金 日 成

祖国と人民に忠実に奉仕する人民軍の幹部になるべきである
 ―中央保安幹部学校第1期卒業式でおこなった演説―
1947年10月26日 

 中央保安幹部学校第1期卒業生の皆さん!

 私は朝鮮人民と北朝鮮人民委員会の名において、皆さんと皆さんを絶えず指導し訓練してきた校長をはじめ、教員の皆さんに熱烈な祝賀を送ります。

 皆さんがきょうこの学校を卒業し、それぞれが朝鮮人民軍の新しい幹部として各部隊やその他の任地におもむくことは、わが国の民主勢力をさらに強化し、朝鮮の自主独立の土台である北朝鮮の民主基地を強化するうえで大きな意義をもちます。

 こんにちの国際情勢の特徴は、民主と反民主間の対立と闘争が日増しに激化していることです。世界平和を守り安全を保障するための民主陣営諸国人民の闘争が強化されている反面、人類の平和と安全を破壊しようとする帝国主義者のあがきがますます露骨になっています。

 第2次世界大戦以後、ソ連と民主諸国は、世界人民の友好と平和を維持するため、新たな戦争に反対して断固たたかっています。

 これとは逆に、アメリカとイギリスおよびその追随国は、世界市場の独占的地位を確保し、侵略の目的を達成するため、新たな戦争挑発を企んでいます。

 特に、帝国主義陣営の頭目であるアメリカ帝国主義者は、ドルの力で他国を従属させ世界を制覇しようと、「トルーマン・ドクトリン」や「マーシャル・プラン」など醜悪な侵略計画の実現に狂奔しています。アメリカ帝国主義者は、世界の人民が戦争で流した貴い血の代償を横どりしようとしているだけでなく、世界平和を甚だしく脅かしています。彼らは、国際公約を蹂躙し、ファシストの残党を庇護、助長し、さらには他国の内政に干渉し、「援助」の美名に隠れて他国を経済的に従属させ、政治的に支配しようとやっきになっています。

 民主と反動とのたたかいは、朝鮮でも日増しに激化しています。

 祖国の完全自主独立をめざす朝鮮人民の闘争は、アメリカ帝国主義者とその手先の反動的策動のため大きな障害にぶつかっています。アメリカ帝国主義者は、朝鮮民族の民主的発展と自主独立に対する国際公約であるモスクワ3国外相会議の決定を公然と踏みにじり、民主主義朝鮮臨時政府を樹立するためのソ米共同委員会を故意に遅延させ破綻させました。彼らは、朝鮮人民の長年の念願である祖国の完全独立と統一した臨時政府の樹立を妨げ、南朝鮮の占領を恒久化し、朝鮮を植民地化し、朝鮮人民を再び奴隷化しようと企んでいます。

 アメリカ帝国主義者は、日本を再び東方における戦争の発源地に、民主陣営に対する軍事基地に変えています。彼らは、朝鮮人民の仇敵である日本帝国主義者を再武装させ、朝鮮人民の自主独立を侵し、他の東方民族を侵略する手先に利用しようとしています。

 このように、こんにち、祖国はアメリカ帝国主義者の陰謀と侵略策動によって、統一政府の樹立と自主独立、民主的発展に重大な障害を受けています。

 こうした時期に、人民軍の幹部として部隊におもむく皆さんの任務は極めて重大です。

 皆さんは、祖国と人民に奉仕する人民軍の幹部として、祖国と人民から課せられた任務を忠実に遂行しなければなりません。

 北朝鮮では、人民が自分の手で人民の政権である人民委員会を組織し、そのまわりに団結して祖国の完全独立のための強固な民主的土台を築いています。人民軍は、真の人民の政権である人民委員会を生命を賭して守り、北朝鮮の民主建設の成果を固め、人民の利益と民族の栄誉を守り、祖国の完全独立を勝ち取るべき重大な使命を担っています。

 我々は二度と再び、帝国主義者に侵略されて政権を奪われ、屈辱的な亡国の奴隷生活をするわけにはいきません。我々は、自国の強力な軍隊をもたなければなりません。皆さんは、必ず人民の利益と祖国の独立のために最後までたたかう立派な将校にならなければならず、祖国と人民の敵とはいつでも死を決してたたかい、敵を撃滅する強力な人民軍を創建するために努力しなければなりません。

 我々は、一日も早く先進的な軍事科学技術を備えた近代的な人民軍を創建するため、立派な軍人を育成することに最大の努力を傾注しなければなりません。誰もが武器を巧みに扱い、種々の戦闘規定に精通するとともに、近代的な各兵種間の協同作戦について研究することです。我々はまた、第2次世界大戦におけるソ連軍の勝利の経験についても研究すべきです。こうして、戦略・戦術においても軍事技術においても、最も優秀な軍隊を育成しなければなりません。

 皆さんは学校で得た軍事知識を軍人に教え、実際の活動を通じて自分の経験と知識を豊かにするためにたえず努力し、自分自身だけでなく全部隊が国の有能な守り手になるようにすべきです。

 また、部隊を政治的に鍛えなければなりません。すべての将校と兵士が、祖国と人民のために命を賭して戦うよう思想的に鍛えなければなりません。同時に、軍人を敵を憎む思想で教育し、帝国主義者が朝鮮民族を奴隷化しようとあらゆる陰謀をめぐらしていることを彼らに教えるべきです。

 反動分子はみな朝鮮人民の敵であり、祖国を売り渡す民族反逆者です。すべての将兵が反動分子と帝国主義侵略者を憎むように教育しなければなりません。

 軍人のあいだでアメリカ帝国主義者と日本帝国主義者に対する憎悪心を強めるため、アメリカ帝国主義者が久しい前から朝鮮の侵略を企み、第2次世界大戦後、祖国の半分である南朝鮮を占領していることと、日本の侵略者が数百年前から数回にわたって朝鮮を侵略し、ついには占領して、半世紀近くのあいだ朝鮮民族を搾取し抑圧したことを教えなければなりません。朝鮮民族の不倶戴天の敵である日本の侵略者は祖国の地から駆逐されましたが、こんにち、アメリカ帝国主義者の庇護のもとに、愚かにも朝鮮の再侵略を企んでいることをすべての将兵にはっきり教えなければなりません。

 我々は、祖国防衛のために人民と国が求めるときにはいつでも出動できるよう準備を整えていなければなりません。部隊では、朝鮮歴史を教え、歴史上の英雄、名将の勇猛心とそのすぐれた戦略戦術を研究し、特に、革命烈士が長期にわたる抗日武装闘争で残した貴い革命の経験と業績を継承し、その闘争精神を見習うようにしなければなりません。また、すべての将兵に祖国と人民のためにたたかうべき自分の使命を認識させ、敵がい心を強めるようにすべきです。

 人民の利益を守り人民に奉仕し、平素の訓練のときも戦時も常に人民と団結し、密接な連係を保つ軍隊になるよう、すべての軍人を教育しなければなりません。

 部隊では、兵士相互間、将校相互間、将校と兵士間に常に肉親的愛情と友愛があふれるようにし、また、同志を愛し尊敬し助けあって実の兄弟のように仲よくし、どのような難関に遭遇しても部隊が一心同体となって団結するようにしなければなりません。

 また、部隊の規律を強化するために全力を傾けなければなりません。規律は、軍隊の生命です。規律のない軍隊は、その存在を維持することも、敵とたたかうこともできません。古今東西、規律のない軍隊が勝利した例はありません。ソ連軍がソ連人民の祖国戦争で勝利したのも、全将兵が祖国と人民を守れとの上部の命令を遂行するため最後までたたかう自覚的規律をもっていたからです。わが人民軍も、祖国と人民の命令を生命を賭して遂行する鉄の規律を確立しなければなりません。

 軍人に国の財産と軍隊の装備を大事にする精神を培い、自分の武器を瞳のように大切にするよう教育すべきです。

 これらのことは、軍人の熱烈な愛国心と民族的自尊心、不屈の闘志を培う思想教育なしには不可能です。したがって、軍隊内で思想教育の強化に最大の関心を払わなければなりません。

 皆さんは、人民軍の将校です。きょうから皆さんは、実際の活動を通じて祖国と人民に奉仕することになります。実際の活動は、学校で学ぶよりもはるかに複雑です。ですから、活動の過程で多くの困難に直面することでしょう。皆さんは、それらの困難を十分克服できる有能な将校にならなければなりません。

 皆さんは、常に兵士たちを愛し、立派に教育し、彼らとともに生活するなかで模範を示すべきです。また、兵士に明瞭かつ適確な命令を下し、その遂行状況を点検し、彼らが困難を克服するよう励ますとともに、規律を守るうえでもみずから模範を示すべきです。将校は、いついかなる場合でも率先垂範の精神を発揮しなければなりません。

 皆さんは、常にわが党と人民に限りなく忠実で、いかなる状況にあっても党と祖国の命令をあくまで遂行する、最も模範的な軍人になるため努力を払わなければなりません。

 私は、皆さんが祖国の独立と民族の栄誉を守る聖なるたたかいで、内外のあらゆる敵を撃退し、常に勝利する強力な人民軍を育成するため極力努力するよう望みます。
 出典:サイト「わが民族同士」 参照:『金日成著作集』3巻

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