金 日 成

38度線警備隊の任務
―内務局警備処第3警備旅団長を任命した際の指示― 
 1948年8月7日

 今わが国には、非常に複雑で厳しい情勢が生まれています。

 アメリカ帝国主義者は、最近南朝鮮にかいらい政府をつくり、米軍の長期駐屯を企てながら植民地従属化政策をいっそう露骨に実施する道に踏み入りました。彼らは、38度境界線をわが国土と民族を永久に二分する「国境」に変えようと悪辣に策動しています。アメリカ帝国主義に操られた李承晩売国奴一味は、かいらい軍を大々的に増強しており、北朝鮮に多くのテロ団を潜入させて民主建設の成果を破壊し、人民の幸福な生活に混乱をきたそうとあらゆる策動をめぐらしています。今彼らは、38度線一帯で無謀な軍事的挑発を強化しています。

 したがって、我々は、38度境界線の警備を固め敵の侵害から祖国と人民の生命、財産を揺るぎなく守らなければなりません。

 新しい情勢に即して、最近我々は38度境界線の警備を強化する対策を講じました。今2個大隊が38度境界線の警備に当たっていますが、2個大隊をさらに増強して旅団を編成することにしました。

 警備旅団の任務は、敵の侵害から祖国と人民の生命、財産を鉄壁のように守り、敵が送り込むスパイ、破壊・謀略分子をそのつど摘発、掃討して国の民主建設をしっかり防衛することです。旅団の任務はまた、不法に38度線を越境する者に対する取締りを強化し、法律秩序をしっかり維持することです。

 旅団の任務は、困難かつ重要です。旅団に課された任務を遂行するためには、何よりも部隊をしっかりと固めなければなりません。

 警備隊の軍人の中には多くの党員がいます。したがって、旅団党委員会と管下の各党組織を固め、党活動を強化して党員の前衛的役割を高めなければなりません。

 これとともに、軍人を政治的、思想的にしっかりと武装させなければなりません。警備隊は、わが党の革命的武力です。革命軍隊の本質的優越性は、軍人が革命のために、祖国と人民のために命を賭してたたかう高度の思想的覚悟をもっていることにあります。軍人が、政治的、思想的に武装しなければ、祖国の守りを固めることも、革命を続けることもできません。特に、38度線の警備隊は、常に動員態勢の下で戦闘任務を遂行しているだけに、軍人は政治的、思想的にいっそう徹底した構えができていなければなりません。そうしてこそ、いかなる困難な境遇に陥ってもいささかも動揺することなく、各自の持ち場を固守し、敵と勇敢にたたかって勝利することができるのです。

 軍人に対する思想教育を強め、すべての軍人が不屈の革命精神と崇高な愛国主義思想で強く武装し、抗日革命烈士の闘争精神に習って祖国と人民を熱烈に愛し、敵と果敢にたたかうようにしなければなりません。

 次に、部隊管理を正しくおこなわなければなりません。警備隊は広い地域に分散配置されており、敵と直接対峙しているため、部隊管理を徹底させなければ、戦闘任務を成功裏に遂行することはできません。部隊の管理を正しくおこなうためには、指揮官と参謀部の役割と責任感を高め、部隊に鉄の規律と秩序を打ち立てなければなりません。

 わが軍隊の規律は自覚的な規律です。兵士たちに規律を守れと強要したり、処罰を与える方法では絶対に規律を打ち立てることはできません。資本主義国家の軍隊は、将校が棍棒をふりかざして強制的な方法で兵士を扱いますが、わが軍隊はあくまで解説と説得を基本にして軍人が自覚的に規律を守るようにしなければなりません。特に、独自に任務を遂行する38度線警備隊の軍人にとって、規律を自覚的に守ることは非常に重要です。今後、軍人に対する教育を強化し、すべての軍人が祖国防衛の前哨に立つ栄誉を深く胸に刻み、規律と秩序を自覚的に守り、戦闘任務を立派に遂行するようにしなければなりません。

 指揮官が部隊の管理を正しくおこなうためには、部隊の実状に明るくなければなりません。部隊が広い地域に分散配置されているので、実状にうといと部隊を正しく指揮することができず、下部で何かの偏向が生じてもそれを適時に是正することができません。したがって指揮官は、常に下部に出向いて部隊の実情を具体的に把握すべきです。

 次に、警備に手抜かりがないようにしなければなりません。

 警備は38度線警備隊に課された基本的任務であるだけに、区分隊を適切に配置し、警備区域とその任務を明確に示し、警備に万全を期さなければなりません。

 警備は、鉄道、道路の分岐点、それに敵が侵入しうる地点や重要高地に配置し、潜伏監視と巡回を組み合わせて合理的に組織しなければなりません。各哨所は、その位置が露出しないように十分な偽装をこらし、敵の襲撃に際しては決定的に撃破できるよう強固に築かなければなりません。

 衛兵は必ず3人以上集団的に派遣し、38度沿線で軍人が個別的に出歩いたり、武器を所持せずに行動するようなことが絶対にあってはなりません。衛兵勤務の際、みだりに発砲したり38度境界線を越えるようなことがないようにしなければなりません。しかし、敵が不法に我々の地域に侵入して、なんらかの挑発行為に出た場合は決定的な打撃を与え、二度と挑発できないようにしなければなりません。

 警備を手抜かりなくおこなうためには、非常呼集訓練と強行軍訓練をたびたびおこない、想定される情況に対処できるよう軍人を鍛えなければなりません。特に、巧みな戦術と百発百中の射撃術を身につけるよう訓練を効果的におこなうことが重要です。訓練はできるだけ戦闘任務に適応して、現地でおこなわなければなりません。それでこそいつも巧みに、敏捷に行動することができ、挑みかかる者も敗走する者も一人残らず撃ち止めることができます。

 衛兵勤務を抜かりなく遂行するためには、地形についてもよく研究すべきです。軍官から兵士に至るまですべての軍人が、どこに何があり、敵がそれをどう利用しているか、地形、地物が衛兵勤務にどのような影響を与えるかなどを具体的に把握していなければなりません。

 最近、敵は南北朝鮮全域で実施される最高人民会議の代議員選挙を破綻させるために、いっそう悪辣に策動しています。したがって、部隊の戦闘準備をさらに抜かりなくおこない、警備をさらに強化しなければなりません。すべての軍人が革命的警戒心を高め、常に緊張した動員態勢で敵の策動を鋭く注視し、彼らの企図を未然に摘発、粉砕すべきです。こうして、最高人民会議代議員選挙を成功させなければなりません。

 警備隊は、人民との結びつきを強めなければなりません。38度境界線の広い地域をすべて警備隊の力だけで守ることはできません。38度境界線警備の意義を人民に十分解説し、彼らを広く警備に動員しなければなりません。人民が覚醒すれば、一人の敵もわが方の地域に侵入することはできないし、たとえ侵入したとしても隠れきれず必ずや摘発されるでしょう。したがって、軍隊と人民が力を合わせて38度境界線の警備を抜かりなくおこなわなければなりません。警備隊は積極的に人民を援助し、彼らの生命、財産を守らなければなりません。

 次に、指揮官は、兵士の生活に十分関心を払わなければなりません。

 警備隊は、労働者、農民の子弟で組織された革命の軍隊です。警備隊の軍官と兵士は、ともに祖国と人民のために武器を手にとって敵とたたかう革命の同志であり、兄弟です。したがって、軍官と兵士は、互いに助け合い導き合いながら革命の任務を遂行していかなければなりません。

 部隊の責任者である指揮官は、兵士を愛しいたわり、彼らの生活を父母のような気持ちで見守らなければなりません。指揮官は、常に兵士の中に入って彼らとともに生活しながら兵士の心情を深く理解し、悩みごともそのつど解決してやらなければなりません。指揮官は、兵士が訓練する時は訓練場に出向き、衛兵勤務についている時は哨所におこなって彼らをいたわり、見守ってやらなければなりません。指揮官は、兵士を教育すると同時に、彼らから学ぶ革命家らしい品性を身につけなければなりません。

 部隊の兵舎を早急に整備し、洗面場などの衛生・経理施設を十分に整え、兵士が生活上の不便を感じないようにしなければなりません。食堂を清潔に整備し、食事の質を高めて、兵士に栄養価が高く好みに合った食事を与えるようにすべきです。

 わが国の今の情勢から見て、今後38度境界線の警備力をさらに増強すべきだと考えます。情勢の進展に伴って旅団が拡大されることもあり、新しい部隊がさらに編制されることもあるでしょう。警備隊の装備を徐々に近代化する対策も講じなければなりません。

 そのためには、多くの幹部が必要になりますが、今幹部が多くありません。旅団は、自力で幹部を多く育てて幹部の予備をもち、部隊が拡張されるか、または新しい部隊が編制される場合、適時に幹部を補充できるようにすべきです。今後、旅団では軍事・政治訓練を系統的におこない、すべての軍人をより高い水準に引き上げる活動を計画的におこなわなければなりません。そしてすぐれた軍人を軍事学校に送り、技術兵種幹部も前もって育成しなければなりません。

 党と人民は、警備隊を信頼して祖国の哨所を任せました。警備隊が38度境界線をしっかり守れば、民主基地を強化し、富強な新しい祖国をいっそう立派に建設することができます。

 私は、皆さんが旅団を政治的・軍事的に十分準備を備えた強力な部隊に築き、38度境界線を鉄壁のように守ることで、党と人民の期待に応えるものと確信しています。
出典:サイト「わが民族同士」 参照:『金日成著作集』4巻 

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