金 日 成

白頭山東北部の広い地域で
大部隊旋回作戦を展開するために
安図県両江口での朝鮮人民革命軍軍事・政治幹部会議でおこなった演説 
1939年10月6日

 皆さん!

 我々は、武装闘争を中心とする朝鮮革命全般を新たな高い段階へと発展させるという歴史的な南湖頭会議の方針に従って、この3、4年間、軍事・政治活動で大きな成果を上げました。

 我々は、何よりも、白頭山を中心に満州から国内にわたる広大な地域で数多くの戦闘をおこない、敵に甚大な打撃を与えました。

 朝鮮人民革命軍の各部隊は、南湖頭会議の方針に従って国境一帯へと進出した後、軍事・政治活動をいっそう強化するために白頭山を中心とする広大な地域に根拠地を設置しました。

 白頭山根拠地の設置は、武装闘争の拡大、発展と、わが国の反日民族解放闘争の一大高揚をもたらすうえで画期的な出来事です。

 白頭山根拠地の設置によって、我々は、それを拠点にして軍事・政治活動をさらに能動的に繰り広げ、敵に壊滅的打撃を与えることができました。

 朝鮮人民革命軍部隊の国境一帯への進出と白頭山根拠地の設置にろうばい(狼狽)した日本帝国主義侵略者は、通化に「討伐司令部」を設け、おびただしい数の兵力を投入して朝鮮人民革命軍を「掃滅」しようと狂奔しました。

 我々は、敵の狂気じみた行動に備えて長白と臨江、撫松と濛江一帯を絶えず移動しながら大小数々の戦闘をおこない、そのたびに大きな勝利をおさめました。

 我々は、西間島一帯で連続的に勝利をおさめたことで、朝鮮人民革命軍の威勢を天下にとどろかせ、敵を窮地へと追い込みました。

 朝鮮人民革命軍部隊の積極的な軍事・政治活動は、日本帝国主義侵略者の大陸侵略策動に手痛い打撃を与えました。日本帝国主義者は、大陸侵略の野望を遂げるため、1937年には「7・7事変」を引き起こし、その後に「張鼓峰事件」や「ノモンハン事件」のような強盗さながらの無謀な武装挑発事件を相次いで起こしました。

 我々は、中国人民の民族解放闘争を積極的に支持、声援する一方、無産階級の国家ソ連を武装をもって擁護し、あわせて、モンゴル人民の正義の戦争を支援するため、敵の背後を連続的に衝いて日本帝国主義の大陸侵略の企図を粉砕するのに大きく寄与しました。

 朝鮮人民革命軍部隊は、大規模の国内進攻作戦を通じて、朝鮮に対する日本帝国主義の植民地支配をその根底から揺さぶりました。

 日本帝国主義侵略者は、朝鮮人民革命軍の国内進出を阻むため、「図們会談」を開いて非常対策を講じるかたわら、国境警備陣の強化に狂奔しました。彼らは、鴨緑江と豆満江の流域一帯に大兵力を投入し、警察署や駐在所も大々的に増設して砲台まで築くなど、国境警備の「万全」を期するために狂奔しました。

 朝鮮人民革命軍部隊は、敵が鉄壁と豪語していた国境警備陣を一挙に突破し、普天堡と茂山地区へと進攻して輝かしい勝利をおさめました。

 我々は、大規模な国内進攻作戦を通じて、朝鮮人民革命軍は健在であり、日本帝国主義侵略者とたたかって勝利していることを全世界に示威し、朝鮮に対する日本帝国主義の植民地支配に甚大な打撃を与えました。

 こんにち、朝鮮人民は、朝鮮人民革命軍の国内進出に勇気づけられ、信念を新たにして祖国解放の日を待ち望みながら頑張って生き抜いており、日本帝国主義の植民地支配に反対して勇敢にたたかっています。

 日本帝国主義侵略者は、普天堡と茂山地区の惨敗から、国境警備陣がことのほかもろく、また、従来の「討伐」戦法をもってしては、とても朝鮮人民革命軍の活動を制圧することはできないということを痛感しました。

 歴史的な南湖頭会議の方針を実行する闘争の過程で、我々は革命勢力を著しく拡大、強化しました。

 我々は、武装闘争を拡大し発展させ、朝鮮革命を引き続き高揚させるため、朝鮮人民革命軍隊員を政治的・思想的に軍事技術的にさらにしっかりと準備させる一方、地下革命組織で鍛えられ育成された熱血青年をはじめ、反日の大志を抱いて我々を頼って来た多くの愛国的な青壮年で朝鮮人民革命軍の隊伍を拡大、強化しました。

 我々は、人民革命軍隊伍の急速な拡大に伴い、部隊を再編して新しい師団を組織し、中隊を強化して、部隊内の党組織と反日青年同盟組織の役割を高める措置を取りました。

 このようにして、こんにち、朝鮮人民革命軍は必勝不敗の革命隊伍、朝鮮革命を最後まで責任をもって遂行しうる強力な政治勢力に成長しました。

 1936年5月の祖国光復会の創立は、我々の革命勢力を一段と強化しました。

 我々は、それまでの反日民族統一戦線運動の成果を土台として、東崗会議で労働者、農民をはじめ、各階層の広範な反日愛国勢力を網羅した反日民族統一戦線体である祖国光復会を創立しました。そうすることで、ごく少数の日本の手先を除くすべての愛国勢力をしっかりと結集し、朝鮮革命の大衆的基盤をいっそう強化しました。

 祖国光復会の10大綱領と創立宣言は、無知蒙昧の状態に置かれていた朝鮮同胞に、朝鮮革命の主人は朝鮮人民であり、全朝鮮人民がこぞって立ち上がるとき、祖国解放の歴史的偉業は達成できるという信念を抱かせました。こうして、こんにち、労働者、農民をはじめ、数十万の各階層大衆は祖国光復会のまわりに固く結集して、祖国解放をめざす聖なるたたかいに決起しています。

 現在、国内と中国にいる多くの熱血青年は、反日抗戦に身を投じる断固たる決意を抱いて朝鮮人民革命軍に参集しており、愛国の情に燃える人民は、我々の抗日武装闘争を物心両面から積極的に支持、声援しています。

 抗日武装闘争を拡大し発展させる過程で、人民革命軍党委員会の役割は向上し、その傘下の各級党組織も拡大、強化され、また、たたかいのなかで鍛えられた信頼できる中核分子を党組織に広く受け入れることで、わが国におけるマルクス・レーニン主義党創立の基礎はいっそう強固なものとなり、朝鮮革命を朝鮮人自身が責任をもって遂行できる強力な革命の陣容が整いました。

 我々はまた、白頭山根拠地を広い地域へと広げていきました。

 我々は、抗日武装闘争発展の要請と白頭山一帯の住民の状況、自然地理的条件などを十分に考慮したうえで、白頭山根拠地が白頭山を中心に長白県から撫松、濛江、安図県にわたる広い地域を包括するようにし、各地にさまざまな形態の密営を設け、それを拠点にして党組織と祖国光復会、その他の革命組織を拡大し、そのまわりに数多くの愛国的人民を結集させました。今年の春の祖国進軍作戦以後には、烏口江流域一帯の各地に多くの宿営が設けられた結果、安図や和竜をはじめ、白頭山東北部の広大な地域にも我々の強固な革命基地が築かれるようになりました。

 我々がおさめたこれらの成果は、民族の独立と尊厳のために立ち上がった人民のたたかいは、いかなる力をもってしても押しとどめることはできないことを如実に示しています。

 朝鮮人民革命軍の軍事・政治活動によって窮地に陥り、ろうばいした日本帝国主義侵略者は、朝鮮人民革命軍に対する「討伐」作戦を再検討せざるを得なくなりました。

 朝鮮人民革命軍によって相次いで取り返しのつかない惨敗を喫した日本帝国主義侵略者は、満州を安定した戦略的後方にしない限り、その侵略的野望の実現は不可能と見て、最近は朝鮮人民革命軍に対して、かつてない大規模の悪辣な「討伐」作戦を展開しています。特に、我々主力部隊の戦闘活動を阻止、弱体化させようと血眼になっており、「討伐」のほこ先を朝鮮人民革命軍司令部に向けています。

 日本帝国主義侵略者は最近、「東南部治安粛正特別工作」の美名のもとに悪辣な「討伐」攻勢を企図して吉林に関東軍司令官直属の「討伐司令部」を新設し、その傘下に関東軍と「満州国」軍はもとより、警察隊と鉄道警備隊など、さまざまな武装部隊も含め実に20余万の大兵力を集結させました。そして、さまざまな名称の「討伐隊」を組織して担当する「討伐地区」を定め、それぞれの地区における一切の権限を与えて革命勢力を弾圧、掃討するあらゆる蛮行を働かせています。

 日本帝国主義侵略者は「大討伐」の機動性を保障するため、白頭山周辺の軍事上の要所を結ぶ軍用道路と通信施設を補修、新設、拡張し、その警備を一段と厳重にしています。そのうえ、朝鮮国内の兵力まで出動させる準備も進めています。

 日本帝国主義侵略者は、朝鮮人民革命軍の「掃滅」を図って、膨大な兵力を投入する一方、「討伐」の方法も変えました。

 我々が、白頭山根拠地を足場にして朝鮮革命全般を指導し、状況に応じて、この密営、あの密営と絶えず遊動しながら出没自在に行動しているのを探知した敵は、密営を中心とする白頭山根拠地を「討伐」の重要な目標としています。

 こうして敵は、方々駆けずり回って、人民革命軍部隊の密営を探し出しては、やたらに放火し破壊しています。敵は、白頭山根拠地を一掃するために狂奔するかたわら、朝鮮人民革命軍各部隊を包囲、掃滅しようと飛行機まで動員するなど、白頭山東北部の広大な地域で大々的な捜索作戦を展開しています。

 日本帝国主義侵略者は、大規模な軍事作戦を企図する一方、人民革命軍を内部から切り崩そうとあらゆる術策を弄しています。彼らは、我々、朝鮮人民革命軍の武力を“滄海の一粟”だのなんだのと中傷し、侮辱するビラや各種宣伝文をまき散らし、至るところに密偵を送り込んでいます。さらには、朝鮮人民革命軍を「帰順」させるために革命軍隊員の家族や親類まで強制的に駆り出すなど、悪辣な手段を用いています。

 そればかりでなく、朝鮮人民革命軍と人民とのつながりを断ち切ろうと躍起になっています。彼らは、人民のあいだで朝鮮人民革命軍を誹謗中傷する悪宣伝を盛んに繰り広げる一方、集団部落の出入りを厳しく取り締まって人民が外出も自由にできないようにし、米や塩、布地、マッチなど生活必需品の統制を一段と強化しています。

 皆さん!

 日本帝国主義侵略者のかつてない大規模の悪辣な「討伐」作戦は、滅亡に瀕した者の最後のあがきにほかなりません。

 我々は、この「討伐」作戦に対応して、より大胆かつ巧みな戦闘行動へ移行することで革命の旗を最後まで守り、祖国解放の日を早めなければなりません。

 我々は、日本帝国主義侵略者の新たな「討伐」作戦を粉砕するため、白頭山東北部の広大な地域で大部隊旋回作戦をおこなわなければなりません。

 大部隊旋回作戦は、主に密営を中心にして軍事・政治活動を展開していた従来の作戦とは異なり、大部隊で広い地域を絶えず移動しながら敵を叩く作戦です。言いかえれば、広い地域を絶えず遊動しながら、一行千里の戦術や陽動戦術などの戦法を用いて敵に不意打ちを食らわせたり、すばやく姿をくらましたりしながら、敵を掃滅し弱体化する作戦です。

 我々は、大部隊旋回作戦を通じて敵により大きな打撃を与え、大規模な「討伐」の企図を完全に破綻させて、朝鮮人民革命軍をいっそう強化すべきです。同時に、東満州の広い地域で党組織と祖国光復会をはじめ、各革命組織を拡大し、人民に祖国解放の希望を与えるべきです。

 我々は、大部隊旋回作戦の活動範囲を、和竜、安図、敦化など白頭山東北部の広い地域に定めました。

 これらの地域は、1930年代前半に我々が遊撃根拠地を設置して武装闘争を展開したところであり、大衆的基盤がよく、地形的条件にも恵まれています。それに祖国の地と隣接しているため、国内の人民に革命的影響を強く与え、革命組織の指導を円滑に保障しうる有利な条件を備えています。さらに、この地域には、日本帝国主義の大陸侵略の重要補給路があるため、ここで軍事・政治活動を強化することは、大陸侵略戦争の拡大を図る敵にとつては大きな打撃となります。

 大部隊旋回作戦へ移行する方針は、我々の抗日武装闘争を引き続き力強く発展させる積極的な方針です。

 大部隊旋回作戦を展開すれば、敵のかつてない大規模な「討伐」を主動的に撃破して抗日武装闘争の成果を強固にし、それを白頭山東北部の広い地域へと拡大することができます。

 もし、我々が大部隊旋回作戦へ移行せず、従来と同じ方針で活動するならば、敵の「討伐」戦術にはまる恐れがあります。敵は、白頭山一帯の広い地域を地区別に分担して朝鮮人民革命軍が活動しそうなところをくまなく捜索し、大部隊で革命軍を包囲し「掃滅」しようと企図しています。

 我々が、敵の新たな戦術に対処して行軍路を遠く定め、敵が思いも及ばない新たな地区へと遊動を続けながら、不意に現れては敵に痛撃を与え、すばやく姿をくらます戦術を採用するならば、敵は完全に守勢に陥って各所に分散、配置した「討伐」兵力の集結にきゅうきゅうとし、人民革命軍部隊の行方を捜すために方々をさ迷うことになるでしょう。

 このように敵を混乱に陥れば、政治工作員や祖国光復会をはじめ、地下革命組織の活動にとって有利な状況となり、白頭山一帯の広い地域で革命の火の手をますます盛んに上げることができます。

 広い地域で大部隊旋回作戦を展開するためには、敵の弱みを巧みに利用して主導権を確実に握らなければなりません。「討伐隊」は、日本侵略軍、「満州国」軍、警察隊などのさまざまな武装部隊でごく最近に編成された混成部隊であるため、いまのところ一つの統一的な指揮体系によって動くほどには組織化されておらず、しかも、山岳戦にも慣れていません。

 我々は、敵のこの弱点を巧みに利用して、戦闘行動で常に主導権をしっかりと握るべきです。敵が人民革命軍を包囲しようと押し寄せてくるときは、大胆に敵の弱点を衝いてその場をすばやく去り、敵が思いもつかない地点に迅速に移動してほかの敵を討つべきです。

 こうした主動的な戦闘活動を展開する一万、時間を稼いで訓練もし学習もしながら力を蓄えて、再び敵の背後を衝くべきです。そのようにして、常に敵を受身と守勢に追い込まなければなりません。

 戦闘行動で主導権をしっかりと握るためには、指揮官がいろいろな戦法に精通していなければなりません。指揮官は、これまでの闘争過程で創造された戦法を深く研究、習得し、いかなる状況にあっても巧みに部隊を指揮する能力を培うことが重要です。

 同時に、戦闘行動で無謀な挙に出たり、または、消極的に行動するようなことがあってはなりません。我々は、敵を過小評価してむやみに戦闘を交えてもならないし、反対に、敵を過大評価して十分勝ち目のある戦闘まで避けようとしてはなりません。戦闘行動における無謀な冒険や消極的な行動は、いずれも遊撃戦の要求に合わないばかりか、敵とのたたかいで主導権を掌握できなくさせる極めて有害な傾向です。

 戦闘行動で主導権をしっかりと握るためには、また、「速戦即決」の戦法を採用することが重要です。我々は、これから、四方八方から襲いかかる敵とたたかいながら、広い地域を遊動しなければなりません。もし、我々が敵の奸計にかかって一カ所に長時間とどまるようなことにでもなれば、敵の包囲陣を突破できず、取り返しのつかない惨敗を被りかねません。我々はいかなる状況下でも、いったん始めた戦闘は、敵に手を打つ余裕を与えず一挙に決着をつけなければなりません。

 我々は、革命組織と広範な人民大衆の支持、声援のもとで大部隊旋回作戦をおこなわなければなりません。

 情勢が厳しく、戦闘状況が不利であればあるほど、人民大衆の積極的な支持、声援を得てこそ勝利できるのだということを肝に銘じ、これまでと同様、今後も人民大衆と一心同体となって、彼らの支持、声援を受けながら大部隊旋回作戦を進めるべきです。そのためには、人民大衆のあいだで政治活動を積極的におこなわなければなりません。

 軍事活動とあわせて政治活動を活発に展開して朝鮮人民革命軍の不敗の威力を誇示し、広範な人民に、朝鮮人民革命軍こそが祖国の解放を達成できる強力な朝鮮の軍隊、人民の軍隊であることをしっかりと認識させなければなりません。同時に、有能な政治工作員を各地に派遣して、より多くの人民を階級的に目覚めさせ、革命組織に固く結集させるようにすべきです。

 我々は、すべての兵士が常に人民を肉親のように愛し大切にし、人民の生命、財産にいささかの被害も与えないよう、戦闘行動と生活を周到におこなわなければなりません。

 大部隊旋回作戦を成功裏におこなうためには、指揮官の役割を高めなければなりません。

 周知のように、戦闘で勝利するためには、指揮官がその役割を立派に果たさなければなりません。特に、今回、我々がおこなう大部隊旋回作戦のような重大な任務を遂行するにあたっては、指揮官の位置は非常に重要です。指揮官がその使命を全うしたときにのみ司令部の意図は確実に実現され、大部隊旋回作戦を遂行する過程でありうるさまざまな複雑な状況を適切に処理することができるのです。

 すべての指揮官は、大部隊旋回作戦における自己の重要な位置を深く自覚し、指揮官としての本分を尽くすために大いに努力しなければなりません。

 指揮官は、常に、司令部の命令と指示を深く研究し把握しなければなりません。司令部の命令と指示は、人民革命軍部隊の行動の指針です。したがって、すべての指揮官は、司令部の命令、指示を深く研究し、司令部の意図を正確に把握し、それを実行するための正しい方法と対策を講じなければなりません。

 指揮官は、また、革命情勢の推移に明るくなければなりません。目下の革命情勢は、日本帝国主義の狂暴な行動によって緊迫化しており、日一日と変化しています。指揮官が情勢に疎ければ、隊員を正しく教育することも、課された革命任務を円滑に遂行することもできません。すべての指揮官は、情勢の変化に関心をもって隊内出版物を深く学習し、敵からろ獲した新聞、雑誌も日ごろからよく読むようにして参考にしなければなりません。そうすることで、常に情勢の推移を見極め、戦闘行動や生活もそれに合わせておこなうべきです。

 差し当たって、我々は、大部隊旋回作戦を成功裏におこなう準備に力を入れなければなりません。

 まず、朝鮮人民革命軍隊員を政治的・思想的に、軍事技術的にしっかりと準備させるべきです。

 隊員たちに、大部隊旋回作戦が、我々朝鮮人民革命軍と決着をつけようと狂奔する敵の大々的な「討伐」を撃破して、朝鮮人民革命軍の不敗の威勢をいま一度天下にとどろかせ、また、日本帝国主義の暴圧で打ちひしがれた朝鮮人民に祖国解放の希望を与えるうえで極めて重要だということを、はっきり認識させるべきです。同時に、すべての隊員を、あらゆる困難にうちかつ革命精神で武装させるべきです。大部隊旋回作戦は、以前よりも一段と狡猾で悪辣になった敵の「討伐」作戦を粉砕する戦闘であり、敵のスパイや破壊・謀略分子の策動が激しいなかでおこなわれる困難な闘争です。また、大部隊で広大な地域を絶えず遊動しながらおこなう作戦であるため、この過程では予測もつかない幾多の障害や難関にぶつかることもあり得ます。

 各部隊内の党組織と反日青年同盟組織は、現情勢と革命任務の要求に即して、すべての隊員を、万難を排して革命の旗を最後まで守り抜く革命精神で武装させることに重点を置いて政治学習をおこなうべきです。また、困難にあえば、それだけますます革命的同志愛を発揚し、不屈の革命精神を発揮するよう教育すべきです。ことに、敵の政治的・思想的攻勢が強まっている現状では、隊員をいかなる逆境にあっても動揺せず、革命的志操を固く守る心構えをさせることが大切です。

 我々は、多難な戦闘行動を控えて、隊員を軍事技術的にしっかりと準備させるべきです。特に、戦闘経験の浅い新入隊員に射撃術をよく教え、種々の戦闘経験を聞かせてやるべきです。

 我々は、すべての隊員を政治的・思想的に、軍事技術的にしっかりと準備させるため、近いうちに集中軍事・政治学習をおこなわなければなりません。

 大部隊旋回作戦を成功裏におこなうためには、政治的・軍事的準備とともに、物質的準備を十分に整えなければなりません。

 我々は、既に、食糧と衣類などの給養物資をある程度、備蓄しておきました。しかし、敵の悪辣な「大討伐」作戦を粉砕し、大部隊が広い地域を遊動しながら機動戦を展開するためには、物資の準備にさらに力を入れなければなりません。給養係は、今度の作戦で物資の準備がいかに重要であるかをよく認識して、衣食などの給養物資を十分に調達し、それを前もって秘密コースの地中に埋めておかなければなりません。そうすることで、広大な地域で大部隊による旋回作戦を展開する我々の部隊の活動に支障が生じないようにすべきです。

 私は、皆さんが日本帝国主義侵略者の「大討伐」活動を粉砕して祖国解放の日を早めるため、大部隊旋回作戦方針を確実に実行するものと確信します。
                                                
出典:『金日成全集』1巻

<注釈>−“滄海の一粟” そうかい‐の‐いちぞく 広大なもののなかの極めて小さいもの。広辞苑第6版より引用。


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