金 日 成

2か年人民経済計画の遂行は祖国統一の物質的保障
朝鮮民主主義人民共和国最高人民会議第2回会議でおこなった演説 
1949年2月1日

 代議員の皆さん!

 最高人民会議第2回会議は、全人民の大きな期待のなかで人民経済発展2か年計画と共和国政府の対外政策、各級人民委員会の選挙など重要問題の討議をおこなって、順調に閉会することになりました。

 本会議に上程されたすべての議案は、代議員の完全な意見の一致をみましたが、これは各民主政党、大衆団体や各階層人民の団結がいかに強固であるかを立証するものです。本会議の成果はさらに、全朝鮮人民から選挙された最高人民会議が全民族の利益と全人民の意思を代表し、祖国の統一独立と人民の幸福のためにたたかう新しい民主朝鮮の最高立法機関であることを、いま一度立証するものであります。

 私は、本会議で決定された諸問題が朝鮮人民の全幅的な支持を受け、全人民は我々とともに、この決定の実現のために全力を尽くすものと確信します。

 皆さん!

 今回の最高人民会議では、昨年度の人民経済計画の実行でおさめた輝かしい勝利を総括し、朝鮮人民により大きな勝利と幸福をもたらす人民経済発展2か年計画を審議しました。

 1948年度人民経済計画の完遂は、全人民が共和国政府のまわりにかたく団結し、富強な祖国を建設するために高度の愛国的熱意を発揮し、共和国政府の諸施策を支持し、その実行のために力と才能を尽くしてたたかったたまものであります。それはまた、共和国政府と各級人民委員会が、人民の政権として、人民大衆と血の通ったつながりを保ち、勤労者の生産意欲をたえず高め、彼らの増産闘争を正しく指導した結果であります。

 1948年度の人民経済計画が完遂された結果、共和国北半部の民主基地は強化され、国の経済的土台はさらにかためられ、人民の物質・文化生活水準は著しく向上しました。

 1948年度に国営および協同経営工業総生産計画は102%に超過完遂され、1947年度に比べて、工業生産は50.6%も伸びました。平壌化学工場が完全に復旧し、江西電気機械製作所と平壌機械製作所が新設され、吉州パルプ工場の拡張工事、南浦板ガラス工場の新設工事、阿吾地化学工場の復旧工事がすべて期限前に完了し、今年度は生産の正常化が可能になりました。

 祖国の発展と民主化のたたかいで、常に中核的役割を果たしてきた労働者階級は、昨年度も高度の愛国的熱意と創意を発揮して産業部門の計画遂行を可能にし、工業の復興に大きな功績をつみました。

 興南肥料工場の労働者、技術者、事務員は、1948年度の人民経済計画を1か月繰り上げて完遂することを、すべての工場、企業所に呼びかけ、全国的な増産競争運動ののろしをあげて、みずから呼びかけたとおりに年間計画を1か月以上繰り上げて11月28日現在で完遂しました。こうして年間計画を20.5%に超過完遂し、肥料生産を解放前の水準よりも著しく増大させたばかりでなく、その質をいちだんと改善して共和国内閣優賞旗かちとる誉れを担いました。黄海製鉄所と龍城機械製作所、虚川江発電所、川内里セメント工場、阿吾地炭鉱、谷山鉱山、新義州紡織工場をはじめ、多くの工場、企業所も立派な成果をあげ、昨年度の計画を期限前に遂行しました。

 虚川江発電所、水豊発電所、長津江発電所をはじめ、動力部門の労働者は、発電機と変圧器の復旧修理に要する多くの部品を考案、製作して発電能力の速やかな向上に大きく貢献しました。阿吾地炭鉱、寺洞炭鉱をはじめ、石炭工業部門の労働者は、日本帝国主義支配当時の古い採炭方法を新しい採炭方法に切り替えて労働生産性を3倍以上に高め、国家に多くの利益を与えました。成興鉱山、遂安鉱山、剣徳鉱山の労働者は、鉱業部門で労働生産性を著しく高め、原価の引下げに大きく寄与する各種の創意考案をおこない、化学工業部門の興南肥料工場、本宮化学工場の労働者の創意考案も立派な結実をもたらしました。機械工業部門で南浦造船所の労働者は、燃料を節約する鋳型乾燥炉を製作し、龍城機械製作所の労働者は水車バケットを創案し、新義州機械製作所の労働者は鋳鋼用鋳型乾燥炉を無煙炭が使えるよう改造して、国家に多くの経済的利益をもたらしました。

 かつて、日本帝国主義者と資本家から蔑視されながらも、働かざるをえなかった朝鮮の技術者の大多数は、こんにち、祖国と人民に奉仕する愛国的インテリ技術者となり、わが国の工業の急速を復興に大きく貢献しています。

 阿吾地炭鉱のある技師は、従来の残柱式採炭法のかわりに、日本帝国主義支配当時には想像すらできなかった120メートル長壁式採炭法を考案して、わが国の石炭工業に一大革新をもたらす端緒を開きました。本宮化学工場の技術者は、カーバイドを利用したアセチレンガスによるアルコール合成工程を導入し、アルコール生産で年間10余万石の穀物を節約し、平壌化学工場の技師長は、清津紡績工場の復旧工事の促進に大きく貢献したばかりでなく、平壌化学工場の復旧でも豊かな経験を生かして多くの創意的意見を出し、その復旧工事を1か月も繰り上げて完工させました。清津紡績工場の技師長は人絹糸の品質を著しく高め、生産原価を1947年度に比べ42.4%も引き下げる大きな功績を立てました。城津製鋼所の技師長と黄海製鉄所の技師長は、こんにちの愛国的な先進的技術者の典型として、あらゆる力と熱意を発揮して工業技術の発展のために献身し、国家の高い評価と労働者のあつい信頼を受けています。

 交通運輸部門でも多くの成果が達成され、昨年度の輸送計画を完遂しました。特に、指摘すべきことは、冬期には夏期に比べ輸送能力が落ちるという日本帝国主義支配当時の古い観点を打破し、鉄道運輸部門従業員の機能と熱意を高めるならば、冬期にも十分に輸送を正常化できるという貴重な教訓を得たことです。その結果、1948年度の冬期貨物輸送は夏期に劣らない好成績をあげ、平壌──元山線と満浦線で最も勾配がひどく通過能力の緊張した区間である陽徳──泉城間と价古──古仁間の電化も昨年度に完成しました。これらの事実は、日本帝国主義支配当時、一人の朝鮮人機関士さえいなかった朝鮮の鉄道が、解放後3年のあいだにわが国の従業員の手によって、いかに急速に発展しているかを端的に示しています。

 昨年度は、農業部門でも大きな勝利をおさめました。

 解放直後、共和国北半部地域の食糧事情は困難を極めました。日本帝国主義者と地主の過酷な略奪によって零落した農民は、国家と労働者に食糧を供給することはおろか、自家食糧にもこと欠く状態にありました。

 人民政権は、長年にわたる封建的搾取の根源を農村から一掃し、土地を耕作する農民に分与する土地改革を実施し、農業生産力を急速に復旧するすべての対策を講じました。こうして、土地の主人となった農民の生産意欲は、非常に高まり、農業生産はかつてない高揚を見せるようになりました。1947年度に穀物総収穫高は、1946年度に比べ17万トンも増加し、1948年度にはその前年度よりも60万トン増大して、解放前の1944年度の水準をはるかに上回る267万トンに達しました。

 農作物の多収穫をめざすたたかいで、立派な成果をあげた先進的愛国農民の実例は少なくありません。

 江原道鉄原郡の一農民は、稲のヘクタール当たり収量を12トン、すなわち平均収量の約4倍に引き上げ、平安北道博川郡の一農民は、稲のヘクタール当たり収量を9トンにまで高めて平均収量の3倍をおさめ、黄海道信川郡の一農民は小麦のヘクタール当たり収量を4トンに高め、黄海道載寧都の一農民は、綿花のヘクタール当たり収量を2トン以上に引き上げました。こうした模範農民が記録的な多収穫をおさめた秘訣は、秋耕と春耕を時機を逃さずにおこない、土地を改良し、立派な種子をまきつけ、肥料を十分に施し、除草を繰り返すなど先進的な営農方法を導入したことにあります。このように、先進的な営農方法を適用し農作業を熱心におこなうならば、誰でも多くの収穫をおさめることができるのです。

 農業生産で成果が達成された結果、食糧事情が極めて困難であった共和国北半部は、食糧を自給自足できる地帯となりました。これは、朝鮮農民の誇らしい功績であり、全人民の大きな勝利であります。

 昨年、朝鮮人民は、経済建設において極めて大きな成果をおさめました。しかし、これはまだ、富強な自主独立国家を建設する壮大な前進運動の第一歩にすぎず、さらに重大で困難を課題が目前にひかえています。

 我々は、今回の最高人民会議第2回会議で、人民経済復興発展のための1949~1950年2か年計画を討議し、これに対する法令を採択しました。

 それではどうして、我々は従来のような年間計画ではなく、2か年展望計画を作成したのでしょうか。それはまず、わが国の人民経済がそれだけ前進し、今後の発展展望がより大きくなったことと関連しています。既に2年のあいだ年間計画を作成し、それを完遂する過程で、主な工場、企業所がほとんど復旧され、工業生産の範囲が拡大し、部門間の連係がいちだんと緊密になり、民族経済の正常な発展の基本的基礎が築かれました。こうした状況にあって、人民経済のより長期の発展展望を正確に見通すことが可能になったばかりでなく、もはや年間計画では、将来を見通して工業を計画的に発展させることができなくなりました。そして、計画化におけるその間の貴重を経験は、展望計画の作成を容易にし、その正確な実現を保障する下地となりました。

 こうして共和国政府は、1949~1950年の2か年人民経済計画草案を作成し、今回の最高人民会議の審議にかけ、これに対する法令を採択することになったのです。

 代議員の皆さん!

 2か年計画は、共和国北学部の全人民に極めて膨大かつ重要な課題を提起しています。

 工業部門では、まだ復旧されていない工場を2か年計画期間に完全に復旧し、操業中の企業所を拡張し、設備の利用度を最大限に高め、工業生産の規模を解放前の水準をはるかに上回るようにすべきです。特に、日本帝国主義支配の後遺症である工業の植民地的跛行性を一掃し、その技術装備を強化すべきであり、人民経済各部門に必要な機械と部品を自力で生産できるよう、機械製作工業を急速に発展させるべきであります。また、人民生活の需要を充足させるために、軽工業を発展させなくてはなりません。紡織工業、日用品工業および食品工業の発展に深い関心を払い、特に、人民の衣料問題を解決する紡織工業の発展に重点をおくべきです。

 このように工業を建設すれば、人民経済各部門をさらに発展させ、特に、農村で必要な農機具と農民の生活必需品を円滑に供給し、農業生産を急速に高めることができます。また工業を発展させれば、祖国の独立と発展のための自立的民族経済の土台を強固に築くことができます。

 人民経済の計画的な発展を保障するうえで重要な意義をもつのは、生産機材と一般消費物資をそのつど早急に輸送することです。特に、2か年計画期間に工業・農業生産の急速な伸長と商品流通の発展は、貨物輸送量の増大を求めています。交通運輸部門の従業員は機関車と車両を修理し、運輸手段の利用度を積極的に高め、秩序と規律を強化して2か年計画に予定された輸送課題を超過完遂すべきです。

 すべての労働者、技術者、事務員は、工業、運輸部門の戦闘的課題を必ず完遂するために、情熱と知恵を尽くして積極的に努力すべきであります。

 祖国の完全な統一を達成し、南半部の人民を早急に悲惨な状態から解放するために、北半部の勤労者はさらに心を引き締めて力強くたたかうべきです。

 2か年計画を超過完遂するために、生産と労働力の組織を合理的におこない、労働者、技術者の技術上の創意を助長し労働生産性を高め、製品の品質を改善すべきです。特に、すべての部門で、出来高払い賃金制と賞金制を正確に実施して労働者の生産意欲を高め、自覚的熱意を呼び起こすべきです。

 労働生産性を高め製品の品質を改善し、技術上の創意考案運動を進めるに当たって最も重要なのは、みずからの技術陣容を整え、勤労者の技能水準を高めることです。日本帝国主義者は、朝鮮民族を36年にわたって支配し、朝鮮青年が近代的科学と技術を修得する道を阻みました。その結果、わが国では民族技術幹部をもたずに解放後、新しい生活の建設に着手するようになりました。したがって、工業と運輸部門の技術者の養成は、経済建設における最大の難関を打開する極めて重要な事業です。

 我々は、生産点と各種の短期講習会を通して、技術者と技能工を養成する対策を講じると同時に、新しい世代のなかから多くの技術部門の幹部を養成する国家的対策を講じました。

 古参の技術者は経験の豊かな熟練工を助けて技術者に育て、熟練工は未熟練の青年労働者を援助して熟練工に養成すべきです。互いに学び教え合って、みなが技術を身につけるようにすべきです。古参の技術者と若い技術者、豊かな経験をもつ熟練工をためらうことなく生産部門の幹部に登用し、技術の発展に必要なあらゆる条件を保障して、技術者、技能工の問題を積極的に解決すべきです。

 我々はまた、解放後、自力で創立した大学、専門学校などで高級・中級技術者を多数養成しています。現在、11の大学と55の技術専門学校で、1万3000余名の大学生と1万7000余名の専門学校の学生が学んでおり、500余名の青年が選抜されて外国に留学し、先進的科学と技術を修得しています。このほかにも多くの工場技術学校で1万余名の技術者が養成されており、1950年には大学の通信教育を通して、2000余名の生産現場の技術者が高等教育を受けるでありましょう。

 こうして、1949年から1950年までの2年間に1万100余名の技術者、専門家が養成され、技術幹部の不足から来る難関を最小限克服するようになるでしょう。

 しかし、わが国が技術的な立ち後れから完全にぬけだすには、まだかなりの時日を要し、また今後より多くの技術者、専門家が必要とされます。特に、祖国が統一され、共和国南半部の破壊された工場、企業所も自力で復旧運営するようになれば、はるかに多くの技術幹部が必要になることは言うまでもありません。今後も多くの優秀な技術者を養成するために深い関心を払い、特に、勤労人民の子弟をより多く大学や技術専門学校で学ばせるために、学生の奨学金支給範囲を80%まで広げるべきです。

 技術者の養成に当たって、彼らが高度の民族的誇りと大きな抱負をもつよう教育することが極めて大切です。まだ一部の人の意識に残っている「日本人技術者にはかなわない」という誤った観点を決定的に打破しなければなりません。我々は、人より後れて科学を学び工業と技術を発展させていますが、誰よりも早く学び、より立派を機械をつくりだし、強力な民族工業を建設することができるという自信をもたなければなりません。

 計画の遂行に当たって重要な問題の一つは、資材に対する国家的計算と統制を厳格におこなうことです。まだ工場、企業所には、国に登録されていない資材が多く、物資の浪費があとを絶っていません。そのうえ、一部の工場、企業所では、支配人が隠匿資材を自分の工場の製品に加算して、計画を超過完遂したと偽りの報告をするとか、甚だしきにいたっては、悪徳商人と組んで国家財産を横領するようなことまでしています。秩序と規律がなく、計算と統制の弱いところでは、こうした不正行為がなくなりません。

 産業部門の管理者を、国家財産に対する正しい観点と国家の規律を厳守する精神でしっかり教育すると同時に、工場、企業所の運営を改善し、特に、計算と統制を強化して、物資の浪費や国家財産の横領行為を一掃すべきです。

 農業部門でも2か年計画に予定された課題は実に膨大です。この課題を超過遂行するためには、耕地面積を拡張し、土地利用度を積極的に高めると同時に、農作物のヘクタール当たり収量の増大に全力を尽くすべきであります。
 12億円(ウォン)の国家投資を予定している平南潅漑工事を力強くおし進め、安州、平原一帯の広大な平野部に水田潅漑をおこなうべきです。そして、先進的営農方法を積極的に導入し、国家が供給する化学肥料と自給肥料を十分に施すべきです。

 工芸作物は適地に集中的に栽培して、収穫高を高めることが大切であります。今年度からは綿花の適地を選定し、その地方の農民は、多くの耕地に綿花を栽培すべきです。これと同時に農家では桑を多く植え、どの農家でも養蚕運動をくりひろげるべきであります。

 すべての農民は、農業を立派に営むことが建国大業に貢献する道であることを認識し、高度の愛国的熱意と創意を発揮して農業部門に課された2か年計画の課題を超過完遂して、共和国北半部を食糧のゆとりのある地帯に変え、急速に発展する工業に原料を十分に供給し、みずからの生活向上をはかるべきです。

 代議員の皆さん!

 今回の会議で採択した2か年人民経済計画の重要な意義は、それが共和国北半部の経済的土台をかため、北半部人民の生活向上をはかるばかりでなく、祖国統一の頼もしい物質的保障をもたらす点にあります。2か年計画の完遂は、貧困と飢えに苦しむ南半部人民を民族の独立と統一をめざす闘争にさらに力強く決起させ、祖国の統一がなされれば破壊された南朝鮮経済を早急に復興し、南半部同胞の生活を急速に安定、向上させる物質的条件を整えるでありましょう。

 周知のように昨年4月、政見と思想を異にする南北朝鮮の各政党、大衆団体代表者の連席会議が開かれ、そこで全会一致で採択された方針にもとづいて南北朝鮮の総選挙が実施され、それによって朝鮮民主主義人民共和国が創建されました。もちろん、アメリカ軍が南朝鮮から撤退しないために、まだ祖国の完全を統一は実現していませんが、南北朝鮮の全人民は共和国政府を朝鮮における唯一の合法的政府としてこぞって支持し、そのまわりにかたく団結しています。我々が、南北全朝鮮人民の総意によって最高人民会議を選挙し、朝鮮民主主義人民共和国政府を組織したのは、祖国に生じた民族分裂の危機を打開するための時宜にかなった措置であり、祖国の民主主義的統一実現の広い道を開くものであります。

 こんにち、朝鮮民族の自主独立と祖国の統一をあくまで妨げているのは、アメリカ帝国主義者であります。アメリカ帝国主義者は、朝鮮に対する陰険な植民地従属化政策を実現するために、2度にわたってソ米共同委員会を破綻させ、朝鮮からソ米両国軍隊を同時に撤退させたうえ朝鮮問題を朝鮮人民に任せようというソ連政府の正しい提案さえ拒否し、朝鮮問題を国連にもち込んで、アメリカ帝国主義の朝鮮侵略の道具である「国連臨時朝鮮委員団」をわが国の南半部に引き入れ、南朝鮮に反人民的かいらい政府をつくりました。反動的売国奴の根城である南朝鮮かいらい政府がこれまでにおこなったことは、朝鮮をアメリカに売り渡す各種の亡国的協定を締結したことだけです。この反動かいらい政府は、朝鮮人民に有益な問題は何一つ解決しておらず、また解決する意思も、その能力もありません。

 南朝鮮の反逆者は、その売国行為が白日のもとに暴露され、朝鮮人民からますます孤立するにつれ、アメリカ軍の袖にすがって生きのびようとアメリカ軍の長期駐留を哀願しています。

 朝鮮民族の合法的な統一政府が樹立され、朝鮮人民の要請によってソ連軍が既に朝鮮から完全に撤退した現在、アメリカ帝国主義侵略軍が共和国南半部に残留する何の条件も口実もありえません。

 しかし、アメリカ帝国主義者は、ひきつづき朝鮮に対する侵略政策を実施し、南朝鮮長期駐留を合法化するために、再び朝鮮問題を第3回国連総会に不法に上程し、新しい「国連朝鮮委員団」を組織しました。そうした欺瞞策で朝鮮人民を欺き、おどすことは決してできません。全朝鮮人民は、アメリカ帝国主義者の朝鮮植民地化政策の道具である新たな「国連朝鮮委員団」を断固排撃しています。私腹を肥やすために祖国と民族の利益を売る李承晩、金性洙、李範奭などの売国奴のほかには、アメリカ帝国主義の侵略道具である新たな「国連朝鮮委員団」を歓迎する朝鮮人は一人もいません。

 こんにち、朝鮮人民の最も重大で緊急な課題は、アメリカ軍を南朝鮮から直ちに撤退させることであります。アメリカ軍さえ撤退すれば、朝鮮問題は何の混乱も難関もなく、朝鮮人民の意思に従って解決されるでありましょう。アメリカ軍を即時撤退させる闘争は、とりもなおさず、祖国の自由独立と統一のための闘争であり、全民族的利益をはかる闘争であります。朝鮮は朝鮮人のものであり、朝鮮問題は必ず朝鮮人民自身によって解決されなければなりません。

 民族を愛し、祖国の統一を願うすべての朝鮮人は、朝鮮からアメリカ軍を撤退させる全民族的闘争に大胆に決起すべきであります。

 反動派に欺瞞され盲従してきた人は、いまからでも誤りを悟り、人民の側に立ち返るべきであり、もし彼らが心から人民の側に立つならば、我々は彼らの過去の罪を問わず、手をとりあって進むでしょう。

 しかし、李承晩、金性洙、李範奭などの売国・民族反逆分子は、別問題です。我々は、彼らが祖国と民族を売り渡し、罪のない朝鮮人民を迫害し虐殺した犯罪行為を決して許さず、彼らを全人民の審判にかけるでありましょう。

 最近「国務総理」李範奭をはじめ、かいらい政府の売国奴は、共和国に反対する悪宣伝をおこなっています。昨日は、北朝鮮の13の都市で大規模の暴動が起こったという途方もないデマを流し、きょうは、海州一帯で大規模の暴動が起こったというデマを飛ばしています。人民が政権の主人となっている共和国北半部では、そうしたことは起こったことがなく、また起こるはずもありません。海州地方の住民が、南朝鮮かいらい政府「国務総理」のこうした悪宣伝を、狂犬が月に向かって吠え立てるようなものだと言っているそうですが、これは当を得た表現です。朝鮮に“火事だと叫ぶのは火のついた家”ということわざがありますが、察するところ、かいらい政府の「大統領」李承晩と「国務総理」李範奭は、その統治下の南朝鮮で暴動がたえず起こり、深刻な不安に駆られているようです。

 また最近、南朝鮮かいらい政府の売国奴は、毎日のように「北伐」について広言しています。彼らは、「北伐」が自分たちにどのような結果を招くかを察知できないようです。

 共和国北半部の民主基地は、政治的、経済的にますます強化されています。

 我々には、勤労人民の子弟で組織され、祖国と人民にこのうえなく忠実であり、人民のかちとった勝利と民主制度を確固と守る人民軍があります。人民軍は人民の武装力として、いかなる反動分子も、いかなる侵略勢力をも撃退しうる強力な軍隊に成長しました。もし、南朝鮮の親日派、民族反逆者、反動分子が「北伐」をあえてするならば、団結し覚醒した朝鮮人民とその武装力によって完敗を喫するでありましょう。

 我々は、人民政権機関を強化すべきであります。

 今度の最高人民会議第2回会議で採択された道・市・郡・面・里人民委員会選挙に関する決定も、地方政権機関のいっそうの民主化と強化を目的としています。我々はこの選挙を通して、人民の最もすぐれた代表を選出して政権機関に送り、共和国地方政権機関の権威と機能をいちだんと高め、政権機関と人民大衆の血の通ったつながりをいっそう緊密にしなければなりません。我々は、今度の選挙の意義とその徹底した民主的性格について大衆に広く宣伝し、人民各階層の政治的熱意を積極的に引き出して、輝かしい政治的勝利をかちとるべきであります。

 代議員の皆さん!

 こんにち、国際舞台では、ソ連をはじめ、民主陣営の威力が日増しに強まり、諸情勢は朝鮮人民の正義の大業にますます有利に進展しています。これは、祖国の自由独立と統一のためにたたかう朝鮮人民に勝利をさらに確信させるものであります。

 隣接国の一つである中国では、民族の自由と解放をめざす人民の闘争が勝利のうちに進められ、中国人民解放軍はわずか数か月のあいだに中国東北地方の全域と華北一帯を解放し、最近は4千年来の首都北京を解放し、現在、揚子江を渡河して南京に向かって進撃しています。中国人民の利益に背いてあらゆる罪悪行為をおこなった蒋介石は既に逃げ支度をして、台湾、香港、アメリカのいずれに逃避すべきかと頭を悩ましています。中国人民は、必ずや反動的売国奴一味の最後のあがきを粉砕し、遠からず全中国を完全に解放するでありましょう。

 蒋介石を最後まで援助すると広言していたアメリカ帝国主義者の論調は、どうしたことか最近になってやや衰えぎみです。しかし、アメリカ帝国主義者は、政治的・経済的危機を多少でも免れようと狂奔しています。彼らは、オランダ帝国主義者を唆し、インドネシアでも人民に反対する流血事件を引き起こしました。それゆえ、朝鮮人民は、世界各地で侵略と略奪の政策を実施しているアメリカ帝国主義者の一挙一動を注視しており、特に、朝鮮民族の仇敵である日本軍国主義者と結託しようとする凶悪な陰謀に、高度の警戒心をもってのぞんでいます。

 共和国の最も重要な対外政策は、民主陣営諸国人民との兄弟的友好団結を強化し、それら諸国との経済協力をさらに緊密にすることであります。我々は、ソ連人民との友好のきずなをさらに強化し、永久に彼らとともに進むでありましょう。また、朝鮮民主主義人民共和国を承認し、外交関係を結んでいるポーランド、チェコスロバキア、ブルガリア、ルーマニア、ハンガリー、モンゴルをはじめ、各民主諸国との親善・協力関係をひきつづき発展させていかなければなりません。

 こんにち、わが共和国は、世界民主陣営の堂々たる一員として、世界のすべての自由愛好人民の一致した支持を受けています。

 ソ連人民とすべての進歩的人民から積極的な支援を受け、民主主義人民共和国の旗を高くかかげ、祖国の統一独立と幸せな明日に向けて前進する朝鮮人民は必ず勝利するでありましょう。
                                                
出典:『金日成著作集』5巻

<参考>“火事だと叫ぶのは火のついた家”=日本のことわざに“火は火元から騒ぎだす”がある。意味は、人より先に騒ぐ者は、事を起こした本人であることが多い。出典は、朝鮮青年社発行の『朝鮮と日本のことわざ選』。


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