金 日 成

朝鮮人民軍の創建に際して
―朝鮮人民軍閲兵式でおこなった演説― 
1948年2月8日 

 
 朝鮮人民軍閲兵式で演説をおこなう金日成主席-1948・2・8
 朝鮮人民軍軍官、下士、兵士の皆さん!

 親愛なる同胞の皆さん!

 今日、我々は、真の人民の政権である北朝鮮人民委員会創立2周年を祝うとともに、朝鮮の歴史上初めて人民自身の正規の武力である朝鮮人民軍の創建を宣布することになりました。日本帝国主義者の銃剣のもとで迫害と弾圧を受けてきた朝鮮人民は、解放後、みずからの手に権力を握って幸福な新しい生活を創造する道を踏み出し、いまや祖国と民族を防衛する堂々たる正規軍を持つことになりました。

 私は、解放された朝鮮人民の大きな民族的誇りと喜びを持って、人民軍の創建を熱烈に祝うものです。

 いまや南北朝鮮の全人民は、祖国の自由と栄誉のためにたたかう近代的正規軍を持つようになったことを全世界に誇ることができます。

 今日、我々が人民軍を創建するのは、祖国の民主的で完全な自主独立を促進するためです。

 解放後2年余りの間に、朝鮮人民は、北朝鮮に民主主義的自主独立国家建設の政治的・経済的・文化的基礎を築き上げました。

 我々は、人民の政権を樹立し民主改革を実施して、広範な人民大衆の切実な民族的宿望を実現し、朝鮮社会の新しい発展の大道を切り開きました。また、昨年は人民経済計画を立ててそれを立派に遂行し、自主的な民族経済の基盤を築くうえで初めての大きな成果を収めました。貨幣交換を通じて、朝鮮人民はみずからの貨幣を持つようになり、国家の自主的な財政的土台を固めました。そして、北朝鮮における民主改革と民主建設の成果を法的に確認するとともに、今後樹立される朝鮮民主主義人民共和国の法的基礎となる朝鮮臨時憲法草案を作成しました。

 しかし、これまで我々は、これらすべての成果を武力で守る朝鮮人民の正規軍を持っていませんでした。

 いかなる国家であれ、自主独立国家は必ず軍隊を持っているものです。軍隊のない国が完全な自主独立国家となり得ないのは言うまでもありません。わが国が日本帝国主義者に占領されたのも、その当時、朝鮮人民が日本帝国主義の侵略軍を撃退できるみずからの軍隊を持っていなかったからです。

 したがって、わが国が完全な自主独立国家となるためには、国と民族を守り、いかなる敵の侵略も十分撃退できる強力な人民の軍隊を必ず持たなければなりません。まして、朝鮮民族を分裂させ、わが国を再び植民地化しようとするアメリカ帝国主義者とその手先の凶悪な策動によって、解放後2年以上をへた今日に至るまで、祖国の統一と自主独立は引きのばされています。

 こうした重大な状況下で軍隊を創建することは、朝鮮人民にとって極めて緊切な問題でした。

 朝鮮人民は、アメリカ帝国主義者とその手先の民族分裂政策を黙って見ているわけにはいかず、また誰かがわが国を独立させ、軍隊をつくってくれるのを待っているわけにもいきません。

 朝鮮人民は、あくまでも、自力で民主主義的な自主独立国家を建設すべきであり、みずからの手で統一政府を樹立するためのあらゆる準備を整えなければなりません。また、朝鮮人民は、自分の手で自分の軍隊を組織して、統一し独立した民主祖国の創建を促進しなければなりません。

 人民軍を創建する課題が、北朝鮮で実現したのは偶然なことではありません。それは、人民が国家の主人となった北朝鮮においてのみ、祖国と民族を防衛する人民軍の創建が可能だからです。アメリカの軍政がしかれ、親日派、民族反逆者が「政権」をとり、テロ団を養成しているいまの南朝鮮で朝鮮人民の真の民族軍隊を創建するということは想像さえできないことです。

 北朝鮮で民主改革を実施し、経済、文化の建設を成功裏に進め、それによって全朝鮮の進むべき道を勇敢に切り開いている朝鮮人民は、このたびの朝鮮人民軍の創建を通じて北朝鮮の民主基地の威力を一段と強め、近い将来に創建される朝鮮民主主義人民共和国の武力の頼もしい基礎を築くことになります。北朝鮮の民主建設から限りない勇気と希望を得ている南朝鮮の人民は、今日創建される人民軍を自分の軍隊と思い、自分の力とみなすでしょう。したがって、人民軍の創建は、アメリカ軍政と反動的な売国奴一味の弾圧のもとで苦しんでいる南朝鮮の父母、兄弟姉妹を祖国の民主主義的な統一と独立をめざすたたかいへ力強く励ますでしょう。

 次に、我々が人民軍を創建するのは、統一的な民主主義人民共和国を打ち立てる基礎となる北朝鮮の民主基地と民主改革の成果を敵の侵害から固く守り、北朝鮮人民の幸福と安全を保障するためです。

 周知のように、アメリカ帝国主義者と南朝鮮の親日派、民族反逆者は、北朝鮮の民主的な発展と平和的な建設を妨害するため、単に誹謗やデマ宣伝だけにとどまらず、殺人、放火、破壊を専門とするテロ団を大量に北朝鮮に送り込んで、貴重な国家財産を破壊し、北朝鮮人民の生活を混乱に陥れようと策動しています。もちろん、このような敵の企みは、朝鮮人民の団結した力と高度の革命的警戒心によって、そのつど徹底的に暴露され粉砕されています。しかし、北朝鮮の民主基地が強固になり、朝鮮人民がさらに大きな勝利を勝ち取れば勝ち取るほど、アメリカ帝国主義者と南朝鮮反動一味のあがきは激しくなり、北朝鮮の民主改革と経済建設の成果を破壊しようとする敵の策動はますます悪辣になっています。

 したがって、我々は人民軍を創建することによって、北朝鮮に打ち立てられた民主制度と人民の幸福な生活をしっかり守るべきであり、いかなる反動勢力や破壊分子も、解放後今日まで北朝鮮人民が祖国の自主独立と民主化のたたかいで収めた貴重な成果を、いささかなりとも侵害できないように守らなければなりません。

 我々自身が強力で、民主勢力が圧倒的優位を保つ時にのみ、真の平和が維持され、祖国と人民の自由が守られ、敵がみだりに襲いかかれないということを知るべきです。それゆえ、北朝鮮における民主勢力の強化と人民軍の創建は、反動分子が悪宣伝しているように同族あいせめぐ内乱の危険性をつくりだすものではなく、かえってアメリカ帝国主義者と南朝鮮の反動派が、そのような内乱を引き起こせないように、これを未然に防ぐことになります。

 朝鮮人民軍軍官、下士、兵士の皆さん!

 親愛なる同胞の皆さん!

 今日、我々が創建する人民軍は、資本主義国家の軍隊とは根本的に異なる新しい型の軍隊です。

 資本主義国家の軍隊は、少数の資本家と地主のために絶対多数の勤労人民を抑圧し搾取する制度を武力で維持、擁護するとともに、他民族と他国の領土を侵略する目的でつくられた軍隊です。我々は、このような軍隊をヒトラー・ドイツや軍国主義日本にはっきり見ており、すべての資本主義国家に見ています。特に戦後、敗戦国でもない中国やギリシアに進駐して、その国の内政に干渉し、南朝鮮に軍政をしき、その撤退を拒否している米軍は、現在、強盗的な帝国主義軍隊の標本となっています。

 これとは異なり、我々が今日創建する軍隊は、朝鮮の労働者、農民をはじめ、勤労人民の子女で組織され、朝鮮民族の解放と独立のために、人民大衆の幸福のために、帝国主義侵略勢力や国内反動勢力とたたかう真の人民の軍隊です。したがって朝鮮人民軍は、いかなる敵であれ、祖国の自由と人民の幸福な生活を侵そうとする時は最後の血の一滴までささげてたたかい、それを撃滅し、あくまで祖国と人民を守るでしょう。これが、我々の創建する人民軍の最も重要な特性です。

 わが人民軍のいま一つの特性は、この軍隊がかつて日本帝国主義の苛酷な弾圧のもとで、祖国と人民の解放のためにすべてを抗日武装闘争にささげてきた朝鮮の真の愛国者を根幹として創建されたことです。

 日本帝国主義者が朝鮮を占領した後、真に祖国と人民を愛する愛国者は、国の内外で武器を手にとり、日本帝国主義に反対する困難なパルチザン闘争を展開しました。現在、南朝鮮でアメリカ帝国主義の手先を務めている親日派が、かつて日本帝国主義と結託して朝鮮人民を抑圧し搾取し、さらには朝鮮のかけがえのない青年男女を日本帝国主義の侵略戦争に駆り立てていた時、朝鮮の愛国者は抗日武装隊伍を結成して比べようもなく優勢な日本帝国主義侵略軍を相手に長期にわたって血みどろの闘争を繰り広げ、朝鮮民族の誇りと栄誉を守り通しました。今日、朝鮮人民軍は、まさにこのような愛国的な革命家を根幹とし、長い間の抗日武装闘争で積み重ねた、豊かな経験を土台にして創建されるのです。

 それゆえ、人民軍は民主朝鮮の正規軍としては今日創建されますが、実際には長い歴史的根源を持つ軍隊であり、抗日遊撃闘争の革命伝統と貴重な闘争経験と不屈の愛国精神を受け継いだ光栄ある軍隊です。このように、ただ銃剣で武装しただけでなく、革命先輩の実際の闘争経験と、燃える祖国愛と気高い革命精神で武装した人民軍は、鉄の軍隊であり、いかなる敵の侵略をも撃退し、つねに百戦百勝するでしょう。

 朝鮮人民がこのようにすぐれた光栄ある人民軍を創建したことは、朝鮮民族が十分自力で富強な独立国家を建設し、祖国を世界の先進諸国の隊伍へ引き上げることができることを、改めて全世界に示すものです。また、我々がみずからの手でこのように立派な軍隊をつくりあげたという事実は、朝鮮人民がアメリカ帝国主義者やその使用人の「国連臨時朝鮮委員団」などに自分の運命を任せようとはしないし、また任せるべきでもなく、そのような連中がつくりあげた「政府」や「軍隊」は決して認めないということをはっきり示しています。

 今日、私は、全人民の名において朝鮮人民軍の創建を世界に宣言するとともに、朝鮮民族の運命はただ朝鮮人民自身が解決すべきであり、絶対にアメリカ帝国主義者やその侵略道具である「国連臨時朝鮮委員団」によって朝鮮問題が解決されることはあり得ないということを重ねて断固声明するものです。

 皆さん!

 人民軍の創建は、朝鮮人民の大きな誇りであり、いま一つの輝かしい勝利です。しかし、人民軍が創建されたからといって、それで満足したり勝利に陶酔してはなりません。人民軍の創建は、今後樹立される朝鮮民主主義人民共和国の強大な近代的武力建設の第一歩にすぎず、ただ、その根幹を形成したにすぎません。それゆえ、軍人は言うまでもなく、全人民が今日創建される人民軍を強化し発展させるためにあらゆる努力を傾け、朝鮮人民軍の不敗の力を全世界に誇れるようにしなければなりません。

 兵士、下士、軍官の皆さんは、何よりもまず、祖国と人民を限りなく愛し、祖国の自由と人民の幸福のためにすべてをささげてたたかう精神で武装しなければなりません。

 朝鮮人民軍は、人民の生んだ軍隊であり、人民に奉仕する軍隊であり、ひたすら人民を愛し、人民に支持され愛されることによってのみ、勝利することができるということを片時も忘れてはなりません。特に人民軍は、祖国建設の主力部隊である労働者階級をはじめ、すべての勤労人民の利益をあくまで守り抜かなければなりません。熱烈な愛国主義思想と勤労人民に奉仕する精神で武装した軍隊であってこそ、北朝鮮における民主改革の成果を守り、祖国と人民をいかなる敵の侵害からもしっかりと守り、祖国の完全な自主独立と統一を促進することができるのです。

 我々は、軍隊内で抗日武装闘争に参加した革命先輩の気高い愛国主義思想を手本とし、互いに愛し尊敬し、信頼し、団結する精神と、勇敢で率先実行する気風を培い、鉄の規律を確立するために軍勤務者に対する政治・思想教育を強化しなければなりません。

 兵士、下士、軍官は、戦闘訓練と軍事学の研究に最大の熱意を傾けなければなりません。すべての兵士、下士が、自分の扱う兵器や自分の受け持つ軍務に精通し、軍官は部隊を指揮統率し部下を教育、訓練することに熟達しなければなりません。

 人民軍を強化するためには、兵士や下士や軍官の努力だけでは足りません。人民軍がさらにすぐれた軍隊となり、祖国と人民を防衛する重大な使命を立派に果たすようにするためには、軍隊に対する全人民の積極的な支持と支援がなければなりません。労働者は、軍隊に立派な兵器と軍服、日用品などを適時に十分生産供給し、農民は軍隊の食糧を保障しなければなりません。

 全人民が自己の軍隊を愛し、兵士や軍官を大事にし、朝鮮人民軍を世界に誇る強力ですぐれた軍隊につくりあげるためにこぞって努力しなければなりません。

 親愛なる兵士、下士、軍官の皆さん!

 親愛なる同胞の皆さん!

 今日、朝鮮人民は、自己の軍隊を創建することによって、朝鮮民族の歴史にいま一つの新しい勝利を記録しました。全朝鮮人民は限りない感激と喜びに包まれて、今日のこの慶事を迎えており、世界のすべての友人が祖国の自由と独立のためにたたかう朝鮮人民のこの新しい勝利を祝っています。

 勝利に対する確信と高い民族的誇りを持って、朝鮮民主主義人民共和国樹立のために、新しい勝利をめざしてともに力強く前進しましょう。

 朝鮮人民の真の武力である朝鮮人民軍創建万歳!

 朝鮮民主主義人民共和国樹立万歳!
出典:サイト「わが民族同士」 参照:『金日成著作集』4巻

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