金 日 成

我が国におけるマルクス・レーニン主義党の建設と
党の当面の任務について
北朝鮮共産党中央組織委員会創立大会でおこなった報告
−1945年10月10日−


 同志のみなさん!

 我々はきょう、労働者階級の栄えある前衛部隊であるマルクス・レーニン主義党を創立するためにこの場に集まりました。

 我が国におけるマルクス・レーニン主義党創立の準備活動は、強盗日本帝国主義との長期の血みどろの闘争のなかでたゆみなく進められてきました。朝鮮の共産主義者は、労働者階級の革命的党を創立するために苦難にみちた闘争をくりひろげ、その過程で多くの血を流しました。我々は、きょうあれほどにも待望してきた共産党の創立を実現し、朝鮮共産主義者の長期にわたるたゆみない闘争の貴い結実をみるにいたりました。

 共産党の創立は、朝鮮の革命運動と朝鮮人民の社会・政治生活において大きな意義をもつ歴史的な出来事であります。共産党の創立によって、朝鮮の労働者階級と勤労大衆は、自己の利益の真の代表者、擁護者をもち、朝鮮革命はその戦闘的参謀部をもつこととなりました。

 我々は、マルクス・レーニン主義党を創立し、党に課された重大な任務の討議に積極的に参加して、革命のために担った朝鮮共産主義者の歴史的使命を果たすべきであります。


 1 北朝鮮共産党中央組織委員会の結成について

 同志のみなさん!

 こんにち内外の情勢は、新しい祖国の建設をめざす朝鮮人民のたたかいに有利に発展しています。

 第2次世界大戦が反ファッショ民主陣営の偉大な勝利に終わった結果、国際舞台での力関係は根本的に変わりました。第2次世界大戦でドイツ、イタリア、日本などのファシスト国家が敗退したばかりでなく、帝国主義列強全般が弱まり、世界の反動勢力は没落の一途をたどっています。これとは、反対に国際民主勢力は日増しに拡大強化されています。ソ連の国際的地位は著しく高まりその威力が強化され、ヨーロッパとアジアの多くの国がファシズムと帝国主義のくびきから解放されて、民主的発展の道を歩み出し、世界各地で植民地および従属諸国人民の民族解放闘争が強まっています。こんにち、平和と民主主義、民族独立と社会主義をめざす世界の進歩的人民の革命闘争には新たな局面が開かれています。

 解放された朝鮮の情勢も革命の側に決定的に有利に変わっています。長いあいだ日本帝国主義植民地支配のもとでなんの自由も権利もなく、抑圧されてきた朝鮮人民は、8.15解放とともに全国各地で日本帝国主義の最後のあがきを粉砕し、親日派、民族反逆者を暴露糾弾して民主的な新生活建設の道を歩みはじめました。祖国の解放とともに全国各地に民主的政党や大衆団体が結成されはじめ、共産主義者の指導のもとに人民の政権機関である人民委員会があいついで創設され、政治、経済、文化のすべての分野で日本帝国主義植民地支配の後遺症をいやし、自由、独立の新しい朝鮮を建設するための闘争がくりひろげられるようになりました。こんにち労働者、農民をはじめ、各階層の愛国的人民は、自由と解放を得た喜びをいだき、高度の愛国熱意にわきかえっており、建国事業にこぞって立ち上がっています。

 このように、解放を迎えた朝鮮人民の革命的気概は非常に高く、革命勢力は反動勢力を決定的に圧倒しています。

 しかしこんにち、国内情勢は複雑をきわめ、革命の前途にはさまざまの難関と障害が横たわっています。

 親日派、民族反逆者などの反動層は、世界帝国主義反動勢力の陰謀に呼応して新しい民主朝鮮の建設を妨害しようと狂奔しています。日本帝国主義が敗退した後、高まった人民大衆の革命的気勢に抑えられていた反動分子は、38度線以南にアメリカ軍が進運すると、それに期待をかけて頭をもたげはじめました。親日・親米派、民族反逆者は、反動勢力を糾合しいろいろの反動的政党や団体をつくりあげて、革命勢力を分裂させ人民大衆を反動の道へひきずりこもうと企んでいます。そればかりでなく、革命の裏切り者や十人十色の政治的山師もあらわれて、こんにちの混乱した情勢をその政治的目的に利用しようとしており、人民を自分たちの側にだきこもうと企み、勤労大衆の組織的結集を妨げています。

 現在人民大衆の革命的熱意は極めて高いにもかかわらず、かれらはまだ解放された朝鮮の進むべき道を明確に認識しておらず、組織された勢力として建国事業に参加していません。

 このような情勢のもとで我々共産主義者は、階級敵とさまざまな日和見主義者の陰謀を粉砕し、一日も早く広範な愛国的民主勢力を最大限に結集し、大衆を正しい道に導かなければなりません。そのためには、なによりもまずマルクス・レーニン主義党を創立すべきであります。

 朝鮮革命を正しく遂行できるかどうかは、もっぱらマルクス・レーニン主義党の指導を確立するか否かにかかっています。マルクス・レーニン主義党の指導がなければ、大衆を革命闘争に正しく立ち上がらせることも、革命で勝利をかちとることもできません。

 これは、朝鮮の革命闘争の歴史を見てもよくわかります。かつて、我が国では3.1運動をはじめ、日本帝国主義侵略者に反対する多くの大衆的闘争が起こりました。しかし、このような大衆闘争は、国際的な条件が不利なうえに、労働者階級の革命的党の指導を受けられなかったため自然発生的に、非組織的におこなわれ、結局は失敗に終わりました。我々は、このような苦い教訓を決して忘れてはなりません。

 我々がこんにちの難局を打開し、朝鮮革命を成功裏に遂行するためには、一日も早くマルクス・レーニン主義党を建設し、朝鮮革命にたいする党の指導を確立しなければなりません。労働者階級の革命的党の的確な指導が保障されれば、当面の有利な情勢を正しく利用して難関を打開し、新しい朝鮮の建設を促進することができます。我々は、全力を尽くして強力なマルクス・レーニン主義党を建設し、広範な人民大衆を結集して朝鮮革命を速やかに発展させなければなりません。

 朝鮮でマルクス・レーニン主義党を創立するにあたっては、解放された祖国が南北に分断され、また、2つの地域が相異なる情勢のもとにおかれている事実を必ず考慮に入れなければなりません。

 ソ連軍が進駐した北朝鮮には、革命に有利な条件がつくられています。弱小民族の自由と独立を尊重するソ連軍は、北朝鮮に進駐して以来、親日派、民族反逆者など反動分子の策動を制圧し、民主主義的自主独立国家の建設をめざす朝鮮人民のたたかいを積極的に支援しています。こうしてこんにち、北朝鮮には新しい祖国建設の大業を成功裏に遂行しうる広々とした道が開かれています。

 しかし、アメリカ軍が進駐した南朝鮮の情勢は、これとは正反対であります。アメリカ軍は南朝鮮に上陸するや、直ちに北緯38度線以南の地域に軍政をしき、すべての人に占領軍の命令に無条件服従せよと宣言しました。アメリカ軍はいま、南朝鮮で軍政を実施し、共産主義者と愛国的人民の革命闘争をあらゆる面から妨害しており、売国的反動勢力を積極的に庇護し、助長しています。こうして南朝鮮は、親日派、民族反逆者などの反動分子が自由にのさばる舞台に変わっています。

 このような情勢のもとで、南北朝鮮の共産主義者を結集する統一的な党を直ちに創立することはできません。だからといって、統一的な党を創立する条件がととのうまで手をこまぬいているわけにはいきません。こんにち南北朝鮮の相異なる政治情勢は、南北朝鮮でそれぞれの地域の特性に即して革命を発展させ、党の創立を推進することを切実に求めています。我々は、北朝鮮のこのような有利な条件を利用して強力な党中央指導機関としての北朝鮮共産党中央組織委員会を結成しなければなりません。

 北朝鮮共産党中央組織委員会を結成すれば、各地方に組織されている共産党組織を一つに結集して共産主義隊列の組織的・思想的統一を実現し朝鮮革命の参謀部をしっかりときずくことができます。また、北朝鮮共産党中央組織委員会を結成すれば、広範な大衆を結集して建国事業を立派に進め、北朝鮮を朝鮮革命のゆるぎない基地に変えることができます。

 我々は北朝鮮共産党中央組織委員会を結成して、人民大衆を正しく指導し、朝鮮革命を力強くおし進めなければなりません。


 2 党の組織路線について

 同志のみなさん!

 我々が創立する共産党は、朝鮮労働者階級の真の前衛部隊、朝鮮革命を確固と勝利に導く威力ある政治的参謀部にならなければなりません。このような革命的党を建設するためには、必ずマルクス・レーニン主義的党建設の原則を堅持しなければなりません。

 現在、ソウルをはじめ各地には、各派の「英雄」があらわれ、おのおのがその主張を唱え、マルクス・レーニン主義的党建設の原則に反して党を創立しようとしています。さらには一部の人たちは、「第三党」を別途に組織しようとまでしています。このような試みは、共産主義隊列の統一を破壊し、党建設に混乱をもたらす分派的で反革命的な行為であります。

 反革命の逆流は、革命の順流にうちかつことはできません。我々は、一部の分子のあらゆる分派的で反革命的な策動を徹底的にしりぞけ、マルクス・レーニン主義的党建設の原則を堅持し、真の革命的党を建設しなければなりません。

 我が党の建設でなによりも重要な問題は、党の組織的根幹をかためることであります。我々は、祖国の自由と独立をめざす長いあいだの苦難にみちた革命闘争のなかで点検され、洗練されたすぐれた共産主義者を中核として党を建設すべきであります。

 組織的根幹を正しくきずくことは、マルクス・レーニン主義党建設における極めて重要な問題であります。マルクス・レーニン主義党は、闘争のなかで革命的世界観を確立し豊富な経験をつみあげた、洗練された共産主義者を根幹にして組織されてこそ、労働者階級の階級的立場を堅持する革命的党となり、いかなる障害と難関にも勤揺することなく、みずからの歴史的使命を正しく遂行する戦闘的な党になれます。

 1925年に創立された朝鮮共産党がその歴史的使命を果たすことができず、解散せざるをえなかったのは、主として党の組織的根幹がしっかりしていなかった事情と関連しています。当時、党は労働者階級をはじめ、広範な大衆のなかに根をおろすことができなかったばかりか、党の指導的地位に分派分子が居座り、かれらは功名と出世に目がくらんでヘゲモニー争いに明け暮れていました。こうして、党は、統一を保つことも、日本帝国主義の弾圧にたえぬくこともできず、創立後3年にして解散を余儀なくされたのであります。もし、党が、真の革命家、労働者階級の先進分子を中核にしっかりときずかれていたならば、いかに日本帝国主義の弾圧が厳しく活動条件が不利であったとしても、その存在を維持しつつ大衆闘争を指導することができたに違いありません。

 我々はこのような歴史の教訓を肝に銘じて、党の組織的根幹をかためることに第一義的な関心を払わなければなりません。

 これまで15年にわたる抗日武装闘争の過程で、祖国と人民を熱烈に愛し、革命にあくまで忠実な共産主義者が数多く育成されました。朝鮮の真の息子や娘たちは、日本帝国主義植民地支配の最も暗たんたる時期に武器をとって、ひたすら祖国の解放と人民の自由と幸福のために青春も生命も惜しみなくささげて英雄的に戦いました。かれらは、長期間の苦難にみちた抗日武装闘争の過程でマルクス・レーニン主義的戦略・戦術で武装し、広範な大衆を教育して革命闘争へ正しく動員しうる活動能力と活動方法を身につけました。抗日武装闘争の直接の影響下に進められた国内の地下革命闘争のなかでもすぐれた共産主義者が育成されました。かれらこそ、朝鮮の真の愛国者であり、朝鮮の労働者階級と勤労大衆の真の前衛であります。

 共産党は当然、このような革命闘士を根幹にして組織されるべきであります。そうあってこそ、党を戦闘力と指導力のある強力なマルクス・レーニン主義党に強化することができます。

 我々は、長いあいだの革命闘争で洗練されたすぐれた共産主義者を中核とし、それに国内国外でいろいろの反日闘争に参加した共産主義者を結集して党を建設しなければなりません。

 過去、国の内外で活動した少なからぬ共産主義者は、系統的な組織生活を通じた思想鍛練をへていません。そのため、こんにち一部の人は、過去の功績を誇張し、共産主義者らしからぬ行動をとっています。しかし、それは極めて部分的な現象であり、それだけでかれらをすべて悪く評価してはなりません。

 党を創立するこんにち、我々は、偏見と先入観にとらわれて人々をむやみに疑ったり、遠ざけたりすべきではありません。我々は、祖国が悲運に沈んでいた困難を時期に、革命の大志をいだいて革命闘争に参加した共産主義者を大切にし、かれらをすべて我が党隊列に加えて、党活動と建国事業に積極的に寄与させるべきです。

 共産党が労働者階級の前衛部隊として、労働者、農民をはじめ勤労大衆の利益を徹底して擁護し、朝鮮革命の参謀部としての役割を立派に果たすためには、その階級構成をたえず改善して党を階級的にしっかりときずき、勤労大衆のなかに深く根をおろさなければなりません。我々は、労働者、農民のなかから先進分子を積極的に党隊列に吸収し、我が党を無産者階級を基盤とする強固な大衆的政党にきずきあげなければなりません。

 共産党は、唯一のマルクス・レーニン主義的指導思想によって組織され、指導されなければなりません。

 労働者階級の前衛部隊である共産党内には、マルクス・レーニン主義思想以外のいかなる思想も存在することはできません。全党がただ一つのマルクス・レーニン主義的指導思想で武装し、それによって指導されるときにはじめて、党は鉄のような統一と団結を実現することができ、あらゆる風波を乗り越えてその使命を立派に果たすことができます。もし、党内にマルクス・レーニン主義と相反する他の思想を少しでも許すならば、党は組織された部隊としての戦闘力を失い、クラブ化してしまうでしょう。

 マルクス・レーニン主義党の威力の源は思想、意志および行動の統一にあります。我々は、マルクス・レーニン主義的指導思想にもとづく全党の思想、意志および行動の統一を実現するため積極的にたたかわなければなりません。

 党の思想、意志および行動の統一のためのたたかいは、朝鮮共産主義運動の特殊性に照らして、こんにち我が党の建設で、特に重要な問題として提起されます。

 かつて、朝鮮には統一的なマルクス・レーニン主義党がなく、少なからぬ共産主義者は国の内外に分散して活動しました。その結果一部の人たちのあいだでは、自由主義、個人英雄主義、地方主義的な傾向が助長されました。特に、朝鮮共産主義運動の初期にあらわれたセクト主義が一掃されず、分派分子の策動がいろいろな形で続けられてきました。そればかりか、ほぼ半世紀にわたる日本帝国主義の植民地支配によって、朝鮮人民のあいだには、さまざまのブルジョア思想が植えつけられました。

 このような事情は、朝鮮共産主義運動の思想的純潔を保つうえに少なからぬ支障をきたす恐れがあり、党内に反革命的な思想潮流が浸透し、非組織的で無規律な現象が生じかねないことを示しています。我々は、これにたいして警戒心を強め、あらゆる反マルクス主義的思想要素にあくまで反対しなければなりません。

 党の思想、意志および行動の統一を保つためには、なによりもまずセクト主義と地方主義を一掃しなければなりません。

 セクト主義は、我が党内で許すことのできない極めて有害な反マルクス主義思想であります。セクト主義を一掃しなくては、党の統一と団結を達成することも、党の戦闘力を高めることもできません。

 セクト主義は、かつて朝鮮の共産主義運動に大きな弊害を及ぼしたばかりでなく、こんにちでも我が党の建設と建国事業をいろいろな形で妨げています。セクト主義に毒された者には、ただ功名と出世の野望しかありません。かれらは、同志を中傷し、離間をはかり、うわべではなんでも賛成し規律を守るかのようによそおいながら、陰では分派をつくり、謀略を企んでいます。現在分派的習性を捨てきれない一部の分子は、グループをつくり、「ソウル中央」を支持しないのは分派行為であるとか、党内で誰それが指導的地位につくべきだなどと言いたてては、その政治的野望を実現しようとしています。

 地方主義も、本質上セクト主義となんら変わるところがありません。地方割拠主義者は、あたかも自分が最も偉い人間であり、自分の「理論」が第一であるかのように、傍若無人にふるまっています。このような人たちの眼中には、組織も上級もなく、党中央もないのです。現在一部の人は、地方にでんと構え、自分らだけが「正路」を進んでいると公言し、地方で身勝手に行動し、我が党の建設と朝鮮革命全般に支障を与えています。

 我々はセクト主義や地方主義の弊害を明確に認識し、それを根こそぎにすることに闘争のほこ先を向けなければなりません。セクト主義と地方主義の些細なあらわれも絶対に看過してはならず、分派分子と地方割拠主義者の行動を注視しなければなりません。もちろん我々は、かつて、分派と関係のあった人々のうち、その過ちを深くさとり、分派的習性を捨てるために努力している人にたいしては、正しい道を進むよう助力すべきです。しかし、いまなお、ひきつづき分派活動をおこない、共産主義隊列の統一と団結に支障を与える者とは妥協することなくたたかわなければなりません。

 党の思想、意志および行動の統一を保つためにはさらに、左右の日和見主義に反対しなければなりません。

 いま共産主義隊列内には、極左日和見主義的要素があらわれています。一部の人は、極左的な「理論」をもちたし、いかにも自分だけが真の革命家であるかのように主張しています。かれらは、我々が進めている革命を「階級戦争」とよび、階級間の「闘争」についてのみ騒ぎたてています。すべての愛国的民主勢力を結集すべきこんにち、階級間の「闘争」一面のみを主張するのは言語道断であります。極左分子の行動は、我々の内部を分裂させ、広範な人民大衆を建国事業に立ち上がれなくしようとする、帝国主義者の手先の行為となんら変わるところがありません。現実にそぐわない極左分子の誤った主張は結局、かれらが、えせ共産主義者であることを示しています。

 また一部の人は、右翼日和見主義的傾向に走っています。右傾分子は、民族統一戦線の結成を云々しなから、労働者階級の独自性を無視し、祖国と民族を裏切った親日派、民族反逆者まで民族統一戦線に引き入れようとしています。我々が民族統一戦線を結成するのは、あくまでも人民政権を樹立し、朝鮮革命を成功裏に遂行するためであります。したがって我々は、絶対に無原則な「大同団結」をかかげてはなりません。右傾分子の態度は、共産主義者のとるべき態度とは緑もゆかりもなく、かれらは自分の誤った思想観点を捨てないかぎり、革命隊列にとどまることはできません。

 共産主義隊列内にあらわれている、このような左右の日和見主義的傾向は、党の思想、意志の統一を保ち、朝鮮革命を遂行するうえで大きな障害となります。我々は、あらゆる左右の日和見主義に反対するたたかいを強め、あくまでマルクス・レーニン主義の革命的原則を固守しなければなりません。

 しかし、左右の日和見主義に反対するからといって、誰かれかまわず、むやみに日和見主義者ときめつけてはなりません。一部の人たちは、まだ政治理論水準が低いため、問題を正しく判断できず間違った主張をすることもありえます。我々はこのような人たちを、極左ないし右翼日和見主義的傾向のある人だと評価してはならず、かれらがすべての問題を具体的に分析し、正しく判断できるようねばりづよく教育すべきであります。

 我々はセクト主義、地方主義をはじめ、さまざまな反革命的思想潮流を一掃し、すべての党員をマルクス・レーニン主義の革命思想で武装させなければなりません。こうして、全党がただ一つの革命思想で思考し、行動し、党の鉄のような統一と団結を実現すべきです。

 党規律を強めるのは、党を組織的、思想的に強化し、党の路線と政策を貫徹させる決定的な裏付けであります。それゆえ、マルクス・レーニン主義党は、必ず革命的な党規律を確立することに深い関心を払わなければなりません。

 我が党員は、まだマルクス・レーニン主義理論で武装しておらず、革命闘争の経験が浅いばかりでなく、かれらのなかにはセクト主義思想も残っています。こうした条件のもとで党規律の強化はいっそう重要な問題として提起されています。

 マルクス・レーニン主義党の規律は、民主集中制の規律であります。共産党はその路線と政策を樹立するにあたって、必ず党員大衆の創造的な意思に依拠することを鉄則とすべきであり、またすべての党員がその建設的意見を忌憚なく発表し、党中央委員会にいたるまでの各級党機関に、党活動にかんする意見を自由に提起できるようにしなければなりません。しかし、民主主義を発揚するからといって、中央集権制の規律に違反してはなりません。無原則な「民主主義」は、党の強化に有害であります。

 我が党内では必ず、個人は組織に従い、少数は多数に従い、下級は上級に従い、全党は党中央に従う原則が堅持されなければなりません。このような民主集中制の原則に反対する者は、党規律を破壊する者であります。我々は、党内で民主集中制の規律に反する現象をいささかも許してはなりません。

 党規律を守るうえでは、上下の区別がなく、すべての党員が一つの党規律に従う義務があります。党員は、誰もが定められた党規律を誠実に守らなければなりません。

 党規律を強化するうえで特に重要な問題は、すべての党員が党の決定に無条件に従うようにすることであります。もちろん、党の決定が採択されるまでは、提起された問題にたいし民主主義的原則に立って誰でも発言することができます。しかし、党の決定が採択されたのちには、それをあげつらい、その実行を怠るようなことがあってはなりません。党員は、党の路線と政策、決定に無条件に従い、それを徹底的に実行する革命的気風を身につけるようにしなければなりません。

 革命的な党規律は、党員大衆の高度の自覚によってのみ確立されるものです。共産党は党員にたいする規律教育を強化し、かれらが党規律を自覚的に守り、無規律な現象と強くたたかうようにしなければなりません。

 我々は真に革命的な党規律を樹立することによって、我が党を党中央の唯一的指導のもとに一つの思想、一つの意志で動く強力な全一的組織につくりあげなければなりません。

 マルクス・レーニン主義党は、必ず党規約をもたなければなりません。党規約は、党員と党組織の活動準則であります。我が党の規約には、党員の資格と入党手続き、党員の義務と権利、党規律、党の組織原則と組織体系、党の財政問題などを明確に規定すべきであります。党の規約を速やかに制定し、すべての党組織と党員がそれに依拠して活動するようにすべきです。

 我々は党建設でマルクス・レーニン主義的原則を貫徹し、我が党を百戦百勝の鋼鉄の党、朝鮮革命の権威ある参謀部につくりあげなければなりません。


 3 党の政治路線について

 同志のみなさん!

 こんにち朝鮮共産主義者には、解放された朝鮮人民を正しい道に導き、新しい祖国建設の大業を成功裏に遂行すべき重大な課題が提起されています。

 我々がこの課題を正しく遂行するためにはまず、現段階における朝鮮革命の性格と任務をよく知らなければなりません。現在、少なからぬ人たちが、朝鮮革命がどのような発展段階におかれているのかをよく知らず、したがって、当面の革命任務を正しく認識していません。我々は朝鮮の現実を正しく分析し、それにもとづいて現段階における朝鮮革命の性格と任務を明確に知り、すべての活動をおこなうべきであります。

 かつて、日本帝国主義者は長いあいだ朝鮮を占領し、悪辣な植民地政策を実施し、朝鮮の資本主義的発展を甚だしく抑制しました。日本帝国主義は敗退し、朝鮮は解放されましたが、日本帝国主義の残りかすと封建的諸関係は依然として残っており、それは朝鮮社会の発展を妨げる大きな障害となっています。したがってこんにち、朝鮮は、反帝反封建民主主義革命の段階におかれています。このような朝鮮革命の性格を踏まえて、我々の任務を規定しなければなりません。

 もともと、軍事学の見地からみれば、任務には、当面の任務と後続任務があります。敵を攻撃するとき、前線を突破するのは当面の任務であり、敵の本拠をたたくのは後続任務であります。これと同じく朝鮮革命の遂行においても当面の任務と後続任務があると言えますが、いまは当面の任務を遂行する段階にあります。

 我々は、当面して日本帝国主義と封建主義の残りかすを一掃して祖国の民主的発展を実現し、完全な自主独立をかちとらなければなりません。そのためには必ず民主主義人民共和国を樹立しなければなりません。民主主義人民共和国は、労働者、農民をはじめ、広範な人民大衆の利益を擁護し、代表する真の人民の政権であり、祖国の完全な自主独立と朝鮮民族の繁栄を保障する革命の武器であります。我々は、民主主義人民共和国を創建し、祖国を富強な民主主義的自主独立国家に発展させなければなりません。これが、まさに現段階における我々の基本的な政治課題であります。

 このような基本的な政治課題から出発して、我が党には次のような重要な任務が提起されています。

 第1に、愛国的で民主的な各政党、各派の参加する民主主義的民族統一戦線を結成することによって、広範な愛国的民主勢力を結集し、朝鮮民族の完全な自主独立を保障する民主主義人民共和国を樹立するために努力すべきであります。

 我々が、真の人民の政権を樹立し、新しい民主朝鮮の建設を立派に進めるためには、労働者、農民をはじめ、広範な人民大衆を積極的に立ち上からせなければなりません。現在、各階層の人民は建国事業で足なみがそろっていません。相異なる政治勢力がばらばらに動いており、それぞれ自分の側へ大衆をひきつけようとしています。こうした状況のもとで、人民大衆を結集し、建国事業に立ち上がらせるためには、民主主義的民族統一戦線を結成しなければなりません。

 民主主義的民族統一戦線の結成において、共産党はその独自性を固守し、民族資本家をはじめ、中間勢力の動揺を克服するとともに、祖国と民族を愛する各階層のすべての勢力を最大限に結集する原則を堅持すべきであります。こうすることによって、親日派、民族反逆者などごく少数の反動分子を孤立させ、広範な人民大衆を獲得し、民主主義人民共和国を成功裏に樹立することができます。

 我々は、労働者、農民はいうまでもなく、知識人、宗教家と良心的な民族資本家をも含むすべての愛国的民主勢力を結集する民主主義的民族統一戦線を結成するため積極的に努力すべきであります。こうして、愛国的な各階層の人民をかたく結束し、それにもとづいて民主主義人民共和国を樹立するたたかいを強力に展開しなければなりません。

 民主主義人民共和国を建設するためにはまず、北朝鮮で一日も早く民主主義的民族統一戦線を結成し、人民大衆の団結した力によって北朝鮮中央政権機関を創設しなければなりません。北朝鮮中央政権機関が創設されれば、北朝鮮で民主主義革命を徹底的に遂行して革命を積極的におし進め、富強な民主主義的自主独立国家建設の基礎をしっかりきずくことができます。我々は北朝鮮で各政党、各派との連合を実現して、各階層のすべての愛国的民主勢力を結集し、それにもとづいて暫定的に北朝鮮臨時人民委員会のような臨時政権の創設を力強くおし進めるべきであります。

 第2に、民主的建国事業で最も大きな妨げとなっている日本帝国主義の残存勢力と国際反動の手先などいっさいの反動分子を一掃して、祖国の順調な民主的発展をはかるべきであります。

 祖国が解放されて2か月が経過しましたが、いまなお日本帝国主義の手先はそのまま残っており、地主、買弁資本家も一掃されていません。親日派、民族反逆者などの反動分子は、各階層の大衆のなかにひそんで民主朝鮮の建設を妨げようとさまざまな陰謀を企んでいます。このような反動勢力を一掃しないことには、民主政府を樹立することも、革命を遂行することもできません。

 我々は人民大衆を立ち上がらせて、親日派、民族反逆者などあらゆる反動分子とのたたかいを強力に展開すべきであります。敵のあらゆる陰謀をそのつど暴露、粉砕し、かれらが人民政権機関や革命隊列に潜入できないようにしなければなりません。こうすることによって、祖国の民主的発展を促し、勤労大衆が幸福に暮らせる人民の国家を建設することができます。

 新しい朝鮮を立派に建設するためには、反動勢力を一掃するとともに、日本帝国主義思想の残りかすを根こそぎにすべきであります。

 日本帝国主義は敗退しましたが、かれらが植えつけた古い思想の毒素は根強く残っています。日本帝国主義思想の残りかすは、こんにち、いろいろな面で建国事業に支障を与えています。

 我々は、人民大衆のなかで日本帝国主義思想の残りかすを一掃するたたかいを強力に進め、民主主義的教育を強化して、全人民が高度の民族的誇りと自負をもち、熱烈な建国思想と健全な民主主義思想を身につけるようにすべきです。こうして、誰もが新たな精神で、新しい祖国の建設に奮い立つようにしなければなりません。

 第3に、各地方に真の人民政権である人民委員会を組織し、民主的改革を実施し、経済を復興発展させ、人民の物質・文化生活を向上させて、民主主義独立国家建設の基本的土台を強固にきずきあげるべきであります。

 統一的な全朝鮮臨時政府を樹立するためにはまず、各地方に人民委員会を組織しなければなりません。我々は、一日も早くすべての地方に人民政権機関を樹立して、人民大衆が政権の主人となって国家建設に積極的に参加できるようにし、統一的な民主主義政府を樹立する準備活動をおし進めるようにすべきです。

 民主的改革の実施は、朝鮮革命の合法則的要求であり、朝鮮人民の切実な念願であります。民主的改革を通じて、あらゆる分野から植民地的および封建的残りかすを一掃し、社会の民主的発展の道を切り開くとともに、経済と文化を復興発展させ、自由で幸福な新生活を創造しようとする朝鮮人民の念願をかなえなければなりません。

 我々は土地改革を実施して、農村の封建的生産関係と反動勢力である地主階級を一掃し、農民大衆を長いあいだの立ち後れと貧困から解放し、農業生産力の発展と経済全般の発展の道を切り開かなければなりません。農民を封建的搾取から解放し、真の土地の主人にすることによって、農業を発展させ、民主的な新しい農村を建設すべきであり、農民大衆が先進階級である労働者階級とともに民主主義的自主独立国家の建設に積極的に奮い立つようにすべきであります。

 これと合わせて、民主的労働法令を実施して産業分野での帝国主義的搾取の遺物を一掃し、労働者、事務員の労働条件の根本的な改善と物質生活の向上をはからなければなりません。我々は労働者階級の民主的解放を実現し、社会的・経済的状態を改善して、労働者階級が建国事業で中核的役割を十分果たすようにすべきです。

 社会の民主化を実現するためには、人口の半数をしめる婦人を社会的に解放しなければなりません。我々は、かつて、なんの権利も自由もなくさまざまな蔑視と差別に苦しめられてきた婦人を封建的な身分関係から完全に解放し、男子と同等の権利と自由を与え、新しい祖国建設の一翼を立派に担っていけるようにしなければなりません。

 富強な自主独立国家を建設するためには、経済土台を強化しなければならず、そのためには民族産業を復興発展させなければなりません。我々は、日本帝国主義者とその手先の所有であった工場、鉱山、鉄道運輸などの重要産業を国有化し、人民の所有にすべきであります。これとともに日本帝国主義者に破壊された工場、企業所と鉄道運輸を復旧し、産業分野で日本帝国主義植民地支配の後遺症をなくし、民族経済の発展に全力を尽くすべきであります。このようにして国家の経済的基盤を強化し、零落した人民生活の安定、向上をはからなければなりません。

 新しい朝鮮の建設で提起される重要な課題の一つは、教育・文化分野で民主的改革を実施することであります。我々は、教育分野で日本帝国主義の植民地的奴隷教育の残りかすを一掃し、人民的で民主的な教育制度を確立し、勤労人民の子弟を学ばせ、民主朝鮮建設の担い手に育てあげなければなりません。さらに、日本帝国主義の民族文化抹殺政策によってもたらされた悪結果を一掃し、人民に奉仕し、新しい社会の建設に寄与する真の民主主義的民族文化を建設すべきであります。

 我々は、人民大衆を積極的に立ち上がらせて、民主主義的独立国家建設の土台をきずくたたかいを力強く展開しなければなりません。まず、新しい祖国建設の有利な条件がととのっている北朝鮮で速やかに人民政権を樹立し、民主改革を実施して民主的建設を促進しなければなりません。

 第4に、これらすべての課題を遂行するためには共産党を拡大強化し、大衆団体の活動を強力におし進めなければなりません。

 党の拡大強化は、我々のすべての課題を成功裏に遂行するための基本的な裏付けであります。党を拡大強化せずしては、党が、労働者、農民をはじめ、勤労大衆のなかに深く根をおろしてその戦闘力を強めることができず、大衆を建国事業に奮い立たせることもできません。それゆえ、我々は、たえず党勢を拡大し、党を質的に強化するため積極的に努力すべきであります。

 党勢拡大にあたっては、党の路線と政策を擁護し、党規律を守ることを誓う先進的な労働者、農民を入党させることに基本をおかなければなりません。民主改革運動に積極的に参加してたたかう労働者、農民出身の先進分子を極力入党させるべきであります。特に、労働者階級出身を多く入党させなければなりません。現在、各道の党員の階級構成をみると、労働者階級出身はごく少数であります。工場、企業所で働く労働者のうち入党資格を基本的に備えた先進分子はすべて入党できるようにしなければなりません。今後、民主改革を遂行する革命闘争のなかで鍛えられた労働者や貧農、雇農がすべて入党できるようにすべきであります。

 しかし、党勢を拡大するからといって、異分子を入党させてはなりません。こんにち、日本帝国主義者の手先をはじめ、革命の敵はその正体を巧妙にかくして革命隊列に入りこみ、共産主義を唱えています。我々は革命的警戒心を強め、異分子が党内に入りこめないようにし、既に党内に潜入している不純分子は残らず追放しなければなりません。我々は党を量的に拡大しながらも、さまざまな異分子にたいする警戒をいささかも怠ってはならず、あくまで党の純潔を保たなければなりません。

 我が党が新しい朝鮮の建設で指導的役割を正しく果たすためには、全党が革命的理論でしっかり武装し、全党員が組織的、思想的に鍛練されなければなりません。我々は、党員がマルクス・レーニン主義理論で武装し、それを朝鮮の現実に即して創造的に適用できるようにし、全党員が党組織生活を強化して革命的世界観を確立し、党員としての前衛的役割を立派に果たすようにしなければなりません。

 そのためには、共産党の組織を強化し、その役割を決定的に高めなければなりません。まだ、すべての地方に党組織が結成されておらず、既に結成された党組織も正常な活動ができず、党員の党組織生活を正しく指導していません。一日も早く工場、鉱山、農・漁村などすべての単位に共産党の組織をつくり、各級の党組織を階級的自覚が高く、活動能力のあるすぐれた中核分子でかため、党組織が党員にたいする活動を立派におこなうようにすべきであります。

 我々は党を拡大強化し、その役割をたえず高めて、全人民を民主主義革命の道へ、さらには党の最高目標を実現する道へ確信をもって導いていかなければなりません。

 共産党の拡大強化と合わせて、大衆団体の活動を強化すべきであります。

 大衆団体は、党と大衆を結びつけるベルトであります。大衆団体の活動を強力におし進めれば、各階層の広範な大衆を組織して党のまわりに結集することができ、人民大衆にたいする党の指導を正しく実現することができます。

 各階層の人民大衆を階層別、または職業別に、単一の組織体系に従って、それぞれの大衆団体に結束しなければなりません。解放後、各地方に散漫に組織された大衆団体を改組整備して青年学生は青年同盟に、婦人は女性同盟に、労働者は労働組合に、農民は農民組合にもれなく結集するようにすべきであります。

 特に、祖国の未来の主人公である青年学生を単一組織に結集することに深い関心を払わなければなりません。現在、青年学生は、各種の青年団体に参加し、統一的な隊列をなしておらず、一部の地方では分派分子と地方割拠主義者の策動によって青年が分派的に結合しています。我々は共産主義青年同盟を民主青年同盟に改組し、これにすべての青年学生を結集させなければなりません。

 我々は、労働組合、農民組合をはじめ、各大衆団体が早急に中央横間を組織し、整然たる組織体系をうち立てるようにし、これにたいする我が党の指導を確立しなければなりません。こうして、各階層の広範な大衆を我が党のまわりにかたく結集し、建国事業に積極的に動員すべきであります。

 我々は、このような当面の任務の遂行をめざして全力を尽くすことにより、民主主義人民共和国の樹立を促進し、北朝鮮を富強な民主主義的自主独立国家建設の強力な民主的基地につくりあげなければなりません。

 同志のみなさん!

 こんにち、朝鮮革命は我々に偉大な歴史的任務を課しており、祖国と人民は我々共産主義者の活動を見守っています。我々は、自己の歴史的任務の重要性を明確に認識し、革命のために担った栄えある任務を遂行するため、すべてのカと知恵をささげなければなりません。

 祖国と人民の利益のために、革命の利益のために献身的にたたかうのは、共産主義者の気高い義務であります。私は、すべての共産主義者が我が党をあらゆる面から強化し、党に課された革命課題を完遂するたたかいに積極的に参加するものと確信します。

 みなともに、マルクス・レーニン主義の革命の旗を高くかかげて、党の組織路線と政治路線の貫徹をめざし、朝鮮革命の勝利をめざして力強くたたかいましょう。

出典:「金日成著作集」1巻


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