金 日 成

国内における革命闘争をいっそう高揚させるために
新興那加平面豊上里蓼畑山での朝鮮人民革命軍
政治工作員および地下革命組織責任者会議でおこなった演説 
1937年9月25日

 皆さん!

 中日戦争によって醸成された情勢は、国内における反日闘争をいっそう力強く展開することを求めています。

 この7月、「蘆溝橋事件」をでっち上げて中国大陸に対して侵略戦争を引き起こした日本帝国主義者は、「速戦即決」して全中国を占領しようと必死になって戦線を拡大しています。

 日本帝国主義者は、「東亜の平和のために」中国を「膺懲」するという偽善的な看板を掲げ、「挙国一致」だの「国民精神総動員」だのといって人民を中国大陸への侵略戦争に駆り立てています。彼らは、大陸侵略戦争の費用を補うために前代未聞の略奪的な悪法まで新たに制定しました。

 日本帝国主義者は、「後方の安全」を云々して朝鮮人民革命軍に対する「討伐」を強め、朝鮮人民の反日闘争を過酷に弾圧する一方、日増しに増大する戦争の需要を満たすために、わが国の人的、物的資源をことごとく略奪しています。

 日本帝国主義者は、「速戦即決」の戦略で全中国を一挙に攻め取るかのように虚勢を張っていますが、惨敗は免れません。

 いま、中国人民は、中国共産党の指導のもと、民族あげての反日抗戦に決起しており、ソ連人民をはじめ、世界の反ファッショ平和愛好人民は、中国に対する日本帝国主義の武力侵攻を糾弾し、中国人民の反日抗戦を支持、声援しています。日本帝国主義者は、自国内でも戦争に反対する人民の抵抗に直面しています。

 中日戦争を引き起こした日本帝国主義は、日を追ってますます広範な反日勢力の抵抗を受けるであろうし、これは、日本帝国主義の敗北を促進させ、我々の祖国解放の偉業に有利な状況をもたらすことでしょう。

 我々は、現情勢の要求に即して、国内における革命闘争をさらに高揚させなければなりません。

 そのためには、各地に革命組織を設けて拡大しなければなりません。

 これは、我々の革命隊伍を強化し、敵を孤立、弱体化させる重要な条件です。

 まず、興南(フンナム)や咸興(ハムフン)、元山など軍需工場の集中している東海岸一帯に革命組織を設けて拡大することに力を入れなければなりません。

 東海岸一帯は、抗日武装闘争を国内に深く拡大し、朝鮮革命全般を高揚させるうえで戦略的意義をもつ重要な地域です。この地域を掌握する目的は、土地や工場を獲得するためではなく、労働者を獲得して組織に結束させることにあります。この地域の労働者の政治意識を高め、革命組織に結束すれば、彼らに頼って日本帝国主義の軍需生産を遅延、混乱させ、敵の背後を撹乱することができるし、また、祖国解放の決定的な時機に、朝鮮人民革命軍がこの地域を掌握して日本帝国主義侵略者にせん滅的打撃を加える有利な状況をつくることもできます。

 政治工作員と地下革命組織の責任者は、地域的特性と大衆の政治意識水準に応じて革命組織を設け、拡大しなければなりません。

 革命組織を設けて拡大するうえで重要なのは、党組織をつくることです。

 国内に党組織を建設するうえで重要なのは、これまでの事大主義的、教条主義的偏向を克服し、その地域の具体的実情に即して党組織をつくることです。中核分子が整っているところでは、ためらわずに党組織を先につくり、そうでないところでは祖国光復会やその他の大衆団体を先に組織し、それを通じて中核分子を育てた後に党組織を設けるべきです。そして、党組織の拡大に伴って地区党委員会のような地域的指導機関を組織し、すべての党組織が朝鮮人民革命軍党委員会の指導のもとに活動する党組織指導体系を確立しなければなりません。

 政治工作員と地下革命組織の責任者は、労働者、農民、青年学生、知識人、愛国的な企業家、商人、宗教家のなかに深く入り、彼らを教導して味方につけ、革命組織に固く結束させなければなりません。祖国光復会をはじめ、既存の反日団体を組織的、思想的にいっそう強化し、まだ反日大衆団体が組織されていないところでは、いまから組織しなければなりません。朝鮮人民としての民族的良心を捨てずに反日感情をもっている人であれば、だれかれを問わず大胆に信頼して包容し、革命的影響を与えて反日大衆団体に受け入れるべきです。

 労働組合と農民組合を革命的な大衆組織に拡大、強化することは、国内に革命組織を建設するうえで重要な問題の一つです。労働組合と農民組合は、我々がよりどころとすべき基本階級である労働者、農民を網羅する大衆組織です。こんにち、広範な労働者、農民を革命的な労働組合と農民組合に受け入れることは、反日大衆を組織的に結束するうえで重要な意義をもちます。

 わが国において労働組合と農民組合は、ロシアの10月社会主義革命の影響のもとにマルクス・レーニン主義が普及し、労働者階級が闘争の舞台に積極的に進出し始めていた1920年代に生まれました。しかし、正しい指導が受けられず、さらに上層部に居座っていた派閥分子の権力争いと日本帝国主義の過酷な弾圧によって、幾多の艱難と紆余曲折を経ざるを得ませんでした。労働組合や農民組合の指導的ポストを占めていた人たちは、なんらの指導理論も戦略戦術もなしに、ただ功名心にとらわれて労働者、農民を無謀な闘争に駆り立てました。その結果、数多くの中核分子と組織の構成員が露見して検挙、投獄され、組織は破壊されました。

 我々は、かねてから政治工作員を国内各地に派遣して労働組合と農民組合を革命的な大衆組織に改造するための活動を推し進めてきました。こうして、少なからぬ労働組合と農民組合は、革命的な大衆組織に変わりました。しかし、いまだに革命的な大衆組織に改造されていない組合もあれば、敵の厳しい弾圧によって破壊された組合も少なくありません。

 政治工作員と地下革命組織の責任者は、労働組合と農民組合の指導構成員をしっかりと固め、彼らの役割を高めるようにしなければなりません。そして、労働者、農民のうち、人望が厚く、実践活動を通じて検討された信頼できる中核分子を大衆組織の指導構成員に起用すべきです。

 労働組合と農民組合の指導構成員を固めるためにはまず、その下部組織の指導構成員から先にしっかりと固めなければなりません。そのようにして、彼らが労働組合と農民組合を革命的な組織に強化し発展させ、隊伍の思想的・意志的統一と団結を強固にするうえで大きな役割を果たすよう導いていかなければなりません。

 革命的な大衆組織に改造されていない労働組合と農民組合を、革命的な大衆組織に改造する活動を引き続き推し進めていかなければなりません。同時に、敵の弾圧によって破壊された労働組合と農民組合を立て直して再編し、組織内に規律と秩序を確立しなければなりません。

 革命的な労働組合と農民組合を絶えず拡大していかなければなりません。労働組合と農民組合が組織されていないところでは、新たに組織し、鍛えられた労働者、農民を受け入れるべきです。こうして、広範な労働者や農民が組織に参加し、日本帝国主義を打倒して祖国の解放をなし遂げる闘争に積極的に立ち上がるよう導いていかなければなりません。

 労働組合と農民組合に対する指導体制を整然と構築すべきです。労働組合と農民組合が、政治工作員と常に連係を保って活動し、組合内に党組織を設け、その役割を高めることで、労働組合と農民組合が我々の自主的な路線と方針に従って動くようにしていかなければなりません。

 政治工作員と地下革命組織の責任者は、労働組合と農民組合が、労働者、農民のあいだに根をおろし、広範な大衆を目覚めさせて組織に結束させる一方、彼らを反日闘争へと積極的に立ち上がらせて、実践闘争のなかで組織を絶えず拡大、強化するよう導いていかなければなりません。

 国内で反日抗戦を果敢に展開しなければなりません。これは、日本帝国主義の大陸侵略に打撃を与え、祖国の解放を早めるうえで重要な意義をもちます。我々は、先に、中日戦争に対処して、全朝鮮人民に人民革命軍の積極的な敵背撹乱作戦に呼応して全人民的な反日抗戦に決起するようアピールしました。

 政治工作員と地下革命組織の責任者は、各階層の大衆のなかに深く入って目下の情勢と朝鮮革命の発展の見通しを知らせ、また、アピールの内容と人民革命軍の闘争についても広く宣伝して、彼らが勝利の確信をもって反日抗戦に立ち上がるよう導くべきです。そうすることで、国内各地でストライキやサボタージュなどのさまざまな形態の反日闘争を果敢に展開するようにしなければなりません。特に、軍需産業の労働者が、軍需生産を遅延、破綻させ、産業施設を破壊し、農民が軍糧の調達に反対するなどの闘争を絶えず展開するようにしていかなければなりません。

 国内で活動している朝鮮人民革命軍小部隊と革命組織は、日本帝国主義者の軍需倉庫や軍用道路、橋梁、港湾などを破壊し、軍用列車、軍需物資輸送隊を奇襲して、破壊、放火、爆破することで敵に決定的な打撃を与えなければなりません。

 私は、朝鮮人民革命軍の政治工作員と地下革命組織の責任者が、現情勢の要請に即して国内に革命組織をつくって拡大し、反日抗戦を展開する活動でより大きな成果をおさめるものと確信します。
                                               
出典:『金日成全集』1巻


ページのトップ


inserted by FC2 system