金 日 成

我が国の民主的発展と完全自主独立のために
 平壌市民大会でおこなった演説
−1946年5月19日− 


 親愛な同胞、兄弟姉妹のみなさん!

 過去36年間日本帝国主義の植民地支配のもとで抑圧された朝鮮民族は、亡国の民の境涯から脱して自由と幸福をかちとりました。朝鮮人民は、北朝鮮各地に人民委員会を創設し、政治、経済、文化の各分野で国の民主的発展の礎をきずく事業をおこなってきました。

 北朝鮮の人民は、言論、出版、結社、集会の完全な自由を保障されており、民族文化を発展させています。土地改革の結果、全人口の80%をしめる農民は地主の従属から永遠に解放されました。労働者は、国の経済発展と人民生活向上のたたかいで日増しに大きな成果をあげています。これらは、北朝鮮人民に幸福をもたらすばかりでなく、全朝鮮の完全独立の礎をきずくことを意味します。

 我々は、日本帝国主義の残存勢力と封建勢力の搾取と抑圧のもとでいまもなお苦しんでいる南朝鮮人民を解放するために、そして、朝鮮が再び帝国主義略奪者の植民地にならないために団結してたたかうベきであります。

 愛国的な朝鮮人民は、我が国の民主的発展と完全自主独立を予見したモスクワ3国外相会議の決定を全幅的に支持してきました。我々は、朝鮮問題にかんするモスクワ3国外相会議のすべての決定が、朝鮮における日本帝国主義の長いあいだの植民地支配の悪結果を早急に一掃し、民族経済と民族文化を復興発展させ、朝鮮を民主主義的完全自主独立国家に発展させる基本原則にもとづいて民主主義臨時政府を樹立することを予見したものであると確信し、その実現のためにたゆみなくたたかってきました。

 さる3月20日ソウルの徳寿宮(ドクスグン)でソ米共同委員会が活動を開始して以来、全朝鮮人民は委員会の活動が成功裏に進められ、モスクワ3国外相会議の決定に予見されたように朝鮮人民の利益を代表し、そのためにたたかう臨時政府が樹立されることを期待してきました。

 ソ連代表団は、ソ米共同委員会が開催された当初から一貫して、モスクワ3国外相会議の決定にもとづいて民主主義的朝鮮臨時政府を樹立するために努力してきました。しかし、朝鮮の民主的発展を望まないアメリカ代表団の不誠意と頑迷な李承晩一味の反動的策動のために、ソ米共同委員会はついに無期休会に入りました。

 親愛な同胞のみなさん!

 会議を破綻させたのは誰でしょうか。会議を破綻させた罪人は誰でしょうか。それは、言うまでもなくアメリカ反動派と李承晩一味です。李承晩反動一味の眼中には、民族も祖国もなく、個人の政権欲と私利私欲があるのみです。殺人強盗団の頭目李承晩一味の行動は、朝鮮の民主的発展を妨げるばかりでなく、朝鮮民族の利益を帝国主義者に完全に売り渡す売国奴の行動であり、朝鮮民族を永遠に外国帝国主義者に従属させる呪うべき民族反逆者の行動であります。

 「平和」の看板をかかげ「正義」のためにたたかうと称していたアメリカの「紳士」たちは、いま仮面をかなぐり捨てて同盟国間の国際協定を乱暴に踏みにじり、公然と朝鮮を侵略し始めました。

 アメリカ人は朝鮮で「民主主義の守護者」をもって任じていますが、実際においては日本の総督支配制度のかわりに、軍政の看板のもとにアメリカの総督支配制度をうち立てました。かれらは、日本帝国主義者が朝鮮人民を虐殺し奴隷のように抑圧、搾取したときに日本帝国主義の手先をつとめた親日派、民族反逆者を糾合して、アメリカ人総督ホッジ中将の顧問や各地方軍政機関の職員に登用し、日本帝国主義支配当時よりもさらに過酷な弾圧政治を実施しています。かれらは、白昼にテロ団を動員して朝鮮同胞を手当たりしだいに殺害する野蛮行為をはたらいています。

 今度のソ米共同委員会でアメリカ代表団は、臨時政府樹立問題と関連して民族反逆者李承晩をかしらとする反動分子と協議することを主張し、各階層の朝鮮人民を結集している労働組合、農民組合、女性同盟、青年同盟の代表と協議することを拒否しました。かれらの目的は、朝鮮に民主的政権を樹立することにあるのではなく、事実上アメリカ軍政の延長にすぎない従属的で反人民的な反動的手先の政権をうち立てることにあります。

 したがって、朝鮮人民の利益の擁護者であるソ連代表団は、アメリカ側のこれらの不法行為を容認しようとしませんでした。

 民族反逆者李承晩一味は、すでに久しい以前に朝鮮の経済利権をアメリカの資本家たちに売り渡しました。アメリカの資本家とその手先李承晩は、そのときに締結した売国的「条約」を実行するため、こんにち全朝鮮人民が要求する民主的政権の樹立を必死に妨げ、一握りの民族反逆者、親日分子の反人民的、売国的専制政権を樹立しようとはかっています。かれらは「民主」の仮面をつけ、各地方に李朝500年来の陳腐な道監司制度を実施しようと企てています。これは、20世紀の開化した朝鮮青年に封建時代の冠をかぶせるような愚かな行為です。

 こんにちの朝鮮人民は、封建時代の人民でも、帝国主義の植民地奴隷でもありません。こんにちの朝鮮人民は解放された人民であり、前進し発展する人民であります。朝鮮人民は自分の手で自己の政権である人民委員会を樹立し、民主的自由と権利をかちとるためにたたかっています。人民委員会に反対する者はとりもなおきず朝鮮人民に反対する者であります。愛国的朝鮮人民は、人民委員会のまわりにかたく団結して自己の政権を強化するためにたたかっています。

 私は、朝鮮にかんするモスクワ3国外相会議の決定に従って、民主主義的朝鮮臨時政府の樹立を促進するために全朝鮮人民に次のように訴えます。

 第1に、朝鮮にかんするモスクワ3国外相会議の決定を絶対支持し、民主主義民族統一戦線にもとづいた統一的民主政府を早急に樹立するために、我が国のすべての民主的政党、大衆団体の統一と団結を強化すべきであります。

 第2に、我が国の民主的発展と民族の独立を妨げ、朝鮮を再び帝国主義者に売り渡している李承晩一味とその手先曹晩植などの反動分子を民族の敵として徹底的に糾弾し、一掃すべきであります。民族反逆者、親日派などあらゆる反動分子を打倒しなくては、民主主義的自主独立国家を建設することはできません。

 第3に、人民委員会を積極的に擁護し、その施策を実行するために断固たたかうべきであります。人民委員会は、朝鮮人民の利益を代表し、民主朝鮮の建設を促すためにたたかう最も進歩的で民主的な人民の政権機関であります。人民委員会は、農民に土地を与え、産業を復興し、民族文化を発展させ、人民の生活を安定させ、民族の完全な独立を達成するためにたたかっています。

 全朝鮮人民は、人民委員会のまわりにさらにかたく団結しましょう。人民委員会の指導のもとに民主主義をめざして総進軍しましょう。

 第4に、ソ連人民との友好と団結をさらに強化し、ファシズムの残りかすの一掃と世界の平和のためにたたかう国際民主陣営との団結を強めなければなりません。

 第5に、北朝鮮臨時人民委員会が発表した20か条政綱を広く宣伝すべきであります。この政綱は、朝鮮を民主的に発展させるための最も基本的な政策を明らかにしたものです。したがって、人民大衆に20か条政綱を広く宣伝して、この政綱を実現しうる民主的政府が樹立されなくては、朝鮮民族の真の自由と独立の達成は望めないことを認識させなければなりません。

 第6に、産業と農業を急速に復興発展させなければなりません。

 農民の長年の宿願であった土地改革の実施は、民族の復興と民主的発展をめざす朝鮮人民のたたかいにおける最も大きな出来事であります。

 土地改革の勝利をかため、農業を発展させるために、春耕、種まきおよび農産物増産運動に全力を尽くすべきであります。農業で増産をなし遂げなくては、土地改革の勝利をかためることができません。したがって、農民大衆は今年の春の種まきを成功裏に完遂し、収穫を高めるために献身的に鋤かなければなりません。

 産業を発展させることは、民主主義的独立国家の建設において最も重要な課題の一つです。我々はあらゆる難関を克服し、工場と企業所を早急に復旧、操業し、李承晩一味の侵害から産業機関を守らなければなりません。

 第7に、教育・文化・芸術・科学部門のすべての知識人は、日本帝国主義思想の残りかすを一掃し、朝鮮の民族文化を復興発展させ、民主主義的独立国家の建設に知恵と才能をささげなければなりません。

 親愛な同胞のみなさん!

 朝鮮人民には二つの道があります。その一つは進歩と民主主義、完全独立国家への道であり、他の一つは後退と反民主主義、植民地への転落の道であります。

 朝鮮人民は、進歩と民主主義、自由と独立を求めています。すべての愛国的朝鮮人民は、民主主義民族統一戦線の旗を高くかかげ、人民委員会の指導のもとに民主主義的朝鮮臨時政府を樹立するために力強くたたかわなければなりません。

 全朝鮮人民は、朝鮮民族を再び帝国主義者の奴隷にしようとはかる売国奴李承晩一味とその手先に反対してたたかうべきであります。

 民主朝鮮の建設を妨げる民族反逆者と反動分子を打倒しよう!

 民主主義民族統一戦線万歳!

 朝鮮の民主的発展と自由を保障するモスクワ3国外相会議の決定を絶対支持しよう!

 真の人民政権機関 − 人民委員会万歳!

 自由な民主朝鮮万歳!

出典:『金日成著作集』2巻


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