金 日 成

平壌穀物加工工場の労働者におこなった演説
−1947年4月19日− 

 皆さん!

 平壌穀物加工工場は、人民の生活に切実に必要な各種の食品を生産するわが国の重要な工場です。

 皆さんは解放後すべてが不足し困難が重なる状況下にあっても、自力で工場を復旧して運営し、生産ですでに少なからぬ成果を収めました。これは、皆さんが祖国と人民のために、愛国的増産運動を力強く展開して勝ち取った貴い結実です。

 私は、新しい祖国の建設をめざして日夜奮闘している皆さんにあつく謝意を表します。

 朝鮮人民は、過去36年間、日本帝国主義の苛酷なファッショ支配下であらゆる民族的蔑視と虐待を受け、植民地奴隷生活を強いられました。しかし朝鮮人民は、長期の英雄的闘争によって呪うべき日本帝国主義の植民地奴隷生活に終止符を打ち、国家と権力の主人となり、みずからの手で富強な新しい民主朝鮮を建設する道を踏み出しました。

 北朝鮮では解放後短期間に、全人民の積極的な支持と参加のもとに人民政権を樹立して土地改革をはじめ、民主諸改革を成功裏に実施し、政治、経済、文化の各分野で偉大な変革を遂げました。

 しかし、北朝鮮とは逆に南朝鮮は、日本帝国主義支配当時と変わらない悲惨な状態に置かれています。アメリカ帝国主義者とその手先の反人民的な策動によって、南朝鮮では民主改革はおろか人民の基本的な民主的要求さえも無惨に踏みにじられています。我々は、全力を尽くしてアメリカ帝国主義者とその手先の反動的策動を粉砕し、南朝鮮人民も北朝鮮人民と同様に、国家と権力の主人となって幸せを享受できるようにしなければなりません。

 そのためには、北朝鮮に強固な民主基地を築かなければなりません。強固な民主基地がなければ、統一、独立の富強な新しい民主朝鮮を建設することはできません。我々は北朝鮮での民主改革の成果を固め、政治的、経済的、軍事的な力をさらに強化して民主基地を強固にしなければなりません。

 富強な民主主義的完全自主独立国家を建設するためには、自立的民族経済の強固な土台を築かなければなりません。

 これは、富強な民主主義的完全自主独立国家建設の確固たる物質的保証であります。自立的民族経済の土台の構築なしには、祖国の統一と独立を達成することも、人民の幸福な生活を保障することもできません。

 もちろん、わが国の現状で、自立的民族経済の土台を構築するというのは、決して容易なことではありません。現在わが国にはマッチ工場一つ満足なものがなく、国の工業土台は極めて貧弱です。これは言うまでもなく、長期にわたる日本帝国主義のあくどい植民地支配の結果です。かつて日本帝国主義は、朝鮮を占領して民族産業の発展を極度に抑制し、朝鮮の豊富な天然資源を略奪する目的で半製品を生産する工業しか建設しなかったし、それさえも敗走の際にすべて破壊しました。その結果、解放後朝鮮人民が受け継いだ工業は取るに足りないものです。

 工業の土台が弱いうえに、資金も資材も技術者も不足しています。朝鮮人民の前には、実に多くの困難と難関が立ちはだかっています。

 しかし、前進途上に障害や困難な問題が多いからといって、我々は、目先の利益にとらわれ外国からの輸入に依存するわけにいきません。安易に外国から機械や穀物、織物、履物、食肉などを輸入すれば、当面の問題は解決できるでしょう。しかし、それでは、他人に依存して生きる結果を招くだけです。我々は、決して他人に期待をかけたり依存しようとしてはなりません。我々が将来を考えず、目先の利益にとらわれ外国に依存して生きようとするならば、自立的民族経済を建設できないばかりでなく、国の完全な自主独立も達成できず、さらには再び外国の植民地になってしまうでしょう。朝鮮人民が過去36年間、日本帝国主義者に抑圧されたことだけでも痛憤に耐えないのに、どうして再び他人に束縛されて生きていけるでしょうか。

 絶対にそのように生きることはできません。

 いかなる困難や難関が立ちはだかろうと、我々は他人に頼るべきではなく自力でそれを打開し、自立的民族経済の土台を一つひとつ築いていかなければなりません。この道だけが富強な民主主義的完全自主独立国家を建設する道であり、より幸福な生活を築き、輝かしい未来をたぐりよせる道なのです。

 朝鮮民族は、自力であらゆる難関を乗り越え、富強な新しい民主朝鮮を十分に建設することができます。解放後短期間に北朝鮮でおさめられた偉大な成果がこれを立証しています。

 国の富強発展は結局、人民の闘争いかんにかかっています。

 労働者階級は、自力で十分、自立的民族経済の土台を築き、富強な新しい民主朝鮮を建設できるという民族的誇りと自負を抱いてたたかい、勝利の確信をもって勇敢に前進しなければなりません。

 さしあたり、今年度の人民経済計画を超過遂行しなければなりません。勤労大衆が、増産闘争を力強く展開し、今年度の計画を成功裏に遂行するならば、国の経済的土台はいっそう強化され、ひいては朝鮮人民の威力を全世界に示すことができるでしょう。すべての労働者は、1947年度の人民経済計画を完遂するためにこぞって立ち上がらなければなりません。

 皆さん!

 平壌穀物加工工場の主人は、皆さんであります。かつてこの工場は、アメリカ人が経営し、日本人も経営しました。しかし、今では皆さんが管理、運営しているのです。皆さんは、国の主人、工場の主人としての自覚をもって工場を立派に運営するために全力を尽くさなければなりません。

 もちろん、工場の運営には種々の困難が伴うでしょう。しかし、どのような困難でも、力を合わせて奮闘すれば十分打開することができます。愛国的熱意が高く決心さえ固ければ不可能なことはありません。工場のすべての幹部と労働者は、障害と難関を自力で打開し、工場に課された今年度の生産計画を完遂するため極力努力しなければなりません。

 工場の今年度の生産計画を遂行するためにはまず、労働規律を強化しなければなりません。現在一部の労働者のなかには、労働規律を守らない無秩序な傾向がなくなっておらず、工場をやめる現象も見られています。これは、非常に間違っています。皆さんは当然、工場の主人らしく労働に誠実に参加し、労働規律を守らない傾向と強くたたかわなければなりません。すべての労働者が、腰を据えて各自の生産課題を完遂するために奮闘すべきです。

 この工場には、かつて日本帝国主義者の虐待と蔑視を受けながら長年働いてきた労働者が多数いますが、彼らは国の宝です。

 勤続年限の長い労働者は、大衆の先頭に立って労働規律をよく守り、工場のため、国のためにさらに多くの仕事をしなければなりません。

 労働規律を強化するとともに、設備を大事に管理しなければなりません。設備をよく管理しなければ生産を正常化することはできず、工場に課された今年度の人民経済計画を完遂することができません。皆さんは、工場の機械設備を瞳のように愛護し、きちんと管理しなければなりません。労働者は、自分が使う機械設備を常に丹念に手入れするだけでなく、常時点検や補修もして、その稼働率を最大限に高めなければなりません。

 次に、工場では、労働者の生活に深い関心を払わなければなりません。

 今この工場では、副産物でしょう油をはじめ、各種の食品をつくって労働者に供給し、寮では養豚もやっているということですが、それは非常によいことです。しかし、それで満足してはいけません。労働者の生活にはまだ困難な点が少なくありません。

 もちろん今後、紡織工場やゴム工場などの軽工業工場が順調に運営されて生産が軌道に乗れば、労働者の生活をさらに改善することができるでしょう。しかし、すべての問題が解決されるのを腕をこまねいて待っていてはいけません。工場では、あらゆる可能性を最大限に生かし、労働者の生活上の問題を解決するため極力努力しなければなりません。

 一部の活動家はこの工場で生産される食用油を輸出しようと言っていますが、そうしてはなりません。もちろん、この工場で生産される食用油は良質のものなので、輸出すれば外貨を稼ぐことができるでしょう。しかし、食用油は輸出しないで労働者に供給すべきです。

 機械をつくり家を建てるのも労働者であり、布を織り油を生産するのも労働者です。したがって、労働者が当然よい家に住み、よい服を着て美味しいものを食べるべきです。我々は、労働者階級のためなら何をも惜しんではなりません。

 次に、工場のすべての幹部と労働者は、革命的警戒心をさらに高めなければなりません。今、反動派は、我々の新しい朝鮮の建設を破壊し、特に今年度の人民経済計画の遂行を破綻させようと策動しています。こうした状況にあって、皆さんは少しでも安逸に流れたり気を緩めたりせずに、常に高度の警戒心をもって仕事をしなければなりません。こうして、はじめて敵の陰謀を事前に粉砕することができ、敵の侵害から工場をしっかり守ることができます。

 工場に課された課題を円滑に遂行するためには、職業同盟組織の役割を高めなければなりません。職業同盟組織は、労働者に対する教育を強化し、彼らが高度の建国の熱意を発揮して今年度の人民経済計画を超過遂行するようにしなければなりません。

 皆さんは、過去には資本家に強要されて働きましたが、今では国の主人として祖国と人民のために、自分自身のために働いているのです。国と人民のために働く皆さんの愛国心は当然、今年度の人民経済計画の遂行に示されるべきです。この工場のすべての労働者は、力を合わせ、技術を向上させてよい製品を多く生産しなければなりません。

 私は、皆さんが高度の愛国的熱意と創意を発揮して今年度の人民経済計画を超過遂行し、工場の発展のために極力努力することによって、国の自立的民族経済の土台を築き、富強な新しい民主朝鮮の建設に大いに貢献するものと確信します。
 出典:サイト「わが民族同士」 参照:『金日成著作集』3巻

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