金 日 成

軍人を百発百中の名砲手にしよう
 ―朝鮮人民軍第395軍部隊砲兵区分隊の軍官たちにおこなった演説―
1948年2月20日 

 皆さん!

 我々は、解放後極めて複雑で困難な状況のもとで党を創立し、党の指導のもとに人民政権を打ち立て、民主改革を成功裏に実施しました。

 今全人民は、国の主人となった栄誉と誇りを抱いて建国思想総動員運動を力強く繰り広げ、富強な新しい民主朝鮮の建設をめざすたたかいに愛国的情熱を注いでいます。労働者、農民をはじめ、勤労人民は、1947年度の人民経済計画をなし遂げたその勢いで、1948年度の人民経済計画を超過遂行するたたかいにこぞって奮起しています。全人民の献身的な勤労闘争によって、国の経済的土台はさらに強化され、人民生活は次第に向上しています。

 先ごろ我々は、朝鮮人民軍の創建を内外に宣布しました。

 朝鮮人民軍は正規軍として宣布されたばかりですが、深い根源と十分な準備にもとづいて誕生したので、すでにその任務を十分に果たしています。

 解放後2年余の間に朝鮮人民が収めたこのような成果は、世界に誇りうる大きなものだと言えます。

 しかし、同日同時に解放された南朝鮮の状態はこれとは全く異なっています。南朝鮮は、アメリカ帝国主義によって占領された後、反動の根城となりました。アメリカ帝国主義と反逆者李承晩一味は、人民の創意にもとづいて南朝鮮各地に樹立された人民委員会をすべて解散させ、軍政を実施して人民の民主的権利と自由を完全に抹殺しました。アメリカ帝国主義の植民地略奪政策によって南朝鮮の民族経済は無残に破綻し、人民はひどい蔑視と貧困の中であえいでいます。こんにち、南朝鮮は、文字通り暗黒の地、生き地獄と化し、アメリカ帝国主義の侵略的軍事基地に、完全な植民地に転落しています。

 アメリカ帝国主義と李承晩かいらい一味は、ますます戦争準備に狂奔しています。アメリカ帝国主義は、反逆者李承晩一味をそそのかし、連日「北伐」を唱えながらかいらい軍を拡大し、38度境界線一帯に兵力を大々的に増強しています。

 こうした情勢は、人民軍に極めて重大な任務を提起しています。

 朝鮮人民軍は、抗日武装闘争の栄えある革命伝統を直接継承した革命軍隊であり、抗日闘士を根幹にして労働者、農民をはじめ、勤労人民のすぐれた子女で組織された人民の軍隊です。祖国と人民に奉仕する人民軍は、北半部に樹立された人民民主主義制度を敵の侵害から固く守り、南朝鮮からアメリカ帝国主義侵略者を駆逐し、祖国を統一すべき崇高な使命を担っています。

 人民軍が祖国と人民に対するこの崇高な使命を果たすためには、すべての軍人が、政治的、思想的に武装し、軍事技術的に十分に備えなければなりません。

 何よりも軍人に対する思想教育をさらに強化し、部隊を政治的、思想的に強化しなければなりません。

 思想教育では、すべての軍人に人民軍の使命と目的を深く認識させ、何のために軍隊に服務するのかを明確に理解させることが極めて大切です。皆さんが人民軍に服務するのは、南朝鮮を占領したアメリカ帝国主義者を駆逐し、祖国統一の歴史的偉業を完遂し、敵のあらゆる侵略策動を粉砕して、わが国の人民民主主義制度と民主建設の成果と人民の生命、財産を揺るぎなく守るためです。

 軍人が、人民軍のこうした崇高な使命と目的、そして何のために軍隊に服務するのかをはっきり知れば、与えられた革命任務を忠実に果たし、軍務生活をさらに立派におこなうことができます。

 朝鮮の青年として人民軍に服務するのは大きな栄誉であり、誇りであり、最も張り合いのあることです。人民軍に服務するのは公民の最大の栄誉であり、義務であります。

 軍人に南朝鮮の実態も明確に教えるべきです。そうすれば、軍人はアメリカ帝国主義の貪欲な侵略策動とその手先である地主、買弁資本家、反動的官僚らの反動的、反人民的売国策動の本質をはっきり知り、敵とあくまでたたかう覚悟をさらに固めることができます。

 同時に、軍人を困難にうちかつ強い革命精神で教育しなければなりません。

 わが国は解放されて日が浅いため、まだ皆さんの生活にはいろいろと困難な点があるはずです。しかし、それは前進途上にありうる一時的な困難です。我々は、あらゆる困難を勇敢に克服しなければなりません。難関を打開し、任務を立派に遂行する人であってこそ真の共産主義者であり、祖国と人民に忠実な革命戦士なのです。

 かつて、抗日遊撃隊員は、家もなく食糧もない極めて困難な状況のもとで、1日や2日でもなく15年もの間、強盗日本帝国主義とたたかいました。彼らは、一丁の銃を手に入れるためにも命をかけてたたかい、食糧や被服も自力で解決しなければなりませんでした。

 それでは、抗日遊撃隊員は、度重なる難関をどうして克服することができたのでしょうか。それは、ひとえに抗日遊撃隊員が革命への限りない忠実さと不屈の闘争精神、革命勝利の確信を抱いてたたかったからです。彼らは、そうした革命精神を持って、困難と難関に遭遇するたびに、自分の力を信じ、ないものは作りだし、乏しいものは補って勇敢にたたかい、ついに勝利を収めたのです。

 ところが現状はどうでしょうか。一時的な困難はあるにせよ、我々のおかれている状況は過去とは比べようもなく有利であり、困難を克服できるあらゆる条件が整っています。我々には、党があり、人民政権があり、人民があり、強固な民主基地があります。党と国家は、人民軍にすべてを優先的に提供しており、人民は軍隊を極力援護しています。

 今人民軍の軍人は、党と国家の配慮によって温かい兵舎と立派なベッドがあてがわれ、3度炊きたてのご飯を食べ、学習と訓練をおこなっています。皆さんは、生活に恵まれ、条件が有利であればあるほど、かつて、抗日遊撃隊員がどのような困難な状況で強盗日本帝国主義とたたかって勝利したかを寸時も忘れず、抗日遊撃隊員の不屈の革命精神に習い、あらゆる障害と難関を自力で乗り越え、革命課題を立派に遂行しなければなりません。

 部隊内での労働党員の先駆的役割をさらに高めなければなりません。労働党員は、党と革命のために生命をささげてたたかう覚悟で入党した革命家です。労働党員は、いかに困難な状況にあっても、党の与えた革命任務を立派に果たし、軍事服務と軍事活動のすべての面で模範となるべきです。また労働党員は、すべての軍人をわが党のまわりに固く団結させ、彼らが党から与えられた革命任務を忠実に果たすよう励まし導くべきです。

 部隊を政治的、思想的に固め、軍人に対する思想教育に力を注ぐとともに、戦闘訓練を強化して軍人を軍事技術的にしっかりと備えさせなければなりません。特に、皆さんは砲兵なのですから、すべての軍人を百発百中の名砲手に育てなければなりません。

 皆さんもよく知っているように、戦争で砲兵は極めて重要な役割を果たします。それで、砲兵は「戦争の神」とも言われているのです。

 我々は、以後も現在のようないくつかの砲兵区分隊だけで満足するわけにはいきません。今後、砲兵部隊を増強し、砲兵を質的に強化しなければなりません。そのためには、現在の兵士が今後はすべて砲兵指揮官、砲兵幹部となり、新たに多くの砲兵を育てなければなりません。

 すべての軍人を名砲手に、すぐれた砲兵幹部に育てるためには、何よりも訓練を強化しなければなりません。訓練では、いかなる状況にあっても1発で敵を掃滅できるよう百発百中の砲撃術の習得と火力指揮能力の向上に基本を置くべきです。指揮官は、訓練を実戦の雰囲気の中でおこない、軍人が訓練で汗を多く流すよう訓練強度をさらに高めるべきです。

 また実弾による砲射撃も多くおこない、すべての砲手がさまざまな射撃法に精通するようにすべきです。実弾射撃の際には、1発の砲弾にも国の貴重な財貨がつぎこまれ、人民の汗がにじんでいることを銘記し、1発の砲弾も撃ちそこなわないようにすべきです。

 訓練を実質的におこない兵士をよく教えるためには、指揮官の能力が高くなくてはなりません。指揮官は、大砲を誰よりも巧みに撃ち、各種の軍事知識にも通じていなければなりません。すべての指揮官は、砲撃術と軍事技術を高めるために大いに努力し、訓練もより多く、より模範的におこなうべきです。

 皆さんは党の配慮によって、立派な近代兵器と戦闘技術機材を持っています。皆さんが持っている各種の火砲はすべて強力な近代兵器です。砲手は、この立派な火砲と戦闘技術機材を瞳のように愛護し、正しく保管、管理すべきです。また皆さんは、火砲と戦闘技術機材に完全に精通し、火砲が常にその威力を発揮できるよう十分に整備しなければなりません。

 部隊の戦闘力を高めるためには、また軍紀を強めるべきです。

 私が常に強調していることですが、規律は軍隊の生命に等しいものです。規律に欠けた軍隊は軍隊とは言えません。

 特に、朝鮮人民軍は正規の革命軍隊なのですから、軍隊に厳格な革命的規律を確立しなければなりません。今日、皆さんの兵舎を見て回り、内務生活の状況も確かめてみましたが、その程度なら良好だと言えます。しかし、これに満足することなく、今後すべての生活をさらに秩序正しくおこない、すべての軍人の自発性にもとづいて部隊の軍紀を強めるべきです。

 次に、指揮官は、兵士の生活に深い関心を払わなければなりません。兵士は軍官を兄のように信頼しており、彼らの父母も大事な子女を軍官にゆだねています。したがって、指揮官は、親の気持ちになって兵士の生活に気を配り、困っていることをそのつど解決してやるべきです。指揮官は、兵士が温かいご飯を食べているか、寝床は不便ではないかと、こまかいことまで深い関心を払わなければなりません。そうすれば、兵士は上官を深く尊敬し、心から信頼するようになり、官兵一致の美風が確立されるようになります。

 人民との連係をさらに強めるべきです。抗日武装闘争の厳しい時期にも、遊撃隊員は人民の間でつねに宣伝活動をおこない、村に行けば薪を割り、庭を掃き、水を汲んだりして人民を積極的に助けました。そして、人民が部隊に訪ねて来れば、自分たちは食事ができなくても人民をもてなしました。皆さんも抗日遊撃隊のこのような立派な伝統に習って、人民に対する政治宣伝活動を活発におこない、人民が部隊に訪ねて来れば食事も一緒にとり、人民との連係を強めるため積極的に努力しなければなりません。

 皆さんはその間、多くの仕事をやり遂げました。部隊をきちんと整備し、戦闘・政治訓練もよくおこない、軍人の士気も旺盛です。部隊に規律と秩序が確立しており、戦闘力の強化でも大きな成果を収めています。

 皆さんは、これまでの成果に自己満足することなく、今後部隊を立派に整え、砲兵をいっそう強化するために絶えず努力しなければなりません。
 出典:サイト「わが民族同士」 参照:『金日成著作集』4巻

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