金 日 成

党組織の活動を改善することについて
 北朝鮮労働党中央委員会第5回会議での結語
 −1949年2月13日−


 同志のみなさん!

 今度の党中央委員会第5回会議では、第2回党大会以後9か月のあいだの党細胞と初級党組織および面党組織の活動を総括する会議をしめくくり、党の指導を強化する問題、2か年人民経済計画遂行で党組織の役割を高める問題、道・市・郡(区域)人民委員会委員選挙を保障する問題を討議しました。

 私はここで、党組織の活動を改善することについて述べたいと思います。

 第2回党大会が開かれてから10か月が過ぎました。その間、党活動では大きな成果が達成されました。

 報告と発言のなかで一致して指摘されたように、第2回党大会以後、党組織、特に党細胞と初級党組織および面党組織の機能が強化され、党員の前衛的役割がいちだんと高まりました。党組織と党員の献身的で主動的な役割によって、昨年、朝鮮民主主義人民共和国を樹立するための最高人民会議代議員選挙が成功裏に実施され、1948年度の人民経済計画が完遂されました。その結果、人民大衆のあいだで我が党の権威はさらに高まり、広範な人民大衆は我が党をいっそう信頼するようになりました。

 第2回党大会以後、我が党は強力な政治的勢力に発展しました。党は、質的に強化されたばかりでなく、量的にも大きく成長しました。こんにち、我が党は80余万の党員を擁し、工場、農村、漁村など大衆のいるところにはすべて党細胞が組織されて活発に活動しています。こうして我が党は、広範な勤労人民大衆のなかにいっそう深く根をおろすようになりました。

 我が党が人民大衆の絶大な信頼をかちとり、かれらのなかに深く根をおろしたことは、我々の大きな勝利であります。これは、我が党発展の貴重な下地であり、今後の活動でより大きな勝利をかちとる確固とした裏付けであります。党組織は、これまでの成果にもとづいて、党活動をいっそう強力に展開すべきであります。

 第2回党大会は、共和国北半部の民主基地を強化し、祖国統一の歴史的大業を促進し、党を質的にかためる綱領的な課題を提起しました。党大会の綱領的な課題を順調に遂行するためには、党組織の活動を決定的に改善しなければなりません。

 党の路線と政策は、各級党組織を通じて実行されます。党の路線と政策が正確であっても、各級党組織がその役割を満足に果たせなければ、それは机上の空論にすぎません。したがって、各級党組織の活動を改善することは、党の路線と政策を成功裏に実行する基本条件であります。こんにち、各級党組織の活動が党中央の求める水準に達していない実状は、党組織の活動を改善する必要性をいっそう痛感させています。我々は、各級党組織の活動を改善して、第2回党大会の綱領的課題を立派に遂行しなくてはなりません。


 1 党の組織活動を強化することについて

 党の組織活動は、党組織が常時掌握しておこなうべき党内活動の一つであります。党の組織活動の強化は、党隊列の強化と、党の路線と政策の貫徹において極めて重要な意義をもちます。したがって、各級党組織は、党の組織活動の強化に常に第一義的な力を注がなければなりません。

 党の組織活動で重要なのは、党勢拡大を正しくおこなうことです。

 党は、党員の結集した政治組織であります。党勢拡大を正しくおこなえば、党の純潔を保ち、党を健全な土台のうえに発展させることができます。

 ところが今度、咸鏡(ハムギョン)北道と平安(ピョンアン)北道の党組織にたいする党中央委員会の指導、点検によって明らかになったように、党勢拡大を党の規約にそっておこなわない党組織がかなりありました。

 党勢拡大における主な欠陥は、関門主義的傾向と募集式の傾向であります。一部の党組織は、過度の資格条件を設けて、「政治的自覚が足りない」「なにも知らない」などと言って、当然入党させるべき人を入党させていません。そうかといえば、咸鏡北道のある郡の党組織では、昨年の最高人民会議代議員選挙の際に、なんの調査もせず募集の方法で多数の人を一括入党させ、郡党委員長が党印と党員証をもって入党者を訪ね歩き、党員証の交付をおこないました。党勢拡大でこうした誤りをおかしているため、当然入党させるべき人が入党できず、偶然分子、不純な異分子がまぎれこんでいます。

 党組織は、党勢拡大をあくまでも党的・階級的原則に立っておこなうべきです。

 我が党は、労働者、農民、勤労インテリの前衛部隊であるだけに、労働者、農民、勤労インテリのなかから優秀な分子を入党させなければなりません。労働者のなかには解放後、新しい民主朝鮮の建設で鍛えられた点検ずみの優秀な人が少なくありません。農民や勤労インテリのなかにも、多数の熱誠農民や進歩的なインテリがいます。こうした先進分子をためらうことなく入党させるべきです。

 党勢拡大において、個別的入党手続を厳守することは党規約上の必要条件であります。これを守らなければ、党内に不純分子、偶然分子がまぎれこむのを防ぐことができません。したがって、党組織は、入党対象者を個別的に審議し、十分な入党資格を備えた人だけを入党させるべきです。

 党組織は、党勢拡大活動を党的・階級的原則にもとづいておこなうばかりでなく、党員登録を正確におこなうべきです。いま、一部の党組織は、新入党員をそのつど登録せず、行方不明の者や除名された者をそのつど党籍から除いていませんが、このように党隊列の整備をおろそかにしてはなりません。党組織は、定められた規定どおりに党員登録を厳密におこなうべきです。

 党の組織活動で次に重要なのは、すべての党員を党生活に積極的に参加させることです。

 党生活は、党員が党の規約を実行する実践活動であり、党の目的を実現するためにたたかう政治活動であります。党員が党生活に積極的に参加してこそ、党は戦闘力のある党となり、革命課題の遂行で成果をおさめることができます。

 党員が党会議に積極的に参加するのは、重要な党の組織生活であります。党組織は、党員を党会議に積極的に参加させることに深い関心を払うべきです。

 そのためには、党員の政治・思想意識水準を高め、党会議を正しく運営しなければなりません。

 では、党会議を正しく運営するためにはいかにすべきでしょうか。

 まず、党会議の準備を十分におこなうべきです。討議する問題を正しく選定し、会議の報告書や決定書を正しく作成すべきです。党会議の報告書は、原則として会議の報告者が書くべきです。例えば、党細胞委員長が報告を述べることになっていれば、委員長が報告書を書き、副委員長が報告をすることになっていれば、副委員長がそれを作成すべきです。人の書いた報告書をそのまま読み上げたのでは、会議で成果をおさめることができません。党組織は、報告者が所轄単位の具体的な実状と党員の意思を十分に参酌して報告書を書くよう援助すべきです。党会議の報告書と決定書を正しく作成すると同時に、党員に発言の準備を十分にさせなければなりません。こうして、党員が十分な準備をととのえて会議に参加するようにしなければなりません。

 また、党会議で批判を強化し、党内民主主義を十分に保障すべきです。党内民主主義を保障することは、我が党の重要な組織原則であります。党内民主主義が十分に保障されれば、党員は自分の意思を自由に発表し、問題の討議に積極的に参加することができます。しかし、まだ一部の党組織では党内民主主義を十分に保障していません。ある党組織の一党員は、初級幹部の重大な欠陥に気づいていましたが会議では批判せず、数か月後、上級党組織に提訴しました。こうした傾向があらわれたのは、党員の政治的・思想的レベルが低いことにも原因はありますが、より重要な原因は党内民主主義が保障されていないことにあります。党内民主主義を抑える傾向を少しでも見過ごすならば、党員の創意と熱意を高め批判を強化することができません。したがって党組織は、党内民主主義を十分に発揚してすべての党員が建設的な意見を多く提起し、積極的に批判に参加するようにすべきです。

 党の規約どおりに党会議の運営を正常化し、党会議に党員がもれなく参加するようにすべきです。現在、少なからぬ党細胞と初級党組織は、党の規約どおりに党会議の運営を正常化していない実状なので、1か月に2回程度「党の日」を定め、その日に党会議を開くようにするのがよいでしょう。「党の日」には、党員は党活動と関係のない会合とか社会活動には参加せず、党会議に参加するようにすべきです。

 党員を党生活に積極的に参加させるためには、常時任務を分担しなければなりません。党の任務分担は、すべての党員にもれなく、そして各党員のレベルに応じて与えなければなりません。党員に任務を与えた後には、その実行状況を常に把握し、適切な指導と援助を与え、任務の実行状況をそのつど総括し、再び新たな任務を分担しなければなりません。こうして、すべての党員が党が与えた任務を果たすために、常に活動するようにしなければなりません。

 党の組織活動で次に重要なのは、党内に鉄の規律を確立し、各級党指導機関、特に細胞を強化することです。

 党細胞は、党員が所属して党生活をおこなう党の基礎組織です。党細胞を強化すれば党員の党生活を正しく指導し、我が党を強力な党にすることができます。

 党細胞を強化するためには、細胞の中核分子を多く育成しなければなりません。

 党細胞の党員の政治的・思想的レベルはそれぞれ異なっています。一つの細胞にも党性の強い党員もいれば、弱い党員もおり、政治的、思想的に鍛えられた党員もいれば、そうでない党員もいます。党細胞のこうした実状は、実践活動を通して党員の党性鍛練と政治理論水準の向上に影響を与える細胞の中核分子の育成を緊切な問題として提起しています。そこで、我が党は創立当初から一貫して、細胞の中核分子の育成を党の質的強化をはかる重要な活動として提起しています。

 党組織は、優秀な党員で細胞の中核分子の隊列をかため、その水準を高める活動をねばりづよく進めるべきです。細胞の中核分子の政治理論水準を高め、党活動の方法を教える短期講習を正常化し、実際の活動を通じて細胞の中核分子の水準をたえず向上させるべきです。

 党の組織活動で次に重要なのは、党組織の指導、点検を強化し、党活動家の指導作風を改善することです。

 党組織は、下級党組織の指導、点検を着実におこなうべきです。

 そのためにはまず、党の路線と政策、党の決定と指示の実行状況を把握し、その実行を援助することが大切であります。

 少なからぬ党組織では、党の路線と政策、党の決定と指示の実行が徹底していません。それは、それらにたいする指導、点検がおこなわれていないことと大いに関連しています。今後、党組織は、下級党組織が党の路線と政策、党の決定と指示をいかに実行しているかを常時指導、点検する気風を確立すべきです。こうして、党中央委員会の方針がすべての部門、すべての単位で貫徹されるようにすべきです。

 党細胞活動の指導・点検体系を正しく確立すべきです。現在、郡と面の党委員会、初級党委員会が、それぞれ独自に党細胞活動の指導、点検をおこなっているため、指導の散漫さを免れず、党細胞の強化に支障をきたしています。今後、党細胞の指導、点検は、郡党委員会がおこない、面党委員会と初級党委員会は郡党委員会に協力するようにすべきです。

 党組織の指導、点検で成果をあげるためには、責任幹部がこれを掌握しておこなうべきです。下級党組織の指導、点検を責任幹部がおこなわず、下部の活動家に任せては成果をおさめることができません。各級党委員会の責任幹部は、指導単位に出向いて直接指導、点検に当たり、指導構成員の集団的知恵にもとづいて、懸案を責任をもって解決しなければなりません。こうして、指導、点検が、下級党組織の活動の改善に助けとなるようにすべきです。

 党活動家の指導作風を、決定的に改善しなければなりません。

 一部の党活動家は、いまなお下部に行かず事務室で実行計画書を作成して下部におろしており、下部に行く場合にも欠陥をあばきだすことにとまっています。党活動家は、形式主義的で官僚主義的な指導作風を一掃し、下部の活動家の活動を実質的に援助する正しい指導作風を身につけるために、たゆみなく努力すべきです。党活動家は、準備を十分にととのえて、計画的に下部に出かけ、実状を具体的に把握し、現実に即した生きた指導をおこなわなければなりません。


 2 党の思想教育活動を強化することについて

 党の思想教育活動は、組織活動とならんで重要な党内活動の一つであります、党の思想教育活動を強化してこそ、党員と勤労者が党の路線と政策を身につけ、階級的意識を強めることができ、党の路線と政策の貫徹に党員と勤労者を力強く立ち上がらせることができます。

 しかし、党の思想教育活動には、早急に是正すべき欠陥が少なくありません。党の思想教育活動は、発展する現実に立ち後れ、極めて形式的におこなわれています。少なからぬ党組織は、キャンペーンに没頭し、党員と勤労者の思想教育を目的指向性をもってねばりづよくおこなっていません。

 党組織は、党の思想教育における形式主義的傾向を速やかに一掃し、発展する現実の要求にそって党の思想教育を改善すべきです。

 まず、党員と勤労者を、我が党の路線と政策、マルクス・レーニン主義理論で武装させる活動を着実におこなうべきです。我が党の路線と政策は、我々のすべての活動の指針であります。党員と勤労者が党の路線と政策で武装すれば、党の意図どおりに考え、活動し、ひいては民主建設と祖国統一のために献身的にたたかうことができます。党組織は、党員と勤労者にたいする党の路線と政策の宣伝を、党の思想教育活動の第一義的な課題とみなして着実におこなわなければなりません。同時に、マルクス・レーニン主義理論を朝鮮の現実と密接に結びつけて宣伝し、すべての党員と勤労者がそれを朝鮮革命の実践に正しく活用できるようにすべきです。

 次に、党員と勤労者の階級的教育を強化すべきです。

 こんにち、我が国の情勢は、党員と勤労者の階級的教育をさらに強化することを緊切に求めています。アメリカ帝国主義者は、共和国北半部における民主建設の成果を抹殺し、朝鮮人民を植民地奴隷にしようと狂奔しています。共和国の内部に潜んでいる反動分子も、アメリカ帝国主義者やかいらい李承晩一味と結託して、共和国の民主制度をくつがえそうと策動しています。もし、こうした情勢に目をつぶり、党員と勤労者の階級的教育をおろそかにするならば、かれらは、きょうの幸せな生活に陶酔して、帝国主義者と搾取階級にたいする闘争精神が麻痺する恐れがあります。そうなれば我々は、再び植民地奴隷の境遇に陥らざるをえないでありましょう。党組織は、党員と勤労者に、アメリカ帝国主義者の犯罪的侵略行為と搾取階級の悪どい本性を認識させ、かれらが、アメリカ帝国主義者と搾取階級にたいする憎悪心をいださ、階級の敵と仮借なくたたかうようにすべきです。

 党員と勤労者を難関克服の精神で教育することは、党の思想教育における重要な課題の一つであります。

 いま我々は、革命の途上にあります。我々は、革命の途上で多くの障害と難関に直面することを覚悟すべきであり、それらを自力で乗り越えなくてはなりません。党組織は、党員と勤労者がいかなる障害と難関にもひるんだり動揺したりすることなく、それを勇敢に克服する不屈の精神をもつように教育すべきであります。

 党の思想教育活動で成果をあげるためには、思想教育の方法をたえず改善し、宣伝扇動手段を有効に利用し、その体系を効果的に運営すべきです。

 党細胞学習会の水準を高め、その運営を改善すべきです。現在のところ党細胞学習会の水準は極めて低く、かなりの党員が学習会で学ぶ内容を十分に理解していません。それは、学習用の講義案を党員の水準に合わせて作成せず、また講師の水準が低いことに原因があります。大部分の講師は、講師講習会での受講内容を理解できず、それをまた、おうむ返しに党員に伝えています。こんなことでは、党細胞学習会の水準を高めることができません。党組織は、講義案を党員の水準に合うように作成すると同時に、優秀な人で講師陣を構成し、その政治理論水準の向上に深い関心を払うべきです。そして、講師の実力を高めるための講師講習会を定期的に組織し、新しい講師の養成体系を立てて有能な講師を多く養成すべきです。

 自習班を合理的に運営し、自習班の党員の学習を指導するための理論補講、学習討論会、質疑応答式学習会を計画的におこなうべきです。党組織は、上級自習班の党員に基本学習テキストのほかに、マルクス・レーニン主義理論を十分に理解させるために補講をおこない、下級自習班の党員には基本学習テキストを十分に理解させるために補講をおこなうべきです。自習班の党員の学習指導に当たって、道、市、郡の党委員会にある党図書室を十分利用することが重要です。党図書室を通じて自習班の党員に必要な参考書を配布し、そこを拠点にして学習談話、学習討論会などを定期的に組織すべきです。党組織は、自習班の党員の学習計画の作成とその実行状況を把握指導し、多様な形式と方法で学習状況を総括すべきです。

 党組織は、党細胞学習会や自習班を正しく運営するばかりでなく、大衆団体の学習網にも深い関心を払うべきです。党組織は、有能な講師を派遣して大衆団体の学習班を指導すべきです。

 講演は、極めて重要な宣伝教育方式の一つです。我が党は、講演を通して党員と非党員大衆に我が党の路線と政策、内外の情勢を解説しています。したがって、講演を立派におこなうことは、党員と非党員大衆を党政策の貫徹へと力強く決起させるうえで重要な意義があります。党組織は、講演会を機動的に組織すべきです。聴衆のレベルに合うように原稿を書き、有能な講師や党活動家が講演をするようにすべきです。

 中央党学校をはじめ、党幹部養成機関の教授・教育を改善し、優秀な党幹部を多数養成すべきです。


 3 経済建設にたいする党の指導を強化することについて

 私は第2回党大会で、我が党が人民大衆を政治的に指導できる党となるばかりでなく、経済を建設し、指導できる建設者の党となるべきであると強調しました。我が党は、富強な自主独立国家を建設し、人民の物質・文化生活をたえず向上させるためにたたかうのであるから、当然、経済建設を掌握して指導すべきであります。経済建設にたいする党の指導を強化すれば、党の意図どおりに経済建設をおこなって自主独立国家の物質的土台である民族経済を復興し、人民の物質・文化生活を系統的に向上させることができます。

 経済建設を党が指導するということは、政治的組織活動によって経済建設を保障することを意味します。

 しかし、少なからぬ党組織は、経済建設にたいする党の指導を行政・経済事業にたいする国家の指導と同一視し、経済建設にたいする党の指導を行政化しています。

 今回の会議で批判されましたが、興南(フンナム)市党委員会管下のある党委員会は、工場の党細胞に行って実態を調査し援助するのではなく、下部の活動家を呼んでひんぴんと会議を開き、生産統計を提出させることで経済建設にたいする党の指導にかえていました。工場の党細胞委員長を集めて就労時間内に開いた細胞委員長連合会議だけでも、1か月のあいだに24回になります。こうした活動態度は、下部の活動家に好ましくない影響を与えました。ある工場の党細胞委員長は、大きな細胞事務室を構えて、回転椅子に座り、電話で生産を指揮し、職制外の人員を配置して雑多な文書の処理に没頭していました。

 経済建設にたいする党の指導を行政化する傾向は、たんに工業部門ばかりでなく、農業部門にもあらわれています。

 各級党組織は、経済建設にたいする党の指導を行政化する傾向をなくし、あくまでも経済建設を政治的方法で指導すべきです。

 経済建設にたいする党の指導で重要なのは、勤労大衆に党の経済政策と提起された経済課題の重要性を解説し、政治的熱意を高めることです。

 生産の直接の担当者は勤労大衆です。勤労大衆の政治的熱意を高めることなくしては、経済建設の成果を期待することはできません。勤労大衆の政治的熱意は、我が党の要求を正しく理解し、各自の責任を深く自覚するときに高度に発揮されます。党組織は、党の経済政策と提起された経済課題の重要性を広く宣伝して、勤労大衆が高度の政治的熱意をいだいて、生産闘争で知恵と創意をいかんなく発揮するようにすべきです。

 すべての生産部門に党員を正しく配置し、その前衛的役割を高めることは、経済建設にたいする党の指導を保障するうえで重要な問題の一つです。党員を正しく配置し、その前衛的役割を高めれば、党の路線と政策がすべての生産部門に正確に浸透し貫徹されます。党組織は、すべての生産単位に党員をもれなく配置して党員のいない生産単位がないようにし、特に困難で骨の折れる生産部門に優秀な党員を配置すべきです。党組織は、党員にたいする活動を強化して、党員が各自の義務を深く自覚し、常に困難で骨の折れる仕事の先頭に立って実践的模範で大衆を導く旗手となるようにすべきです。また、優秀な党員をためらうことなく行政・経済幹部に登用し、経済組織活動と生産指揮を立派におこなうよう援助すべきであります。

 経済建設にたいする党の指導を順調におこなうためには、党活動家が経済知識と企業管理の方法を身につけなくてはなりません。党活動家が経済や企業管理の方法を知らなければ、経済建設の指導で官僚主義を免れることができず、行政・経済活動家に追随する結果をまねきます。党活動家はこれを深く銘記し、経済知識と企業管理の方法を身につけるために積極的に努力すべきです。

 現在、朝鮮人民は、2か年人民経済計画を遂行する壮大な闘争を展開しています。

 2か年人民経済計画の中心課題は、日本帝国主義支配の後遺症である経済の植民地的跛行性をなくし、工業と農業の技術的改造をおこない、生産の高いテンポを保ち、自立的民族経済の土台をきずくことであります。工業部門では、2か年計画期間に日本帝国主義者が破壊した工場、企業所を完全に復旧し、国営工業総生産高を1948年の2倍に増大させることを予定しています。農業部門でも1948年に比べ作付面積は1.9%拡張し、穀物総収穫高は7.9%増加させることを予定しています。

 2か年人民経済計画の遂行は、共和国北半部の民主基地を強化し、祖国の統一と富強な自主独立国家の建設を促進し、人民の福祉増進をはかるうえで大きな意義をもちます。2か年人民経済計画が完遂されれば、民族経済は急速に復興発展し、人民の物質・文化生活は著しく向上するでしょう。そして、共和国南半部の破壊された経済を復興し、飢えと生活難に苦しんでいる南朝鮮人民を救援する強固な物質的土台がきずかれるでありましょう。

 各級党組織は、2か年人民経済計画の遂行を保障する正しい対策を立て、すべての力を動員して2か年人民経済計画を完遂および超過完遂するようにしなければなりません。

 人民経済の主導的部門である工業部門で2か年計画の課題をいかに遂行するかは、2か年人民経済計画遂行全般に大きな影響を及ぼします。工業部門で計画課題を遂行すれば、2か年人民経済計画全般が成功裏に遂行され、逆に工業部門で計画課題を遂行できなければ、2か年人民経済計画全般が完遂されない結果をまねくでしょう。党組織は、工業部門が2か年計画課題を完遂するよう、第一義的な関心を払うべきであります。

 なによりも工場、企業所が、生産の組織を合理的におこない、労働生産性を最大限に高めなければなりません。労働生産性を高めるためには、労働規律を強め、先進的作業方法を積極的に採用し、労働者の技術熟練度を高め、創意考案運動を広く展開することが大切です。党組織は、労働者の創意考案を積極的に援助し、すぐれた創意考案はいち早く生産に導入させるべきです。

 工場、企業所では、原価を引き下げ、製品の品質を高め、出来高払い賃金制を正確に実施すべきです。工場、企業所では製品の量産にかたより、品質をないがしろにする傾向と強くたたかうべきです。出来高払い賃金制を正確に実施することは、労働者の生産意欲を高めるうえで重要な作用をします。工場、企業所では、出来高払いの基準量を正しく定め、その遂行率によって賃金を支払う原則を厳守すべきです。

 党組織は、工場、企業所で企業管理の方法を改善し、計画規律を強化することに深い関心を向けなければなりません。企業管理において支配人の主観と独断を排し、労働者の知恵をくみあげるために生産協議会を実質的に運営すべきであります。また、工場、企業所では、指標別計画を正確に遂行すべきです。これまで、一部の工場、企業所には、金額上の計画遂行にかたより生産しやすい製品だけを生産したり、計画に予定されていない製品を生産する傾向がありました。こうした傾向が2か年計画の遂行過程にあらわれてはなりません。党組織は、工場、企業所が生産計画を金額上ばかりでなく、現物指標別にも無条件遂行するようにすべきです。そして、工場、企業所が、利害関係を打算して連帯生産製品を適時に生産せず、他の工場、企業所の生産に支障を与えるようなことがあってはなりません。

 党組織は、労働安全対策の強化と労働者の物質・文化生活水準の向上にも、当然関心を払うべきであります。工場、企業所は、徹底した労働安全対策を確立し、労働者の生活条件を十分に保障すべきです。

 交通運輸部門にたいする党の指導の中心は、鉄道における貨物輸送計画の完遂におくべきです。党組織は、機関車と貨車の実動台数を増やし、定刻運行を確保し、線路を補強し、機関車と貨車の修理を丹念におこなうようにすべきです。

 2か年計画に予定された農産物生産計画の遂行は、食糧問題を円滑に解決し、工業用原料を供給し、人民生活を向上させるうえで重要な意義をもちます。党組織は、農業部門で耕地面積を拡張し、土地を改良し、優良種子を確保し、先進的営農方法を導入し、灌漑工事を大々的におこない、家畜を多く飼育するようにすべきです。こうして、穀物、工芸作物、畜産物生産計画を正確に遂行するようにしなければなりません。

 2か年人民経済計画を完遂するためには、党組織が勤労大衆に2か年人民経済計画遂行の意義を広く宣伝しなければなりません。また、党の機関紙をはじめ宣伝扇動手段を通して、2か年計画遂行における模範的事実と立派な経験を広く紹介すべきです。

 節約運動を強化することは、2か年人民経済計画を完遂する重要な裏付けの一つです。工場、企業所では、原料や資材の浪費をなくし、事務機関でも資金を流用したり、無計画に支出して浪費するようなことがないようにすべきです。そして、全人民が質素に生活すべきです。

 2か年人民経済計画の完遂をめざす闘争は、必然的に深刻な階級闘争をともないます。共和国北半部における民主建設の成果が大きければ大きいほど、反動分子はいっそう卑劣な策動をおこないます。民主建設の巨大な課題である2か年計画の遂行過程で、反動分子が破壊・謀略策動をおこなわないとは限りません。党組織は、工場、鉄道、農村などすべての部門、すべての単位で革命的警戒心を高め、反動分子の策動を鋭く監視し、いち早く摘発、粉砕しなければなりません。


 4 統一戦線活動を強化し、大衆団体の指導を強化することについて

 統一戦線活動の強化は、我が党の政治路線から提起される重要な問題であります。これまで我が党は、民主主義民族統一戦線の結成と強化において主導的な役割を果たしました。我が党は、民戦内で友党との連係を強化し、人民各階層を民主主義民族統一戦線の旗のもとに結集させるために献身的に努力しました。その結果、北朝鮮民主主義民族統一戦線は、数百万の組織大衆を結集する強力な政治組織となりました。

 これまで統一戦線活動には、早急に是正すべき欠陥もかなりあらわれました。その一つは、一部の党組織と党員が友党組織や友党党員と活動上、緊密な連係を保って協力しようとしなかったことであり、他の一つは、一部の党組織や党員が、民主主義民族統一戦線を強化するという口実で、友党組織や友党党員の反民主的傾向にたいして原則的な闘争をおこなわず、それに同調したことであります。それらはいずれも、我が党の統一戦線政策に甚だしく反することであります。

 党組織は、友党組織と友党党員にたいする活動を決定的に改善すべきであります。

 党組織は、党中央の方針にもとづいて、主動的に友党組織と活動上緊密な連係を保ち、協力しなければなりません。友党組織の方から訪ねて来るのを待たずに、必要なときには、こちらから訪ねて行って提起された問題を真剣に協議し、協力して解決する気風を確立すべきであります。

 友党組織にたいする活動では、下部統一を強化することが大切であります。友党党員との摩擦を避け、たえず党の影響を与えて、かれらが共和国政府の諸施策を積極的に支持し実行するようにすべきであります。友党に潜んでいる反動分子は、我が党と友党との連係を弱めるため、覚醒していない友党党員をそそのかして労働党員との摩擦を引き起こそうと策しています。我々は、友党党員にたいする活動を正しくおこない、友党に潜んで策動している反動分子を友党党員自身が摘発するようにすべきであります。

 大衆団体にたいする指導を正しくおこなうべきです。

 大衆団体の指導を正しくおこなうことは、党の大衆的基盤を強化し、我が党に提起された革命課題を遂行するうえで重要な意義があります。しかし、一部の党組織は、大衆団体にたいする活動をおろそかにし、その指導を正しくおこなっていません。甚だしきにいたっては、一部の党組織は大衆団体の役割を過小評価し、下部の活動家に指導を任せています。そのため大衆団体は、党の外郭団体としての役割を正しく果たしていません。

 大衆団体にたいする指導において重要なのは、大衆団体に党員の活動分子を派遣し、その役割を高めることです。大衆団体が党の外郭団体としての役割を十分に遂行するか否かは、大衆団体の各級指導機関の活動いかんに大きくかかっています。党組織は、大衆団体の各級指導機関に優秀な党員を派遣して、責任をもって活動するようにすべきです。

 大衆団体にたいする党の指導でまた重要なことは、各級党委員会の責任幹部が大衆団体にたいする活動を担当して、大衆団体の特質に合う活動方向を示し、活動状況にたいして随時報告を受け、懸案を速やかに解決することです。職業同盟、農民同盟、女性同盟、民主青年同盟をはじめ大衆団体は、組織構成においてそれぞれ異なる特質をもっています。これを考慮せず一律に大衆団体に活動方向を与え、指導するならば、各種の大衆団体を組織した意味がなくなります。党組織は、各大衆団体の特質に応じて、それらにたいする指導を具体化すべきであります。

 今回の会議では、各級党組織の活動を改善するための重要な対策を討議しました。今度の党中央委員会第5回会議は、我が党組織、特に党細胞と初級党組織および面党組織の活動の改善において画期的な契機となるでありましょう。

 私は、各級党組織と党活動家が、党中央委員会の示した課題を立派に遂行して、党活動に画期的な転換をもたらすよう望みます。

出典:『金日成著作集』5巻


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