『金日成主席革命活動史』

第1節 社会主義偉業を固守し前進させるための
根本原則と闘争課題を明示
 

 1980年代の末〜1990年代の初め、ソ連と東欧諸国では、社会主義が挫折し、資本主義が復活するという悲劇的な事態が生じた。

 これを奇貨として、アメリカをはじめ帝国主義者と反動派は、「社会主義の危機」について喧伝し、社会主義の砦である朝鮮民主主義人民共和国を、政治的、経済的、軍事的に圧殺しようと悪辣に策動した。これに便乗して社会主義の背信者たちがまた、共和国をかれらの歩む背信の道に導こうと干渉と圧力をかけてきた。

 こうした情勢のもとで、帝国主義者と反動派の狂気じみた反社会主義策動を粉砕し、社会主義偉業を固守し前進させることは、社会主義の運命にかかわる極めて重大な問題であった。

 金日成主席は、このような激動の時期に社会主義の旗をいっそう高く掲げ、社会主義を守るたたかいに決然と歩み出し、1990年代の初年度である1990年1月1日の新年の辞と、同年5月24日に最高人民会議第9期第1回会議でおこなった施政演説『我が国の社会主義の優越性をさらに強く発揮しよう』などの諸著作で、朝鮮の社会主義の不敗性と優越性を科学的、理論的に論証し、社会主義偉業を固守し前進させるための根本原則と闘争課題を全面的に明らかにした。

 主席は、社会主義偉業を固守し前進させるためには革命の正しい指導思想がなければならないと述べた。

 そして、複雑な情勢のなかでも朝鮮で社会主義が引き続き成功裏に前進しているのは、まさに朝鮮革命の指導思想であるチュチェ思想が正しいからであると指摘した。

 主席は、社会主義偉業を固守し前進させるためには、革命の主体を強化し、その役割を高めなければならないと強調した。

 金日成主席は、次のように述べている。

 「革命の主体を強化することは、社会主義のためのたたかいにおいて根本問題となります。人民大衆が革命の主体としてしっかり準備されなくては、政権のためのたたかいで勝利することができず、主体を絶えず強化せずには、社会主義社会を建設することも、その優越性を発揮することもできません」(『我が国の社会主義の優越性をさらに強く発揮しよう』1990年5月24日)

 主席は、革命の主体を強化するうえで基本となるのは、その中枢をなす党を強化し、その指導的役割を高めることであると述べた。同時に、勤労人民大衆を党のまわりに一つの思想、一つの意志でかたく結束させなければならないと述べた。

 また、社会主義偉業を固守し前進させるためには、社会主義の優越性を全面的に発揮しなければならないと指摘した。

 朝鮮の社会主義は、一言でいってチュチェ思想を具現した人間中心の社会主義である。そして社会の基本的特徴は、人民大衆が社会の真の主人であり、社会のすべてのものが人民大衆に奉仕する真の人民の社会であるというところにある。社会主義が人民の生命であるなら、チュチェ思想は社会主義の生命である。

 主席は、朝鮮の社会主義の優越性は、人民の享受している幸せで希望に満ちた社会主義的生活に明白にあらわれていると指摘したうえで、社会主義的生活の本質は、人民大衆が国家と社会の主人として享受する自主的で創造的な生活であり、互いに助け導き合って苦楽をともにする集団主義的な生活であるということを明らかにした。

 そして、朝鮮人民の享受している社会主義的政治生活と文化生活、物質生活の優越性について明示した。

 まず、社会主義的物質生活は、人間の自主的要求の実現と創造的活動の保障に寄与する健全なものであり、貧富の格差がなく、すべての人がひとしく豊かに暮らす平等なものであるところにその優越性があると指摘した。そして、社会主義的文化生活の本質的特徴、優越性は、人間を堕落させ病ませる資本主義的文化生活とは違って、精神的、肉体的にたえず発展しようとする人間本来の要求を実現させ、全人民を文化の創造者、享受者にするところにあると述べた。また、誰もが国家と社会の主人として真の政治的自由と権利を享有し、貴い社会的政治的生命をもってそれを輝かしていくところに社会主義的政治生活の本質的特徴、優越性があると述べた。

 主席は、社会主義の優越性を全面的に発揮するためには、人民政権を強化し、思想、技術、文化の3大革命を力強くおし進めなければならないと指摘した。

 主席は、思想的要塞を占領することに第一義的な力を注ぎ、社会の全構成員をチュチェ型の人間に育て上げなければならないとし、そのためには、思想革命と文化革命をおし進め、全社会の革命化、労働者階級化、インテリ化を実現しなければならないと指摘した。同時に、物質的要塞を占領するための社会主義経済建設、技術革命を力強くおし進め、党の基本戦略である人民経済の主体化、近代化、科学化の路線を堅持し、これを貫徹すべきであると強調した。

 主席は、人民政権を強化し、その機能と役割を高めるためには、国家活動において社会主義的民主主義を具現しなければならないと指摘したうえで、その本質と優越性を深く解明し、帝国主義者の宣伝する「民主主義」の欺瞞性と反人民性をあばいた。そして、社会主義的民主主義を具現するためには、帝国主義者と人民の敵の反革命的・反社会主義的策動を粉砕し、社会主義制度をさらに打ちかため、たえず発展させていかなければならないと強調した。

 また、社会主義はもっぱら社会主義の原則と方法によってのみ建設することができるのであり、社会主義建設で提起されるすべての問題は、あくまでも社会主義的原理にもとづき社会主義の優越性を発揮することを原則に、そして革命の主体である人民大衆の底知れない創造力を引き出す方法で解決しなければならないと述べた。

 主席は、社会主義の優越性を強く発揮して経済建設を成功裏におこなうためには、社会主義社会本来の要求に即して、チュチェの経済管理原則と経済管理システムをあくまで擁護、貫徹しなければならないと指摘した。

 社会主義偉業を固守し前進させるための根本原則と闘争課題が明示されたことで、チュチェの社会主義理論はさらに完璧なものとなり、帝国主義者と反動派が広めるあらゆる反革命的な詭弁と反社会主義的策動を粉砕し、社会主義を守るたたかいで勝利をおさめることのできる強力な思想的・理論的武器がもたらされるようになった。





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