皆さん！
　私は、きょう汪清第５区人民革命政府を樹立する集会に参加した嘎呀河遊撃区の全人民と革命組織の代表ならびに各県からきた参観代表の皆さんに熱烈な祝賀を送ります。
　皆さんがみずからの手で区人民革命政府を樹立するのは、朝鮮民族の歴史にかつてなかった実にめでたい出来事です。
　革命における基本問題は、主権に関する問題です。搾取社会においては、ごく少数の支配者が国家権力を握って人民大衆を抑圧し搾取し、人民の自由を踏みにじります。人民大衆は、主権を自己の掌中におさめてはじめて、真の自由と幸福を享受することができます。
　朝鮮人民は、久しい前から自己の利益を代表する政権の樹立を渇望し、国の独立と主権奪取のために多くの血を流しました。国の独立と主権奪取のための闘いは、新しい世代の共産主義者によって、はじめて正しい道を歩むようになりました。
　朝鮮の新しい世代の共産主義者は、人民の利益を擁護する政権を樹立するという路線を打ち出し、その実現をめざして積極的な闘いを繰り広げてきました。
　我々が反日人民遊撃隊を創建し、豆満江沿岸の広大な地域に遊撃区を創設したことは、主権奪取をめざす朝鮮人民の闘いにおいて画期的な出来事と言えます。主権奪取の闘争過程で、我々は人民革命政府樹立の強固な基礎を築くとともに、政権建設の貴重な経験を積み、また苦い教訓も得ました。
　各遊撃区に革命政権を樹立する闘いが繰り広げられた当初から、左傾日和見主義者と分派・事大主義者は、わが国の社会経済的条件と我々の実情に合わないソビエト政権の樹立を強要しました。
　政権の形態は、革命の性格と基本任務、社会的・階級的諸関係によって定められます。
　現在、ソ連には、ソビエト政権が樹立されています。ソ連人民がソビエト政権を樹立したのは、当時、ロシアでは資本主義的経済関係が支配的であったため、資本主義制度を覆し、人間による人間の搾取と抑圧のない社会主義制度を樹立することが革命の基本任務として提起されていた事情と関係しています。ソビエト政権は、ソ連の具体的現実とソ連革命に合致した政権形態です。
　わが国は、ソ連とは事情が違います。こんにち朝鮮は、日本帝国主義の占領によって正常な資本主義的発展がおさえられ、封建的関係が支配的な植民地・半封建社会の状態にあります。朝鮮人民は、日本帝国主義の植民地奴隷としてあらゆる民族的蔑視と搾取を受けているだけでなく、日本帝国主義の権力によって維持されている封建的諸関係にしばられ、言い知れぬ苦痛をなめています。侵略者である日本帝国主義を打倒せずには、朝鮮民族を植民地奴隷の鉄鎖から解放することも、封建的諸関係を一掃することもできません。したがって、朝鮮人民に課された第一義的な任務は、反日愛国勢力を総動員して日本帝国主義を打倒し、民族解放の課題をなし遂げることです。朝鮮革命の具体的現実は、労働者、農民の利益のみならず、日本帝国主義に反対するあらゆる階級と階層の利益をも擁護する人民の政権、人民革命政府の樹立を求めています。
　ところが、ソビエト主唱者は、朝鮮革命のこのような要求を無視して、遊撃区にソビエト政府を打ち立てて、「プロレタリア革命」のスローガンのもとに極左的な施策を実施しました。彼らはいっさいの私的所有を認めず、反日的傾向の地主や富農、さらには中農の土地まで没収し、すべての土地を統合して集団農場をつくり、「共同労働」「共同分配」「共同生活」を主張しました。
　皆さんがじかに体験したように、あるソビエトでは、反日を志向し遊撃隊を誠心誠意支援していた地主や富農の選挙権を奪い、土地はもちろん長びつの衣類や家財道具まで没収しました。さらにあるところでは、１頭の牛を所有していた農民をブルジョアと規定し、その財産を没収したとのことです。ソビエト政府の施策がいかに極左的なものであったかは、没収すべきでない人々から取り上げた食糧や物品が山積みになったという事実からしても十分うかがいしることができます。
　ソビエト主唱者はまた、解放地区と敵の支配区域の人民を人為的に分離し、何の根拠もなしに敵の支配区域の人民は「日本帝国主義の手先」、半遊撃区の人民は「二面派大衆」だとして排斥しました。そのうえ、彼らは、自分たちの「ソビエト施策」を受け入れないからといって、遊撃区内の人々にむやみに危害を加え、「ソビエト施策」が極左的なようだと口にしただけでも「ソビエト大衆審判」にかけると威嚇し、しまいには彼らに「右傾分子」というレッテルまで張りつけました。
　ソビエト主唱者の極左的な行動は、反日勢力の団結を弱め、国の独立をめざす朝鮮人民の闘いに多大な弊害を及ぼしました。ソビエトの極左的施策は、反日的傾向の有産階級に、朝鮮革命は自分とは何のかかわりもないものとして革命に背を向けさせ、遊撃区の人民のあいだに不安と動揺を起こさせました。また、朝中人民のあいだに離間をもたらして、両国人民の団結を弱め、反帝共同戦線の実現に大きな支障をきたしました。
　諸般の事実は、我々が朝鮮革命を勝利に導くためには、広範な反日勢力を一つに結束できる新しい型の政権、人民革命政府を一日も早く樹立しなければならないということを示しています。
　きょう、我々が樹立する人民革命政府は、労働者階級が指導する労農同盟にもとづき、広範な反日大衆の統一戦線による真の人民の政権です。人民革命政府は、ある君主が治める政権ではなく、人民が政権の主人であり、人民自身が管理運営する政権です。この政府は、地主や資本家、またはある個人の利益のための政権ではなく、人民の権利と自由を擁護し、祖国の独立と人民の幸福のために闘う人民の政権です。この政権は、農民には土地を与え、女子には男子と同等の権利を与え、誰もが学び働き、誰もが豊かに暮らせるようにする政権です。
　人民革命政府は、ごく少数の搾取階級の利益を擁護する政権とは根本的に異なるばかりか、労働者、農民、兵士大衆の利益のみを代表するソビエト政権とも区別されます。人民革命政府は、労働者、農民、兵士大衆はもとより青年学生、知識人、良心的な資本家、宗教家をはじめ、広範な反日勢力を結集し、彼らの利益を代表する最も人民的かつ民主的な新しい型の政権です。
　人民革命政府の誕生は、朝鮮民族の歴史と朝鮮革命の発展において実に大きな意義をもちます。
　遊撃区に人民革命政府が樹立されることによって、遊撃区の人民は、自己の真の政権をもちたいという宿望を実現し、これまで民族的蔑視と迫害を受けて暮らしてきた恨みと悲しみをいやし、人民政権から堂々たる政治的権利と自由を保障され、搾取と抑圧のない幸福な生活を享受できるようになりました。我々は、人民的で革命的な新しい型の政権を建設することによって、広範な反日勢力を固く結束し、朝鮮革命を勝利に向けて前進させることのできる革命の武器を持つことになりました。
　皆さん！
　我々は、人民革命政府樹立の路線を高く掲げ、すべての遊撃区に人民革命政府を樹立する闘いにこぞって立ち上がらなければなりません。
　まず、人民政権に対して正しい認識をもつよう、人民のあいだで大衆政治活動を強化しなければなりません。
　人民政権に対する人民大衆の支持と信頼は、人民革命政府の樹立とその強化、発展の決定的な保証です。
　人民大衆は人民政権に対する正しい認識をもってこそ、人民革命政府を絶対的に支持し信頼することができるのです。人民に人民政権についての説明を積極的におこなわなければ、彼らは人民革命政府をソビエトと同一視して信頼せず、人民革命政府を強化し発展させる活動に熱意を示さなくなるでしょう。
　我々は、人民のあいだで人民政権の性格と使命、民主的諸施策について広く宣伝し、彼らが人民政権建設路線を心から支持し擁護するようにすべきです。特に、ソビエトの極左的な施策によって被害や損失をこうむった人々を原状に復させ、人民政権の積極的な支持者にしなければなりません。
　すべての遊撃区で、早急に人民革命政府を樹立しなければなりません。
　遊撃区には、区人民革命政府を樹立し、村には村人民革命政府を樹立すべきです。区と村の人民革命政府は、政権機関としての機能と役割を果たすのに必要な機構を設け、整然たる活動体系と秩序を確立しなければなりません。
　人民革命政府を樹立し強化する活動は、遊撃区を防衛する活動と切り離して考えることはできません。人民革命政府は、解放地区形態の遊撃区に樹立される政権です。遊撃区を敵の「討伐」攻勢からしっかりと防衛してこそ、人民革命政府が強固な地盤をもち、遊撃区の人民に政治的自由と幸せな生活を保障することができるのです。人民革命政府は、極左的なソビエト路線の後遺症を一掃し、朝鮮革命の原動力となる各階層の反日大衆を人民政権のまわりに組織的に結束させ、彼らが遊撃区をしっかりと守り、遊撃隊を誠心誠意支援するようにしなければなりません。
　人民革命政府は、政治、経済、文化の各分野で古い制度と秩序を一掃し、革命的で民主的な施策を実施しなければなりません。
　人民政権の優越性は、その民主的施策に集中的にあらわれます。人民革命政府は、遊撃区の人民に政治的権利と自由を保障するための民主的確策を実施することに第一義的な関心を払うべきです。
　人民革命政府は、日本帝国主義とかいらい満州国がつくり上げたいっさいの法令と規定を無効と宣言すべきです。
　人民革命政府は、16歳以上のすべての公民に選挙権と被選挙権を与え、人民大衆が自分の意思と志向を自由に表示できるよう、彼らに、言論、出版、集会、結社などあらゆる社会・政治活動の自由を保障するとともに、ごく少数の反動的地主、買弁資本家、民族反逆者には独裁を実施すべきです。
　人口の半数を占める女性は、朝鮮革命の一翼を担っています。人民革命政府は、封建的および帝国主義的な抑圧のもとであらゆる迫害と蔑視を受けている女性に、男子と同等の権利を保障することを神聖な義務とみなすべきです。
　人民革命政府は、経済分野においても民主的改革を実施しなければなりません。
　人民革命政府は、日本国家および日本人所有の土地と日本の手先の土地を無償で没収し、土地をもたないか少ししかもたない農民に無償で分配して、彼らを封建的搾取と従属から解放し、自分の土地で農業を営んでみたいという農民の長年の願いをかなえてやるべきです。また、日本国家および日本人所有のすべての工場、鉱山、鉄道、銀行と買弁資本家の全財産を没収して人民の所有とし、その一部をもって貧民を救済すべきです。資本家のむちのもとで労働時間に際限のない強制労働を強いられている労働者に、８時間労働制と労働保護制、最低賃金制を実施すべきです。
　人民革命政府は、教育と文化分野においても民主的施策を実施しなければなりません。
　悪辣な日本帝国主義の植民地支配のもとで、我々の言葉と文字、美しい民族文化は容赦なく踏みにじられており、金のない人々の子弟には学ぼうにも学びの道が閉ざされています。人民革命政府は、日本帝国主義の植民地奴隷教育制度を撤廃して無料義務教育を実施し、我々の美しい民族文化を開花させ、人民の健康を保護する施策を実施すべきです。成人のあいだで識字運動を強化し、文芸活動と出版物を通じての文化啓蒙運動を活発に展開すべきです。
　人民革命政府機関の活動家は、政府施策の直接の執行者です。人民革命政府の優越性が十分に発揮されるか否かは、人民革命政府機関の活動家の役割に大きくかかっています。
　遊撃区の人民は、自己の主権を行使して、朝鮮の独立と人民大衆の利益のために献身的に闘い、実践闘争を通じて検討された各階層のすぐれた活動家を政府機関の代表として選出しなければなりません。
　人民革命政府機関に選出された代表は、真の人民政権機関の活動家としての大きな栄誉と重大な責任感を胸に深く刻み、革命と人民のために忠実に奉仕しなければなりません。人民革命政府機関の活動家は、新しい政権機関の活動家らしく大衆と生死、苦楽をともにして働く作風を身につけるべきです。
　人民革命政府の主人は、人民自身であり、人民政権の実施するすべての施策には、人民大衆の意思がそのまま反映されます。遊撃区の人民は、人民革命政府の活動に主人らしく参加し、人民革命政府の施策をあくまで擁護し貫徹しなければなりません。
　遊撃区の人民は搾取と抑圧から解放され政権の主人となりましたが、わが祖国と2000万同胞は、依然として日本帝国主義の植民地支配のもとで苦しんでいます。我々は、日本帝国主義を打倒して祖国の独立と民族の解放を達成し、三千里全国土に人民革命政府の旗を高くひるがえすその日を早めるために力強くたたかわなければなりません。
　こぞって、選挙に参加して賛成の一票を投じましょう。
　真の人民の政権である人民革命政府万歳！