金 日 成

国内の革命組織に課されている任務について
茂山郡三長面三河洞国師峰での地下革命組織
責任者および政治工作員会議でおこなった演説 
1939年6月18日

 きょう、我々が祖国の地で地下革命組織責任者と政治工作員の会合を開き、日本帝国主義とのたたかいをいっそう拡大、発展させる対策を協議することは、祖国解放の歴史的偉業の達成を早めるうえで大きな意義をもちます。

 これまで地下革命組織の構成員と政治工作員は、反日民族統一戦線路線に従って国内に多くの革命組織をつくり、そのまわりに各階層の広範な大衆を結集させました。

 皆さんは、そのあいだ、あらゆる難関を克服し、日本帝国主義に反対する各階層の大衆を祖国光復会の組織をはじめ、さまざまな革命組織に結集させ、反日民族統一戦線運動を一段と拡大、発展させ、人民をさまざまな形態の反日闘争に立ち上がらせました。また、敵の情報や食糧、布地、履き物、医薬品など多くの物資を朝鮮人民革命軍に送って、抗日武装闘争の展開に大いに貢献しました。

 私は、日本帝国主義の厳しい警戒と弾圧のもとでも屈することなく、祖国の解放をめざして粘り強くたたかっている国内の地下革命組織構成員と政治工作員を高く評価します。

 皆さん!

 こんにち、朝鮮革命は、上昇の一途をたどって力強く前進しています。

 朝鮮人民革命軍部隊は、昨年の冬、南牌子から国境一帯への苦難に満ちた行軍を成功裏におこない、鴨緑江沿岸の国境一帯で積極的に反撃戦を繰り広げて敵に続けざまに打撃を加え、また、この5月には、再び大部隊で国内に進出して、茂山地区の敵を強襲し、白頭山東北部と豆満江沿岸一帯へ闘争の舞台を広げることで、朝鮮人民革命軍の不敗の威力を誇示し、人民に必勝の信念を与えました。

 朝鮮人民革命軍の戦果に励まされた国内の革命組織構成員と人民は、各地で日本帝国主義に抵抗してさらに強くたたかっています。

 反日闘争の火の手がますます広がることに危惧と不安の念に駆られた日本帝国主義は、血眼になってこの気勢をそごうとしています。

 特に、朝鮮人民革命軍の相次ぐ大規模の国内進攻作戦と白頭山東北部における果敢な軍事・政治活動に恐れをなした日本帝国主義は、おびただしい数の兵力を動員して朝鮮人民革命軍への「討伐」攻勢を一段と強めており、さらに、軍隊と警察を大々的に増強して鴨緑江と豆満江の沿岸一帯に敷いている国境警備陣の拡充に懸命になっています。

 そればかりでなく、拡大する中日戦争を「速戦即決」しようとする野望のもとに、朝鮮におけるさ細な反日的要素をも過酷に弾圧し、経済的略奪をいっそう強化しています。

 当面の諸般の情勢は、日本帝国主義の狂気じみた策動を粉砕し、朝鮮革命を引き続き高揚させ、より積極的な措置を取ることを切実に求めています。

 この新たな情勢の要求に即して朝鮮革命を高揚させるうえで肝要なことは、豆満江沿岸の北部朝鮮一帯を革命闘争の堅固なとりで、強力な基地にすることです。

 北部朝鮮一帯を強固な革命基地にすることは、我々の主力部隊が白頭山西南部と鴨緑江沿岸一帯を掌握し、それにもとづいて豆満江沿岸の白頭山東北部へ闘争の舞台を広げていくうえでいっそう差し迫った問題となっています。

 北部朝鮮一帯を革命の強固な基地にするうえで、茂山、延社地区が重要な位置にあります。この地域は、白頭山地区や咸鏡山脈、赴戦嶺山脈などと険しい山並みでつながっているため、朝鮮人民革命軍の小部隊や政治工作員が国内各地と白頭山一帯を行き来しながら積極的な政治・軍事活動を展開するのに有利です。特に、清津、咸興などの産業地帯と山続きになっており、国内の革命組織の指導にも好都合です。

 したがって、この茂山、延社地区の天険の要害とも言える原生林地帯に秘密拠点を設けることは、新たな情勢の要請に即して、朝鮮人民革命軍の政治・軍事活動を国内深くへと拡大し発展させるうえで極めて重要な意義をもちます。

 茂山、延社地区をはじめ、北部朝鮮一帯を革命の強固な基地にするためには何よりも、革命組織を拡大、強化するために奮闘努力する必要があります。

 茂山、延社地区において祖国光復会をはじめ、革命組織を拡大、強化することは、北部朝鮮の産業地帯や豆満江流域の農村で鍛えられた大衆を広範に結集して反日反戦闘争を拡大し発展させるうえで重要な問題です。それゆえ、我々は、これまでの成果を踏まえて、より積極的で周到な組織・政治活動を展開し、この地域の革命組織を拡大、強化しなければなりません。

 我々は、既成の祖国光復会の支会や分会を中心にして、まず、西頭水と延面水流域の伐採場や流筏場、水力発電所工事現場の労働者と、茂山、延社地区の農民のあいだで祖国光復会やその他の革命組織を拡大するために極力尽力すべきです。

 西頭水と延面水の流域は、早くから日本帝国主義の森林資源略奪の主な対象地となっており、そこの伐採場と水力発電所工事現場では、徴発された数多くの労働者が苦役を強いられています。したがって、彼らのなかに深く入って政治的に目覚めさせ、革命組織に結集させるため積極的に活動すべきです。

 革命組織が拡大、強化される過程はとりもなおさず、その組織構成員が政治的、思想的に成長する過程であり、それを通じて種々の闘争経験を積んだ中核分子が育成されていくのです。

 我々は、政治工作に明るい組織構成員を国内各地に派遣して破壊された革命組織を立て直し、新しい組織もつくり、それを次第に国内深くへと拡大する方向に進んでいかなければなりません。

 革命組織を拡大、強化するうえで重要な問題は、大衆を多く獲得することです。

 皆さんは一人でも多くの大衆を獲得するため、祖国光復会10大綱領や「3・1月刊」などの革命的出版物と、朝鮮人民革命軍の戦果に関する資料をもって各階層の大衆のなかに深く入り、彼らの意識水準や地方ごとの実情に応じて、さまざまな形式と方法でそれをわかりやすく説明し、宣伝もする大衆政治工作を活発に展開すべきです。

 祖国光復会をはじめ、各革命組織の拡大、強化に伴い、その指導体系を確立する必要があります。

 革命組織に対する整然とした指導体系が確立されたときにのみ、既成の祖国光復会やその他の革命組織を一致して動く戦闘的な組織にすることができ、今後、新たな地域に拡大される革命組織に対する指導も円滑におこなうことができるのです。

 革命組織に対する指導体系を打ち立てるためには、祖国光復会の支会や分会を指導する地区別組織を早急につくらなければなりません。

 革命組織に対する指導体系を打ち立てるうえで肝要なことは、党組織を拡大し強化することです。

 祖国光復会をはじめ、各革命組織の積極的な活動を支援し、それに対する党の指導を保障するためには、準備が整い次第党組織をつくり、積極的に拡大し強化しなければなりません。

 我々は国内各地に党細胞、党グループをつくらなければなりませんが、差し当たって北部朝鮮の重要産業地帯と農村、漁村から始めるべきです。同時に、各地で個別に活動している共産主義者を結束し、日本帝国主義との実践闘争を通じて新しい共産主義者を絶えず育て上げ、党創立の組織的・思想的基礎を強固に築いていかなければなりません。

 我々は、組織内にセクト主義的ないし異質的ないかなる要素も入り込む余地を与えてはならず、党組織や各革命組織を団結した戦闘的な組織にしなければなりません。

 革命組織を保護するための周到な対策を立てるべきです。

 敵の警戒が厳しく、革命組織への弾圧が強まっている現情勢は、祖国光復会をはじめ、各革命組織を保護するためにしっかりした対策を立てなくては、革命組織を成功裏に拡大し強化することはできないことを示しています。

 祖国光復会をはじめ、各革命組織は秘密裏に活動しなければならないのですから、皆さんは、組織構成員の選抜を厳格にし、不純分子や異分子が組織内に潜り込めないようにすべきです。

 組織の活動においては、合法的条件と可能性を最大限に利用して徹底的に擬装し、すべての組織構成員が組織の秘密を命よりも大切にすることが重要です。

 組織の構成員は、できれば敵の下部末端機関に入って活動しながら、そこの服務者を味方に引き入れ、革命組織に対する敵の弾圧企図を事前に探知して、組織を主動的に保護すべきです。

 次に、人民大衆が抗日武装闘争に呼応してさまざまな形態の反日闘争に立ち上がるよう導いていかなければなりません。

 革命組織は、労働者、農民をはじめ、勤労者大衆の反日闘争を、その生活上の要求を解決する低い形態の闘争から、徐々に日本帝国主義の植民地支配体制を覆す高い形態の政治闘争へと引き上げ、合法闘争と非合法闘争を密接に結びつけて展開すべきです。

 差し当たり、北部朝鮮一帯の革命組織は、侵略戦争の拡大と軍需工業の急速な拡張のために日本帝国主義が進めている西頭水水力発電所工事を遅延、破綻させ、さらに、森林資源略奪と白茂線鉄道敷設工事に反対するたたかいを力強く展開すべきです。

 生産遊撃隊をいっそう強化すべきです。

 革命組織は、政治的に鍛えられた壮健な青年で生産遊撃隊を拡大し、彼らを武装させるために奮闘すべきです。そうして、革命組織を武装をもって保護し、いったん朝鮮人民革命軍が国内に進攻する場合には、それに呼応できる準備を整えていなければなりません。

 革命組織は、朝鮮人民革命軍を支援する活動を各方面にわたって展開すべきです。

 皆さんも承知のように、国家的後方や正規武力の支援もなしに困難な状況下で強大な日本帝国主義とたたかう朝鮮人民革命軍を極力支持、支援することは、祖国解放の歴史的偉業の達成を早めるうえで切実な要求となっています。

 魚が水を離れては生きていけないのと同様、遊撃隊は人民を離れては生きることも、日本帝国主義とのたたかいで勝利することもできません。朝鮮人民革命軍が至るところで勝利しているのは、人民から物心両面の積極的な支持と支援を受けているからです。

 日本帝国主義者の監視と弾圧がかつてなく強まり、政治工作員も武装グループの後ろ楯がなければ活動しにくくなったこんにちの現状は、朝鮮人民革命軍への支援を各方面にわたっていっそう強化することを求めています。

 敵は、朝鮮人民革命軍と人民との緊密なつながりを断ち切るためには方法や手段を選びません。彼らは、国境沿線一帯で住民への検問と検査を悪辣に強行し、革命組織への支援活動を阻むために生活必需品の統制と取り締まりを強化しています。

 特に、昨年11月に「経済警察」制度を設けてからは生活必需品の統制と取り締まりを一段と強化しており、「経済査察」の名のもとで都市と農村、住民家屋を回りながら物資を手当たり次第に押収し、気に染まない人たちをむやみに逮捕し処刑しています。

 皆さんは、このように朝鮮人民に対する敵の監視と弾圧がかつてなく厳しくなった状況下で、朝鮮人民革命軍を積極的に支援するために全力を尽くさなければなりません。

 そのためには、広範な人民のあいだで政治活動を活発におこない、朝鮮人民革命軍を心から支持、支援するときにのみ、日本帝国主義を打ち倒して祖国の解放を一日も早くなし遂げることができるという確固たる信念を抱かせるべきです。

 皆さんは、組織の構成員と広範な大衆が食糧、衣類、医薬品など朝鮮人民革命軍の軍事行動と日常生活に必要ないろいろな給養物資を誠意を尽くして準備し、朝鮮人民革命軍に送るよう努めるべきです。

 朝鮮人民革命軍への支援活動やその他の実践活動を通じて検討された、階級的自覚が高く革命性の強い優秀な青壮年を選抜して朝鮮人民革命軍に入隊もさせ、また、敵情も偵察して、そのつど朝鮮人民革命軍に通報すべきです。

 皆さんは、その一歩一歩が危険を伴い、さ細な不注意も重大な悪結果を招きかねない困難な状況のなかで活動するだけに、並々ならぬ決意をもち、場合によっては犠牲をも覚悟しなければなりません。

 私は、現在の困難な状況下で国内で活動している皆さんが、朝鮮革命発展の要請に即して広範な大衆を革命組織にしっかりと結集させて、祖国解放の聖なるたたかいへと力強く立ち上がらせるであろうと信じてやみません。
                                                
出典:『金日成全集』1巻

<注釈>−「3・1月刊」 金日成主席によって1936年12月に創刊された祖国光復会の機関誌。表題の「3・1」は、1919年3月1日に起こった反日人民蜂起にちなんでいる。


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