金 日 成

寸土といえども敵に渡すな
内務省警備局第3警備旅団の幹部たちに与えた指示 
1949年5月10日

 この5月4日の松嶽山(ソンアクサン)戦闘で、松嶽山大隊の軍人たちは非常に勇敢に、立派にたたかいました。彼らは、戦闘経験がないにもかかわらず、敵の大規模な攻撃を成功裏に撃退し、敵に取り返しのつかない惨敗をこうむらせました。この戦闘によって、軍事戦略的に重要な松嶽山を奪取しようとした敵の企図を挫折させたばかりでなく、わが軍の武力がいかに強力であるかを立証しました。

 しかし、敵の攻撃がつづいている状況にあって、絶対に成果に満足したり、勝利におぼれたりしてはなりません。いま、敵は侵略企図を捨てず、38度線付近に兵力を大々的に増強しており、予備隊まで動員して新たな攻撃を準備しています。我々は、警戒心をさらに高め、敵の一挙一動を鋭く監視し、その向こう見ずな軍事的挑発に対処できるよう、万端の戦闘態勢を整えるべきです。いかなることがあっても、寸土といえども敵に渡してはなりません。

 軍人の教育に格別の関心を向けなければなりません。軍人に勝利の信念と頑強な戦闘精神を培い、党員が前衛の役割を高めるよう文化部と党組織の活動をいっそう強化すべきです。

 戦闘で勝利するためには、参謀部の役割を高めることが極めて重要です。したがって、指揮官は、参謀部の活動に深い関心を払うべきであります。参謀部員の訓練を強化し、どのような状況にあっても、参謀部の任務を巧みに遂行できるようにすべきです。参謀部は、警備の組織から戦闘準備、戦闘指揮にいたるまで緻密な戦闘計画を立て、部隊管理に万全を期さなければなりません。

 敵の侵入を防御線の前方で決定的に掃滅できるよう陣地体系を早急に完成し、防御施設を強化すべきです。特に、戦術的に重要な地点と独立した防御陣地には、円形防御体系を確立し、トーチカと障害物を構築すべきです。

 侵入する敵を防御線の前方で掃滅するばかりでなく、機先を制して敵の企図を破綻させ、その攻勢を事前に挫折させなければなりません。襲撃組の活動を積極化し、敵の指揮部と集結区域に砲兵火力を集中して基本集団を掃滅し、敵に決定的な打撃を与えるべきです。

 敵の軍事的侵犯行為が激化している現状に照らして、機動大隊を新たに編制すべきです。機動大隊は、待機状態で訓練し、状況に応じて迅速に機動して最前線部隊を支援し、敵に決定的な打撃を加えなければなりません。

 旅団の砲兵火力を増強し、それを有効に利用すべきです。火砲は、渓谷ばかりでなく、状況と地形に応じて高地の上にも、要塞化された陣地にも配置することができます。要は、敵を多く掃滅できる位置に火砲を配置し、有効に利用することです。

 そして、武器と戦闘技術機材の配備状態を維持し、弾薬と砲弾をはじめ、軍需物資の予備を十分に保有しなければなりません。部隊の機動を円滑に保障するためには、輸送機材を増加しなければなりません。

 軍用犬を増やし、軍用犬と騎兵を併用して空間地帯を厳重に封鎖しなければなりません。

 戦闘を立派におこなうためには、給養対策を確立し、兵士の生活に細心の関心を払わなければなりません。高地を守る勇士に炊きたてのご飯とスープで適時に食事をとらせ、食肉と野菜を多く供給すべきです。塹壕のなかで生活する戦闘員は風邪をひいたり腹痛を起こしたりしやすいので、有能な軍医を高地に派遣して診療に当たらせるべきです。

 旅団には、設備の整った大きな病院がなくてはなりません。特に、敵の攻撃が連日つづいている実状に照らして、それはいっそう緊切な問題です。負傷兵をいち早く後送して治療を受けさせ、真心をこめて看護すべきです。

 指揮官は、活動組織を綿密におこなって前線衛兵勤務を強化すると同時に、軍人に十分な休息をとらせなければなりません。

 警備隊は、人民を大事に保護し、人民から信頼され支持されなくてはなりません。革命軍隊の力の源泉は、まさにここにあります。今後も人民との連係を強化し、人民に好ましい影響を与えなければなりません。

 各級党組織と政権機関は、人民が軍隊を熱愛し積極的に支援するよう政治活動を強化し、留守家族の援護にも心を配らなければなりません。38度線警備隊の軍人に贈物や慰問の手紙を送り、専門芸術団を派遣して士気を鼓舞しなければなりません。今後、中央は綿密に手配して、たたかう38度線警備隊の軍人にすべてを優先的に保障するようにするつもりです。

 勇敢にたたかった軍人の戦功を高く評価すべきです。後方見学もおこない、休暇も与えるべきです。今後、38度線警備隊員のたたかいをテーマにした演劇や映画もつくり、文章も多く書くようにし、模範戦闘員を後方に派遣して戦闘経験を広く紹介する活動をおこなうべきです。

 複雑な情勢に対応して、38度線の軍人は、警戒心を高め、警備を強化して、敵の軍事的挑発をそのつど粉砕すべきです。
                                                
出典:『金日成著作集』5巻


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