金 日 成

20か条政綱
放送演説 
−1946年3月23日− 


 親愛な同胞、兄弟姉妹のみなさん!

 私は北朝鮮臨時人民委員会の名で、今後樹立されるべき臨時政府の政綱について述べようと思います。

 モスクワ3国外相会議の決定にもとづいて設けられたソ米共同委員会は、今月の20日からソウルでその活動をはじめました。

 全朝鮮人民の期待のなかで開かれているソ米共同委員会は、朝鮮人民の利益にかなうように活動すべきであり、朝鮮人民が切実に要求している統一的臨時政府樹立問題を解決すべきであります。

 臨時政府は、全朝鮮人民の念願を実現する真の民主的政府でなければなりません。

 我々が樹立する民主的政府は、必ず次のような政綱を実現すべきであると主張します。

 1.朝鮮の政治・経済生活から、かつての日本帝国主義支配のあらゆる残りかすを一掃すること。

 2.国内の反動分子や反民主的分子とは容赦なくたたかい、ファッショ的で反民主的な政党、団体および個人の活動を絶対禁止すること。

 3.全人民に、言論、出版、集会および信教の自由を保障すること。民主的な政党、労働組合、農民組合、その他の民主的な大衆団体の自由な活動条件を保障すること。

 4.全朝鮮人民は、一般、直接、平等の秘密投票による選挙によって、地方の各級の行政機関である人民委員会を結成する義務と権利をもつこと。

 5.性別、信教および財産の有無にかかわりなく、すべての公民に、政治・経済生活における同等の権利を保障すること。

 6.人格、住宅の神聖不可侵を主張し、公民の財産と個人の所有物を法的に保障すること。

 7.日本帝国主義の支配当時に行使され、またはその影響を受けているいっさいの法律と裁判機関を廃止し、民主主義の原則にもとづいて人民裁判機関を選挙すべきであり、一般公民に法律上同等の権利を保障すること。

 8.人民の福祉増進をはかるために、工業、農業、運輸および商業を発展させること。

 9.大企業所、運輸機関、銀行、鉱山、山林を国有にすること。

 10.個人の手工業と商業の自由を認め、これを奨励すること。

 11.日本人、日本国家、売国奴の土地、そしてひきつづき小作に出している地主の土地を没収し、小作制度を撤廃して、没収したすべての土地を農民に無償で分配し、その所有とすること。潅漑業に属するすべての施設を無償で没収し、国家が管理すること。

 12.生活必需品の市場価格を定め、投機業者および高利貸業者とたたかうこと。

 13.単一で公正な税制を制定し、累進所得税制を実施すること。

 14.労働者、事務員の8時間労働制を実施し、最低賃金を規定すること。13歳未満の少年労働を禁止し、13歳から16歳までの少年には6時間労働制を実施すること。

 15.労働者と事務員の生命保険を実施し、労働者と企業所にたいする保険制を実施すること。

 16.全般的な義務教育制を実施し、国家の経営する小・中・専門学校および大学を広範に拡張すること。国家の民主的制度にもとづき、人民教育制度を改革すること。

 17.民族文化、科学および芸術を積極的に発展させ、劇場、図書館、ラジオ放送局および映画館の数を増やすこと。

 18.国家機関と人民経済の各部門に必要な人材を養成する特別の学校を広く設立すること。

 19.科学と芸術に従事する人々の活動を奨励し、援助すること。

 20.国営病院の数を増やし、伝染病を根絶し、貧民を無料で治療すること。

 以上で述べたような基本的な要求が実現されてはじめて、朝鮮人民は真の自由と政治的権利をもつことができ、福祉を増進させ、我が国の完全な独立を達成することができるでありましょう。

 以上で指摘したような要求を実現できる政府であってこそ、真に民主的政府となり、全人民の支持を受けるでありましょう。

 ソ米共同委員会は、朝鮮人民のこの要求をみたすことのできる朝鮮民主主義臨時政府の樹立のために貢献すべきであります。

 私は、全朝鮮人民と祖国の自由と独立のためにたたかう闘士たちが、民主主義的自主独立国家を建設するために、全力を尽くすよう訴えるものであります。

 民主主義的自主独立万歳!

 解放された朝鮮人民万歳!

出典:『金日成著作集』2巻


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