていました。こうして、南北朝鮮の各政党、大衆団体の連席会議があった後に、南北朝鮮の労働党指導部は両党に対する統一的指導を保障するために、南北朝鮮労働党連合中央指導機関を構成する問題を討議し、1948年8月2日に必要な決定を採択しました。決定書には、南北朝鮮労働党連合中央指導機関を構成し、その名称を「朝鮮労働党中央委員会」とすることが指摘されました。

 連合中央指導機関が構成された後、わが党はその指導のもとに、全党の力を結集して民主建設と祖国統一のたたかいをさらに強力におし進めました。

 わが党は、北朝鮮で民主改革の成果をかためると同時に、人民政権機関と人民軍を強化し、1948年度の人民経済計画を完遂し、人民の物質・文化生活を向上させるために膨大な事業をおこないました。

 わが党は、南朝鮮における反動的かいらい政府のテロ支配とアメリカ帝国主義者の植民地従属化政策に反対し、「国連朝鮮委員団」を排撃するたたかいを広く展開しました。

 連合中央指導機関の指導のもとに、南北朝鮮の労働党員は全国的に統一された民主主義政府を樹立するために、他の民主政党、大衆団体とともに朝鮮民主主義人民共和国最高人民会議の代議員選挙を成功裏におこないました。昨年8月25日の最高人民会議代議員選挙の際、北朝鮮では有権者総数の99.97%が参加し、南朝鮮ではアメリカ帝国主義者とその手先の悪辣な弾圧、虐殺、テロが強行される状況のもとでも有権者総数の77.52%が参加しました。この選挙の結果、朝鮮民主主義人民共和国が創建され、統一的中央政府が樹立されました。

 朝鮮民主主義人民共和国が創建され、統一的中央政府が樹立された後、ソ連政府は朝鮮民主主義人民共和国最高人民会議第1回会議の要請にこたえ、自国の軍隊を1948年末までに共和国北半部全域から完全に撤収しました。ソ連軍が共和国北半部から撤収してから半年が過ぎましたが、アメリカ帝国主義侵略軍は、いまなお南朝鮮に残留し、親日派、民族反逆者を唆して反動的な植民地支配制度を強化しようと策動しており、朝鮮で同胞同士争う戦争を引き起こすためにその準備に狂奔しています。

 こんにち、わが国の情勢は緊張の度を加えています。民主勢力と反動勢力間の政治闘争は極度に先鋭化し、武装闘争に発展しました。

 朝鮮人民の卑劣な反逆者・李承晩をかしらとする反逆者一味は、アメリカ帝国主義者の庇護のもとに単独選挙を強制的に実施し、一握りの反動分子でかいらい政府をつくりました。彼らは、アメリカ帝国主義の銃剣と「ドル」を後ろ盾にして人民に対する弾圧とテロを強化し、祖国の人為的分裂を固定化する反民族的政策をさらに公然と実施しています。

 飢えと貧困、無権利と暗黒のなかで苦しみ、人民の敵の売国行為を目のあたりにしている共和国南半部の広範な人民大衆は、これ以上耐えられない状態においやられました。こうして南朝鮮の労働者階級をはじめ、広範な愛国的人民は、武器をとって反米救国闘争に決起しました。

 南朝鮮で革命の機が熟し、自分たちの地位が危機にさらされていることを知った南朝鮮の反動勢力は、「政権」を維持するために極端な方法にしがみついています。反動分子は、罪のない人民を手当たりしだいに逮捕投獄し、人民抗争を武力で弾圧し、労働党員を大量に虐殺しています。

 こんにち、祖国には重大な危険が迫っています。朝鮮人民の目前には、自由、独立の人民となるか、あるいは再びアメリカ帝国主義者の植民地奴隷となるかという問題が提起されています。

 現情勢において最も重要なことは、南北朝鮮の労働者階級の統一であり、すべての民主勢力の統一であり、愛国者の統一であります。この問題は、労働者階級をはじめ、勤労大衆の戦闘的前衛部隊であり、指導的勢力である南北朝鮮の労働党が統一されてこそ解決が可能で、統一された民主主義朝鮮のために、外国帝国主義勢力をはじめ、反動勢力とのたたかいで大胆に自信をもって党を勝利に導く、権威ある強力な党中央があってこそ解決することができます。まさにそのために、南北朝鮮の労働党を唯一の朝鮮労働党に合同することが必要であると認めます。

 私は、現在の両党中央委員会を唯一の中央委員会に連合し、それに南北朝鮮労働党連合大会を招集するまで両党を指導する権限を与え、現存の連合中央指導機関を朝鮮労働党中央委員会政治委員会に改編することを提案します。

 南北朝鮮の労働党を合同する必要性は、およそ以上のとおりです。


 2 わが党の当面の任務

 同志の皆さん!

 国内の政治情勢は、わが党に困難かつ責任ある任務を提起しています。

 わが党の当面の任務は、南朝鮮からアメリカ軍を撤退させ、反動的なかいらい李承晩政府を打倒し、朝鮮民主主義人民共和国の旗のもとに民主主義的に祖国を統一することです。

 わが党は、人民大衆の先頭に立ち、すべての愛国的民主勢力と提携して、自己に課せられたこの崇高な任務を速やかに完遂しなければなりません。我々は、南朝鮮の反動的売国分子が祖国の南半部をアメリカ帝国主義の植民地として売り渡し、南半部の経済を破壊し、人民を抑圧搾取し飢えと貧困のどん底につきおとし、人民のすぐれた息子、娘を虐殺していることを、これ以上しのぶことができません。

 分裂した祖国を統一するためには、南北朝鮮のすべての愛国的民主勢力の統一と団結をなし遂げなければなりません。

 周知のように数日前、南北朝鮮の民主政党、大衆団体代表は、一堂に会して祖国統一民主主義戦線結成大会を開き、祖国統一民主主義戦線を結成しました。南北朝鮮の労働党は、この運動の主導者となりました。国土の保全と祖国の統一をめざす現段階のたたかいで、広範な愛国的民主勢力を結集する活動は極めて重要であります。

 わが党は、祖国統一民主主義戦線を強化し、その活動において中核的役割を果たさなければなりません。わが党は、祖国統一民主主義戦線の綱領を祖国の統一独立と民主化のための朝鮮民族の行動綱領と認め、それを積極的に支持すべきです。もちろん、それをわが党の綱領とすることはできません。わが党の綱領には、当面の課題ばかりでなく、朝鮮革命の最高目的が示されています。したがって、わが党の綱領と祖国統一民主主義戦線の綱領を混同してはなりません。しかし、祖国統一民主主義戦線の綱領には、現在、朝鮮人民が熱望している問題が反映されているので、我々はその綱領の実現のために積極的にたたかうべきであります。

 祖国統一民主主義戦線結成大会は、祖国統一におけるさし迫った問題を討議し、祖国統一を平和的方法で実現する宣言を採択しました。宣言は、南朝鮮からアメリカ軍を即時撤退させ、「国連朝鮮委員団」を解体し、朝鮮人民自身が最高立法機関を選挙する方法で国家体制の問題を解決することを主張しました。こうした選挙はもちろん、南朝鮮で言論、出版、集会、結社の自由と民主的政党、大衆団体の自由な活動が保障される条件においてのみ可能であります。

 我々が祖国を平和的に統一することを提案したのは、帝国主義の従属からわが国を保護するためであり、国土の永久分断を防止し、祖国を救うためであります。それはまた、共和国南半部の同胞を敵の無残な虐殺から救い、朝鮮民族の流血と犠牲を防ぎ、祖国の統一と国土の保全を達成するためであります。

 祖国の平和的統一を提案したのは、決して我々の力が弱いからではありません。困難なたたかいを通して自由と独立をかちとった朝鮮人民は、現在享受している幸福と権利を誰にも譲らないでありましょう。愛国的民主勢力は強大であり、朝鮮人民は民主主義的基礎に立って、祖国を統一することを熱望しています。祖国統一問題の平和的調整は、朝鮮人民を祖国統一の大業と民主主義の勝利へ導き、それは朝鮮人民の団結した力によって実現されるでしょう。

 もし、かいらい李承晩政府が祖国統一民主主義戦線結成大会の宣言に示された平和的祖国統一の提案を拒否するならば、我々はさらに問題解決のいろいろな方途を模索し、必ず統一的民主主義自主独立国家を樹立するでありましょう。

 同志の皆さん!

 我々は、複雑な国内の政治情勢を正確に認識し、祖国統一と民主建設の大業の遂行においてありうる、あらゆる不慮の事態に対処する万端の準備を整えなければなりません。

 人民政権が樹立され、民主諸改革が実施された土台のうえで新しい生活が創造されている共和国北半部では、人民大衆の政治的熱意と生産意欲を高めて、国の政治的・経済的基盤の強化をめざす2か年人民経済計画を完遂、あるいは超過完遂しなければなりません。そのためには、宣伝・扇動活動を強化し、特に、新しい社会の建設における人民大衆の地位と役割について十分に宣伝すべきです。

 共和国北半部で民主諸改革が実施された結果、各階級と階層の社会経済的地位は根本的に変わりました。

 第1に、労働者階級の地位に画期的な変化が生じました。

 解放前、労働者階級は、資本の搾取と抑圧のもとで、かろうじて生命を維持するありさまでした。当時、工場、企業所をはじめ、生産手段は日本帝国主義と資本家が所有し、労働者階級は資本家のために働かざるをえませんでした。

 しかしこんにち、わが国の労働者階級は生産手段の主人となり、したがって、過去のように資本家のために働くのではなく、国家と人民のために、自分自身のために働いています。現在、労働者階級は、国家の柱に、人民大衆の中核勢力となっており、党の基本階級として党勢をたえず補充しています。労働者階級の優秀な代表が党内の指導的中核となっています。

 第2に、農民も過去の農民ではありません。

 土地は、過去には日本帝国主義者と地主が所有していましたが、こんにちでは農民が所有しています。農民は、土地改革によって土地の主人となりました。

 過去、わが国では、小作農はもとより、自作農も日本帝国主義の強制供出制によって収穫物を自由に処分することができず、生計を維持するだけの食糧すら保有できませんでした。しかし現在、農民は収穫の25%を農業現物税として国家に納めるだけで、その他は自由に処分しています。農民は、愛国的熱意と高度の生産意欲をもって熱心に農業を営み、収穫を高めています。こうして、長いあいだ停滞状態にあったわが国の農業は、急速な発展を遂げています。

 こんにち、わが党は、土地の主人となった農民の骨の折れる労働を軽減し、農業を急速に発展させる課題を提起しています。この課題を実現するためには、近代的な農業機械、農機具、化学肥料をより多く農村に供給しなければなりません。わが党の提起した課題が遂行されれば、都市と農村のつながり、労働者階級と農民の同盟はいっそう強化され、勤労農民は労働者階級の指導のもとに朝鮮革命の大きな勢力となるでありましょう。

 第3に、インテリの地位も変わりました。

 いまインテリは、人民政権機関や工場、企業所の責任ある地位についています。解放後4年のあいだに労働者、農民出身のインテリが養成されて、人民的な新しいインテリ集団が形成されました。

 党組織は、解放後における各階級、階層の変化した地位と新しい社会の建設におけるその地位と役割について、いろいろな形式で正しく解説すべきです。こうして、人民政権機関の強化と政治・経済・文化建設で、彼らが高度の愛国的熱意を発揮するようにすべきです。

 党組織と幹部、党員たちは、祖国統一の物質的基礎を築くために人民経済計画を期限内に完遂し、新しい工場、企業所をより多く建設し、日用品をより多く生産し、共和国政府のすべての施策をあくまで貫徹すべきであります。

 両党の合同と関連して、幹部の選抜、登用、配置に深い関心を払うべきです。

 南北朝鮮の労働党が合同すれば、わが党はさらに強力な勢力になるでありましょう。この4年間、北朝鮮労働党は、政治的、思想的に、組織的に強化され、民主建設をおこなう実際の活動を通して国家を建設し管理する方法を学びました。

 幹部は、政治・思想理論水準を高めるために、たえず努力しなければなりません。幹部は、マルクス・レーニン主義理論を研究し、わが党の闘争史と現実を深く学ばなければなりません。また幹部は、外国の党の先進的経験を研究し、それをわが国の現実に正しく適用できなければなりません。そうであってこそ、幹部は、理論的、実践的に鍛えられた政治活動家となることができます。

 両党の合同は、全党員と各級党組織の強力な思想的統一と行動の一致を求めています。かつて、党派的・分派的行動は、朝鮮革命と共産主義運動を破滅に導きました。

 我々は、党内で南朝鮮出身、北朝鮮出身、過去の派閥関係などを論じて党派争いをするようなことが絶対にあってはなりません。我々は、党の統一と団結をいつにもまして厳格に保つべきです。

 労働党員には、北朝鮮出身や南朝鮮出身の区別がありえません。朝鮮民族は過去にも一つであったし、今後も一つであるでしょう。すべての党員は、北朝鮮労働党員であったにせよ、南朝鮮労働党員であったにせよ、祖国と人民のために生命を惜しまずたたかう決心をかため、かたく団結すべきであります。

 わが党は、一つの指導部をもつ一つの党であります。いかなる勢力も、わが党を分裂させ動揺させることはできません。

 わが党には、党を内部から切り崩そうと狂奔する反動分子の陰謀とあらゆる敵対的思想に警戒心を高め、党の統一と団結を強化する任務が提起されています。党の純潔を保つことは、わが党を祖国の統一独立と民主化のためにたたかう、勤労大衆の強力な権威ある大衆的党に発展させる決定的な裏付けであります。

 私は、わが党が権威と戦闘力のある中央委員会の指導のもとに、国土の保全と祖国の統一独立をめざす人民のたたかいを力強く指導しうるものと確信します。
                                                
出典:『金日成著作集』5巻


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