『金日成主席革命活動史』

第1節 朝鮮労働党第6回大会


 1980年代に入って朝鮮革命は転換期を迎えた。

 金日成主席の指導によって思想、技術、文化の3大革命が促され、その結果、社会主義の完全な勝利を早めるたたかいは大きく前進し、全社会のチュチェ思想化を全面的に実現する基盤がきずかれた。

 祖国の自主的平和統一をめざすたたかいも転機を迎え、特に、南朝鮮人民の反米反ファッショ闘争は高揚した。朝鮮革命の国際的連帯も著しく強化され、世界革命で果たす共和国の役割がいちだんと高まった。

 革命と建設が促進されるなかで、党の組織的・思想的基盤が強化された。これは、朝鮮労働党がより高い発展段階に入ったこと、特に、党と革命の将来の運命を左右する根本的問題が立派に解決されたことを意味している。

 このような歴史的転換期を迎えて、1980年10月10日から14日にかけて朝鮮労働党第6回大会が開催された。

 主席は、党中央委員会の活動報告で、第5回党大会以後革命と建設でおさめた輝かしい勝利と業績を全面的に総括し、新たな闘争綱領を示した。

 報告では、全社会のチュチェ思想化の課題が提起され、それは朝鮮革命の総体的任務であると規定された。

 金日成主席は、次のように述べている。

 「全社会のチュチェ思想化は、朝鮮革命の総体的任務であります。勤労人民大衆の自主性を実現するための労働者階級の革命偉業は、全社会をチュチェ思想化することによってはじめて最終的に完成されます」(『朝鮮労働党第6回大会でおこなった中央委員会の活動報告』1980年10月10日)

  チュチェ思想は、人間中心の世界観であり、勤労人民大衆の自主性の実現をめざす革命の学説である。したがって、チュチェ思想を指導指針とし、それを具現してこそ人間改造と社会改造、経済建設と文化建設で提起されるすべての問題を勤労人民大衆の自主的な志向と要求に即して解決し、共産主義の思想的要塞と物質的要塞を占領することができるのである。

 主席は、全社会をチュチェ思想化するためには、自主的立場と創造的立場を堅持し、思想、技術、文化の3大革命路線を貫徹しなければならないと指摘した。自主的立場と創造的立場は、革命と建設で提起される問題をすべて自分の頭で考え判断し、朝鮮革命の要請と朝鮮人民の利益に合わせて、みずからの方式で解決する先決条件である。また、思想、技術、文化の3大革命は、社会の全構成員をチュチェ型の共産主義的人間につくりあげ、経済と文化を共産主義社会にふさわしく改造する基本的な保障である。したがって、自主的立場と創造的立場は、全社会のチュチェ思想化で労働者階級の党が堅持すべき根本原則となり、3大革命は、社会主義・共産主義建設の総路線、全社会のチュチェ思想化を実現する根本的方途となる。

 主席は、全社会をチュチェ思想化するための当面の闘争課題は、社会主義の完全な勝利を達成することであると指摘している。

 全社会をチュチェ思想化する方針は、社会主義・共産主義建設で朝鮮人民の志向と要求を反映した革命的な方針であり、いまだ誰も歩んだことのない社会主義・共産主義への道を偏向なく進む科学的かつ独創的な方針である。

 全社会のチュチェ思想化を実現するためには第1に、全社会を革命化、労働者階級化、インテリ化しなければならない。

 金日成主席は、次のように述べている。

 「全社会を革命化、労働者階級化、インテリ化するたたかいは、社会の全構成員を革命的な思想・意識と高い文化水準をもった自主的で創造的な社会的存在にかえる人間改造事業であり、すべての社会関係を労働者階級の姿に改造する社会改造事業であります」(同上)

 全社会を革命化、労働者階級化、インテリ化すれば、革命と建設の主人である勤労人民大衆を全面的に発達した共産主義的人間につくりあげ、勤労者の完全な社会的平等を実現することができる。

 主席は、全社会を革命化、労働者階級化するためには、労働者階級の革命化、農民とインテリの革命化、労働者階級化に力を入れ、青少年を革命的に教育することであるとし、その具体的な方途を示した。特に、隠れた英雄たちに見習う運動を全社会の革命化、労働者階級化の重要な方途の一つであると指摘し、その運動をさらに組織的に、積極的に進めるべきであると強調した。また、全社会をインテリ化するためには、文化革命をおし進めて社会の全般的文化・知識水準を向上させ、それにもとづいて漸次すべての人の文化・知識水準を大学修了程度に到達させるべきであるとし、その具体的な課題を示した。

 全社会のチュチェ思想化を実現するためには第2に、経済建設を促し、人民経済を主体化、現代化、科学化することである。

 金日成主席は、次のように述べている。

 「社会主義・共産主義の物質的・技術的土台を強固にきずくため我々に提起される基本課題は、人民経済の主体化、現代化、科学化を力強くおし進めることであります」(同上)

 人民経済の主体化、現代化、科学化は、社会主義・共産主義経済建設において一貫して堅持すべき戦略的路線である。この路線を貫けば、社会主義・共産主義の物質的・技術的基盤を強化し、全社会のチュチェ思想化を早めることができる。

 主席は、人民経済の主体化を実現するためには、原料・動力問題を国内資源に依拠して解決するとともに、経済および科学・技術の発展にともなって人民経済の部門構造を完備し、人民経済の現代化を実現するためには人民経済のすべての部門で立ち後れた技術を進んだ技術に改造して、生産の総合的機械化、自動化を実現し、人民経済の科学化を実現するためには、科学の研究に力を入れ、科学・技術を発展させなければならないと指摘した。

 次に主席は、1980年代の社会主義経済建設の基本的課題を示した。

 金日成主席は、次のように述べている。

 「1980年代の社会主義経済建設の基本的課題は、完全に勝利した社会主義社会にふさわしい強固な物質的・技術的土台をきずき、人民の物質・文化生活を画期的に向上させることであります」(同上)

 主席は1980年代に到達すべき社会主義経済建設の展望目標は、1年間に電力1000億KWh、石炭1億2000万トン、鋼鉄1500万トン、非鉄金属150万トン、セメント2000万トン、化学肥料700万トン、織物15億メートル、水産物500万トン、穀物1500万トンを生産し、今後10年間に30万ヘクタールの海面干拓をおこなうことであるとし、その実現のための人民経済各部門の課題を示した。

 1980年代社会主義経済建設の10大展望目標は、社会主義の完全な勝利を保障する経済建設綱領であり、社会主義経済強国建設の大設計図である。

 主席はまた、祖国の自主的平和統一を促進する課題を示し、そのためには、南朝鮮の軍事ファッショ支配を一掃して社会の民主化を実現し、朝鮮における緊張を緩和して戦争の危険を除き、アメリカ帝国主義の「2つの朝鮮」策動を阻止し朝鮮の内政にたいするアメリカ帝国主義の干渉を終わらせるべきであるとし、祖国統一の3大原則にもとづいて高麗(コリョ)民主連邦共和国を創立する新たな統一方案を提起した。

 金日成主席は、次のように述べている。

 「我が党は、祖国を自主的に、平和的に、民族大団結の原則に従って統一する最も現実的かつ合理的な方途は、北と南に現存する思想と体制をそのままにして双方が連合し一つの連邦国家を形成することであると認めます」(同上)

 主席は、連邦国家の創立と関連した諸問題を全面的に解明し、高麗民主連邦共和国の10大施政方針を提起した。

 それは第1に、国家活動のすべての分野で自主性を堅持し、自主的な政策を実施すること。

 第2に、国の全地域と社会の各分野にわたって民主主義を実施し、民族の大団結をはかること。

 第3に、北と南のあいだの経済合作と交流を実施し、民族経済の自立的発展を保障すること。

 第4に、科学・文化・教育分野において北と南のあいだの交流と協力を実現し、国の科学・技術と民族文化・芸術、民族教育を統一的に発展させること。

 第5に、北と南との断絶された交通、逓信を連結し、全国的範囲で交通および逓信手段の自由な利用を保障すること。

 第6に、労働者、農民をはじめ、勤労大衆と全人民の生活安定をはかり、その福祉を系統的に増進させること。

 第7に、北と南のあいだの軍事的対峙状態を解消し、民族連合軍を組織して外国の侵略から民族を防衛すること。

 第8に、すべての在外朝鮮同胞の民族的権利と利益を擁護し保護すること。

 第9に、北と南が統一以前に外国と結んだ対外関係を正しく処理し、両地域政府の対外活動を統一的に調整すること。

 第10に、全民族を代表する統一国家として世界のすべての国との友好関係を発展させ、平和愛好的な対外政策を実施すること、である。

 主席の示したこの統一国家の10大政綱は、全朝鮮民族の共通の志向を反映し、朝鮮の進むべき前途を明らかにした民族共同の救国綱領であり、祖国統一の大憲章である。

 主席は、次に、国際革命勢力を強化し世界革命を促すうえで提起される原則的な問題を全面的に解明した。

 主席は、現国際情勢の主な特徴は、反帝・自主をめざす人民の闘争が日ましに高まっている反面、支配圏を維持、強化するための列強の侵略と争奪策動がいっそう強まっていることであるとし、新しい世界戦争の危険を除去し、世界の平和と安全を守るのは、すべての平和愛好諸国人民の最も重要な任務であると指摘した。そして、帝国主義者、支配主義者の侵略と戦争の政策に反対し、世界の平和と安全を守るためには、反帝・自主勢力の団結を強め、非同盟運動を拡大、発展させることであるとし、その原則的問題を再び明らかにした。

 主席はまた、現在、世界革命を発展させるうえで重要な問題は、社会主義勢力と国際共産主義運動の統一と団結を実現することであり、社会主義諸国と共産党、労働者党は、団結を優先させて、これにすべてを従わせ、決して分裂を助長し、団結を妨げる行動をとってはならないと強調した。

 主席はつづいて、朝鮮労働党の自主的な対外政策をいま一度明らかにした。

 金日成主席は、次のように述べている。

 「我が党はこれまでと同様に今後とも、対外活動で自主性を堅持して、世界各国との友好・協力関係を発展させ、世界の平和と安全を保障するため積極的に努力するでしょう。自主、親善、平和、これが我が党の対外政策の根本理念であります」(同上)

 主席は、朝鮮労働党の対外政策の根本埋念を実現するためには、チュチェ思想の旗を高くかかげて自主的な対外政策を実施し、共和国の自主権を尊重する世界各国との親善関係を発展させ、世界の恒久平和と安全を保障するため積極的にたたかい、いっさいの支配と従属に反対し、民族の独立と新しい社会の建設をめざしてたたかう世界各国人民を極力支持することであると指摘した。

 主席は最後に、全社会のチュチェ思想化の要求に合わせて党活動を強化するための綱領的課題を示し、党活動でなによりも重要な課題は、全党に唯一思想体系を確立することであると指摘した。

 金日成主席は、次のように述べている。

 「(略)党の唯一思想体系を確立する活動は、党が存在する限りつづけられなければならず、革命の深化とともにいっそう強化されなければなりません。我々は、党の唯一思想体系の確立を党建設の基本路線としてとらえ、この活動をひきつづき力強くおし進めなければなりません」(同上)

 主席は、全党に唯一思想体系を確立するためには、すべての党員をチュチェ思想で武装させ、チュチェ思想にもとづく党の思想・意志の統一と革命的団結を強め、党内に革命的な活動体系と規律を確立することであると指摘した。

 主席は党活動で、次に重要な課題は、対人活動を強化し、党と革命の隊列をかためることであるとし、そのためには、幹部の選抜、配置を正しくおこない、党員の党生活を強化し、広範な大衆を党のまわりにかたく結集し、党思想活動を積極的に進めなければならないと強調した。

 主席は党活動で重要な課題はまた、朝鮮労働党の栄えある革命伝統を正しく継承し発展させることであると指摘した。

 金日成主席は、次のように述べている。

 「我々は、革命伝統の継承、発展を党活動の重要な課題としてとらえていくことによって、革命と建設を力強くおし進め、チュチェの革命偉業を立派に継承し完遂しなければなりません」(同上)

 朝鮮労働党の革命伝統は、主席によって形成されたチュチェの革命伝統である。それを継承し発展させるたたかいは、主席の革命思想、チュチェ思想を擁護し具現するたたかいであり、主席の革命業績を強固にし、たえず発展させるたたかいである。主席は、革命の世代が入れ替わっているこんにち、革命伝統を継承、発展させることは特に重要な問題であると指摘し、党員と勤労者を朝鮮労働党の革命伝統で武装させ、「生産も学習も生活も抗日遊撃隊式に!」という革命的なスローガンのもとに社会生活のすべての分野に革命伝統を具現しなければならないと指摘した。

 主席は党活動で重要な課題はまた、革命と建設にたいする党の指導を強め、党活動方法を不断に改善することであるとし、革命と建設にたいする党の指導は、政治的指導、政策的指導であり、党組織はなによりも社会主義経済建設にたいする党の指導を正しく進め、人民政権機関と人民軍隊、社会安全機関、司法・検察機関にたいする指導を強化すべきであると指摘した。そして、党組織は、党活動方法を改善するためチョンサンリ精神、チョンサンリ方法を貫徹し、党活動家は人民的な活動作風を身につけるべきであると強調した。

 主席によって示された党活動の改善方針は、朝鮮労働党を永遠にチュチェの革命的党に、百戦百勝する戦闘的党に強化する正しい方途を示した綱領的な指針であり、労働者階級の党建設で堅持すべき強力な思想的・理論的武器である。

 第6回党大会でおこなった主席の報告は、朝鮮人民の革命闘争と建設事業を常に勝利に導き、世界革命の促進に大きく貢献した朝鮮労働党の活動と闘争業績および経験を総括した歴史的な文書であり、全社会のチュチェ思想化を朝鮮革命の総体的任務と規定し、社会主義の完全な勝利と祖国の自主的平和統一の近道を示した綱領的な文書である。それはまた、国際革命勢力を強化し、世界革命の新たな戦略と方途を示し、世界各国人民の革命運動と反帝・自主偉業を促進する旗印である。さらにそれは、実践をとおしてその正しさが確証されたチュチェ思想とそれにもとづく革命と建設の理論と方法を全面的に体系化し、現時代とこんにちの革命実践が提起する原則的な問題に完全な解答を与えた古典的文書であり、労働者階級の革命理論の発展に大きく寄与し、人類思想の宝庫を豊かにした貴重な理論的財宝である。

 大会は、全党員と人民の一致した意思と念願を反映して、金日成主席を朝鮮労働党中央委員会総書記に再選した。

 大会はまた、全社会のチュチェ思想化の要請に即して朝鮮労働党を永久に金日成主席の党として発展させるために、新しい党規約を採択した。

 世界の118か国から177の代表団と代表、著名な社会・政治活動家と人士が参加して盛大に開かれた朝鮮労働党第6回大会は、チュチェ思想の全面的勝利と党の不敗の威力を内外に誇示した勝利の大会であり、朝鮮革命の勝利の前進とチュチェ偉業の完成を保障する歴史的な大会であった。

 第6回党大会以後、革命と建設は新たな段階に入り、社会主義の完全な勝利を達成し全社会をチュチェ思想化する歴史的偉業には決定的な転換が起きている。


※    ※    ※

 金日成主席は、革命運動を開始してこんにちまでの長い間、すぐれた思想・理論活動と正しい指導、高邁な共産主義的徳性をもって、労働者階級の革命思想を高い段階に発展させ、朝鮮革命を勝利へ導きながら全人民をチュチェ型の共産主義革命家に育成してきた。

 金日成主席の指導があるからこそ、朝鮮労働党と朝鮮人民の勝利と栄光に輝く歴史がつづられ、世界に誇りうるこんにちの栄誉と幸福がもたらされ、希望と信念にみちた明るい未来が約束されているのである。

 全党員と勤労者は、これまでと同じく今後も、金日成主席と党中央に永久に忠誠をつくし、主席と党中央の思想と指導に従って、主席が切り開いたチュチェの革命偉業を代を継いで完成するため力強く前進するであろう。




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