金 日 成

人民大衆を団結させて新しい朝鮮を建設しよう
軍事・政治幹部および元山市共産党組織の責任幹部への談話 
1945年9月19日

 解放された祖国に帰り、歓喜と希望に満ちた人民の姿を見て感慨無量です。

 今日、我々は、夢にも忘れられなかった解放された祖国の地、元山に第一歩を記しました。今日は、朝鮮の解放とあわせて、我々の一生において永遠に忘れられない意義深い日です。

 私は、祖国解放の志を抱いて住みなれた故郷を後にしたときから、こんにちにいたる20年間、日本帝国主義に踏みにじられ災厄と不幸に見舞われているわが祖国と民族を一日として忘れたことがなく、祖国解放の聖業のために抗日武装闘争を力強く展開してきました。

 解放された祖国に帰ってきたこの瞬間、私は、この錦の山河に富強な新しい民主朝鮮を建設すべく決意をさらに固くしました。

 祖国の解放により、36年間にわたる凶悪な日本帝国主義の植民地支配は終焉を告げ、朝鮮人民は自由と光明を取り戻し、国の主人として自由で幸せな新しい生活を創造できるようになりました。

 我々共産主義者には、労働者、農民をはじめ、広範な人民大衆に解放された朝鮮が進むべき正しい道を教え、彼らの高揚した革命的熱意と創造的エネルギーを新しい祖国の建設に力強く動員すべき課題が提起されています。

 私は今日、長い年月、武器をとって日本帝国主義侵略者とたたかってきた朝鮮人民革命軍の軍事・政治幹部と元山市共産党組織の責任幹部が集まった機会に、新しい朝鮮の建設で提起される諸問題について述べたいと思います。

 我々は、現段階における朝鮮の進路を明確に知り、人民大衆を正しく導かなければなりません。

 解放された朝鮮は、決して一部の人が主張しているように封建制度を復活させたり、ブルジョア制度を樹立する道に進んではならず、直ちに社会主義の道に進んでもなりません。

 皆さんも承知のとおり、かつての朝鮮社会は立ち後れた植民地・半封建社会でした。日本帝国主義者は敗退しましたが、日本帝国主義と封建主義の残りかすは多く残っており、それは、わが国の社会の発展を甚だしく妨げています。したがって、現段階における朝鮮革命の性格は、依然として反帝反封建民主主義革命であり、我々は当面して日本帝国主義と封建主義の残りかすを一掃し、国の民主的発展を達成する革命任務を遂行しなければなりません。反帝反封建民主主義革命の段階において朝鮮が進むべき道は、進歩的民主主義の道であり、解放された祖国に樹立すべき国家は民主主義的自主独立国家であります。これが、まさに我々の建国路線であり、人民大衆の望んでいる道です。この道を進んでこそ、朝鮮人民に自由と幸せをもたらし、国の完全な自主独立と民族の繁栄を遂げることができるのです。

 皆さんは、人民大衆に我々の建国路線を広く説明、宣伝し、彼らが朝鮮の進路を明確に知り、建国事業に邁進できるようにすべきです。

 人民大衆を導いて民主主義的自主独立国家を成功裏に建設するためにはまず、統一的なマルクス・レーニン主義党を創立する活動を積極的に推し進めなければなりません。

 こんにちのわが国の情勢と革命の発展は、朝鮮革命を勝利に導く党の創立を切実に求めています。広範な人民大衆を団結させ、彼らを奮い立たせて新しい祖国を成功裏に建設する基本的保証は、統一的なマルクス・レーニン主義党を創立することにあります。

 党を創立する方法は、いろいろあります。我々は、わが国の現状を踏まえて、地方党組織を先に結成し、それにもとづいて党中央指導機関を組織する方法で党を創立する考えです。したがって、我々は、当面、各地方に党組織を結成する活動を積極的に推進すべきです。確かめたところによると、多くの地方に共産党組織が生まれて活動してはいますが、党組織を結成する活動がどの地方でも順調に進められているとはいいがたい状況です。皆さんが述べているように、元山市の場合をみても共産党の基層組織である細胞を組織する活動は活発に進められておらず、市党機関が組織されて活動を始めたにすぎません。そのうえ、労働者が集中している主な工場、製造所には、まだ党細胞が組織されていませんが、こういう状態では党建設を正しい方向で進めることはできません。

 元山市で活動することになった政治工作員と市党機関の活動家は、市党組織を強固にすると同時に、鉄道工場、石油工場、造船所など労働者が集中している工場、企業と貧農および雇農の多い農村に党細胞を先に組織し、党の隊伍を拡大する活動に大きな力を注がなければなりません。

 解放された祖国に一日も早く真の人民の政権を樹立することは、我々に提起されている切実な課題です。国の解放とともに、人民の創意によって各地に人民委員会が樹立されています。人民委員会は、朝鮮人民自身が選択し、わが国の実情に適合し、労働者、農民をはじめ、広範な人民大衆の利益を代表する新しい形態の政権機関です。

 元山市では、市人民委員会を強化し、その役割を高め、一日も早くすべての里に人民委員会を組織すべきです。すべての地方に人民政権機関を組織し、その役割を高めることによってのみ、解放を迎えた朝鮮人民の権益を守り、反動分子の蠢動を粉砕して社会秩序を確立することができるのです。

 新しい朝鮮を建設するためには、全人民を民主主義の旗のもとに一つに固く団結させなければなりません。

 元山市党の庁舎に入ってくるときに見ると、外壁に「共産主義の旗のもとにプロレタリアートは団結せよ!」というスローガンが掲げられていましたが、このスローガンは朝鮮革命の性格とわが国の現状に合いません。

 現段階において、我々はプロレタリア革命ではなく、反帝反封建民主主義革命を遂行しなければならないのですから、民主主義の旗を掲げ、そのもとに広範な人民大衆を結集しなければなりません。各階層の広範な大衆を結集することなく、少数の共産主義者と労働者階級の力だけでは、解放された祖国に富強な民主主義的自主独立国家を建設することができません。我々は、労働者、農民だけでなく、先進的で愛国的な知識人、企業家、商人、宗教家をはじめ、民族を愛し民主主義を志向する各階層の人民がすべて受け入れられる民主主義的スローガンを示すべきです。

 各階層の広範な大衆を団結させて新しい祖国の建設に奮い立たせるためには、民主主義的な統一戦線を結成しなければなりません。

 いま地方では、共産党組織が結成されて活動していますが、これからは民主主義を志向する他の政党、大衆団体も組織されて活動するようになるでしょう。我々は、民主的諸政党、大衆団体との統一戦線活動を正しくおこなって、すべての愛国的民主勢力を一つに固く団結させなければなりません。

 いま労働組合、共青をはじめ、大衆団体が各地方にかなり生まれていますが、それを正しく指導する必要があります。既に、組織されている大衆団体を民主主義の道に正しく導き、まだ大衆団体のないところには、早く組織し、労働者は労働組合に、農民は農民組合に、青年は青年組織に、女性は女性組織に固く結集すべきです。

 特に、青年を青年組織に結集することに大きな力を入れるべきです。

 新しい社会の主人公であり、朝鮮の未来である青年を組織的に結束し、民主建国の担い手にするのは、祖国の明日の運命と革命の成敗にかかわる極めて重要な問題です。

 現在、青年大衆を結集し、青年運動を発展させるうえで特に重要なのは、既に各地方に組織されている共青組織に対する指導を正しくおこなうことです。

 いま各地方に組織されている共青組織のなかには、共産主義者の影響のもとに組織されたものもあれば、先進的な青年がみずから組織したものもあります。我々は、共青組織に対する指導を正しくおこなうことによって、共青が、青年労働者、農村青年、学生などの広範な青年を組織的に結集し、新しい朝鮮の建設において中核として主動的な役割を果たすようにすべきです。

 もちろん、共青組織は、共産主義を信奉する無産階級の青年組織なのですから、各階層の広範な青年を結集するうえで制約があるのは確かです。しかし、無産階級の青年の利益は、勤労農民と進歩的青年学生の根本的利益に反するものではなく、また、共青は進歩的民主主義の旗を堅持しているため、共青組織への加盟を希望する青年もいるはずです。ですから、我々は無産階級の青年だけでなく、共青組織への加盟を希望する各階層の青年をすべて受け入れるようにすべきです。そして、共青が他の青年組織との連合を実現し、統一行動を保障することにも相応の関心を払わなければなりません。

 私は、皆さんが新しい祖国の建設で共産主義者としての使命と本分を全うするよう望むものです。
                                                
出典:『金日成全集』2巻


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