金 日 成

愛国歌と人民軍行進曲を創作することについて
 作家たちにおこなった談話
−1946年9月27日− 


 私はきょう、みなさんに愛国歌と人民軍行進曲を創作することについて述べたいと思います。

 我々は、早く愛国歌を創作してうたい、近い将来創建される我が国の軍隊の行進曲もいまから準備すべきです。

 朝鮮人民は、約半世紀のあいだ日本帝国主義植民地の鉄鎖につながれてあらゆる苦しみにさいなまれ、亡国の民の悲しみを骨身にしみて体験しました。日本帝国主義侵略者は、朝鮮民族の長い歴史と輝かしい文化を無残に踏みにじりました。

 日本帝国主義の圧制から解放された朝鮮人民は、いまや国の主人となり、自由に働いています。我々は、自分の手で人民政権を樹立し、民族文化を発展させ、富強な自主独立国家を建設しています。労働者階級は、日本帝国主義が破壊した工場、企業所を復旧し、農民は土地改革法令によって封建的土地所有制から解放され土地の主人となりました。勤労人民の子弟は、思う存分学校で学べるようになり、病気にかかれば治療を受ける権利が誰にも保障されています。人民は我が党の正しい指導のもとに、このように新生活創造の道を歩みだしました。

 新生活の創造に励む朝鮮人民の政治的熱意は、極めて高いものがあります。人民の胸には、奪われた祖国を取り戻し、幸福な生活を営むようになった喜びがあふれています。

 いま人民は、解放された祖国で自由と幸福を享受する喜びと感激を高らかにうたうことを望み、愛国歌を求めています。これは、我が党の指導のもとに新生活の創造に着手した人民の当然の要求であります。

 ところが、人民のこうした切実な気持ちと要求をみたす愛国歌がまだつくられていないのです。それで、人民は昔の古い歌をそのままうたっています。この歌は、歌詞の内容が人民の感情に合わないばかりでなく、保守的であり、曲も外国の曲に似せてつくったもので満足すべきものではありません。この歌では、新しい民主祖国の建設に決起した人民を愛国主義思想で教育することはできません。

 我々は、一日も早く愛国歌を創作すべきであります。愛国歌の創作には、すべての作家と作曲家が参加すべきであり、作家や作曲家でなくても創作を希望する人は誰でも参加させるべきです。

 我が国は、実に美しい国です。3面が海にかこまれ、山は険しく荘厳な趣があり、田野には五穀が豊かに実ります。我が国には、地下資源や金銀宝玉も無尽蔵にあります。

 朝鮮人民は、5千年の長い歴史をもつ人民であり、輝かしい文化を誇る聡明な人民であります。朝鮮人民は、慶州(キョンジュ)の瞻星台(チョムソンデ)、金属活字の発明、華麗な美術などによって早くから世界に名声をはせました。また我が国は、美しい旋律の豊かな音楽の国です。我が国の科学と文化、芸術は、このように誇るべき歴史をもっています。

 朝鮮人民は、遠い昔から外敵をしりぞけ血をもって国土を守り、特に、抗日遊撃隊員は、日本帝国主義侵略者に抗して武器をとり15年のあいだ英雄的にたたかいました。搾取と抑圧から解放された勤労人民は、いま政権を掌握し、富強な新しい祖国建設にすべてをささげてたたかっています。

 このように、美しい祖国と立派な闘争伝統をもつ朝鮮人民の民族的誇りと自負心を歌に盛り込まなければなりません。人民がそのような歌をうたえば、祖国愛はさらに深まるでしょう。人民のために一日も早くこうした内容をもつ愛国歌を創作すべきです。国の主人となった人民に、立派な祖国の歌、国歌を与えなければなりません。

 愛国歌は、新しい祖国の創建に決起した朝鮮人民を、我が党と人民政権のまわりに団結させるうえで大いに寄与し、かれらをさらに大きなたたかいと勝利へ奮い起こすでありましょう。

 我々は、遠からず民族の正規軍を創建するはずです。

 かつて、人民の軍隊をもたなかったため、どれほど多くの人民が生命と財産を奪われ、無残に踏みにじられたことでしょうか。かつて、我が国は強力な軍隊をもたなかったため、ついには日本帝国主義侵略者の餌食にされ、人民は血のにじむ植民地奴隷の生活を強いられました。歴史的に、我が国は外国を侵略したことがありません。現在の国際情勢をみれば、第2次世界大戦は終結しましたが、帝国主義侵略勢力は依然として、弱小国家にたいする侵略的野望を捨てず、新しい戦争挑発の策動をたえず強化しています。

 今後、創建される我が国の軍隊は、抗日遊撃隊の輝かしい革命伝統を継承し、いかなる状況にあっても侵略者に打ち勝つ不抜の革命的正規軍に育成されなければなりません。我々の軍隊は、不撓不屈の革命精神で武装し、近代兵器で装備し、民主建設の成果を固守し、人民の生命と財産を瞳のように守るでありましよう。このような我々の軍隊は、正義の軍隊となり、人民から熱愛されるでありましょう。

 人民の軍隊がうたう歌は、熱烈な愛国思想と強い敵愾心、祖国の統一と独立のためにたたかう気高い革命精神を基調にして創作されなければなりません。

 私は、作家のみなさんが高い誇りをいだき、軍人の士気を鼓舞し、かれらの愛国心と人民にたいする忠誠心を鼓吹する立派な歌を創作するよう望みます。

出典:『金日成著作集』2巻


ページのトップ


inserted by FC2 system