金 日 成

朝鮮革命軍の使命と基本的任務について
朝鮮革命軍を編制するための党および共青幹部会議でおこなった演説 
1930年7月6日

 皆さん!

 我々は、数日前、卡倫で朝鮮革命の新しい路線を打ち出し、それにもとづいて党組織を結成し、それに続いて今日は朝鮮革命軍を編制することになりました。

 卡倫で朝鮮革命軍の編制を討議、決定したのは、わが国における反日民族解放闘争の歴史的経験と教訓、そして、目下の情勢を全面的に分析したうえで、朝鮮人民自身の力で日本帝国主義を打倒して祖国解放の歴史的偉業を成就するための積極的な措置です。

 わが国の反日民族解放闘争の歴史的経験と教訓は、国の独立は決して他者によってもたらされるものではなく、また、平和的な方法でなし遂げられるものでもないということを実証しています。

 日本帝国主義は、朝鮮を占領した当初から侵略兵力に依存して植民地的暴圧政治を実施し、朝鮮人民の反日闘争を過酷に弾圧しています。日本帝国主義の暴圧がかつてなく強まっている現状は、国の独立はストライキや小作争議といった消極的な闘いでは達成できないことを示しています。

 したがって、先日卡倫で開かれた共青および反帝青年同盟の幹部会議では、日本帝国主義に抗する組織的な武装闘争を展開することを朝鮮革命の戦略的路線として採択しました。

 朝鮮人民の反日民族解放闘争を組織的な武装闘争へと発展させるうえで重要なのは、革命の中核的根幹を育成し、武装して軍事的経験を積み、大衆的地盤を築く活動を積極的に進めることです。

 このような活動をおこなわなければ、大衆の暴力闘争を組織的な武装闘争へと発展させることはできず、例え、武装隊伍を組織して武装闘争を始めたとしても、成果をおさめることはできません。

 これは、これまでの独立運動の教訓が如実に示しています。

 亡国以後、独立運動家は、反日救国の旗を掲げて武装部隊を組織して闘いに立ち上がりましたが、その闘争を正しく導く中核が整っていないうえに、広範な大衆に依存できず、正しい戦略と戦術もなしに分散的に活動したため、日本帝国主義と反動軍閥の日増しに強まる攻勢に打ち勝つことができず各個撃破され、いまは瓦解に瀕しています。独立軍運動のこうした現状は、組織的な武装闘争の準備を徹底させなければならないことを教えています。そこで我々は、組織的な武装闘争を準備するために朝鮮革命軍を編制することを討議、決定し、今日、それを全世界に宣言することになりました。

 我々は、朝鮮革命軍を編制することで、大陸侵略戦争の準備に狂奔する日本帝国主義に打撃を与え、わが国の反日民族解放闘争を組織的な武装闘争の段階へと発展させる準備活動をいっそう力強く推進できるようになりました。

 朝鮮革命軍は、民族の独立と人民の自由と解放をめざしてたたかう青年共産主義者からなるマルクス・レーニン主義的武装組織です。

 朝鮮革命軍は、積極的な政治・軍事活動を通じて武装闘争の中核的根幹を育成し、武装闘争に必要な武器を獲得して軍事的経験を積み、広範な人民大衆を固く結集させて、組織的な抗日武装闘争の準備をしっかりと整えなければなりません。これが、朝鮮革命軍の使命と基本的任務であります。

 こうした意味から、朝鮮革命軍が担っている使命と任務は、朝鮮革命の進路を切り開くうえで極めて重大であると言えます。

 朝鮮革命軍に課されたこの困難かつ重大な革命任務の成否いかんは、この会議に参加した皆さんがいかに闘うかにかかっています。

 我々は、新しい世代の青年共産主義者らしく、朝鮮革命軍に課された革命任務を立派に遂行するために大いに努力しなければなりません。

 何よりもまず、武装闘争の中核的根幹を育成するために奮闘しなければなりません。

 中核的根幹さえいれば、短時日に労働者、農民、愛国青年で武装隊伍を拡大して常備の革命兵力を創建し、軍事・政治活動を巧みに指揮する指揮官を育て上げることができます。

 武装闘争の中核的根幹を育成するうえで重要なのは、党、共青、反帝青年同盟の組織構成員を組織生活と実践闘争を通じて鍛え上げることです。

 我々は、各種の大衆闘争の過程で鍛えられた人たちを党組織と共青組織、反帝青年同盟に積極的に受け入れ、組織的、思想的に鍛えるとともに、軍事知識も与えて武装闘争の中核的根幹に育てなけれぱなりません。

 武装闘争の準備をするうえで重要なのは、武器を手に入れることです。武器は武装力の2大構成要素の一つです。我々には、武器を提供してもらえるところもなく、また入手できる当てもないため、もっぱら、自分の力で獲得しなければなりません。

 武器を自力で調達するためには、敵の武器を奪取する闘いを果敢に展開しなければなりません。もちろん、これは極めて困難かつ危険な闘いです。しかし、現状ではこの方法以外に武器を手に入れるすべはありません。

 我々は、既に手に入れた武器をもとに、各地で周到な計画のもとに十分な準備をして、個別に行動する敵や小規模の敵機関、土豪の屋敷を襲撃して武器を奪取しなければなりません。これは、軍事的経験を積み、活動の地盤を広めるうえでも重要なことです。

 同時に、満州各地の農村に住む義兵運動や独立軍の参加者のあいだで、武器を秘匿して時機をうかがっている人たちを探し出し、彼らに働きかけて武器を譲り受ける工作もしなければなりません。

 我々は、人民のなかに入って武器がいかに緊要であるかをよく説明し、彼らが進んで武器の調達に乗り出すようにしたり、あるいは彼らから資金を募って武器を買い入れることも必要です。

 このように、あらゆる状況と可能性を最大限に利用して、武装闘争に必要な武器を獲得すべきです。

 軍事知識と経験を積むために努力すべきです。

 さしあたっては、短期訓練をおこなって朝鮮革命軍構成員に軍事行動方法を熟達させ、また、卡倫、孤楡樹などにある革命的な学校に訓練班を設けて青少年学生と革命軍の構成員に軍事知識を教え、各地に少年先鋒隊をはじめ、半軍事組織をつくって、その構成員に必要な軍事知識を習得させるべきです。

 軍事訓練の強化とともに、軍事活動を活発に展開し、その過程を通じて軍事的経験を積むようにしなければなりません。

 朝鮮革命軍の構成員は、国内と満州の広大な地域に積極的に進出し、軍事活動を活発に展開すべきです。

 長白一帯は朝鮮と隣接しているため、国内に出入りしながら活動するのに有利な地帯です。この一帯は、我々が既に白山青年同盟支部をはじめ、地下革命組織をつくって置いたところです。朝鮮革命軍の構成員は、自然・地理的条件と大衆的地盤が備わっている長白一帯に出て用意万端整えてから豊山(プンサン)、咸興(ハムフン)、元山(ウォンサン)、平壌など国内各地に進出して軍事活動を力強く展開すべきです。朝鮮革命軍の構成員は、中部満州と東満州、北満州など満州の広大な地域にも積極的に進出し、武装活動を強力に展開すべきです。

 我々は、日本帝国主義者の警戒が厳しく、武器と人数が少ない現状のもとで軍事活動をしなければならないだけに、グループ活動を基本としなければなりません。

 我々は、環境と条件、時期と場所をよく選択し、各地で襲撃戦、伏兵戦をはじめ、さまざまな戦法を駆使し、その過程で軍事活動の経験を一つひとつ積み上げていかなければなりません。

 朝鮮革命軍の構成員は、広範な大衆を革命的に自覚させ結集させる政治活動を力強く展開すべきです。

 日本帝国主義に抗する武装闘争は、少数の共産主義者の力だけでは展開できません。広範な人民大衆の積極的な参加があってこそ成功裏におこなうことができるのです。革命武力の根幹育成や必要な武器の調達も、結局は大衆の意識化、組織化がなされてこそ順調に実現されるのです。

 我々は、革命闘争において大衆を結集させることの重要性に照らして、既に、撫松と樺甸、吉林、敦化、卡倫、孤楡樹などの都市や農村の広大な地域に革命組織をつくり、そこに数多くの大衆を結集させて革命化し、一定の大衆的土台を築き上げました。

 しかし、この成果は、革命発展の要請に照らして見ると、初歩的なものにすぎません。我々は、これまでの成果と経験にもとづいて広大な地域の各階層の大衆のなかにさらに深く入り、彼らを革命的に自覚させて組織的に結集するためにいっそう奮闘しなければなりません。

 大衆を自覚させ結集するうえで肝要なのは、農村の革命化を力強く推し進めることです。

 卡倫、孤楡樹をはじめ、満州の農村地域には、生きる道を求めて祖国を後にした朝鮮同胞や、独立運動の志を抱いて亡命してきた人が多く、また、この地域は反動軍閥当局の警戒も都市ほど厳しくありません。したがって、我々はまず第一に、このような農村地域の革命化に関心を払わなければなりません。

 我々は農村の革命化を、住民のレベルや意識水準に応じてさまざまな形式と方法で進めるべきです。

 朝鮮革命軍の構成員は、各地に学校と夜学を設けて運営し、出版物の刊行や演芸隊の活動をはじめ、さまざまな形式と方法で大衆のあいだに革命意識を植えつけ、青壮年と女性、少年を革命的に目覚めさせなければなりません。

 農村の住民を革命化するうえで重要なのは、民族主義の影響を拭い去ることです。卡倫、孤楡樹をはじめ、中部満州の農村には、民族主義の影響が甚だしく及んでいます。頑迷な民族主義者は、いろいろな名称の団体をつくって人々を引き入れようとしており、「有志」をもってみずから任じ、村を牛耳っています。したがって、民族主義者を包容せずには、彼らの影響下にある農村を革命化することはできません。

 朝鮮革命軍の構成員は、中部満州一帯と東満州、南満州の広い地域にいる民族主義者のなかに入り、時代遅れの民族主義思想の不適切さを深く認識させて彼らを改造し、その影響下にあった人たちをもこちら側に引き入れて革命化すべきです。

 朝鮮革命軍の構成員は、各階層の広範な大衆が革命的に目覚めるのに伴い、徐々に、彼らを革命組織と大衆団体に固く結集させ、革命的実践闘争を通じて革命化しなければなりません。

 独立軍に対する工作を巧みにおこなうべきです。

 いま満州の広い地域には、独立軍の残存勢力が少なくありません。独立軍で活動している労働者、農民出身の愛国的な青年は、国権回復のスローガンを掲げ銃を手にして戦いに立ち上がった人たちです。現在、彼らのなかには、独立軍の上層部が明確な闘争綱領や戦術もなしに派閥争いや、軍資金の蕩尽に明け暮れているのを見て独立軍運動に幻滅を感じ、新しい闘争の道を模索している人が少なくありません。独立軍には少なからぬ武装活動経験があるため、革命的な影響を与えて彼らをこちら側に引き入れることは、革命武力を拡大、強化するうえで重要な意義を持っています。それゆえ、我々は、独立軍兵士の愛国の初一念を尊び、大胆に彼らのなかに入って下層兵士と下級指揮官をこちら側に引き入れるために奮闘し、努力しなければなりません。

 我々は、日本帝国主義に抗する武装闘争を準備する栄えある使命を担っている朝鮮革命軍の構成員であることを肝に銘じ、血潮たぎる青春の知恵とエネルギーを尽くして力強く闘っていかなければなりません。

出典:『金日成全集』1巻


<注釈>-独立軍 日本帝国主議の朝鮮占領後、それに抗して朝鮮の北部国境一帯と中国の東満州、前満州一帯にさまざまな民族主義的武装集団が組織され、朝鮮の独立をめざして闘ったが、それらの武装集団を総じて朝鮮独立軍と呼んだ。1938年に朝鮮人民革命軍に編入された。

 -義兵運動 19世紀末から20世紀初にかけて、日本帝国主議の朝鮮侵略に抗して武器を手にして決起した愛国的人民の救国闘争。


ページのトップ


inserted by FC2 system