金 日 成

セクト主義を一掃し、革命隊列の統一と団結を強化しよう
小冊子の論文
−1933年5月10日−


 朝鮮の共産主義が民族解放の歴史的大業を遂行するためには、セクト主義を一掃し、革命隊列の統一と団結をゆるぎなく保障しなければならない。

 朝鮮の共産主主義運動と反日民族解放闘争に及ぼした分派分子の害悪は極めて大きい。

 朝鮮人民が強盗日本帝国主義侵略者に抗し手に武器をとって血みどろの闘争を展開している現時点においても、分派分子は一個人の名誉と政治的野望のために陰険な策動を弄して革命隊列の統一と団結を破壊しており、革命の前進をあらゆる面から阻害している。

 こんにち我々には、革命隊列から分派分子を追放し、セクト主義を一掃すべき緊迫した課題が提起されている。

 すべての革命同志は、セクト主義を一掃することが革命隊列の統一と団結を強化し、反日民族解放闘争を発展させる先決条件であることを肝に銘じ、セクト主義に反対するたたかいに積極的に参加すべきである。


 1 分派分子の罪悪を正しく認識しよう

 十余年にたる朝鮮の共産主義運動と反日民族解放闘争を回顧するとき、我々は分派分子の罪悪を呪わずにはいられない。

 過去の共産主義運動と反日民族解放闘争でのすべての痛ましい失敗と犠牲は、どれ一つをとってみても分派分子の罪悪と関連しないものはない。

 セクト主義はブルジョアまたは小ブルジョア思想、特に個人英雄主義、出世主義思想の所産であり、労働者階級の革命思想とはなんのゆかりもないものである。

 朝鮮の共産主義運動内にセクト主義が発生するようになったのは、初期にこの運動が階級的立場の確固とした、マルクス・レーニン主義で武装した真の共産主義者によって指導されず、その隊列の上層部がえせマルクス主義者、小ブルジョア・インテリで形成されていたところに、その原因がある。

 マルクス・レーニン主義が伝播し、労働運動が急速に盛り上がる時代の波に乗って共産主義運動に入り込んだえせマルクス主義者、小ブルジョア・インテリは口先では革命を云々しながら、実際には功名と政治的野望を実現するための謀略に終始した。かれらは、革命隊列に潜入したその日から階級的立場の確固とした共産主義的中核が形成されていないすきに乗じて、おのおのが共産主義運動の「指導者」を自称し、派閥をつくり、指導権を奪取しようと狂奔した。

 こうして朝鮮の共産主義運動内に、火曜派、ソウル派、M・L派、ソウル・上海派をはじめ、さまざまな派閥が生ずるようになり、みにくい派閥争いがくりひろげられるようになった。分派分子はそれぞれ、自派が「正統派」であると主張して他派を排斥し、自派の勢力拡張に狂奔した。かれらは他派をしりぞけ、自派の優勢を確保するために、たがいに中傷誹謗しあい、テロを加えるなどありとあらゆる卑劣な方法と手段をもちい、市井の俗物や無頼漢までもその策動に引き入れるのをためらわなかった。

 朝鮮の共産主義運動において分派分子がおかした最も大きな罪悪の一つは、朝鮮共産党を分裂させ、破壊したことである。

 ロシア社会主義十月革命の影響下に、朝鮮にマルクス・レーニン主義が急速に伝播し、労働運動が成長する過程で、1925年に朝鮮共産党が創立された。朝鮮共産党の創立は、朝鮮の共産主義運動と反日民族解放闘争を鼓舞するうえで重要な契機となった。しかし、朝鮮共産党は、創立されたその日から上層部に座をしめた分派分子の派閥行動によって、その使命を果たすことができなかった。

 労働者階級の前衛組織である党は、組織的、思想的に統一団結しているときにのみ、人民大衆をそのまわりに結集して革命闘争に正しく動員することができる。しかし、朝鮮共産党は、分派分子のみにくい派閥争いによって隊列の純潔と組織的・思想的統一を保つことができず、大衆的基盤を強化することができなかった。こうして朝鮮共産党は、朝鮮人民の反日民族解放闘争を正しく指導することができず、日本帝国主義の野蛮な弾圧にうちかつことができずに、創立後3年にして組織された力量としてのその存在を終えざるをえなくなった。

 分派分子は、朝鮮共産党を分裂させ破壊しただけでなく、朝鮮で大衆団体が組織される初期から、それらを分裂させ破壊する罪悪をかさねた。自派勢力の拡大と指導権争奪に目がくらんだ分派分子は、大衆団体の指導部に潜入し、おのおのが、それらを自派勢力の影響下に入れようとして、みにくい派閥争いをくりひろげた。かつて、朝鮮に数多くの労働団体、農民団体、青年団体、婦人団体などが結成されたが、それらすべての団体がその使命を正しく遂行することができなかった主な原因は、分派分子のこのような分裂策動にある。

 分派分子は、朝鮮共産党が解散させられた後にも「党再建」の看板をかかげて、満州一帯でみにくい派閥争いをつづけ、党再建事業に大きな難関をつくりだした。

 朝鮮共産党の解散がすべての共産主義者に深刻な教訓を残したにもかかわらず、分派分子は、なんらの組織的・思想的準備もなしに「党の即時再建」をうたって、ますます派閥争いに没入した。事大主義思想でこりかたまった分派分子は、それぞれ「党再建準備委員会」「工作委員会」などをつくってコミンテルンの承認を得、自派を中心とする党をつくろうと策動した。その結果、共産主義運動はさらに分裂を深め、党再建運動は重大な難関に直面することになった。

 分派分子がおかしたもう一つ罪悪は、無謀な大衆闘争を組織して莫大を犠牲をまねき、民族的反目を助長したことである。

 満州にいた分派分子は、「党の即時再建」運動が思惑どおりいかなくなるや、今度は「闘争」を通じて党を「再建」するということで、極左冒険主義的な5.30暴動を引き起こした。こうして数多くの革命大衆を犠牲にし、革命組織を破壊し、朝中人民のあいだに民族的反目をつくりだした。

 分派分子は、こんにちにいたっても、執拗に派閥行動をつづけており、左右の日和見主義的策動によって反日民族解放闘争に大きな障害をつくりだしている。

 分派分子は、もはや派閥分子は一掃されたのだから、派閥争いに反対するという問題はもちだすべきではなく、もし、この問題を再びもちだすなら、それはとりもなおさず派閥争いをつくりだすのも同然だと詭弁を弄している。これは反分派闘争を抹殺する一方、その背後でかれらが分派活動をつづけようとすることに目的がある。

 分派分子は、朝鮮の共産主義者が朝鮮民族の解放のためにたたかうことに反対している。かれらは、自分自身を「熱烈なプロレタリア国際主義者」をもって自称し「現段階で朝鮮民族の解放について論ずるのは、コミンテルンの路線に抵抗する行為」であると主張している。もし、かれらの主張どおり朝鮮の共産主義者が朝鮮民族の解放と独立のためにたたかうのが誤りであるとするならば、朝鮮人民の息子、娘たちである我々は、いったい誰のために血を流してたたかわなければならないというのか。分派分子の主張は、日本帝国主義の野蛮な植民地支配のもとで苦しんでいる同胞、兄弟姉妹の不幸と苦痛に背をむける者のみが口にすることのできるたわ言である。

 分派分子は特に、日本帝国主義に抗する最も積極的な闘争路線である武装闘争路線に反対した。かれらは、我々が武器をとって日本帝国主義侵略者と戦うのは「時期尚早」であり「勝算のない軽挙妄動」であるとうそぶいた。これは、分派分子こそ日本帝国主義の「強大さ」に恐れをなす卑怯者であり、人民に向かって日本帝国主義侵略者と戦わずに屈伏せよと説教する右翼投降主義者であることを示している。分派分子は、かれらのこのような主張が余すところなく論駁された後にも、反日人民遊撃隊の政治・軍事活動を妨害する陰険な策動をやめようとしていない。

 分派分子は、朝鮮革命の中核隊列を労働者、農民出身の青年でかためることを恐れ反対している。かれらは、小ブルジョア・インテリ、えせマルクス主義者に朝鮮共産主義運動の指導的地位をしめさせようと執拗に策動している。

 分派分子は各階層のすべての反日勢力を結集して正義の反日戦に総動員する活動をも、あらゆる面から妨害している。かれらは、反日民族統一戦線に結集すべき愛国的な民族資本家、宗教家、知識人を「反動階級」「二面分子」「動揺分子」であるとして排斥している。

 分派分子は、遊撃根拠地をきずく闘争においても重大な罪をおかした。分派分子は、一部の遊撃区で現段階の朝鮮革命の性格と基本的任務に適応しない「ソビエト」政府をうち立て、即時社会主義を実現しなければならないと騒ぎたて、いっさいの私的所有を廃止し「共同生活」「共同生産」「共同分配」を組織するなどの妄動をおこなった。これは、遊撃区の人民のあいだに大きな不安と混乱を引き起こし、敵の支配区域の少なからぬ人民に共産主義者にたいする誤った認識をもたせる結果をまねいた。

 分派分子はまた、解放地区形態の遊撃根拠地である遊撃区だけを固執し、遊撃区周辺の広大な農村地域を半遊撃区にきずくことを妨害した。かれらは遊撃区を「ソビエト区」または「赤色区」と呼び、敵の支配区域を「白色区」と呼んで、両地域の人民を故意に対立させ、敵の支配区域内の住民をあたまから「信頼できない」「日本帝国主義の手先」「二面派大衆」といって遠ざけ、敵視している。かれらは、甚だしいことに、敵の支配区域にある革命組織までも信ずることができないとして、地下組織にたいする活動を放棄しようとしている。こうして、遊撃区を外部との連係をもたない孤立無援の状態に陥れようと策動している。極左日和見主義者と分派分子のこのような罪悪的策動が適時に暴露され、克服されないならば、遊撃根拠地はいうまでもなく、全般的な反日民族解放闘争が重大な難関に直面しかねない。

 現在、分派分子は、極左日和見主義者に追従しながら反「民生団」闘争を徹底的に進めるという聞こえのよい口実のもとに、革命隊列を分裂破壊する害悪行為を悪辣に強行している。かれらは、革命隊列を切り崩すために、革命に忠実な数多くの共産主義者と革命的人民に、むやみに「民生団」というぬれぎぬをきせ、迫害し、甚だしくは拷問を加え虐殺しており、革命隊列内に大きな不安と混乱をつくりだしている。

 このように分派分子は、過去と現在を問わず、革命隊列の統一団結と革命闘争の発展を妨げる許すことのできない罪悪をおかしている。


 2 分派分子の手口を見ぬこう

 分派分子は、あらゆる狡猾な手口でその正体を隠している。それゆえセクト主義を一掃するためには、分派分子の手口をよく知らなければならない。

 分派分子は、欺瞞的で偽善的な言動をもってその正体をおおい隠し、自分自身を熱烈な革命家、堅実な共産主義者であるかのようによそおう。かれらは、このようにすることによって大衆の歓心と人気をえて、分派的目的を達成しようとしている。

 分派分子は、まず極左的な言動を常とする。かれらは、マルクスやレーニンの命題をいくつか覚えてマルクス・レーニン主義の「大家」をもって任じ、革命の発展段階と革命情勢の成熟度を考慮することなく、「労農ソビエトを樹立し、即時社会主義を建設しなければならない」「無産階級の独裁を確立しなければならない」などといった極左的なスローガンを叫ぶ。また、5.30暴動のときのように、大衆を無謀な暴動へと扇動し、極左的な行動に反対する人びとに「動揺分子」「卑怯分子」という政治的レッテルをはりつける。

 分派分子は、かつて革命のためになにか大きな仕事でもしたかのようによそおいながら、自己の汚れた過去の生活を隠すためにあらゆる醜行をはたらいている。ある者は、派閥の頭目として党の統一と団結に重大な弊害を及ぼしたにもかかわらず、自分の名前や出身まで欺き、革命に大きく貢献したかのように騒ぎたてている。

 分派分子が派閥争いで用いるいま一つの手口は、欺瞞と懐柔、権謀術数によって、人びとを無原則にだきこむことである。分派分子は不平分子を訪ね回っては、その不平不満がどのようなものであろうと「一理がある」「当然だ」などと言って、不平不満を助長する一方、自分がその要求を解決してやるかのように甘言をもって言いくるめる。分派分子はまた、不平不満をもっていそうな人に会えば、同情し支持するかのようによそおい、自分のまわりにだきこもうとする。分派分子は、革命組織でかれらが孤立すればするほど、いっそう、このような手口にしがみつく。

 分派分子が用いる常套手段の一つは裏表があり、面従腹背することである。

 分派分子は、うわべでは組織の決定を支持、賛成し、後ろにまわってはそれを裏返すための策略を弄し、表面では組織に忠実なようにつくろいながら、実際には組織の規律を破壊する。

 革命的原則性の強い活動家との関係においても、かれらは常に表裏が一致しない。分派分子は、原則性の強い活動家のまえでは称賛と尊敬の言辞を多く弄するが、背後では中傷し、冒涜する行為をほしいままにする。

 分派分子は、表面上では革命のために闘争するかのようにふるまい、実際には革命路線をねじまげその貫徹を妨害する。かれらは、組織の決定と文書を下級に伝達さえせず、革命路線の貫徹に甚だしい混乱をつくりだし、革命組織の組織的・思想的統一を妨げる。

 分派分子の表裏不一致の行動は、共通の敵日本帝国主義との闘争において、朝中人民の団結を妨害する点にもあらわれている。かれらは、革命組織内では「プロレタリア国際主義」「朝中人民の友好団結」などとわめき立てる。しかし、大衆のなかに入っていっては、中国の友人と反日兵士を侮辱し、かれらをけなしている。

 分派分子はまた、大衆を見くだし抑えつけながら、自分たちの意思を押しつけようとする。

 分派分子はその地位を悪用し、命令一本で大衆に不当な要求と主張を強要する。かれらは自分らの命令に従わなければ、「革命規律に反対している」「反動分子である」といった暴言をはいて大衆を脅迫する。特に分派分子は、なによりも大衆のなかから自分にたいする批判や建設的な意見が提起されることを恐れ、それを威嚇と脅迫によって黙殺しようとする。

 狡猾な派閥争いの手口にしがみつく分派分子の末路は、敵の手先に転落するよりほかに道がないことを実証している。

 ある派閥の頭目は、その正体が暴かれ、革命隊列から排斥されるにいたるや、日本の領事館警察の力をたのんで、数多くの共産主義者を逮捕させ、拷問、虐殺させるという蛮行をはたらいた。また、ある分派分子は、日本警察に逮捕されるや、みずから「転向文」を書き、革命組織の情報を提供した。

 これらの事実は、分派分子こそは、良心のかけらも節操もない人間のくずであり、革命の裏切り者であることを示している。


 3 セクト主義を一掃するたたかいを強化しよう

 我々は革命隊列から分派分子を追放し、セクト主義を一掃するために積極的にたたかうべきである。

 それでは、セクト主義に反対するたたかいを成功裏に進めるためにはいかにすべきか。

 第1に、すべての遊撃隊員と共青員たち、革命組織のメンバーは、革命的世界観を確立しなければならない。

 革命的世界観が確立していない人は、セクト主義に反対するたたかいを成功裏におこなうことはできず、セクト主義の浸透を防ぐことができない。セクト主義思想は、常に革命的世界観が確立していない人のなかに浸透する。革命闘争の目的と正当性を正しく認識し、革命大業に最後まで忠実であろうとする立場と態度を堅持する人には、いかなる反革命思想もよりつくことができない。それゆえ、遊撃隊員と共青員、革命大衆をマルクス・レーニン主義と朝鮮革命の路線で武装させるための活動をいっそう力強く展開しなければならない。こうして、すべての遊撃隊員と共青員、革命組織のメンバーを、常にすべてのことを革命的観点から正しく判別し、いかに困難な状況のもとでも動揺することなく革命の利益を擁護してたたかうことができるように強く鍛えなければならない。

 第2に、すべての遊撃隊員と共青員、広範を革命大衆をセクト主義に反対するたたかいに積極的に動員しなければならない。

 セクト主義を粉砕する最も大きな力は革命大衆にある。革命大衆の目は誰も欺くことはできない。分派分子がいかに狡猾な方法で策動するとしても、すべての遊撃隊員と共青員、革命大衆が派閥的策動に警戒心を高め、セクト主義を一掃するたたかいに立ち上がるならば、分派分子は決していすわりつづけることはできない。したがって、セクト主義を一掃するたたかいで成果を達成するためには、すべての遊撃隊員と共青員、革命組織のメンバーに、セクト主義の害悪と分派行動の手口、反分派闘争の意義を明確に認識させ、かれらがセクト主義に反対するたたかいに積極的に立ち上がるようにしなければならない。

 いま分派分子が反「民生団」闘争を表看板にして分派行動を悪辣に強行している状況のもとで、その狡猾な手口と罪悪を反「民生団」闘争の問題と結びつけて明確に認識させなければならない。こうして、広範な革命大衆が反「民生団」闘争を正しく進めると同時に、反「民生団」闘争の美名のもとにおこなわれている分派分子の陰険な分派行動をそのつど摘発し、かれらと容赦なくたたかうようにしなければならない。

 第3に、セクト主義に反対するたたかいを、革命隊列を強化する活動と密接に結びつけて展開しなければならない。

 かつて、朝鮮の共産主義運動でセクト主義が一掃されず、分派行動が長期にわたって持続してきたのは、共産主義隊列が強化されなかったところに主な原因がある。我々がこの苦い教訓を生かして、革命隊列を階級的にいっそう強化し、その根幹をかためるならば、セクト主義を一掃するたたかいは、いっそう成功裏に進めることができるであろう。それゆえ、労働者、農民出身のすぐれた人びと、特にセクト主義思想に毒されていない清新を青年大衆を抗日遊撃隊と共青組織に積極的に受け入れることによって、革命隊列の構成をたえず改善し、革命の根幹部隊をしっかりととのえなければならない。

 これとともに、人びとの経歴と出身を具体的に検討し、その日常的な活動状況を正確に理解し点検したうえで、革命軍の幹部を選抜しなければならない。我々は、分派分子のようにうわべでは熱意を見せ、口先だけで誤りを認める者のごまかしに乗せられてはならず、心から革命活動に参加する労働者階級と貧農、雇農出身のすぐれた人びとに指導的任務をまかせ、かれらをねばりづよく教育し、鍛錬して、革命軍の幹部として大胆に抜擢しなければならない。我々は労働者階級と貧農、雇農出身の幹部を数多く鍛練し育成することによって、かれらがセクト主義に反対するたたかいを成功裏に進めるようにしなければならない。

 第4に、セクト主義に反対するたたかいにおいて、左右の偏向を警戒し、この闘争を革命の利益にそって原則的に進めなければならない。

 まず、極左的誤りをおかさないようにしなければならない。セクト主義に反対するということで、かつて、社会主義啓蒙運動や共産主義運動に参加した人をすべて一律に評価すべきではない。かつて、共産主義運動に関係した人のうちには、派閥頭目の分派行動を適時に見ぬくことができず、かれらの影響のもとに本意ではなく一時的に派閥争いにまきこまれた人が少なくない。我々がこのような人を分派分子と同じように評価するならば、団結することのできる多くの人を失う結果をもたらすことになろう。

 また、かつて派閥争いに直接参加した人であっても、真底から自己の罪過を悔い、革命のために最後まで献身、奮闘しようとしている人にたいしては、受け入れ、教育しなければならない。

 そして、活動の過程でおかした活動家の一時的な誤りを分派分子の反革命的行為と同一視して、活動家に分派分子のレッテルをはりつけて排斥するようなことがないようにすべきである。

 セクト主義に反対するたたかいにおいてはまた、右傾的な誤りを徹底的に警戒しなければならない。

 一部の革命組織と共青組織では、分派分子の狡猾な手口を看破することができず、かれらの言葉を真に受けて「分派分子は、既に一掃された」と考えたり、セクト主義に反対するたたかいが、あたかも革命隊列の団結を弱めるかのように考えて、それをおろそかにする傾向があらわれている。これは、許すことのできない右傾的な誤りである。我々は、このような右傾的な誤りがやはり分派分子の策略と関連していることを正しく認識してセクト主義のあらわれに警戒心を高め、セクト主義に反対するたたかいを積極的に展開しなければならない。

 我々は、革命隊列を内部から分裂させ破壊しようとする敵の謀略にたいしても警戒心を高めなければならない。敵は革命の隊列内で思想闘争がおこなわれるたびに、革命隊列を内部から分裂させ破壊しようと狡猾かつ悪辣に策動する。したがって我々は、セクト主義に反対するたたかいにおいて、敵がでっちあげたにせの資料にだまされてはならない。我々は、資料を一つ評価するに当たっても慎重におこなわなければならず、すべてを警戒心をもって処理しなければならない。

 我々はセクト主義に反対するたたかいを、我々の革命路線を貫徹するためのたたかいと密接に結びつけて進めなければならない。我々は、すべての活動を朝鮮革命路線を徹底的に貫くための活動に服従させ、革命路線の貫徹を妨げる封建思想、ブルジョア思想、個人主義、利己主義、個人英雄主義をはじめ、あらゆる有害な思想傾向と活動方法を根本的になくすたたかいを活発に展開することによって、分派分子に足がかりを与えないようにし、朝鮮革命を力強く前進させなければならない。

 セクト主義を一掃するたたかいは、短時日のうちに終えることのできない複雑で深刻なたたかいである。

 すべての共産主義者と革命家はセクト主義が完全に一掃されるまで、根気づよく、頑強にたたかい、革命隊列を一つの思想、一つの意志でかたく団結した真の革命家の隊列にきずきあげなければならない。

 我々はセクト主義を一掃し、革命隊列の統一と団結を強化することによって、革命的マルクス・レーニン主義党創立の準備と祖国解放の正義の大業を実現し、祖国と民族にたいする崇高な使命をまっとうしなければならない。

出典:「金日成著作集」1巻
(注)「民生団」=サイトの注釈集を参照してください。


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