金 日 成

朝鮮民主主義人民共和国政府の政綱
朝鮮民主主義人民共和国最高人民会議第1回会議で発表した政綱 
1948年9月10日

 最高人民会議代議員の皆さん!

 日本帝国主義の植民地支配から解放された朝鮮民族は、わが国に一日も早く統一した民主主義的中央政府が樹立され、世界民主陣営の堂々たる一員となる独立国家が建設されることを待望しました。

 しかし、アメリカ帝国主義者にあやつられる南朝鮮の民族反逆者は、朝鮮問題に関するモスクワ3国外相会談の決定を破綻させ、南朝鮮を反動分子の横行する無法の地に変えました。これらの反逆者は、アメリカ帝国主義者と結託して、すべての民主的愛国勢力を残酷に弾圧する一方、ついには単独かいらい政府を樹立しアメリカ軍の長期駐留を要請しています。アメリカ帝国主義者とその手先一味は、朝鮮民族を永久に分裂させ国土を永久に分断し、南朝鮮を完全にアメリカの植民地に変えようと狂奔しています。

 このような状況において、南北朝鮮人民の総意によって樹立された統一的な朝鮮中央政府である朝鮮民主主義人民共和国政府は、国の完全な統一を実現し、富強な民主主義自主独立国家を建設する目的のもとに、次のような課題を実現するためにたたかうでありましょう。

 第1に、共和国政府は、全朝鮮人民を政府のまわりにかたく結集して祖国統一のための闘争に立ち上がらせ、国土保全と民族統一の先決条件となるソ米両国軍の同時撤退に関するソ連政府の提案を実現させるために全力をつくすでありましょう。

 第2に、共和国政府は、わが国の政治・経済・文化生活から日本帝国主義支配の後遺症を一掃するために必要な対策をとるとともに、朝鮮人民の利益をうらぎり、日本帝国主義者に積極的に協力した親日派、民族反逆者を共和国の法令によって処罰するでありましょう。

 政府は、日本帝国主義者が残した奴隷的思想と、わが国を再び外国帝国主義の植民地に売り渡そうとする民族反逆者と断固たたかい、北朝鮮に樹立された民主主義制度と経済および文化建設の成果を破壊しよううとする敵のあらゆる企みを徹底的に暴露し、粉砕するでありましょう。

 第3に、朝鮮民主主義人民共和国政府は、過去日本帝国主義者によってつくられたすべての法律とかいらい政府のいっさいの反民主的、反人民的な法令の無効を宣言するでありましょう。

 共和国政府は、北朝鮮で実施された土地改革、産業国有化、労働法令、男女平等権法令などの民主的諸改革を強化発展させ、それを全朝鮮に実施するためにたたかうでありましょう。

 第4に、朝鮮を富強な民主主義独立国家に建設するため、共和国政府は経済の植民地的従属性を一掃し、外国帝国主義者の経済的従属化政策に反対し、朝鮮人民の福祉をたえず増進させ、祖国の独立と繁栄を保障する自主的な民族経済を建設するでありましょう。

 政府は、国内のあらゆる資源を人民の利益のために合理的に利用できるよう単一の人民経済計画を作成し、その計画にもとづいて民族経済と民族文化を積極的に発展させるでありましょう。

 この課題を成功裏に解決するため、政府は次のような対策をとるでありましょう。

 1.工業の植民地的跛行性をなくして自主的民族経済の基盤をきずき、工業製品に対する国内の需要をみたすため、金属工業、機械製作工業、化学工業、造船業、軽工業、水産業などを積極的に発展させ、輸送を円滑に保障するよう鉄道、自動車および船舶運輸を発展させるでありましょう。

 共和国政府は、現在操業中の工場の能力を最大限に発揮させ、まだ復旧されていない工場をすべて復旧し、一連の新しい工場を建設するでありましょう。

 政府は、一般消費物資の生産を急速に拡大するため、紡織工業、皮革工業、製靴工業、その他の軽工業を積極的に発展させ、特に、この部門の協同組合企業に多くの援助を与え、個人企業の創意性を奨励するでありましょう。

 2.共和国政府は、北朝鮮で実施された土地改革の成果をかため、それにもとづいて農産業と畜産業を強力に発展させるでありましょう。

 政府は、農業を発展させるに当たって、農民の創意性を極力奨励し、彼らに肥料と農機具を円滑に供給し、農法の改良対策を講ずるなど、各方面から国家的援助を与え、彼らの営農活動を積極的に指導するでありましょう。

 穀物の生産を増やすために耕地面積と作付面積を拡張するでありましょう。特に、水田の面積を拡張し、米の収穫高を増やすために、政府は国家資金による潅漑工事を積極的に進める一方、農民の自発的な潅漑建設事業を奨励し援助するでありましょう。

 政府は、人民の織物需要をみたすため綿花の栽培面積を拡張し、養蚕業を発展させ、人民経済の木材需要を解決するため林業の発展をもはかるでありましょう。

 3.政府は、人民に生活必需品を十分供給するため、都市と農村間の商品流通を円滑にし、物価を系統的に引き下げる政策を実施するでありましょう。

 都市と農村に国営商店と消費組合商業を広く設け、国営および消費組合商業を急速に発展させるとともに、私営商業も人民に必需品を供給するよう奨励するでありましょう。

 政府は、国内資源を十分開発し、生産をたえず増大させ輸出を極力拡大すると同時に、国の経済発展と人民生活に切実に必要な機械設備その他の物資を輸入するでありましょう。

 第5に、政府は、教育・文化・保健医療事業の発展に大いに力を入れるでありましょう。教育分野では、現在、未就学の児童を最大限に就学させ、初級中学校と高級中学校への進学率を高めるために学校網を大々的に拡充し、1950年には初等義務教育制を実施するでありましょう。

 政治、経済、文化の各分野に有能な民族幹部がなければ独立国家を建設することはできません。したがって、国家建設の各分野に必要な民族幹部を大量に養成することは共和国政府の最も重要な課題の一つであります。

 人民経済各部門に必要な多くの有能な民族技術幹部を養成するため、政府は技術専門学校と大学を増設し、高等教育機関のすべての施設を完備し、教授内容と教授方法を改善する対策を講ずるでありましょう。

 これとともに労働者と事務員に技術を普及するため企業所と機関に職場教育網や短期技術講習所を設け、技能工を養成するために多くの生産技術学校を設置するでありましょう。また、成人学校、成人中学校を増設し、成人教育を広く実施して勤労者のなかから文盲をなくし、彼らの文化水準を向上させるでありましょう。

 人民の政治意識水準と技術・文化水準を高めるために、新聞、雑誌、図書を大量に刊行し、図書館、映画館、劇場、クラブの活動を活発に展開するでありましょう。

 人民保健医療事業を発展させるために、企業所や農村に病院、診療所を広く設け、医薬品生産と医療器具の生産を増やし、医療部門の働き手を多く養成するでありましょう。

 第6に、共和国政府は、各級人民政権機関を極力強化するでありましょう。8・15解放とともに人民の自由意思によって創建された新しい人民政権形態である人民委員会は、朝鮮人民から絶対的な支持を受ける真の人民の政権となりました。

 政府は、朝鮮民主主義人民共和国の政治的基礎である地方人民委員会が既に組織されている北朝鮮地域では、それをいちだんと強化し、創設後反動勢力によって解散させられた南朝鮮地域ではその復活のためにたたかうでありましょう。

 第7に、対外政策において共和国政府は、わが国が世界民主陣営の同等な一員として、朝鮮民族の自由と独立を尊重し、平等を立場で我々に接する自由愛好諸国と友好関係を結ぶために努力するでありましょう。

 日本帝国主義の復活は、朝鮮民族の独立を脅かすものであるから、日本を再び帝国主義侵略国家に復活させようと企てる帝国主義諸国は、すべて朝鮮民族の敵とみなすでありましょう。

 共和国政府は、日本軍国主議勢力の一掃と日本の民主化に関するポツダム会談の決定の実現を強く要求するでありましょう。

 第8に、外米侵略勢力から国土を守り、北朝鮮でかちとった民主改革の諸成果を守るため、政府は人民軍を極力強化するでありましょう。
                                                
出典:『金日成著作集』4巻


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