金 日 成

わが党組織の任務について
 ―北朝鮮労働党平安南道順川郡党代表者会議でおこなった演説―
 1948年1月24日

 同志の皆さん!

 多くの同志が発言したように、北朝鮮労働党は、祖国と子孫の運命を双肩に担い、朝鮮人民を自由と民族独立へ導く強力で偉大な政党になりました。

 わが党は、創立されていくらもたっていません。ことに、わが党の前身である共産党と新民党が合同して北朝鮮労働党を結成した時からは、わずか1年半しかたっていません。しかし、この短い期間に、わが党は祖国と人民のために輝かしい業績をあげ、歴史に永く残る大きな貢献をしました。

 わが党は創立されてからいくらもたっていませんが、祖国の解放と人民の幸福のための朝鮮共産主義者の闘争は非常に長い歴史を持っています。朝鮮の共産主義者は、日本帝国主義支配のもとで祖国と民族の栄誉のために、血を流し命をささげてたたかった真の愛国者です。朝鮮の共産主義者は、日本帝国主義の弾圧が苛酷を極め、朝鮮民族が言い尽くせない悲運に陥っていた時期に、武器を手にとり、あらゆる艱難辛苦にうちかち、日本帝国主義に対して不屈の闘争を繰り広げました。わが党は、祖国と人民のために最も献身的にたたかったこのような共産主義者の革命伝統を受け継いだ党であり、朝鮮人民の英雄的な解放闘争の歴史を継承した光栄ある党です。それゆえ、わが党は、朝鮮で最も愛国的で、最も進歩的で最も強力な政党です。

 労働党は、朝鮮民族の主力部隊である労働者階級を中核として労働者、農民、勤労インテリのすぐれた先進分子で構成され組織された朝鮮勤労大衆の前衛部隊です。そして、わが党は、労働者、農民、勤労インテリの利益を擁護し、彼らと血縁的なつながりを持っており、創立当初から今日に至るまで、朝鮮人民の幸福と祖国の明るい未来のためにたたかってきました。

 日本帝国主義支配下の最も暗たんたる時期に、朝鮮人民に希望と勝利の信念を抱かせた抗日民族解放闘争に根源を発しているのがわが党であり、解放後祖国と民族の運命を双肩に担い、朝鮮人民を富強で民主的な新しい祖国の創建へ導いているのがまさにわが党です。もし、わが党がなかったなら、祖国の運命はどうなっており、わが党でなかったなら誰が朝鮮民族に輝かしい勝利の道を指し示すことができたでしょうか。

 北朝鮮で勝利のうちに遂行された民主的な社会的・経済的改革は、民主祖国創建の基礎を築く偉大な事業であり、南朝鮮人民の進路を指し示す灯台となりました。もし、わが党がなかったなら、誰が北朝鮮でこのような偉大な民主改革を発起し、その勝利を保障したでしょうか。ひとえにわが党が友党と手をとり、統一戦線にしっかりもとづいて愛国的民主勢力を広く結集し、常に各階層人民の先頭にたって主導的な役割を果たしたがゆえに、我々は社会を民主的に改造する偉業で歴史的な勝利を収めることができたのです。

 わが党は、革命闘争の中で達成した業績からみても、人民大衆の間での高い権威と組織された勢力からみても、優に世界のすぐれた共産党・労働者党の隊伍に加われる強力な政党となりました。

 わが党は、党合同の当時は党員が約37万にすぎませんでしたが、今では70万以上の党員を擁する大衆的政党になりました。

 わが党は、祖国と人民のために最も勇敢に、犠牲的にたたかう勤労人民のすぐれた息子や娘たちで構成されています。

 党が創立された初期には、一部の党組織で組織原則がよく守られなかったため、さまざまな異分子が党内に潜入し、党の規律に乱暴に違反して党の権威を傷つけることがしばしばあり、また分派分子が党の統一を弱めようと策動しました。しかし、党内で異分子と分派分子に対する決定的な闘争が展開された結果、こんにちわが党は、隊伍の純潔を守り、鉄の規律が確立した戦闘的で生き生きとした組織に成長しました。

 このように、わが党は、合同後量的に成長したばかりでなく質的にも成長し、中央から下部末端に至るまで党の組織原則が確立され、思想的に統一されたマルクス・レーニン主義党になりました。これは、第2回党大会を迎えようとしている今、我々が党建設の分野で収めた最も大きな成果であると言えます。

 党建設で収めた成果のうちで特に指摘すべきことは、細胞が成長し強化されたことです。以前は、多くの党員が、細胞が何であり、細胞では何をし、細胞がどんな役割を果たすべきなのかをよく知りませんでした。しかし、1947年の秋に、各道党委員会傘下党組織の細胞活動を検査し、最近、私が江界、价川などの地方で党細胞の活動状況を調べてみたところによると、そして、今日の会議での多くの同志の発言を分析してみると、わが党の細胞活動は質的に改善され、党員の政治的自覚が高まり、彼らの党生活が強化されたことを十分結論づけることができます。

 このように、わが党が組織的に団結し、政治的、思想的に強化されたからといって、いささかも自己満足してはならず、勝利に陶酔してはなりません。祖国の運命を担い、朝鮮人民を導いているわが党には、今日いっそう困難で複雑な課題が出されており、わが党のすべての党員が遂行すべき任務は実に重大であります。

 解放後、わが党と人民が新しい生活の建設で収めた成果が大きいとはいえ、それはまだ富強な民主祖国創建の第一歩を踏み出したにすぎません。北朝鮮での民主改革の勝利は祖国の民主的発展の条件をつくったにすぎず、それで我々の偉業が完全に達成されたのではありません。我々は、民主改革の勝利を踏まえて人民的民主主義の道を引き続き前進し、経済と文化を発展させ、人民の生活を向上させ、民主基地をさらに強化しなければなりません。また、全朝鮮人民の団結した力を動員して、国土の半分を占める南朝鮮でも北朝鮮でのような民主改革を実施すべきであり、祖国の完全な自主独立と統一を達成しなければなりません。

 このように、民主基地を強化し、ひいては全朝鮮を人民の民主主義国家に築き上げることは、我々に課された崇高な民族的任務です。この任務を果たすためには、朝鮮民族の自由と独立を侵そうとする内外の反動勢力と仮借のない闘争を繰り広げなければならず、何よりも我々自身の力をさらに蓄えなければなりません。

 我々の力を蓄えるうえで最も重要なことは何でしょうか。

 それは、我々自身が創設した人民政権をあらゆる面から強化し、人民経済を計画的に、急速に発展させて自主的な民族経済の土台を築くことです。我々に強力な人民政権としっかりした自立的経済の土台さえあれば、どんなことでも不可能なことはないでしょう。

 昨年、我々は初めて人民経済を計画的に運営してみました。1947年度の人民経済計画が発表された時、我々はさまざまな雑言を耳にしました。敵はこの計画が実現不可能な空想であるとあざけり、我々の一部の幹部までがこの計画の現実性に疑念を抱き、ためらったものでした。しかし、北朝鮮の人民、特に労働者階級と農民は、わが党の指導のもとに工場、企業、農村、漁村で初の人民経済計画の実行に大胆に取り組みました。初めのうちは、その計画をいじってみ、次には少しずつ実行してみ、その次には次第に十分できるという自信を持つようになり、すべての勤労者が計画を超過遂行する闘争にこぞって立ち上がりました。そして皆さんも知っているように、1947年度の人民経済計画は全般的に期限前に完遂されました。

 最初の人民経済計画を成功裏に遂行することによって得た最も貴い成果は、労働党員とすべての勤労者が祖国建設に自信を持つようになったことです。初めのうちは、できそうもなかった難しい計画を超過遂行した労働者、農民は、自分の力に自信を持つようになり、自分の力で何でも十分できるという信念を得たのです。

 戦闘でも、勝利の信念を持たない軍隊は敗れ、士気旺盛で勝利を確信する軍隊は必ず敵を打ち破るものです。これと同じく、革命闘争や経済建設においても、最も重要なのは人民大衆が自分の力を自覚し、勝利に対する信念を持つことです。それゆえ、党員とすべての勤労者が、実践を通じて自分のおこなう仕事が正当であるという確信を持ち、自分の力で十分自主独立国家を建設できるという確固とした信念を持つようになったことは、昨年の事業の第一の総括であり、初めての経済計画の実行で得た最も大きな政治的勝利です。

 朝鮮人民は、わが党の指導のもとに、1946年には自主独立国家の建設に必要な基本的条件をつくり、1947年にはそれにもとづいて祖国の富強発展のための物質的基盤を築く経済建設を繰り広げました。この過程で人民は勝利への信念と、自力でどんなことでもできるという自信を持つようになり、解放後北朝鮮が歩んできた道こそ朝鮮人民の進むべき、最も正しい道であることを確信するようになりました。いかなる者も北朝鮮で人民が勝ち取った革命の成果を奪い取ることはできないし、さらに前進しようとする朝鮮人民の固い決意と勝利の信念を動かすことはできません。

 朝鮮人民は、自分の意思に従って人民の政権を打ち立て運営してみました。我々が打ち立てた政権は、人民のためにかなり立派に活動しています。朝鮮人民は、日本帝国主義者が破壊していった工場、企業を復旧し運営してみました。その結果、溶鉱炉が動き銑鉄が出始め、近代技術発展の所産である水豊発電所が操業を開始し、全国各地に電力が供給され始めました。

 日本帝国主義の支配当時に機関車の火夫(缶焚き)をつとめていた若い労働者は、今では機関士となって汽車を立派に運転しており、知識人は祖国建設のために各部門にわたる科学研究を開始しました。朝鮮人民はみずからの手で大学を建設し運営しており、保安機関を創設し、保安隊も組織しました。

 朝鮮人民が創造したこれらのものは、まだいくらかの欠点はありますが、すでに祖国建設の偉業に力強く寄与しています。

 それはまた、朝鮮民族が他人に劣らないすぐれた才能を持っており、みずからの手で立派に国を築いていけるということを示すものであり、朝鮮人民の民族的誇りと自信を限りなく強めさせています。

 政権を手中に収めてそれを運営し、みずからの手で工場、鉱山、鉄道運輸、教育、文化機関を運営している朝鮮人民から、いったい誰がこれらの権利を奪えるというのでしょうか。そのような者はどこにもおらず、そのような力もまたこの世にありません。敵がどのようにあがこうとも、自分の人民政権機関から分与された土地を自由に耕作している農民から、また自分自身が工場の主人となって祖国の隆盛発展と自分自身の福祉増進のために献身的に働いている労働者から、そして自国の自主的民族経済の建設と民族文化の開花のために民主学園で熱心に学んでいる学生から、土地や工場や学校を奪うことは絶対にできません。

 もしも、帝国主義侵略者とその手先の売国奴が、我々の政権と土地、工場、学校を奪おうと襲いかかるならば、朝鮮人民はどんな犠牲を払ってもあくまでたたかい、命をなげうっても、この2年間に勝ち取った貴い勝利の結実を誰にも渡さないでしょう。

 我々には、まだ多くのものが不足しています。資材や設備も足りず、衣服やはき物も足りません。しかし、我々はすべての困難と障害を克服し、足りない物資や商品をより多く生産して国の経済的基盤を強化し、人民の生活向上を図れる客観的条件をつくりあげました。ことに昨年度の計画を完遂した結果、多くの工場、企業、鉄道運輸施設が復旧し、今年からは各種の機材や消費物資を正常に生産し、輸送を円滑に保障できるようになりました。

 これとともに、我々の主体的力量もめざましく成長しました。解放後2年余りの間に、わが党と人民は新しい生活の建設で多くの経験を積み、党員は大衆を組織し、奮起させ、大衆の力を党政策の実行に動員する方法と能力を体得するようになりました。数回にわたる各級政権機関の選挙と昨年末に実施した貨幣交換の成功は、わが党がいかに巧みに大衆を決起させ、また大衆がいかにわが党を支持し信頼しているかを明白に示しました。わが党は全党を奮い立たせ、人民の自発的な熱意を引き出して、複雑な新旧貨幣の交換をわずか1週間の間に順調に完了しました。これは、わが党組織と人民政権機関が人民大衆の利益のために、いかに機敏に活動できるかを明確に示したものです。

 わが党の路線と政策の正しさは、すでに実生活を通じて十分に証明されました。わが党は、組織的、思想的に団結しており、祖国の自由、独立と民主化のための闘争で政治的にいっそう鍛えられ洗練されました。

 それゆえ、わが党にとって克服できないいかなる難関もあり得ず、わが党と人民が一体となってたたかうならば、うちかつことのできないいかなる敵もあり得ません。わが党のまわりに団結し、党の指し示す道に従って前進するならば、いかに困難な課題であっても、立派に成し遂げうることを、人民自身が実際の体験を通して確信するようになりました。

わが党はすべての愛国的民主勢力を奮い起こして、1948年度の人民経済計画を成功裏に完遂するよう保障し、敵のあらゆる策動をはねのけ、統一した民主主義的独立国家建設の偉業を必ず成し遂げるでしょう。

 同志の皆さん!

 しかし、我々になんの欠点もないというのではありません。わが党の活動には速やかに取り除かなければならない欠点や弱点があります。

 第1に、党員と幹部の政治的訓練が足りず、党内でのマルクス・レーニン主義思想教育がまだ不十分です。

 わが党は、朝鮮勤労大衆の戦闘的前衛部隊です。わが党が勤労人民の前衛部隊として朝鮮民族の解放と勤労大衆の社会的解放のための闘争を勝利へ導くためには、何よりもまず先進的な思想と科学的な革命理論で武装しなければなりません。

 もしも、軍隊で中隊長、大隊長、連隊長、その他の上級指揮官が戦略・戦術に無知であれば、そのような軍隊は戦闘で勝つことはできないのと同じように、勤労人民の前衛部隊であるわが党が革命理論で武装しなければ、人民大衆の闘争を正しく導くことができないでしょう。ことに、我々に課されている任務が困難で複雑であるという実状にてらして、羅針盤のように方向を示し、灯台のように前途を明るく照らす理論は我々にとってさらに切実に必要です。このような理論は、疑いもなく現代社会の唯一の科学的な革命学説であるマルクス・レーニン主義理論です。

 マルクス・レーニン主義は、世界の多くの国々の先進的労働者階級の革命的実践を通して検証され、その生命力が立証された百戦百勝の理論です。わが党が学びに学び、さらに学ばなくてはならないのは、聖書でもなければ、ある種の宗教的教理でもなく、まさにこのマルクス・レーニン主義理論なのです。中央の幹部から各党員に至るまで、全党がマルクス・レーニン主義理論で武装し、先進的な科学知識を学ばなければなりません。

 そうしてこそ、個々の幹部と党員が思想的に鍛えられ、理論的準備を整えた有能な政治活動家となり、確信を持って大衆を正しい道へ導くことができるのです。

 第2に、わが党の持っている欠点の一つは、細胞の活動がまだ弱いことです。細胞を強化する問題は、わが党中央委員会が最初から強調してきた問題です。

 わが党の細胞は、過去に比べて著しく成長しました。細胞は、党の組織原則と規律を守り、党員に任務を分担し総括し、国家の経済計画の実行を保障できるようになりました。しかし、まだ多くの細胞が活動を正しくおこなっていません。

 細胞活動で中心的な問題として提起されるのは、細胞の中核を育てることです。細胞の構成は、党員の出身階級から見ても、政治的・思想的水準の面から見ても単純ではありません。一つの細胞の中には、政治的に鍛えられた党員もいれば、政治的、思想的に立ち後れた党員もおり、細胞の活動に積極的な党員もいれば、やや消極的な党員もいます。したがって、我々は党の積極分子で各細胞の中核を構成し、その隊伍を絶えず拡大し、彼らみずからが実際の模範を示すことによって、全党員の政治・思想意識と党的自覚の向上に決定的な影響を与えるようにしなければなりません。

 特に、郡党委員会と面党委員会が細胞の中核育成に大きな関心を払わなければなりません。中核になりうる積極的な党員を各細胞から3、4人ずつ選んで定期的に講習を受けさせ、日常的に助け、訓練すべきです。こうして、各細胞の中核が細胞活動を改善し、全党員の党生活を強化し、その党性を高めるうえで主動的な役割を果たすよう指導しなければなりません。

 第3に、わが党内には、いまだに実践より口が達者で、口先だけで仕事をしようとする空論家がいますが、こういう党員の癖を直さなければなりません。

 党員は、スローガンを唱え、口先だけで祖国を建設しようと叫ぶのではなく、実際の仕事や経済建設で模範となり、先駆者とならなければなりません。わが党内には、口ばかり達者で実際の仕事はできず、困難な仕事では先頭に立とうとせず、後ずさりするような人がいてはなりません。

 党員は、誰であれ、すべてがすぐれた組織者、すぐれた建設者にならなければなりません。そのためには、個々の党員が党の路線と政策をよく知り、経済の管理と運営の仕方を知らなければなりません。

 党員の中には、安逸で暇な人がいてはなりません。わが党は勤労大衆の先進部隊なのですから、勤労精神が全党員の日常生活と活動に具現され、働くことを好む気風が全党に確立されるようにしなければなりません。そして、誰もがみな、働くことに生きがいを覚え、働かないことは死を意味するという認識を持って、すべての仕事に献身的に参加するようにならなければなりません。

 わが国の後進性を克服し、富強な祖国を建設するためには、これからなすべき仕事が山ほどあります。我々は、工場を建設し、農業を発展させ、文化を発達させ、人民政権機関を強化するなど、複雑で困難な多くの仕事をしなければなりません。

 党員は毎日昼夜を分かたず祖国と人民のため、党のために献身的に働き、すべての力と熱意を新しい祖国創建の歴史的偉業にささげなければなりません。わが党内には、暇人や怠け者の居座る場所はありません。

 次に、統一戦線を強化することについて述べることにします。

 統一戦線を強化する問題は、発展する祖国の現段階において最も重要な政治的問題の一つです。皆さんの活動している順川郡にしても友党の党員が少なくありません。

 ところが問題は、友党の党員数が多いとか少ないとか、または友党がどのように党員を吸収しているかにあるのではなく、わが党が友党とどのように密接なつながりを持ち、友党の活動をどのように助けるか、友党内に潜入した不純分子を友党の党員を通じてどのように早く摘発し追放させるか、わが党が祖国の自由と独立をたたかいとろうとする共通の目的を実現するために、友党とどのように協力するかにあります。

 統一戦線を強化するためには、統一戦線の意義とわが党の統一戦線政策の本質をしっかりと認識することが重要です。

 現段階において、わが党と朝鮮人民に課されている基本的任務は、アメリカ帝国主義者の植民地化策動を粉砕して全朝鮮を完全に解放し、統一的な民主主義人民共和国を創建することです。それゆえわが党は、祖国と民族の利益のためにたたかう民主的政党であれば、どの政党とも手を取り合って活動しようとするのです。

 それでは、わが党が民主党との統一戦線を結成できる条件は何でしょうか。民主党は小ブルジョアジー、企業家、商人、富農、一部の小市民その他の階層で構成されており、帝国主義の圧迫に反対し、富強な朝鮮を建設することを党の綱領としています。もし、アメリカ帝国主義者の野望が実現してわが国がアメリカ独占資本の植民地市場に転落するようなことにでもなれば、民主党内の企業家、商人、富農も日本帝国主義支配下でのように零落し破産することになるでしょう。民主党の党員はこれを知っているため、わが国が外国の植民地になり、民族経済が破綻するのを望まず、祖国の独立と富強な国家の建設を望んでいるのです。また彼らは、わが国が独立し、豊かで強力になるためには封建的な君主制やアメリカ的「民主主義」ではなく、進歩的な民主制度を樹立しなければならず、そのためには労働党と手をたずさえて、労働者、農民をはじめ勤労人民と協力すべきであることを次第に理解しつつあります。このことは今、わが党と民主党が、共通の敵アメリカ帝国主義の植民地従属化政策に反対し、民主主義人民共和国を創建する闘争の中で統一戦線を結び、十分同一歩調で進むことができることを示しています。

 もちろん民主党員の中に、たまに反動的な行動に走る者がいるのも確かです。そういう連中は、うわべでは民主党の綱領を支持するふりをしながら、実際は民主党を破壊するために潜入したごく少数の反動分子です。

 今民主党に潜入して反動的な行為をおこなっているのは、大体次のような部類の者です。

 第1に、過去にアメリカの宣伝の影響を受けてアメリカを崇拝し、アメリカに対して幻想を抱いている親米派です。アメリカは、早くから宗教の看板を掲げた宣教師をわが国に派遣し、各地に教会を建ててキリスト教や崇米思想を広め、将来朝鮮を支配するために数十年にわたってその下準備を進めてきました。それは、アメリカが朝鮮人に同情しているように見せかけ、宗教の仮面をかぶって彼らの勢力を朝鮮に植えつけようとする陰険な策動でした。

 アメリカの宣教師は、朝鮮人に「人なんじの右の頬を打たばまた他の頬をも彼に向けよ」と説教しました。これは、アメリカが朝鮮人民の自由を侵しても、朝鮮人民は反抗すべきでなく服従すべきであるということを意味します。しかし、朝鮮の愛国者と人民は、アメリカのこのような欺瞞的な説教にだまされませんでした。朝鮮人民は、アメリカ人に「きさまらが1度打てば、こっちは2度打ちかえしてやる」と答え、またそのとおり実行しました。

 ところが一部の牧師や長老の中には、そういう宗教宣伝にだまされてアメリカを「神様」のようにあがめ、「ドル」とひきかえに祖国を売り渡そうとする者がいます。まさに、そのような反動的な牧師や長老の一部が民主党に潜入して悪巧みをしているのです。

 第2に、民主党内部に潜入したごく少数の悪徳投機業者の中に、しばしば反動的な行為が見られます。祖国と民族の利益よりも自分一個人の利益を大事にする彼らは、北朝鮮で遂行された民主改革に反感を持ち、民族経済の復興発展を快く思っていません。なぜなら、民族経済の発展が彼らの暴利・不正行為に打撃を与えるからです。それで、彼らは投機・暴利行為を続け、勤労人民を悪辣に搾取するために、朝鮮の社会の進歩と民族経済の発展に必死になって反対しているのです。

 このように民主党内には、祖国の民主的発展に反対して暗躍しているごく少数の悪質分子がいますが、彼らを除いては、わが党員と民主党員は互いに協力し合えるし、祖国の完全な独立と民主主義的統一の達成をめざす同じ目標に向かって固く手を取り合って進むことができます。

 次は、青友党について見ることにしましょう。青友党は、その階級構成から見ると農民が多数を占めています。したがって、我々はいつでも青友党と統一戦線を結ぶことができます。

 ところが一部の青友党員の中にも、ときたま反動的な行為を働く者がいます。これらの者は、仮面をかぶって青友党に潜入した反動分子や都市の怠け者で、彼らは青友党の綱領に違反し、その政策を混乱させながら党内の進歩的な人々に反対して陰険な策動をおこなっています。

 青友党内に潜入した反動分子らは、農民をあざむいてたやすく自己の目的を達成するために、農民ができるだけ立ち後れた、蒙昧な状態におかれることを望んでいます。ところがわが党は、民主改革を通じて農民を土地の主人にし、彼らを幸福な新しい生活の道へ導いており、引き続き農民を思想的に目覚めさせ、文化的に啓蒙しています。そのため、日がたつにつれて農民の間で自己の地盤を失いつつあるこれら反動分子は、青友党の看板に隠れてわが党と人民政権に反対する反動的行為に終始しているのです。

 我々は、友党内に潜入したごく少数の悪質分子が反動的行動をとるからといって友党を疑ったり、遠ざけたりすべきではなく、友党の綱領と政策にもとづいて友党を信頼し、友党といっそう緊密に協力すべきです。そうしてこそ、わが党の統一戦線政策を正しく貫き、すべての愛国的民主勢力を富強な自主独立国家の建設に奮い立たせることができるのです。

 すべての党員と各級党組織は、下部で友党の党員および友党組織との団結を強め、彼らと日常的に緊密な連係を保ち、友党の党員に対する民主的な教育活動を繰り広げ、立ち後れた農民の思想・意識と文化水準を高め、友党内の進歩的分子が自党内に潜入した悪質分子を一掃するように助け、わが党内でもまた、統一戦線を破壊しようとする分子との闘争を繰り広げて、民主主義民族統一戦線をあらゆる面から強化しなければなりません。

 我々は、統一戦線活動において常にわが党の独自性を失わないようにすべきです。党員は、わが党の進歩的な立場を堅持し、友党に思想的影響を与えるとともに、いっさいの正しくない反人民的な傾向とは妥協することなくたたかわなければなりません。わが党は先進的理論で武装しており、祖国解放をめざす革命闘争の輝かしい伝統を持つ朝鮮勤労人民の前衛部隊です。したがってわが党は、自己の思想と理論を持って、そして祖国の自由と独立をめざす闘争の中で積み重ねた豊かな経験を持って友党を十分助けることができ、また当然助けなければなりません。我々は、友党の党員に常にわだかまりのない謙虚な態度で接し、友党の党員自身が困難な問題にぶつかれば労働党員を訪ねてきて相談し、協力を求めるようにしなければなりません。

 わが党組織と友党組織との間に、またわが党員と友党の党員との間に下部での統一が強まり、相互の連係と協力が緊密になれば、それだけ統一戦線はさらに強化されるであろうし、そうなれば、いかなる力もこの統一戦線を破壊することはできないでしょう。

 わが党はこのようにすべての愛国的民主政党とは緊密に協力するが、反民族的、反人民的な売国奴一味とはあくまでたたかわなければなりません。なぜ我々は、売国奴李承晩一味とは統一戦線を結べないのでしょうか。それは、彼らがアメリカ帝国主義の手先になりかわり、民族の利益を公然と裏切っているからです。李承晩一味に加担している者はすべて日本帝国主義支配当時は日本帝国主義者の手先だったのですが、今日では、もとの主人を失って新しい主人にめぐりあい、アメリカ帝国主義者の手先になりかわった親日派なのです。愛国者と売国奴とはいついかなる場合でも手をとることはできないし、妥協することもできません。帝国主義の手先は、当然人民の審判を受けなくてはなりません。

 北朝鮮労働党と南朝鮮労働党は、誰が敵であり、誰と統一戦線を結ぶべきかをよく知っています。統一戦線は、敵と結ぶのではなく、友人と結ぶものです。それゆえ我々は、富強な自主独立国家の建設をめざしている民主党および青友党との統一戦線を強め、各階層の愛国的民主勢力を総動員してアメリカ帝国主義者とその手先に反対する闘争を引き続き粘り強く展開しなければなりません。

 最後に、人民の間で祖国を愛し、富強な祖国をより早く建設しようとする愛国的建国思想をさらに培わなければなりません。

 すべての工場、鉱山、炭鉱や機関、企業で、国家財産を愛護し、機械・設備の稼働率をさらに高め、労働力と物資を節約し、非生産的支出を縮小し、少ない資金でより多く、より立派に生産し、より早く建設するためにたたかう気風を打ち立てなければなりません。勤労者の間で愛国的建国思想を鼓吹し、無計画に仕事をし、なるがままに暮らそうとする日本帝国主義支配時代の思想の残滓を一掃するためにたたかうことは、わが党組織の重要な課題です。

 遠からず朝鮮人民は、自分の憲法と軍隊を持つようになるでしょう。我々は、みずからの手で打ち立てた人民政権と、自力で勝ち取ったすべての権利と自由を法的に確認することになるわが国の憲法を当然誇りに思い、それをしっかり遵守すべきであり、愛する息子、娘で組織される人民軍を積極的に支持し援護すべきです。

 我々は、北朝鮮労働党第2回大会を前にしておこなわれる各級党組織の活動総括と選挙を通じて、党を組織的、思想的に強化すべきであり、総括期間に各級党組織が得た貴い教訓と豊かな経験を正しく総括し、今後の党活動発展の指針とすべきです。

 祖国と人民と党のために献身的にたたかい、実際の活動で確認され、鍛えられたすぐれた党員を党の指導機関に選挙し、党代表者会議に派遣して、わが党の戦闘力を強化し、大衆の間での党の威信を高め、彼らを党のまわりに鉄のように団結させなければなりません。

 わが党をさらに固め、党のまわりに結集した広範な人民大衆を導いて、新しい勝利をめざして力強く前進しましょう。
出典:サイト「わが民族同士」 参照:『金日成著作集』4巻 

ページのトップ


inserted by FC2 system