金 日 成

北朝鮮の労働者、事務員にたいする労働法令
−1946年6月24日− 


 朝鮮にたいする36年間の日本帝国主義奴隷統治により朝鮮の労働者、事務員は、過酷に搾取され、労働者の労働時間は12〜14時間に達した。

 特に、少年労働と婦人労働が広く採用されて過酷な搾取を受け、かれらは親子代々身体障害者にならざるをえなかった。労働者、事務員にたいする労働保護や社会保険は全く適用されなかった。

 北朝鮮では、解放後偉大な民主改革が実施され、労働者、事務員の労働条件を根本的に改善して労働力を合理的に利用できるようになり、労働者、事務員の物質的生活水準を向上させる条件がととのった。

 北朝鮮臨時人民委員会は、植民地的搾取の残りかすを一掃し、労働者、事務員の物質的状態を根本的に改善するために、次のように決定する。

 第1条 国家、大衆団体、消費組合および個人のすべての企業所と事務所の労働者、事務員にたいし8時間労働日を実施する。

 第2条 有害な条件を有する生産部門と坑内労働に従事する労働者には、労働日を7時間にする。

 第3条 生産企業所と事務所で働く14〜16歳の少年には、労働日を6時間にする。
 有害な労働条件を有する生産部門と坑内労働部門では少年労働を禁ずる。

 第4条 すべての生産部門で14歳未満の者の労働を禁ずる。

 第5条 制定された労働時間以外の労働は、原則として許さない。

 第6条 報酬の限度は、勤労者の職業、地位、技術によって規定する。
 1 国家企業所および事務所で働く労働者、事務員の賃金は、北朝鮮臨時人民委員会が規定する。
 2 個人所有の企業所および事務所で働く勤労者の賃金は、団体契約または労働契約にもとづいて規定する。

 第7条 同一労働、同一技術の勤労者には、年齢と性別にかかわりなく同一賃金を支給する。

 第8条 出来高払い労働の賃金は、規格品の生産量によって規定する。
 この規格品の標準生産量は、企業主と職業同盟組織の合意によって決定する。

 第9条 制定された時間外の労働と休日、祝日の労働にたいする賃金は、基本賃金定額の1.5倍以下にすることができない。

 第10条 労働者、事務員の労働賃金は、企業所と事務所が毎月2回、契約に規定した期限内に支払う。

 第11条 毎年1月1日、3月1日、5月1日、8月15日、12月31日を祝日に規定し、一般的休日は日曜日とする。
 以上指摘した祝日と休日の他に、地方人民委員会は、地方および民族的・宗教的風習にもとづいて毎年6回以内の特別休日を規定する権利を有する。

 第12条 すべての賃金労力者には最小限1年に1回、2週間の定期休暇を与える。
 16歳までの少年労働者には、最小限1か月間の定期休暇を与える。
 特別に有害あるいは危険な作業がおこなわれる企業所で働く勤労者には、定期休暇以外に最小限2週間の補充休暇を与える。定期、補充休暇日の賃金は企業主が支払い、最近12か月間の平均賃金によって規定する。

 第13条 勤労者は、個人的な事情があるとき企業主と協議して、賃金の支給を受けない短期休暇を受ける権利を有する。

 第14条 すべての企業所と事務所で働く婦人労働者と婦人事務員が妊娠したときには、産前35日、産後42日間の休暇が与えられる。

 第15条 健康状態によって以前より軽労働をする必要のある妊娠婦は、妊娠後6か月から産前休暇まで軽労働に移ることができ、その間の賃金は最近6か月間の平均報酬にもとづいて支払う。

 第16条 満1歳未満の乳児をもつ勤労婦人は、l日2回、30分ずつの授乳時間を保障される。
 授乳時間にたいする賃金は、乳児の母親の平均賃金にもとづいて支払う。

 第17条 妊娠婦や乳児の母親には、制定された時間外の労働や夜間労働を禁ずる。

 第18条 各企業所、事務所および経済部門の労働者、事務員にたいする義務的社会保険制を次のように制定する。
 1 一時的に労働能力を失った勤労者にたいする補助金。
 2 妊娠および出産による休暇補助金。
 3 葬儀費の補助金。
 4 労働による身体障害者や職業病による就業不能者の扶助金。
 5 養育者をなくした遺族の扶助金。

 社会保険料の納付手続きは、次のとおりである。
 1 国家、公共企業所、消費組合、事務所および団体は、部門別支払い賃金の5〜8%を納付する。
 2 個人企業所および個人企業主は、支払い賃金の10〜12%の範囲で納付する。
 3 被保険労働者および事務員は、賃金の1%を納付する。社会保険による補助金は、規定された保険料を7か月以上つづけて納付した労働者および事務員に限って受け取る権利を有する。

 第19条 産業局は、職業総同盟とともに労働者、事務員の社会保険にかんする規定を作成し、そこでは規定された社会保険料の徴収問題、補助金、扶助金、医療扶助にかんする規定およびその限度にかんする問題を定めるべきである。

 第20条 産業局は、職業総同盟とともに各生産部門の作業危険個所にたいする安全施設と労働保護についての監督および点検対策を講じ、それを実施すべきである。

 第21条 生産部門の衛生・清潔にたいする点検対策を講じ、それを実施することを保健局に委任する。

 第22条 労働者の賃金比率表、標準賃金表の作成および国家企業所、運輸機関その他すべての産業機関の技師、技術者、事務員とすべての行政機関の事務員の職階別俸給定額表の作成を職業総同盟、財務局、産業局および交通局に委任する。

 第23条 企業主と労働者のあいだに発生する労働争議の問題は、企業主と職業同盟のあいだで解決する。企業主と職業同盟のあいだで合意に達しないときには、人民裁判所がその労働紛争にたいする最終的解決をおこなう。

 第24条 すべての労働者、事務員は、すべての面で労働規律を正しく守る義務を負う。企業所の支配人、私営企業主および各機関の責任者は、無届欠勤者や労働規律違反者をいつでもその地方の職業同盟代表と協議して解雇する権利を有する。

 第25条 職業総同盟の参加のもとに特別委員会を組織して労働者、事務員の保険にかんする問題および失業者、高齢労働者、事務員に支払う扶助金にかんする問題を研究して規定を作成すべきである。この委員会の活動期限は6か月とする。

 第26条 本法令は、発布された日から効力を発する。

 
  第2条の備考 有害な条件を有する生産部門と坑内労働にたいする職種は、産業局と職業総同盟がこれを規定し、北朝鮮臨時人民委員会の承認を受ける。

 第3条の備考 有害な労働条件を有する少年労働にたいしては、その労働種目を産業局と職業総同盟が規定し、北朝鮮臨時人民委員会の承認を受ける。

 第5条の備考 企業所と事務所における時間外労働は、特別の場合に限って許されるが、必ず職業同盟組織の承認を受けなければならない。個々の労働者、事務員の時間外労働は、1年間に250時間を越えてはならない。

 第11条の備考 月給を受ける勤労者に支払う賃金は、祝日と休日の分を差し引いてはならない。

 第12条の備考 補充休暇を与えるべき生産部門と職種は、職業総同盟が規定し、北朝鮮臨時人民委員会の承認を受けなければならない。

 出典:『金日成著作集』2巻
 

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