金 日 成

こんにちの政治情勢と我々の新たな任務
北朝鮮共産党および朝鮮新民党中央委員会拡大連席会議でおこなった報告
−1946年7月29日−


 同志のみなさん!

 この会議は、歴史的に極めて重要な意義をもちます。

 こんにちの複雑で厳しい情勢は、我々にさまざまな重要な課題を提起しており、ことに北朝鮮共産党と朝鮮新民党の合同を切実に求めています。それで我々は、両党の合同問題を討議するため、この連席会議を開くことになりました。

 解放された我が朝鮮は、国際的にも国内的にも極めて複雑で緊張した情勢のもとで新しい社会を建設する道を進んでいます。

 では、こんにちの国際情勢はどのように動いているのでしょうか。第2次世界大戦における国際反ファッショ陣営の勝利は、新しい歴史的な時代を切り開きました。反ファッショ解放戦争でファシストを撃滅して勝利した世界の人民は、平和と自由と民主主義の新しい生活を創造しており、こんにち全世界勤労大衆の民主運動はいっそう拡大強化されています。

 ファシストの鉄鎖から解放された東ヨーロッパ諸国人民の民主運動は、怒涛の勢いで全ヨーロッパを襲っています。これらの国々では、解放された人民大衆の希望と意思に従って民主政権を樹立し、重要産業、鉄道運輸、銀行の国有化と土地改革をはじめ、各種の民主改革を実施しています。

 こんにちのヨーロッパは、かつてのように帝国主義反動勢力の意のままに動き、帝国主義者の勢力圏内で、帝国主義者とその手先の反動的支配のもとで苦しんできた昔のヨーロッパではありません。

 また、いまだに植民地、半植民地の状態におかれている国の人民も「民族の独立と自由のために!」というスローガンのもとに民族解放運動を大々的に展開しています。イギリスの勢力圏内にあるエジプトと近東諸国の人民は、外国の支配勢力を駆逐して民族の独立をかちとるため血の抗争をつづけています。アジアにおいても、中国、ベトナム、インドネシアなど各国の人民は、自民族の完全な独立と民主的発展をめざしてたたかっています。

 一言でいって、こんにち人類の歴史は、人民大衆の求める方向に進んでいます。

 しかし、世界の民主勢力がなんの障害もなく、順調に成長しているわけでは決してありません。民主勢力はいたるところで国際反動勢力の抵抗に遭遇しており、かれらとの熾烈な闘争をおこなっています。国際反動勢力は、滅亡しつつある帝国主義勢力と、いまだに生きながらえて最後のあがきをおこなっている国際ファシズム残存勢力によって形成されています。かれらは、滅亡に瀕した自己の運命を一日でもなお引きのばすため、卑劣な手段と方法の限りをつくしています。あまつさえ、かれらは第2次世界大戦で流した人民の血がまだ乾いてもいないのに、再び第3次世界大戦を引き起こそうとしています。前イギリス首相チャーチルとアメリカ反動の頭目によって公然と「第3次世界大戦の不可避性」が宣伝されている事実は、このことを如実に物語っています。

 国際的にばかりでなく、国内的にも、民主勢力は複雑な環境のもとで鋭い闘争を通じて成長しています。我が国では、北朝鮮を根拠地にして、人民大衆の民主勢力が急速に成長しています。北朝鮮では、人民の政権である北朝鮮臨時人民委員会が樹立され、民主建設が積極的に進められています。すべての産業、鉄道運輸、銀行機関が速やかに復旧されており、封建的土地小作制度を一掃し、自由な農業発展の道を切り開く土地改革が勝利のうちに完遂されました。この他にも北朝鮮では、民主的な労働法令の発布、農業現物税制の制定など、各種の民主改革が実施されました。こうして、政治、経済、文化の各分野で封建および植民地の残りかすが次第に取り除かれ、自由な社会発展の道が開かれ、民主朝鮮建設の物質的土台がきずかれました。

 北朝鮮におけるこのような各種の基本的な民主改革を実施するための闘争は、労働者、農民、知識人をはじめ、すべての勤労大衆の統一団結した力によって展開されてきました。北朝鮮共産党と朝鮮新民党をはじめ、北朝鮮の各民主政党、大衆団体は、強固な民主主義民族統一戦線を結成し、そのまわりには既に500万の組織された大衆が結集しています。

 北朝鮮でおこなわれた民主改革は、広範な南朝鮮人民大衆の賛意と支持を呼び起こしました。南朝鮮の勤労大衆は、北朝鮮で実施されたような民主改革が南朝鮮でも実施されることを望んでおり、その実現のためにたたかっています。

 全国的に広範に展開されているこのような民主主義運動は、内外反動層の執拗な抵抗に遭遇しています。李承晩のような民族反逆者一味は、アメリカ反動層の「総督政治」の陰謀と「援助」のもとに、「民主議院」なる反動のねじろをつくり、南朝鮮の民主勢力を弾圧しています。かれらは、解放後、南朝鮮人民の自発的意思と希望によって樹立された人民委員会を解散し、その指導者を何の理由もなく検挙投獄しています。またかれらは、いたるところで共産党、新民党をはじめ、民主政党の幹部と党員を何の根拠もなく検挙しています。アメリカ帝国主義者のテコ入れのもとに、李承晩一味のテロ団は、白昼、公然と民主的な言論機関と政党および大衆団体機関を襲撃し、その指導者たちを殺害しています。実に、アメリカ軍政下の南朝鮮では、言論、出版、集会、結社の自由など人民の初歩的な民主的権利まで完全に蹂躙されており、過去の日本帝国主義支配当時のように、人民大衆にたいする抑圧と搾取、奴隷労働の強要と虐殺蛮行を常とする帝国主義的植民地政策が実施されています。

 アメリカ帝国主義者は、朝鮮の民主勢力を完全に抹殺し、そうすることによって朝鮮にたいする侵略的野望を遂げようとしています。また南朝鮮の反動層は、虚偽と中傷、その他あらゆる卑劣な手段を使って朝鮮民族の統一を破壊し、民主勢力を分裂させ、進歩的政党を孤立させ、さらには抹殺しようとしています。反動派は、あらゆる手段を講じて、勤労大衆のすべての正当な要求と活動を踏みつぶし、朝鮮の勤労大衆を再び帝国主義者の奴隷にし、かれらの血と汗を意のままに搾りとろうとしているのです。

 このような情勢のもとで、我々は何をいかになすべきでしょうか。

 我々は一日も早く、統一した民主主義自主独立国家を創建しなければなりません。そのためには、いっさいの親日的、ファッショ的反動勢力を速やかに一掃し、民主的改革を全国的に実現しなければなりません。これはこんにち、朝鮮人民の切実な要求であり、我々に負わされた重大な歴史的課題であります。我々は、人民のこの基本的要求を必ず実現するためにたたかわなければなりません。

 全国的な範囲で民主的課題を実現するうえで、北朝鮮はその根拠地となり、主動力となっています。こんにち、内外の複雑な情勢は、北朝鮮の労働者、農民、知識人をはじめ、勤労大衆のより幅広い連合と統一行動を求めています。この要求を実現するためには、絶対多数の人民大衆を結集する大衆的政党が必要であります。大衆的政党は、勤労大衆の利益を代表する諸政党の合同によって結成されうるのであります。

 北朝鮮共産党中央委員会と朝鮮新民党中央委員会は、両党を合同して大衆的な政党である労働党を創立することについて、既に基本的な意見の一致をみています。両党の合同は、最も正当かつ必然的な措置であります。

 北朝鮮共産党と朝鮮新民党の合同によって大衆的政党を創立するのは、両党の下部末端組織のあいだになんらかのあつれきがあって、それを取り除くために取る措置ではありません。もし、共産党と新民党のあいだになんらかのあつれきがあるとしても、それを取り除く問題は、両党を一つの政党に合同せずとも、共産党から排他的な極左分子を放逐し、新民党から頑固な極右分子を放逐すれば解決されるでしょう。

 共産党と新民党の合同の目的は、我が国に富強な民主主義自主独立国家を建設することにあります。

 共産党と新民党は、それぞれ自己の綱領で富強な民主主義自主独立国家建設の目標をかかげており、したがって両党は、共同の目的実現のために合同することは十分可能であります。

 新民党は、勤労人民の利益と国の民主化のためにたたかう進歩的な政党であり、しかもその階級構成を見ても、そのほとんどが朝鮮に民主主義国家を樹立するため最後までたたかえる人々であります。したがって、共産党は現段階においてばかりでなく、将来もひきつづき新民党と力を合わせていけるのであります。

 我々は内外反動層とのたたかいで必ず勝利しなければならず、そのためには広範な人民大衆を我々のまわりに強く結集しなければなりません。広範な人民大衆の力は、無尽蔵であります。我々は、ただこの力を信じており、この力によって最終的勝利をかちとろうとする戦士たちであります。

 こんにち、朝鮮問題解決の鍵は、まさに広範な人民大衆を結集することにあります。現在、我が革命における最も重要な問題は、誰がより多くの大衆を獲得するかということです。広範な大衆を獲得する者は、誰であれ勝利者となるでしょう。

 共産党は、労働者のなかでのみ、その勢力を拡大する党としてとどまることなく、民主主義自主独立国家建設のために積極的にたたかう進歩的な農民、勤労インテリを大いに受け入れる大衆的政党として発展する道に進まなければなりません。こうすれば、反民主勢力を打ち負かし、我が革命の勝利をかちとることができます。したがって我々は、偏狭な階級的わくからぬけだし、絶対多数の勤労大衆をすべて結集させるために全力をつくさなければなりません。これは、こんにちの当面の勝利のためばかりでなく、勤労大衆をあらゆる搾取と抑圧から最終的に解放するためにも必要であります。

 共産党と新民党の合同は、決して共産党が新民党を獲得するためのものでもなければ、新民党が共産党を獲得するためのものでもありません。両党合同の目的は、あくまでも我が国の革命発展の客観的要求から発した大衆的党建設路線にもとづいて広範な大衆を包容し、こんにちだけでなく、将来もひきつづき我が革命の勝利をめざしてたたかっていける幾百万の党員を擁する強力な大衆的政党を建設することにあります。したがって、勤労大衆の大衆的政党である労働党を創立するのは、決して「退歩」でも「低落」でもなく、最も積極的で革命的な戦略であります。

 我々の方策は、一個の死んだ公式ではありません。我々の革命的方策は、主体的条件の変化、環境をはじめ、あらゆる客観的条件の変化に従って、いくらでも機動的に変化し、高い創造性を発揮することができる生きた武器であります。

 このような意味で、北朝鮮共産党と朝鮮新民党の合同は、当面、最も必要で、必ず解決を要する問題であります。

 今後の課題は、なによりも両党のすべての幹部と党員が、両党が合同して大衆的な労働党になることにたいし思想的、政治的に十分な認識をもち、その実現のための準備を立派に進めることにあります。我々は、両党のすべての幹部と党員が合同事業を成功裏に進めるために努力するようにしなければなりません。

 もちろん合同事業を進める過程には、いろいろと難関があることでしょう。新民党の内部では、「新民党は、どうして共産党に吸収されるのか」という不平を唱える人もありうるし、共産党の内部からは「共産党は日和見主義化している」という人があらわれるかも知れず、合同に反対するさまざまな左右の日和見主義分子があらわれることも考えられます。さらには両党の合同を機会に、他の「派」を形成しようと策する者もあらわれうるし、我々の合同事業を破綻させようとする反動分子の策動も予想されます。

 しかし、正義は必ず勝利します。我々がすべての党員に、党の合同にたいする解説宣伝活動を十分おこない、この事業を妨害しようとするあらゆる策動を粉砕するための大衆的な闘争を正しく組織するならば、両党の合同は成功裏に進められるでしょう。

 この会議に参加したみなさんは、当面する内外の情勢と両党合同の目的と意義を明確に理解し、それを全党員に十分認識させなければなりません。こうして、党の合同を速やかに終え、幾百幾千万の大衆を獲得するたたかいをおこなわなければなりません。

 次に我々は、労働党に合同した後、両党の党員が互いに信頼し理解し合い、かたく団結して労働党の拡大強化のため、労働党の綱領実現のために積極的にたたかわなければなりません。

 そのためには、党員にたいする教育活動を立派におこなわなければなりません。特に、我々は、両党の党員が思想的、意志的にかたく団結するために互いに助け合い、学び合う健全な作風を身につけるよう、教育活動を強化しなければなりません。

 両党は、それぞれ自己の固有な作風をもっているといえます。すなわち、共産党は無産階級的な作風をもっており、新民党はインテリ的な作風をもっています。両党の党員は、互いに学び合うべきです。共産党の党員はインテリの知識と技術を学びとり、新民党の党員は労働者階級の革命性と組織性、鉄の規律を学ぶべきであります。こうして各党員が、労働者階級の革命的作風と先進的な科学知識を身につけるならば、かれらは誰でも、労働者、農民、知識人、学生をはじめ、各階層の大衆のなかで巧みに活動できる立派な政治活動家になれるでしょう。いうまでもなく、これは簡単なことではありません。しかし、すべての党員が根気よく学び、努力するならば、この問題は十分解決できるでしょう。

 これとともに、すべての党員は、統一的な党規律を守るために自覚的に努力しなければなりません。

 両党が合同すれば、党内では党規律の問題で互いに異なった意見が出ることも考えられます。新民党の一部の党員のなかからは、党規律があまり厳しくて困るという人もあらわれかねません。しかし、我々は、党の規律をゆるめるわけにはいきません。もし、党の規律を弱めるならば、党の戦闘力は麻痺してしまうでしょう。

 もちろん党規律を強めようとすれば、さまざまの難関があるでしょうが、我々はそれを乗り越えなければなりません。どんなことでも、それが正しいことであれば万難を排して実現しなければなりません。

 我々は、党員のあいだで党の規律を強めるたたかいをおこない、かれらに党の規律を徹底的に守らせなければなりません。

 こんにち、我々の最も重要なスローガンの一つは、「党派争いをするな」というものです。

 かつて、我が国は党派争いのために滅び、その後革命運動においても、党派争いのため数々の試練をなめました。もし、これからもこれを繰り返すならば、我が党の存在そのものを危険に陥れ、革命を失敗においやりかねません。

 いま共産党や新民党には、表面では最も堅実なマルクス主義者であるかのように見せかけ、民主建設のためにたたかっているような素振りをしていますが、実際には分派的な習性を捨て切れず、アメリカ帝国主義と李承晩一味に力をかす連中がいます。我々がこのような連中の分派活動を容認するならば、それは、党の統一と団結を破壊し、民主勢力の強化を妨害することになり、祖国と民族に大きな害悪を及ぼすことになるでしょう。我々はセクト主義的傾向にたいして強く警戒し、それと妥協することなくたたかわなければなりません。こうして、両党の全党員を大衆的政党に結集し、一つの思想で武装させ、党に負わされた革命課題の遂行に積極的に呼び起こさなければなりません。

 次に我々が関心を払うべき問題は、両党の合同を契機に民主主義民族統一戦線を弱める偏向があらわれないようにすることです。

 合同後、党が大衆的政党として大きく発展したからといって、我々が第一党だと高慢にふるまい、権威をかさにきて各政党、大衆団体との統一戦線を無視するようなことがあっては絶対になりません。我々は党の力が大きくなればなるほど、さらに謙虚になり、各政党、大衆団体との協力を強化するために努力しなければなりません。

 右に述べたように、こんにちアメリカ帝国主義者は、反動分子を前面におし立てて民主勢力を分裂させようとあらゆる策動を弄しています。かれらは、南朝鮮で共産党と新民党を内部から破壊しようと画策する一方、「左右合作」の陰謀まで企んで共産党を孤立させ、民主勢力を分散、弱体化させようと狂奔しており、北朝鮮にも破壊・謀略分子を潜入させて我々の隊列を切り崩そうと策しています。アメリカ帝国主義者は、このように民主勢力を分裂、弱体化させることにより、かいらい政権をでっちあげ、我が国をその植民地にしようとしているのです。

 我々は敵の策動にたいして警戒心を高め、民主勢力を結集するために努力しなければなりません。我々の全党員は、単に民主主義民族統一戦線を支持することにとどまらず、それをさらに強化するために積極的にたたかわなければなりません。

 我々は、北朝鮮でのみ両党の合同を進めるのではなく、南朝鮮でも広範な愛国的民主勢力を団結させるため、共産党、新民党、人民党の合同事業を進めるよう、積極的な援助を与えるべきであります。

 我々は、この会議が終わり次第、直ちに両党合同の実際的な活動を開始しなければなりません。両党の党員にたいする教育活動を十分おこない、短期間内に末端組織から中央にいたるまで、合同事業が順調に進められるようにしなければなりません。

 同志のみなさん!

 北朝鮮共産党と朝鮮新民党の合同は極めて重要な事業でありますが、この課題の遂行を口実に、我々の民主基地を強化する活動を中断してはなりません。我々は党の合同を進めながらも、こんにち我々の当面する重要な課題を必ず遂行しなければなりません。

 私は、いくつかの当面の課題について強調したいと思います。

 第1に、市、郡にいたるまで、民主主義民族統一戦線委員会を速やかに組織すべきであります。

 我々が各階層の大衆をさらにしっかりと結集し、かれらを建国事業に積極的に呼び起こすためには、統一戦線活動を強化しなければなりません。そのためにはまず、民戦の各級委員会を組織しなければなりません。民戦の各級委員会組織は、我々の民主基地の強化に貢献するでしょう。

 第2に、総合大学を速やかに創立し、技術専門学校と幹部学校を設立するために努力しなければなりません。

 我々は、民主朝鮮建設に必要な民族幹部を早急に育てるため、既に総会大学をはじめ、各種の大学を設立する課題をうちだしました。しかし、この活動はいまだに順調に進められていません。

 各級学校を設立するには、多くの幹部が必要であります。したがって我々は、教育事業に必要な幹部を速やかに備えなければならず、すべての政党がこの事業に力を注がなければなりません。

 第3に、当面の食糧問題を解決するために全力をつくさなければなりません。

 こんにち食糧問題は、民主建設の成果を左右する最も重要な問題の一つであります。もし我々が、食糧問題を正しく解決できないならば、民主建設でかちとったすべての成果を無にしてしまう恐れがあります。

 現在、各道、郡の党組織や人民政権機関では、食糧問題に関心を払っていません。そのため、いまだに麦類の現物税の納入がおこなわれていません。これは極めて重大なことです。食糧問題に注意を払わず食糧問題も満足に解決できない政党や政権などは無用の存在であります。活動家は、これまでの誤った活動態度を一掃し、食糧問題の解決に積極的に取り組むべきであります。

 なにごとも、常にことの始めが重要です。我々は農民に、小麦、大麦、ジャガイモなどの早期作物の現物税から適時に納入させ、かれらが農業現物税納入の国家規律を最初からよく守るように仕向けなければなりません。

 我々はすべての政党、大衆団体を奮い立たせ、農民にたいする解説宣伝を強め、営農を積極的に助けて農民に農業現物税を必ず期限前に納入させなければなりません。農民が所定の現物税を全部納入すれば、我々は今年、労働者、事務員の食糧問題を十分解決できるでしょう。

 第4に、重要産業を速やかに国有化すべきであります。

 アメリカ帝国主義者はソ米共同委員会で、かつて、日本帝国主義者の所有となっていた工場、企業所をソ連とアメリカで分け合おうと主張しました。しかしソ連は、アメリカのこの提案を排撃し、かつて、日本帝国主義者が所有していた工場、企業所を全部朝鮮人民に移管すべきだという正しい主張をおこないました。つまるところ、アメリカ帝国主義者の主張は、かれらが日本帝国主義者にかわって我が国の重要産業を直接手中におさめようということです。

 朝鮮人民の血と汗からなる工場、企業所をアメリカ帝国主義者が所有するならば、朝鮮の完全な独立は達成されず、また、たとえ独立するとしても、なんの経済的土台ももたない独立は不必要であります。それにもかかわらず、いま逆賊李承晩一味は、我が国の重要産業機関をことごとく掌握しようとするアメリカ帝国主義者の強盗さながらの要求を承認しています。

 我々は、アメリカ帝国主義者とその手先の策動を粉砕し、かつて、日本帝国主義者と朝鮮人の民族反逆者が所有していた産業機関を速やかに国有化する措置を講じなければなりません。

 これとともに、工場、企業所を立派に運営する対策を立てなければなりません。いま工場、企業所で生産が順調におこなわれていない主な原因は、企業管理を巧みにおこなえる働き手と技術者が少ないことにあります。したがって我々は、有能な企業管理活動家と技術者を早く探し出して動員する一方、企業管理幹部と技術幹部を多数養成するために努力すべきであります。

 我々は、北朝鮮だけでなく、南朝鮮でも民主改革が実施されるようにたたかわなければなりません。南朝鮮でアメリカ軍政を廃し、政権を人民委員会に移管させ、土地改革法令、労働法令、男女平等権法令を実施し、日本帝国主義者と民族反逆者の所有していた工場、企業所を朝鮮人民の手に取り戻さなければなりません。そのために我々は、北朝鮮で民主勢力をしっかりとかため、民主建設を早めて南朝鮮人民に模範を示さなければなりません。

 私は最後に、共産党と新民党の合同が成功裏に実現し、近い将来に数百万の勤労大衆が労働党に結集し、幾百幾千万の大衆がそのまわりに強く団結するものと確信します。

 朝鮮勤労大衆の利益を代表する強力な大衆的政党である労働党建設万歳!

 朝鮮の労働者、農民、知識人の強固な同盟万歳!

 民主主義民族統一戦線万歳!

 民主主義完全自主独立国家樹立万歳!

出典:「金日成著作集」2巻


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