金 日 成

朝鮮の革命家は朝鮮をよく知るべきである
朝鮮人民革命軍政治幹部および政治教員に行った演説
-1943年9月15日-


 私は、きょうみなさんに迫りくる祖国解放の日をめざして、祖国についての学習を強化する問題と、当面の幾つかの課題について述べようと思います。

 今、世界の情勢は革命の側に有利に急変しており、祖国の解放も当面の問題として日程にのぼりつつあります。

 世界を支配する目的で第2次世界大戦を引き起こした日本、ドイツ、イタリアなどのファシスト国家は、時日がたつにつれてしだいに下り坂を歩むようになりました。

 米英帝国主義者のひそかな後押しを受けてきたファシスト・ドイツは、数か月間でソ連を撃滅すると豪語し、航空機と戦車で増強された17個師団の大兵力をもってソ連に対する背信的奇襲攻撃を行いました。しかし、偉大なスターリン同志の指導のもとに、ソ連人民と赤軍は、戦争初期の不利な形勢をしだいに克服し、ファシスト・ドイツが自国内の総力と、既に占領したヨーロッパ14か国の兵力と人力、経済力まで総動員して行った気違いじみた攻撃を単独でふせぎぬいたばかりでなく、反撃に転じました。

 勇敢無比な赤軍は、ことしのはじめ、スターリングラードで最新兵器で装備したファシスト・ドイツ軍の機械化精鋭部隊3個師団を撃破し、ソ独戦争の新たな転換の契機をもたらしました。スターリングラードにおいてファシスト・ドイツ軍の運命は決まったも同然です。

 今、赤軍はドイツ侵略者をドニエプル川付近まで駆逐しており、遠からずソ連領内で侵略者を完全に打ち破って偉大な勝利をかちとることでしょう。

 ソ連に対するドイツの勝利を既定事実と確信し、無謀な太平洋戦争を引き起こした日本帝国主義者も、中国と東南アジア、それに太平洋上の広い戦線で敗戦をかさねています。

 日本帝国主義者は、中国共産党の指導する八路軍と新四軍の反撃を受け、中国戦線でしだいに窮地に追いこまれています。日本帝国主義者は中国戦線に派遣したその兵力の大部分とかいらい軍を、八路軍と新四軍の「掃滅」作戦に投入したが、かれらの「討伐」作戦は失敗を重ねており、華北一帯では八路軍によって解放区がしだいに拡大されつつあります。

 日本帝国主義者はハワイの真珠湾を奇襲してアメリカ太平洋艦隊に致命的な打撃を加え、アメリカがたちなおる前に東南アジアの各地域を占領して、この地域の豊富な石油、ゴムなどの資源を略奪し、足りない戦略物資をおぎなって長期戦に備えようともくろみました。これによってソ連を撃滅するドイツと歩調を合わせて、米英勢力を東南アジアと太平洋上で屈服させることができると妄想したのでした。ところが、日本帝国主義者は既に、太平洋上で勢力の均衡を完全に失い、敗戦を重ねています。

 イタリアは降服し、ドイツと日本は急速に後退しはじめました。

 第2次世界大戦の戦局を分析してみるとき、日本帝国主義者の滅亡は不可避であり、祖国解放の日は近づきつつあると確信することができます。


1 祖国についての学習をよく行うことについて

 祖国の解放が迫りつつある今日、我々に提起されている重要な課題の1つは、祖国についての学習をよく行うことであります。

 我々は、祖国と人民をよく知ることなくしては、愛国者、共産主義者としての義務を立派に果たし、朝鮮革命を成功裏に遂行することができません。

 我々が責任をもって朝鮮革命をなし遂げるためには、祖国の歴史や地理に精通しなければならず、輝かしい文化の伝統をよく知らなければなりません。そうすれば、祖国を熱烈に愛し、祖国と人民のために献身的に奉仕しようという決意をかためることができ、また朝鮮人民をその気質に合わせて教育し、革命闘争に積極的に奮い立たせることができます。

 また、我々共産主義者が祖国の歴史と地理、経済と文化を十分に知っていれば、マルクス・レーニン主義の原則を朝鮮の現実に即して創造的に適用することもでき、朝鮮革命に対する自主的立場と独自の見解をもつこともできます。

 また、日本帝国主義植民地支配者の民族抹殺政策から朝鮮民族のすぐれた伝統と民族の富を守りぬくためにも、祖国の歴史や地理、文化をよく知ることが重要であります。

 今、日本帝国主義者は戦争でのたびかさなる惨敗を挽回しようと、朝鮮人民に対する過酷な植民地的略奪を強化しているばかりでなく、朝鮮を地図のうえから永久に抹殺するため、「同祖同根」「内鮮一体」を唱え、むきだしの民族同化政策を実施しています。日本帝国主義植民地支配者は、朝鮮の悠久な輝かしい歴史と文化の伝統を歪曲、抹殺し、「皇国臣民」の「武士道」を大々的に広めながら、民族的なものをすべて一掃してしまおうともくろんでいます。かれらは朝鮮が二度と息を吹き返せないようにするため、朝鮮の言葉と文字の使用を禁じたばかりでなく、果ては朝鮮人の姓名までもつかわせず、日本式に「牛一郎」「馬三郎」といったたぐいの創氏改名を強要しています。

 日本帝国主義者が朝鮮民族の歴史と文化を抹殺し、朝鮮を永久になきものにしてしまおうと狂奔している現在、朝鮮の真の愛国者である我々が祖国についてよく学ぶことは、最も重要な革命課題の1つとならざるをえません。

 我々は将来、解放された祖国を立派に建設するためにも、いまから祖国についてよく学ばなければなりません.

 朝鮮人民革命軍の指揮幹部と兵士は、すべてが日本帝国主義者に踏みにじられた祖国を取り戻し、解放された祖国に幸せな新しい社会を建設しようという、燃えるような念願をいだいて革命に身を投じた闘士たちであります。我々は、日本帝国主義侵略軍との苦難にみちた戦闘をくりひろげる困難な状況下にあってもマルクス・レーニン主義の原理の学習と、朝鮮革命の路線と戦略・戦術についての学習の強化に重点をおき、人民革命軍指揮幹部と兵士を革命的世界観で武装させてきました。

 祖国解放の日が近づいている今日の情勢は、マルクス・レーニン主義について・の学習とともに、解放された祖国での経済、文化の建設に必要な知識を系統的に身につけることを、さしせまった要求として提起しています。

 朝鮮の共産主義者として、朝鮮の歴史と文化、自然と地理、人民の美しい道徳と風習を知らずして、どうして朝鮮の革命を立派に行うことができるでしょうか。

 朝鮮の共産主義者は、朝鮮人民の5千年にわたる悠久の歴史とさん然たる文化、祖国の山河と資源をよく知り、それを誇りとし、熱烈に愛さなければならず、美しい祖国の大地に人民の楽園である共産主義社会を建設するという、雄大な理想と強い決意をもたなければなりません。

 まず、朝鮮の歴史についてよく学習することが重要であります。

 歴史を学習しようというのは、王室や封建支配者の歴史を知るためではなく、朝鮮人民の闘争の歴史、創造の歴史を知ろうということです。

 人民の闘争と創造の歴史をよく知らなければ、祖国を熱烈に愛する感情をもてず、民族的誇りと革命的自負をもつことができません。

 朝鮮人民は、昔から封建支配者の虐政と外来侵略者に反対して屈することなく戦い、その創造的労働と知恵によって科学と文化を発展させ、東方の一角で朝鮮の名をとどろかせました。

 朝鮮人民は勇敢で英知ある人民であり、勤労を好み、平和を愛する人民であります。特に、朝鮮人民は外来侵略者とはひるむことなく戦い、民族の尊厳を守りぬく愛国心の強い民族であります。

 朝鮮に対する外来侵略者の侵攻は、古代から今日にいたるまで間断なくつづき、特に19世紀末からいっそう強化されました。

 朝鮮人民は昔から侵略者が攻めてくるたびに、正義の祖国防衛戦にこぞって立ち上がり、外来侵略者を撃退し、祖国を英雄的に防衛しつつ5千年の誇るべき歴史を創造してきました。

 こうして朝鮮人民の歴史は古代と中世においては、北からの隋と唐の侵略、それに契丹、元の侵略をしりぞけ、南からの日本の侵略を牽制してきた反侵略、祖国防衛の歴史であり、近代にいたっては日本帝国主義者とアメリカ帝国主義者の侵略に反対する反帝闘争の歴史、民族解放闘争の歴史でありました。

 外来侵略者は歴史的に間断なく朝鮮に侵攻してきましたが、2度たりとも朝鮮人民の愛国的忠誠心と勇敢さをくじくことも、朝鮮人民を屈服させることもできませんでした。

 高句麗の人は英知に富み、勇敢であっただけでなく、祖国防衛に忠誠を尽くすことを最も栄誉あることと考えていました。それでかれらは、武芸を学ぶことを男子の義務とし、幼いときから早駆けや馬術、弓術、剣術などを学び、民間娯楽や競技もすべて武芸を基本にしていました。卑賤な身分の温達(オンドル)が狩猟競技で優勝して登用され、祖国防衛で大きな手柄をたてたという話がありますが、この話でもよくわかるように高句麗では人を評価するうえでも、武芸にたけ、知恵と勇気があるかどうかを重視しました。

 高句麗の人は幼いときから祖国を愛する精神で教育され、武芸を学び、勇気をつちかったために高い民族的誇りと勇敢な気性を身につけるようになり、アジア大陸で最も強大な国であった隋の300万大軍の侵入を撃破して、祖国の栄誉と民族の尊厳を守りぬくことができました。

 朝鮮の南部に位置していた新羅や百済の人たちも威勢を高め、外敵が侵犯できないように祖国をゆるぎなく守りぬきました。

 もしも、三国時代に高句麗、新羅、百済の3国が団結して外敵をしりぞけたなら、祖国はいっそう発展したことでしょう。

 高麗の人は数十万の契丹軍が押し寄せてきたとき、名将姜邯賛将軍の指揮のもとに、鴨緑江と亀城で敵にせん滅的な打撃を与え、祖国を守りぬきました。

 李朝時代になってからも、朝鮮人民は外敵に抗して勇敢に戦いました。しかし、封建支配者たちは国の防備をかため、軍人を訓練して外敵の侵略に対処するのではなく、ただ泰平をうたい、安逸な生活にうき身をやつしていました。このような機会に乗じて凶悪な日本のさむらいたちは、壬辰年(1592)に大軍を起こして押し寄せてきました。このとき、日ごろから防衛の備えがなく、心がゆるんでいた封建支配者たちは、日本侵略軍の侵攻を防ぎきれなくなるや王を連れて義州に逃亡し、祖国と人民を敵軍の蹂躙のもとにさらしました。

 しかし、英知あり勇敢な朝鮮人民は、南海と晋州、延安と平壌などいたるところで侵略者と英雄的に戦いました。李舜臣将軍は、劣勢だった水軍兵力で全羅道の水道を守って日本侵略者の渡海をさえぎり、閑山島で日本の水軍を全滅させ、大勝をはくしました。郭再祐をはじめとする愛国者たちは義兵を起こし、いたるところで日本侵略者を撃滅しました。農民や下級官吏、さらには山中に隠遁する僧侶たちも義兵闘争を起こし、婦人たちもいたるところで敵と戦いました。人民は、残忍このうえない日本侵略者たちと7年間も死を賭して戦い、ついに敵を国土から追い出し、祖国の栄誉と尊厳を守りとうしました。

  19世紀の中葉にいたり、朝鮮が欧米資本主義列強の侵略を受けたときも、無能で頑迷な封建支配者は祖国と人民をかえりみず、個人の権勢と享楽に目がくらんで党派争いにふけっていたが、人民は屈することなく外国帝国主義侵略者との戦いをくりひろげました。

 1866年、平壌の人民は、大同江に侵入してきたアメリカの海賊船シャーマン号を水中深く葬り、人民と軍人はフランスの侵略船を撃退しました。

 1894年には、全羅道の農民が封建支配者の悪政に抗して農民戦争を起こしました。このときも農民をはじめ愛国的軍人、儒者たちは、支配者と戦ったばかりでなく、国内の混乱に乗じて侵入してきた日本侵略軍を迎え打ち、血みどろの闘争を展開しました。

 このように朝鮮人民は5千年という長い歳月にわたり、外来侵略者と屈することなく戦って祖国を守りぬき、熱烈な祖国愛と勇敢さ、不屈の気概を全世界に示したのでした。

 しかし、封建支配者たちは、外部勢力を排撃しみずからの力を養って国を保全するのではなく、それぞれ外部勢力にへつらい屈従し、かれらを後ろ盾に事大主義にはしり、党派争いに没頭し、ついには日本帝国主義侵略者に祖国を売り渡すという永久に許しえない売国的・反民族的行為をはたらきました。

 朝鮮人民は、1910年に祖国が日本帝国主義者に占領された後にも、義兵運動、独立軍運動、労働者、農民、青年学生の反日運動などをたえずくりひろげ、1920年代の末にいたっては日本帝国主義者とその手先に反対する暴力闘争を展開しました。

 特に、真の愛国者である我々共産主義者は、1930年代になって英雄的な抗日武装闘争を展開して朝鮮民族解放闘争をより高い段階に発展させ、十余年にわたって仇敵日本帝国主義に甚大な政治的・軍事的打撃を与え、かれらを滅亡へと追い込んでいます。

 英知あり勇敢な朝鮮人民は、永久に屈せず朝鮮の魂は永遠に生きつづけるでありましょう。百戦百勝のマルクス・レーニン主義の革命思想によって導かれる朝鮮人民の反日民族解放闘争は必ずや勝利し、祖国は解放されるでしょう。朝鮮の気概を全世界に示す日も遠くありません。

 我々は、朝鮮人民の輝かしい闘争の歴史を深く学習して、熱烈な祖国愛と民族的誇り、敵に対する燃えるような憎しみをつちかわなければなりません.

 朝鮮人民は科学や文化の発展においても輝かしい伝統を創造した、才能あり英知に富む文化的な民族です。

 我々の祖先は古代から輝かしい文化を創造し、東方文化の開花をもたらしました。

 朝鮮では遠い昔から鉄を生産し、三国時代には鉄材で生活用具をつくって広く利用し、また金、銀、銅などの細工術も高度に発達しました。

 我々の祖先は、既に7世紀の前半期に、世界的に有名な天文台である瞻星台を建設し、気象学と天文学の発展に大きく寄与しました。

 三国時代には建築術も発展しました。7世紀に建設されたという皇竜寺の九重の塔、千数百年をへた今日までも原形のまま保存されている仏国寺の多宝塔と釈迦塔は、当時の建築術の発達ぶりを如実に示しています。また数千年をへても変色しない高句麗古墳の壁画や新羅の石窟庵の彫刻像などは、朝鮮の古代美術の水準の高さを物語っています。

 朝鮮では古代から音楽や舞踊が発展しました。我々の祖先は、伽倻琴、玄琴など非常にすぐれた民族楽器をつくって音楽を発展させ、優雅な律動の民族舞踊を発展させました。

 朝鮮の発達した文化と冶金術、製陶技法などは、既に三国時代から遠く外国まで伝わって名声をはくしました。当時、我が国の工匠、建築家、画家、儒者たちは日本に渡って文字や技術を普及し、文化を発展させるうえに大きな影響を与えました。

 高麗の人は世界ではじめての金属活字を発明して出版事業を大いに発展させ、また色彩や紋様、器形がひときわすぐれ、世界の人々から宝物のように大事にされている高麗磁器をつくって、我が国の名声を全世界にとどろかせました。

 既に三国時代から吏読文字を使用してきた朝鮮人民は、1444年に最も発達した文字である訓民正音をつくって文化の発展に大きく寄与しました。

 封建支配者たちが事大主義に陥って儒教の経典をそらんじ、風月の遊びに歳月を送っていたときにも、人民はすぐれた才能を発揮して世界に誇るべき芸術作品をつくりだし、また人民と技術者は世界最初の鉄甲船である亀甲船のような威力ある独特の軍船を発明しました。

 このような幾つかの事実によっても、朝鮮人民がどれほど才能にたけ、知恵のある人民であり、人類の科学・文化の発展にいかに大きな貢献をした民族であるかを十分知ることができます。

 我々、共産主義者は祖先のきずきあげた科学・文化の伝統についても詳しく知り、それを大切にしなければなりません。そうあってこそ、解放された祖国で真に人民に奉仕し、新しい社会の建設に貢献する科学を発展させることができ、民主主義的で社会主義的な民族文化を建設することができます。新しい社会主義的民族文化は決して無からつくられるのではなく、祖先伝来の民族文化のすぐれた伝統を批判的に継承し発展させる過程で建設されるものです。我々は将来新しい社会主義的民族文化を建設するためにも、民族文化のすぐれた伝統をよく知り、それを批判的に分析し評価できるようにならなければなりません。

 朝鮮民族は5千年の悠久な歴史をもつ単一民族であり、昔から外来侵略者と歴代の反動支配者に抵抗して頑強に戦ってきた勇敢で覇気のある民族であり、人類の科学と文化の発展に大きく寄与した才知にたけた民族であります。

 祖国と人民をだれよりも熱烈に愛する我々共産主義者は、朝鮮人民としてのいっそう高い民族的自尊心と誇りをもつべきであり、祖国解放と独立をめざして十余年ものあいだ、血みどろの闘争を展開してきた闘士としての革命的自負と誇りをもつべきであります。民族的自尊心と革命的自負がなければ、あわれで卑屈な民族虚無主義者、事大主義者に転落します。事大主義と民族虚無主義は、結局祖国と民族を裏切る道へ走る亡国の思想であります。我々は、祖国と民族をだれよりも熱烈に愛す共産主義者であるため、自民族と自国の歴史を無視する民族虚無主義と事大主義に反対して断固たたかわなければなりません。

 もし我々に、祖国の尊厳を守り民族を愛する熱烈な愛国心がなかったならば、真の愛国主義者となることも、自国の革命に忠実な真の共産主義者となることもできなかったことでしょう。我々は祖国と民族を愛しとうとぶ愛国心が人一倍強かったために、日本帝国主義に踏みにじられた祖国と人民を救いだす闘争の道に身を投じたのであり、今日マルクス・レーニン主義の革命的世界観で武装し、長期にわたる革命闘争で鍛えられた立派な共産主義者となりえたのであります。

 我々は祖国の歴史だけでなく、地理についてもよく知るべきであります。

 我々が革命を行う最終目的は、富強な祖国を建設し、人民が豊かに幸福に暮らせるようにすることにあります。すなわち、朝鮮に社会主義・共産主義の楽園を建設しようというのです。社会主義・共産主義の楽園はだれが建設するのでしょうか。それも、我々自身が建設しなければならないのです。我々は日本帝国主義を打倒し、祖国の大地に発展した工業と農業をもつソ連のような社会主義国家を建設しなければなりません。そのためには、朝鮮の豊富な資源を開発し、工業や農業、水産業など、各方面にわたって経済を復興発展させなければなりません。

 朝鮮は面積、人口、資源のいずれからみても、豊かで強力な自主独立国家を建設できる、あらゆる条件を備えています。

 アジア大陸の東部に位置している朝鮮は、北は大陸につながっており、東西南の三面は海にかこまれています。22万余平方キロメートルの面積と3300万の人口をもつ朝鮮はそれほど大きくはありませんが、決して小さくもありません。今、世界の強大国、文明国として知られている国々のなかには、朝鮮よりはるかに面積が小さく、人口も少ない国が多く、世界で朝鮮に匹敵するほどの豊富な天然資源をもつ国もまたまれです。

 朝鮮には、鉄鉱石をはじめ、数百種の貴重な有用鉱物が大量に埋蔵されています。まさに朝鮮の地下は金銀宝玉にみちた宝庫であるといえます。

 北部白茂高原一帯には磁鉄鉱が無尽蔵に埋蔵されており、西部平原一帯には良質の褐鉄鉱が多く埋蔵されています。鉄鉱石の埋蔵量は現在、知られているものだけでも、実に数十億トンに達しており、今後さらに多くの鉄鉱石を発見することができるでしょう。

 北部地帯には高カロリーの有煙炭が豊富に埋蔵されており、平安南道一帯と中部の太白山脈には無煙炭が無尽蔵に埋蔵されています。石炭は、代をついで掘っても掘りきれないほど無尽蔵であります。

 また朝鮮には金、銀、銅や鉛、亜鉛、黒鉛、それにモリブデン、マグネサイトをはじめ、貴重な金属や鉱物が世界の人々から羨望されるほど大量に埋蔵されており、石灰石はいたるところにあります。

 朝鮮には電力資源、特に水力資源も豊かです。国の屋根と呼ばれる蓋馬高原をはじめ、北部地帯には、数百万キロワットの発電が可能な水力資源があります。蓋馬高原、赴戦高原から東海側に水を落とせば落差が大きいので、発電所の建設に有利です。ここにはちょうど虚川江、長津江、赴戦江発電所があり、東洋で最も大きい70万キロワットの発電能力をもつ水豊発電所も、ほかならぬ北部の水力資源を開発利用したものです。将来水力資源を有効に利用するならば、少なくとも数百万キロワット以上の発電能力をつくりだすことができるでしょう。こうなれば朝鮮は電力の豊かな国となるでしょう。

 朝鮮は世界で一番良質の米を産する国です。南部には、毎年優良な米を数百万石ずつ生産する金堤の万頃平野と嶺南平野、京畿平野があり、北部には延白平野、ナムリ平野、富羅平野などがあります。百余万ヘクタールの水田からは、毎年1500万石以上の米が生産されます。将来我々が人民の国を建設した後、西海岸の干潟を干拓すれば、数十万ヘクタールの沃土を得ることができ、ここからだけでも数百万石の米を生産することができるでしょう。朝鮮の丘陵には果物がよくできます。黄州、大邱、安辺、北青などのりんご、南海岸地方のみかんや柿、海州、徳原の梨、平壌、甑山の甘栗など、朝鮮の果物は有名なものです。

 朝鮮は三面が海にかこまれている国であり、水産資源も豊富です。世界三大漁場の一つと隣接している東海は、魚族が多種で漁獲高も多いところです。春にはさば、かたくちいわしの群が南から北上し、にしんの群が北から南下します。また夏にはいわしの群が北上し、冬には朝鮮の名産物であるめんたいの大群が押し寄せてきます。これらの回遊魚類だけをとっても、漁獲高は数百万トンに達するでしょう。東海にはまた、ます、ぶりなどの高級魚類が多く、南海と西海にもやはり水産資源が豊富です。

 朝鮮はじつに豊かな資源に恵まれた国です。しかし朝鮮人民は、これらの豊富な資源の恩恵をこうむっていません。今、日本帝国主義者は、中国侵略戦争と太平洋戦争に必要な膨大な軍需物資を補給するため、毎年80億キロワット/時の電力、300万トン以上の鉄鉱石、500万トン以上の石炭、80万トン以上のセメントを略奪しており、生産量の3分の2をこす1000万石以上の米と10余万頭の牛、それに東海、西海、南海で産する水産物を日本に運びだしています。日本帝国主義の強盗さながらの略奪によって、国の資源は急激に枯渇しつつあります。国の豊富な資源が真に人民の福祉に利用されるようにするためには、日本帝国主義を打倒し、労働者、農民が主人となる人民の国をうち立てなければなりません。我々が人民の国を建てた後、これらの豊富な資源を利用して電力、石炭、金属、化学などの工業を発展させ、農業と水産業などを発展させるならば、我が国は工業が発展し、豊かで文化的で、富強な国となり、朝鮮人民は数千年来の宿願通り、白米のご飯と肉汁の食事をとり、裕福な暮らしができるようになるでしょう。そのときになれば、今の2300万の人口ではなく、1億の人口でも豊かで幸せな暮らしができるようになるでしょう。

 朝鮮は資源が豊富であるばかりでなく、景色も美しい国です。どこへいっても高い山や丘陵があり、清い流れがあって絶景をなしています。北辺に高くそびえ立つ白頭山から金剛山、太白山をへて済州島の漢拏山にいたるまで、連々とつらなる美しい山並み、東海、西海、南海にそそぐ鴨緑江、豆満江、大同江、漢江、洛東江、錦江などにうるおされる果てしない平野、さらに海岸線にそって数百里に綾なす美しい風景、文字通り朝鮮は三千里錦の山河であります。また朝鮮には朱乙、陽徳をはじめ、各地に温泉があり、三防、江西をはじめ、いたるところで鉱泉がわきでています。

 この美しい山並みと清い流れ、秀麗な景色がすべて、人民の休息と健康のために奉仕するようになれば、朝鮮はどんなにか住みよい楽園となるでしょう。我々は一日も早く祖国を解放し、景勝地ごとに休養所をたてて勤労者に休息を楽しませ、水清く空気の澄んだところに療養所を建てて人民の健康増進をはかるべきです。

 世界に国は多いが、我が祖国のようにうるわしく住みよい国はまれであります。山河うるわしく、土地は肥え、五穀百果たわわにみのり、地下には金銀宝玉がみちている国、英知に富み、勇敢で文化的な人民の住む国、これはなんと誇らしくとうとい祖国でありましょう!

 しかし、現在朝鮮人民は、世界で最も貧しい暮らしをしており、5千年の悠久な伝統をもつ朝鮮のさん然たる民族文化は光を失っています。朝鮮人民には自分でつくった米さえ思いどおり食べる権利がなく、自分の国、自分の領土を自由に闊歩する権利さえありません。数多くの同胞、兄弟姉妹が飢餓線上にさまよっています。仇敵日本帝国主義を打倒し、労働者、農民が主人となる人民の国家をうち立てることなくしては、うるわしい錦の山河も我々に喜びを与えることはできず、無尽蔵な金銀財宝も人民に幸福な暮らしをもたらすことはできません。

 朝鮮の革命家である我々共産主義者は、日本帝国主義者を駆逐して祖国解放の長年の念願を必ず実現し、全世界の人々が我が祖国を羨望するように、三千里国土のうえに共産主義の楽園を必ず建設しなければなりません。我々はこの歴史的な大業の実現のために、十余年をただひとすじに戦ってきたのであり、今後もひきつづき戦わなければなりません。


2 当面の幾つかの課題について

 今、日本帝国主義者は第2次世界大戦で守勢に陥り、敗北の日が近づくにつれていっそう狂いたっています。

 朝鮮人民に対する日本帝国主義の弾圧と略奪は、太平洋戦争開始以後絶頂に達しています。日本帝国主義は朝鮮に3個師団以上の兵力を常時革屯させるとともに、警察、憲兵などのファッショ的弾圧機構を大々的にふやして、朝鮮人民に野蛮な弾圧を加えており、すこしでも疑わしいとみれば、「不逞鮮人」というレッテルをはって何の根拠もなしに逮捕拘禁しています。

 果ては日本帝国主義の警察は、年寄りが「皇国臣民の誓詞」を日本語で暗唱できないと「非国民」だといって殴打し、幼い子供に対してまで、朝鮮語を使ったという「罪」で厳罰に処しています。

 日本帝国主義者は、朝鮮民族のあらゆるものを抹殺するために狂奔しているだけでなく、「戦争完遂」という名目のもとに、労働力と物資を無制限に略奪しています。日本帝国主義者は、数多くの朝鮮青年を徴兵や「学徒兵」として、強制的に戦場に追いやって弾よけにつかっており、徴用の名のもとに労働能力のあるほとんどすべての青壮年をかりだしては、日本の炭鉱や軍事施設工事場で無報酬の強制労働をさせています。        

 徴用にとられない人たちは、「報国隊」という名のもとに強制動員され、無報酬で際限なく酷使されており、幼い児童・生徒たちも「勤労奉仕」という名目で常時力にあまる労働を強いられています。

 そればかりか、日本帝国主義者は増大する軍事的需要をまかなうために経済的略奪をいつにもまして強めており、果ては真鍮製の食器やさじ、はしまでも奪っています。

 朝鮮人民は人民革命軍の軍事・政治活動に限りなく励まされ、日本帝国主義者の弾圧が絶頂に達した困難な状況のもとでも、反日闘争を力強くくりひろげています。ソウル、平壌、清津、興南、釜山、その他重要産業都市の工場や重要建設場、港湾、軍需工場などで、労働者はストライキやサボタージュ、集団逃亡などいろいろな形態の闘争をひきつづき展開しています。農民は強制供出を拒否し、殺人的な戦時負担や強制動員に反対して屈することなくたたかっています。教員や学生の思想事件や同盟休校事件が頻発しており、青壮年は徴兵や徴用、強制労働に反対してたたかっています。特に大衆のあいだでは抗日武装闘争に呼応し、武器をとり立ち上がって戦おうとする気運が日増しに高まっており、多くの青年学生が朝鮮人民革命軍と連係を結ぼうとつとめています。

 朝鮮人民革命軍の小部隊は、日本帝国主義者が数十万の兵力を常時動員して国境一帯に厳しい警戒陣をしいている困難な状況にもかかわらず、国内深くにまで進出して、巧みな活動を行って大きな成果をおさめており、主力部隊は祖国解放を迎えるための政治的・軍事的態勢をととのえています。

 日本帝国主義者は滅亡を目前にしてあがいているが、内外の情勢は革命の側に決定的に有利に変わりつつあります.

 しかし、内外の革命情勢がいかに熟したにしても、朝鮮革命の指導勢力である朝鮮共産主義者が主人となつて、大衆を立ち上がらせなければ、革命の決定的な勝利をかちとることはできません。

 我々はすべての力、すべての才能を傾けて、祖国の解放を一日も早くなし遂げるためにたたかわなければなりません.

 祖国解放の日を主動的に迎えるためには、朝鮮人民革命軍の軍事・政治活動を強化して、みずからの革命勢力をさらにかため、全民族を日本帝国主義者との最後の決戦に総動員できるよう、備えさせなければなりません.

 このためには、第1に、全国的な規模で反日民族統一戦線運動をいっそう強化し、国内のすべての愛国勢力を結集して、強盗日本帝国主義との決戦をくりひろげることのできる強固な大衆的基盤をきずきあげなければなりません。

 1936年5月に祖国光復会が創立されて以来、我が国における反日民族統一戦線運動は画期的な発展を遂げました。

 鴨緑江、豆満江沿岸一帯に祖国光復会の下部組織が広範につくられ、国内深くにまで祖国光復会の組織網が拡大され、各階層の人民が反日民族統一戦線に結集するようになりました。

 日本帝国主義の弾圧が極めて厳しかったにもかかわらず、1939年以後には白頭山東北部や国内の各地に反日民族統一戦線の下部組織が拡大されています。

 しかし、反日民族統一戦線には、まだ全国のすべての反日愛国勢力が十分結集されているとはいえません。もし、日本帝国主義に反対するすべての勢力を結集しないならば、将来国内で展開される日本帝国主義との決戦で、確固とした大衆的基盤をもてなくなるでしょう。したがって全国的規模で反日民族統一戦線組織を拡大し、団結できるすべての勢力を結集することは、最後の決戦の帰趨を決する重要なかぎであります。我々は有能な政治工作員をさらに多く国内に派遣して、各地に反日民族統一戦線の下部組織を結成し、労働者、農民を中核として青年学生、知識人、良心的な民族資本家、愛国的な宗教家など広範な反日勢力を結集する組織・政治活動をいっそう積極的に展開しなければなりません。

 今、国内では、反日民族統一戦線を発展させることのできる客観的な条件がいつにもまして成熟しています。日本帝国主義者の断末魔的な弾圧と略奪は、政見の相違、貧富の差、知識の程度、信仰の違いにかかわりなく、すべての朝鮮人をこれ以上たえられない限界に追い込んでいます。労働者は徴用にとられるか、でなければ軍需工場で囚人とかわらぬ強制労働にかりだされ酷使されています。かれらは満州大豆の豆かす数百グラムの粗食で、際限のない苦役を強制されています。

 賃金や労働保護については、口にすらできない状態です。

 農民はさらに惨めな状態におかれています。荒れはてた農土で、しかも青壮年の労力もなしに農作業を行っているので、以前と比べて著しく収穫量が減っており、その穀物さえ大部分を日本帝国主義者が奪いさり、地主や官吏が略奪していくので、農民は口をのりすることすら困難な状態にあります。

 日本帝国主義者がひかえめに発表した統計によっても、春の端境期に糧食の絶える農家は50%以上になるとのことです。しかし実際にはすべての農民が、冬のうちは雪の下からくずの根などを掘って生きのび、春には草の根を食べて生きていくという状態です。そのうえまた、かれらは「国防献金」「兵券献納」「福引債券」などのかたちで、あらゆる戦争負担を農民に背おわせ、文字通りやせ細った朝鮮農村を骨の髄までしゃぶりつくす有様です。

 学生、知識人の境遇もその極に達しています。戦争は学園までも閉鎖させました。いくらもない大学、専門学校の学生は「学徒兵」にとられ、中学校は軍事訓練場と化しています。小学校の児童までも軍事訓練をしなくてはならず、勉強する日よりも強制的な大役にかりだされる日のほうが多いのです。

 今日、労働者、農民をはじめ、各階層の朝鮮人民の境遇は、じつに最悪の状態におかれています。そのため朝鮮人はだれもが「この呪うべき世の中は、いつになったら滅びるのか」と痛嘆しており、朝鮮人民革命軍が一日も早く日本帝国主義を撃滅し、朝鮮民族を救いだすことを渇望しています。

 このような状況のもとで、我々が反日民族統一戦線運動を積極的に展開しさえすれば、ごく少数の親日派、民族反逆者を除く広範な各階層の大衆は、だれもが積極的に闘争に立ち上がるようになるでしょう。

 したがって我々は、敵の弾圧と虐殺が激化し、警戒網が厳しくはりめぐらされている状況のなかでも巧みな政治活動方法と地下工作方法を身につけ、人民大衆を最後の決戦に決起させるため、積極的にたたかわなければなりません。

 第2に、国内に強力な組織的拠点としての革命基地を設けなければなりません.強盗日本帝国主義者との最後の決戦をくりひろげるためには、朝鮮人民革命軍の主力部隊が依拠して戦える強固な根拠地をもたなければなりません。こうした根拠地なしには、国内の青年で朝鮮人民革命軍の隊列を急速に補充し、かれらを短期間内に訓練させることも、敵に決定的な打撃を加えることもできません。

 国内に革命根拠地を設ける問題は、当面の情勢と敵味方間の力関係からみて十分可能であります。今後、日本帝国主義者はますます孤立し、その勢力をいっそう分散せざるをえなくなり、したがって国内にも多くのすきが生ずるようになるでしょう。我々は、このすきを利用して国内各地の山中に革命根拠地を設け、それに依拠して武装部隊を拡大強化し、大衆的基盤をきずくことができるでしょう。

 革命根拠地を設けるための大衆の土台も非常に良好です。今、国内には、我々が既に組織した地下革命組織だけでなく、日本帝国主義の強制徴兵や徴用を忌避して山中に身をひそめている青年たちが多く、また各地方で青年たちが秘密組織をつくつて武器を獲得し、革命軍が進撃してくればこれに呼応する態勢をととのえています。かれらの中には、既に朝鮮人民革命軍と連係を保っているか、または連係をもつことにつとめ、死線をこえて我々の部隊に訪ねてくる青年も少なくありません。こうした状況のもとで、狼林山脈、太白山脈など国内の深い山中に革命根拠地を設けて朝鮮青年に呼びかけるならば、多くの青年が集まってくるでしょう。既に十余年にわたる抗日武装闘争を通じて育成された人たちを根幹とし、集まってきた青年たちで我々の武装部隊を急速に拡大し訓練して、日本帝国主義との決戦にのぞむならば、ゆうに我々自身の力で日本帝国主義者を祖国の地から駆逐し、祖国解放の大業をなし遂げることができるでしょう。

 我々は、機が熟せば直ちに主力部隊が国内に進軍できるよう準備をととのえなければなりません。主力部隊は国内に進出して、咸鏡北道、咸鏡南道、平安北道、平安南道、江原道、黄海道などの山中を地区別にしめ、既に組織した各地方の指導的中核との連係のもとに、徴兵、徴用を忌避して山中で我々の部隊を探している青年をはじめ、広範な愛国青年を部隊に受け入れ、かれらを武装させ訓練して、決戦に備えなければなりません。

 我々はこのため、あらかじめ地区別の主力部隊や予備部隊を編成しておくべきであり、それに必要な兵器もととのえなければなりません。

 我々には有事の際、国内の革命的人民を武装させる条件が十分備わっています。我々には、これまで敵から奪い取って蓄えた相当な量の武器があり、やがて決戦のときにいたれば、敵の武器を奪ってより多くの人を武装させる十分な可能性があります。したがって急激に拡大する隊列を武装させることは、過去十余年にわたる実戦の経験が示しているように、十分可能なことであります。

 他方、一部の部隊で東満州と南満州に新たな遊撃根拠地を設け、武装闘争をいっそう拡大し、関東軍の兵力を牽制して国内で戦う主力部隊を支援すべきであります。

 我々は既に、自力で祖国を解放することのできる指導的中核をもっています。我々には十余年にわたる苛烈な戦闘とさまざまな状況のもとで、軍事・政治活動をくりひろげてきた豊富な経験と、戦闘技術を身につけた指揮幹部があり、人民と一心同体となって大衆を導くすぐれた指導芸術と革命的活動方法を身につけた政治活動家が育成されています。

 この革命的指導中核は、まさに朝鮮革命の貴重な宝であります。いったん有事の際、この指導的中核を根幹にして全民族を一つの戦闘部隊に編成し、日本帝国主義との決戦にのぞむならば、我々は十分強盗日本帝国主義を打ち倒すことができます。

 第3に、朝鮮人民革命軍のすべての指揮幹部と兵士は、祖国解放の日を迎えるための政治的・軍事的準備をいっそう徹底的にととのえなければなりません。

 革命闘争の勝敗は、それに参加する人々の政治的・思想的準備に大きくかかっており、何よりも闘争を指導する指揮メンバーの政治理論水準と指導芸術に大きくかかっています。いかに情勢が有利で、条件が熟しているにしても、闘争を指導する指揮メンバーが正確な戦略・戦術を身につけておらず、敵味方間の力関係に対する正しい検討に基づく科学的な指導を行わないならば、大衆を勝利に導くことはできません。したがって祖国解放の日を十分な準備のもとに迎えるためには、革命の指揮メンバーである我々が、マルクス・レーニン主義の革命理論で武装し、正しい戦略・戦術と洗練された指導芸術を身につけることが何よりも重要です。これは祖国解放の決戦で勝利を得るためにばかりでなく、日本帝国主義を打倒して祖国を解放した後、新しい祖国を建設するためにも緊急に提起される問題であります。

 我々の任務は、祖国を解放することで終わるのではありません。我々は解放された祖国に人民の国家をうち立て、豊かで強力な自主独立国家を建設しなければなりません。我々が革命理論と国家建設の実践的問題を知らずには、この崇高な任務を成功裏になし遂げることができないでしょう。政治理論水準を高めるためには、朝鮮人民革命軍の構成員たちが、いつにもまして学習を強化しなければなりません。

 すべての指揮幹部と兵士は、何よりもまず朝鮮革命の戦略的・戦術的方針をいっそう深く学習し、祖国の歴史と地理をはじめ、朝鮮の実情を深く研究しなければなりません。

 朝鮮人民革命軍のすべての指揮幹部と兵士はまた、軍事技術水準をいちだんと向上させなければなりません。

 朝鮮人民革命軍の指揮幹部と兵士はすべて、十余年の苦難にみちた遊撃戦争の烈火の中をつきぬけてきた豊かな闘争経験をもっている我々の宝であります。しかし、今後展開される強盗日本帝国主義との決戦は、遊撃戦だけでは解決できません。我々は、近代的軍事技術で装備した強大な日本軍と正面からの決戦を展開しなければなりません。したがって、我々が攻撃作戦、上陸作戦、空挺作戦など近代的なあらゆる戦法の巧みな通用方法をこころえていなければ、日本帝国主義侵略軍と成功裏に戦うことはできません。したがって我々は、既に身につけた豊かな遊撃戦争の経験と近代的軍事技術を組み合わせ、巧みな遊撃戦法と現代戦法を結合して、敵を戦略的、戦術的に庄倒し掃滅しなければなりません。

 そうするためには正規軍の攻撃および防御戦術を研究してこれを十分習得すべきであり、上陸訓練、空挺訓練など現代戦法に熟達するよう、戦術訓練を強化しなければなりません。

 正規の大学でも数年開かけなければ解決できない政治理論学習と、正規の軍官学校での数年分の軍事技術学習課題に匹敵する軍事学習を、短時日のうちに解決するということは、もちろん容易なことではありません。

 しかし、我々はたんに勉強に打ち込む学生なのではなく、血みどろの革命闘争を行っている革命闘士であります。我々が学習を行うのは、たんに自分の資質向上をめざす個人的問題なのではなく、祖国の解放と祖国の将来の運命にかかわる責任ある問題であり、愛する祖国と革命が我々に課した戦闘的課題であります。革命家は革命の要求であれば、いかなることでもなし遂げる強い意志の持主です。我々は革命の要求であれば、いかに困難な環境のなかにあっても自力で立ち上がる革命精神を高度に発揮し、あらゆる難関と試練を乗り越え、勝利に勝利を重ねて前進してきた革命闘士であります。

 現在の指揮幹部たちは、今後、何等級も高い地位で数千数万の将兵を指揮する決心をかためるべきであり、現在の兵士たちは、今後数百数千名を指揮する政治・軍事幹部となるべきことを覚悟しなければなりません。

 みなさんは祖国解放をめざす正義の戦いで犠牲になった戦友たちが、あれほどにも念願していた未来の祖国、人民の国家、将来社会主義・共産主義社会が建設されるその日の祖国のために学ばなければなりません。我々が革命家としての強い気迫と精神をもって革命的に、戦闘的に学習し訓練するならば、いかに困難な理論や技術も、短期間のうちに十分習得することができるでしょう。

 悲運にくれる祖国と人民が我々を待ちこがれており、緊迫した情勢が我々を促しています。こぞって奮起し、緊張して学習し訓練を行うことによって、祖国解放の日を十分な準備のもとに迎えましょう。



 (注1)吏読文字 訓民正音創製以前に漢字の音訓を借りて朝鮮語を表記した文字。

 (注2)訓民正音 朝鮮の音標文字。1444年に公布された。

出典:金日成著作集 1巻

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