金 日 成

通貨改革を実施することについて
―北朝鮮人民委員会第53回会議での結語― 
1947年12月1日 

 きょうの会議では、北朝鮮中央銀行券の発行問題と、現在、北朝鮮で通用している通貨を新しい通貨と交換する問題について討議しました。

 通貨改革は、北朝鮮で実施された民主諸改革と同様に、完全自主独立国家の建設における重要な問題です。

 解放された朝鮮は、一つの統一的な自主独立国家として発展できず、南北に分断され、相異なる方向へ進んでいます。

 朝鮮領土の半分である北朝鮮には人民政権が樹立され、人民の利益と幸福のための民主的施策が実施されています。北朝鮮は解放後わずか2年の間に飛躍的な発展を遂げ、朝鮮人民は、外国が10年、20年かけても遂行できなかった種々の民主的課題を短期間に成功裏になし遂げるという輝かしい成果を収めました。

 これとは逆に、南朝鮮では、反動分子が国際反動と結託して民族を分裂させ、国を売り渡し、再び帝国主義の植民地にしようと公然と策動しています。これは言うまでもなく、朝鮮に対するアメリカ帝国主義侵略者の植民地化政策に起因しています。

 アメリカ帝国主義者は、朝鮮からソ米両軍が同時に撤退し、朝鮮問題を朝鮮人民自身に任せよという朝鮮人民の要求を拒否し、その侵略的野望を遂げるため陰謀と策動の限りを尽くしています。アメリカ帝国主義者は、国連の看板まで盗用して朝鮮を従属させようとしています。

 アメリカ帝国主義者とその手先の策動のため統一した中央政府を樹立できない現状にあって、完全自主独立国家建設の政治的・経済的土台を築き、祖国の将来の発展を保障し、南北の統一を促進するためには、北朝鮮でおこなわれた民主諸改革の成果を固め、自立的民族経済を建設しなければなりません。

 民主改革の成果と自立的民族経済の土台を固めるうえで重要な問題は、通貨改革をおこなって唯一貨幣制度を確立し、自主的な財政・金融体系を打ち立てることです。

 もちろん、我々は、すでに民主諸改革を実施して自立的民族経済の土台を築き、人民の生活を向上させるうえで一定の成果を上げました。しかし、まだ自主的な財政・金融体系が確立されていないため、通貨に対する統制、調節および指導、監督がおこなわれていません。このことは、国の経済発展と人民生活の向上に少なからぬ支障をきたしています。

 それゆえ、我々は、自立的民族経済の土台を固め、完全自主独立国家の建設を促進するために、朝鮮人民の貨幣である北朝鮮中央銀行券を発行することにしました。

 通貨改革は、人民経済の計画的発展を保障するためにも必要です。

 民主改革の結果、日本帝国主義者と民族反逆者が所有していた産業、交通運輸、逓信、銀行などが国有化され、国の経済を計画的に運営しうる土台が築かれました。我々はこれに基づき、今年から人民経済計画を立てて遂行しています。

 しかし、わが国には、まだ自主的な貨幣がありません。現在、北朝鮮地域では「朝鮮銀行券」と「ソ連軍票」が流通しています。「朝鮮銀行券」は、北朝鮮だけでなく、南朝鮮でも流通しています。数種の貨幣が流通し、通貨量さえ分からない「朝鮮銀行券」が通用する貨幣制度を存続させては、人民経済の財政計画を正確に立てることができません。計画経済に見合った貨幣制度が樹立されなければ、経済を急速に発展させることができません。

 通貨改革は、貨幣流通分野でアメリカ帝国主義者とその手先の悪辣な策動が激化している状況にあって、いっそう切実な問題となっています。

 アメリカ帝国主義者とその手先は、「朝鮮銀行券」が南北朝鮮で通用していることに乗じて、280億ウォンに上る紙幣を乱発して北朝鮮に送り込み、市場で多くの商品と食糧を安く買い取って南朝鮮に持ち帰っています。彼らは、こうして物価を暴騰させて人民の生活を脅かし、さらには人民のあいだで人民政権への不満をあおりたてて人民と人民政権を離間させ、計画経済を破綻させようとしています。アメリカ帝国主義とその手先のこうした策動を粉砕するために、我々は新しい通貨を発行することにしたのです。

 北朝鮮中央銀行券を発行して唯一貨幣制度を確立することは、政治的、経済的に大きな意義をもちます。

 北朝鮮中央銀行券の発行は、第1に、市場を経済的に保護し、第2に、産業と商業の発展を保障し、第3に、肥料をはじめ、各種の物資の生産と国の財産を増やし、第4に、悪徳業者を一掃し、第5に、人民経済計画の実行を財政的に裏打ちできるようにするでしょう。一言でいって、新しい通貨の発行は、人民の経済生活を安定させ、国の経済的土台を強化し、今後樹立される統一した中央政府の財政・金融の土台を築くうえで大きな意義をもちます。

 唯一貨幣制度の樹立は、我々の市場と経済を混乱させて人民経済の発展を阻害しようとするアメリカ帝国主義と南朝鮮反動派の策動に決定的な打撃を与え、完全自主独立国家の建設をさらに促進させるでしょう。

 我々は、以前から通貨の発行を計画し準備してきました。

 しかし我々は、解放初期に我々の通貨を発行するよりも、国の経済的土台を強固に築き、人民の選挙した人民政権がその活動を通じて人民の絶対的な支持と信頼を得て、威信が高まったときに唯一通貨を発行する方が、政治的により大きな意義があると認めました。現在、北朝鮮では新しい通貨を発行できるすべての条件が整っています。北朝鮮では、主権が人民にあり、重要な工場、鉱山、企業、銀行、交通運輸機関などが人民に掌握されています。このような土台があるので、我々は十分みずからの通貨を発行することができるのです。

 このたび発行される新しい通貨は、人民の手中にある国のあらゆる資源と国有化された産業施設、国家倉庫に貯蔵されている穀物と水産物、銀行に保管されている巨額の貴重品によって保証されます。

 最近、南朝鮮の反動派も紙幣を改革すると唱えています。しかし、彼らはなんの保証もない紙幣を乱発して、結局は人民の経済生活をさらなる危機に陥れることになるでしょう。

 今回の通貨交換では、新通貨と旧通貨を1対1の比率で交換することにしました。通貨交換の限度額は、労働者、農民、事務員、機関、企業、団体に区分して格差をつけました。また、交換限度額以上の通貨を保有している個人、機関、企業、団体は、それを国に預金するようにしました。したがって、今回の通貨改革を通じて、国家財政を強固にし、流通手段の統一性を保つようにしなければなりません。

 通貨の交換は、中央銀行が責任をもっておこなうべきです。中央銀行の行員は、各道に出向いて、これを指導すべきです。

 通貨の交換を適時に正確におこなうために努力すると同時に、反動派のあらゆる破壊行為に対して警戒心を強めなければなりません。今回の通貨改革は、すでに実施された土地改革に劣らぬ重要な事業です。内務局と検察所は、海岸と38度線の警備に万全を期し、銀行と通貨交換所をしっかり守り、あらゆる違法行為とのたたかいを強化しなければなりません。

 通貨交換に携わる活動家と宣伝員を正しく選抜、配置し、彼らを通じて通貨交換の意義と必要性、通貨交換が人民の暮らしにもたらす利益などについて広く解説、宣伝すべきです。

 通貨交換に関する国家機密を厳守しなければなりません。北朝鮮人民委員会が通貨交換に関する法令を正式に発布するまでは、それを極秘に付すべきです。12月5日に法令を発布する予定なので、その前日までは絶対に秘密をもらしてはなりません。

 通貨改革に関する報道は必ず紙面を通じておこない、放送ではおこなわないようにすることです。

 通貨交換を指導、支援するために、北朝鮮人民委員会の責任幹部が各道に出向かなければなりません。各道に出向く人たちは、細則を十分に研究し、道人民委員会委員長に通貨交換をどのように組織しおこなうべきかを教えるべきです。道がおこなう組織活動には干渉せずに指導と監督だけをおこない、解説・宣伝活動を進めることです。また、物価安定対策と警備・通報活動などを組織し指導すべきです。

 財政局長は、12月13日までに個人と工場、企業、団体の預金支払い方法に関する法令草案を作成し、内務局は通貨交換に必要な各種の文書を責任をもって印刷しなければなりません。

 私は、ここに参加した皆さんが今回の北朝鮮人民委員会が採択した通貨改革法令をしっかり受け止め、早期にそれを実施して、民主改革の成果を固め、自立的民族経済の土台を築き、民主主義的完全自主独立国家の建設を促進することに貢献するものと確信しています。
出典:サイト「わが民族同士」 参照:『金日成著作集』3巻 

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