『金日成主席革命活動史』

第9節 全世界の自主化偉業を実現するために
 

 1980年代に至り、世界の平和と安全は至るところで撹乱され、一連の地域では国と民族の自主権が甚だしく蹂躙され、人民大衆の自主偉業は試練に直面した。

 新たな情勢は、世界的規模で反帝・自主の旗を高く掲げ、アメリカ帝国主義をはじめ、国際反動勢力の策動を粉砕し、支配と従属のない自主化された新しい世界を建設するためのたたかいを力強く展開することを切実に求めていた。

 金日成主席は、1982年4月の朝鮮労働党中央委員会・最高人民会議合同会議での施政演説をはじめ一連の著作で、全世界の自主化を実現すべく方針を示した。

 金日成主席は、次のように述べている。

 「世界の進歩的人民は、自主性の時代的潮流をいっそう力強く推し進めることによって、全世界の自主化を実現しなければなりません」

 主席は、全世界を自主化するうえで主体となるのは、自主性を擁護する世界の人民であり、主な闘争対象はアメリカをはじめ、世界の帝国主義勢力であると規定した。そして、全世界の自主化を実現するためには、すべての国、すべての民族が、自主性を堅持し、帝国主義者の支配と従属に反対し、自主性にもとづく平等な国際秩序を確立し、侵略と戦争に反対して世界の平和と安全を守り、帝国主義者の分裂・離間策動を粉砕して反帝自主勢力の団結を強化しなければならないと強調した。

 主席は、自主性を擁護する世界人民間の団結、反帝自主勢力の団結を強化することに大きな力をそそいだ。

 まず、社会主義諸国との友好・協力関係を発展させることに第一義的な関心をはらった。

 主席は1982年9月と1984年11月、1987年5月に中華人民共和国を訪問し、伝統的な朝・中友好を強化、発展させるため精力的に活動した

 また、1984年5月中旬から7月初めにかけて、党および国家代表団を率いてソ連と東欧社会主義諸国を公式親善訪問した。訪問期間、主席はこれらの国の党および国家指導者との会談と談話を通じて、社会主義国間の統一・団結を実現し、社会主義の原則を堅持していく朝鮮労働党の原則的立場を明らかにし、友好・協力に関する条約を締結し、多くの都市と農村、工場、企業を参観して勤労者の労働の成果をたたえ励ました。

 そして、訪問の過程で時間を割き、38年前に平壌駅前広場で催された3.1人民蜂起記念行事の際、反動分子が投げつけた手榴弾を身をもって防ぎ朝鮮革命の首脳部を防衛した国際主義戦士ノビチェンコに会い、彼に大いなる愛と配慮をめぐらした。また、ソ連と東欧社会主義諸国の他の縁故者にも会って恩情をめぐらした。

 主席は1986年10月下旬、再びソ連を訪問し、帝国主義者の反社会主義的策動から社会主義偉業を固守するうえで提起される原則的問題を示し、1988年6月下旬から7月初めにかけてモンゴルを親善訪問し、この国の社会主義建設における成果を高く評価し、大いに励ました。

 主席の社会主義諸国に対する歴史的な訪問は、朝鮮革命の国際的連帯を強め、世界の平和と安全を守り、全世界の自主化の実現に大きく寄与した。

 主席は、社会主義諸国への訪問を通じて友好・協力関係を発展させる一方、社会主義国の党首や元首をはじめ、指導者を朝鮮に招き、友好・団結と協力関係をいっそう発展させていった。

 1983年、キューバ人民の反帝反米闘争を支援して10万挺の自動小銃と大量の弾薬を送り、1986年3月にはキューバ共産党中央委員会第1書記・キューバ共和国国家評議会議長のフィデル・カストロ・ルス内閣首相を招請し、社会主義偉業の遂行において革命的立場と原則を堅持する意志をいま一度確認し、友好および協力に関する条約を締結した。

 そして、1986年10月にドイツ民主共和国の党および匡家指導者を、1988年10月にはルーマニア大統領をはじめ、社会主義諸国の党および国家指導者を招請し、友好・協力関係を発展させる問題をはじめ、それぞれが関心を寄せる問題、社会主義的原則を固守する問題などについて真摯に意見交換をした。

 主席は、非同盟運動の統一と団結を強化し、非同盟諸国、発展途上諸国間の友好・協力関係を発展させることに大きな関心をはらった。

 我々の時代の強力な反帝・自主勢力である非同盟運動の統一と団結を強化することは、全世界の自主化を実現するための必須の要求であり、帝国主義者が、非同盟諸国を分裂、離間させようと悪辣に策動し、国家間の紛争が依然としてつづいている状況のもとでは特に重要な問題であった。

 主席は非同盟運動の統一と団結を強化するため、1986年6月の朝鮮労働党中央委員会政治局・中央人民委員会合同会議での結語『非同盟運動の強化、発展のために』をはじめ一連の著作で、非同盟諸国がこの運動の根本理念と原則を忠実に守り、意見の相違や紛争問題を団結の原則に立って話し合いの方法で解決することなど、非同盟運動で堅持すべき原則的問題を明らかにした。

 そして、非同盟諸国の国家元首をしばしば朝鮮に招請して、非同盟運動内に生じた難関を打開し、この運動の統一と団結を強化し、世界の自主化を促進するうえで提起される問題について述べ、彼らのたたかいを激励した。

 主席は、1981年2月にニューデリーで開かれた非同盟諸国外相会議と1983年3月、1986年9月、1989年9月に、それぞれ開催された第7回、第8回、第9回非同盟諸国首脳会議をはじめ、重要な会議に代表団を派遣し、非同盟運動加盟国が反目と対立、紛争を克服し、統一と団結を志向するようあらゆる努力を尽くすようにした。

 そして、非同盟諸国、発展途上諸国が支配と従属の古い国際秩序を打ち壊し、自主性にもとづく新しい国際秩序を確立し、集団的自力更生の原則で政治、経済、文化の各分野にわたって南南協力を発展させていくようにした。

 主席は、南南協力を発展させ、非同盟諸国が経済的自立をなし遂げるうえで重要な意義のある一連の国際会議を平壌で開催するようにした。

 こうして、1981年8月に食糧および農業増産に関する非同盟およびその他の発展途上諸国の討論会が、1983年9月には第1回非同盟およびその他の発展途上諸国の教育・文化相会議が、1987年6月には南南協力に関する非同盟諸国閣僚級特別会議が平壌で開催された。

 主席は、食糧および農業増産に関する非同盟およびその他の発展途上諸国の討論会に参加した代表団を歓迎する宴会でおこなった演説『非同盟諸国と発展途上諸国は自力更生して農業問題を解決しよう』と、第1回非同盟およびその他の発展途上諸国の教育・文化相会議に参加した閣僚たちにおこなった演説『新興諸国の民族文化を発展させるために』、そして、南南協力に関する非同盟諸国閣僚級特別会議での祝賀演説『南南協力を拡大発展させよう』で、非同盟諸国、発展途上諸国の人民の新しい社会の建設をめざすたたかいで提起される問題の解決方途を示した。

 主席は、非同盟諸国、発展途上諸国の人民のたたかいを誠心誠意支援した。

 主席は、発展途上諸国との協力において農業生産力の発展に第一義的な関心をはらい、タンザニアとギニアに農業科学研究所を、ガーナをはじめとするアフリカ諸国に試験農場を設置するとともに、朝鮮の有能な農業科学者と技術者を派遣し、潅漑工事もおこなうようにした。また、工業と民族文化を発展させるため、私心のない援助と協力をおこなった。

 主席は、アメリカをはじめ、帝国主義者の侵略と戦争政策に反対し、世界の平和と安全を守るためのたたかいを力強く繰り広げるよう導いた。

 主席は、戦争を防止し平和を守るために、軍縮を実現し、核兵器を完全に廃棄し、他国にある侵略軍と侵略的軍事基地を撤去し、帝国主義者が「軍縮」と「緩和」を表看板に社会主義諸国を武装解除させ、力で優位に立とうと画策していることに警戒心を高め、他国に対する帝国主義者の武力干渉と軍事的侵略に反対してたたかわなければならない、という原則的問題を明らかにした。

 主席は、朝鮮半島と世界の各地域を非核地帯、平和地帯にするため精力的に活動した。

 1981年3月中旬に日本社会党代表団と会見した際、朝鮮半島をはじめ、東北アジア地域に非核地帯、平和地帯を創設することを提案し、1984年9月に再び日本社会党代表団に会ったときには、政権党であろうと政権党でなかろうと、各国の党と社会団体、そして、広範な人民大衆は、力を合わせてアジアに非核地帯、平和地帯を創設するためさらに積極的にたたかうべきであると強調した。そして1986年6月、朝鮮半島を非核地帯、平和地帯にし、その地位を確固と保証するための実際的な対策を講ずることを求める提案を打ち出した。

 主席は、アフリカと中近東、インド洋と南太平洋、バルカン半島とヨーロッパの各地域をはじめ、世界の広い地域に非核地帯、平和地帯を創設するための世界各国人民のたたかいを積極的に支持、声援することで、世界の平和を愛する人民の反戦・反核・平和運動を大いに鼓舞激励した。

 主席は、反帝・自主、平和、親善のための国際会議と祭典、政治行事を成功させるため積極的に活動した。

 1983年7月の反帝・親善・平和のための世界ジャーナリスト大会に参加した代表を歓迎する宴会での演説と、1986年9月の朝鮮半島における非核・平和のための平壌国際会議に参加した代表を歓迎する宴会での演説で、反戦・反核・平和運動の指針を示した。

 また、1989年7月に反帝・連帯、平和と親善の理念のもとに朝鮮でおこなわれる第13回世界青年学生祭典が史上最高の水準で開催されるようにし、みずから祭典の開幕式に列席して『青年学生は時代の先駆者になろう』という祝賀演説をおこなった。

 主席は、全世界の自主化偉業を達成するためのたたかいを積極的に推し進めることで、全社会のチュチェ思想化と祖国の自主的統一をめざす闘争にいっそう有利な国際的環境をもたらし、反帝・自主偉業の実現に不滅の貢献をした。

 こうして、世界の革命的人民から自主時代の偉大な指導者、領袖として尊敬され信頼された。





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