『金日成主席革命活動史』

第11節 自主性の旗印による世界革命の促進方針を提示。
チュチェ思想の世界的普及


 1970年代に入って各大陸、各国の人民は、あらゆる形の支配と従属に反対し、自主性を実現するために力強くたたかった。

 社会主義諸国の人民は、帝国主義の侵略に反対し自主性の完全な実現に向けて革命と建設を促し、植民地・半植民地および新興諸国の人民は、あらゆる形態の支配と従属に反対し、国家と民族の自主性を達成するため積極的にたたかった。資本主義諸国の人民も外国の圧力と干渉を排し、自主性を求めて立ちあがった。世界各国人民が、自主性を求め、多数の国が自主の道へと進むのは、いかなる力をもってしても阻むことのできない現時代の基本的趨勢となった。

 自主勢力の急速な成長に恐れをなした国際反動と支配勢力は、民族の独立と新社会の建設をめざして進む人民のたたかいをおしつぶそうとして、武力干渉と転覆、破壊活動をたえず強行した。かれらは、主要資源地帯と軍事戦略上の要衝を手に入れようとして角逐戦をくりひろげ、弱小国の自主権を蹂躙した。

 こうした情勢は、時代の思潮に逆行して自主性を蹂躙するあらゆる支配勢力の反革命的策動を粉砕し、世界各国人民の自主偉業の勝利を早める正しい闘争方針の提示を切実に求めた。

 主席はこうした情勢を見きわめ、朝鮮労働党創立30周年および朝鮮民主主義人民共和国創建30周年にさいしておこなった報告をはじめ、多くの著作をとおして、自主性の旗のもとに世界革命を促進するすぐれた戦略・戦術的方針を示すとともに、「自主性を擁護する世界の人民と団結しよう」という戦略的スローガンを示し、自主性の擁護を世界各国人民の共通の闘争目標として提起した。

 金日成主席は、次のように述べている。

 「自主性は、個々の民族の権利であり、いかなる民族も他国に隷属されたり、民族の尊厳が踏みにじられたりするのを許そうとはしません。自主性があってこそ、民族の幸福と栄誉があるのであり、自主性をもつ民族であってこそ真の独立と繁栄を遂げることができるのです」(『自主の旗を高くかかげて進む第3世界人民の革命偉業は、必ず勝利するであろう』1974年3月4日)

 自主性は、国家と民族の生命であり、自主性を擁護し実現することは、個々の国の革命と世界革命の根本の目的であると同時に、革命勝利の先決条件である。

 個々の国と民族は、自主性を擁護してこそ、みずからの尊厳と栄誉を守り富強な新社会を建設することができ、世界的にあらゆる支配と従属をなくし、すべての人民が自主的で創造的な生活を営む新しい世界を建設することができる。

 主席は、世界の革命的人民が自主性を擁護するためには、帝国主義、支配主義に反対してたたかうべきであると指摘した。

 金日成主席は、次のように述べている。

 「支配主義は、自主性をめざして進む現代の趨勢に逆行する反革命的潮流であり、世界の革命的人民の共通の闘争対象であります」(『チュチェ思想の旗を高くかかげ、社会主義建設をさらに促進しよう』1978年9月9日)

 他国の自主性を蹂躙し、他民族と人民を抑圧し統制するのは、いかなる形態、いかなる国家にかかわりなくすべて支配主義である。支配主義は、自主性を求める世界の革命的人民の志向と自主の道を進む現時代の趨勢に逆行する反革命的潮流であり、自主性を擁護するたたかいの主な障害物である。支配主義を克服しないでは、国家と民族間の抑圧と従属の関係を一掃することはできず、人類解放偉業の完全かつ最終的な実現はありえない。したがって、帝国主義と支配主義は、自主性を擁護する世界の革命的人民にとって共通の闘争対象である。

 主席は、帝国主義をはじめ、あらゆる支配主義に反対してたたかうためには、自主性を擁護する世界各国の人民がかたく団結しなければならないと強調した。

 金日成主席は、次のように述べている。

 「自主性を擁護する世界の人民との団結と協力を強化発展させることは、我が党の対外政策の一貫した原則であります。自主性を擁護する世界の人民と団結し、友好・協力関係を発展させることは、朝鮮革命に有利な国際的環境をつくり、国際革命勢力を強化して世界革命の勝利を早める重要な保障となります」(『朝鮮労働党創立30周年にさいして』1975年10月9日)

 社会主義をめざす世界労働者階級の闘争、民族の解放と独立をめざす被抑圧人民の闘争をはじめ、世界各国で展開されているすべての闘争は、その性格と目的、解決すべき課題がそれぞれ異なっていても、本質においてはいずれも自主性を擁護するたたかいであるという共通点をもち、また、この共通点のゆえに一つの流れに合流している。そして、自主性を擁護するすべての勢力がかたく団結してこそ、支配勢力にたいする革命勢力の決定的な優位を確保し、支配勢力の反革命的策動を成功裏にうち破ることができる。支配勢力が革命途上諸国を仲たがいさせて互いに争わせ、そこで漁夫の利を占めようと策動している状況にあって、このことは特に緊切な問題である。

 主席が示した自主性の旗のもとに世界革命を促進するという戦略・戦術的方針は、世界各国人民の自主的な志向と要求に即して人類史の発展をおし進める労働者階級の根本的立場を反映した革命的方針であり、国際的な力関係の変化と情勢の推移を見きわめたうえで世界革命勝利の近道を示した正しい方針である。

 主席は、自主性の旗のもとに世界革命を促進するために心をくだき、なによりも非同盟運動の強化に深い関心を払った。

 非同盟運動は、あらゆる支配と従属に反対し自主性を志向する進歩的運動であり、帝国主義反動勢力と対峙している現時代の有力な革命勢力である。この運動を発展させてこそ、帝国主義者の侵略と干渉策動を排除して、国際的に提起されるすべての問題を新興諸国人民の要求と利益に即して解決することができる。

 こうした情勢の推移を見きわめた主席は、1974年5月、党中央委員会政治委員会拡大会議で、共和国の非同盟運動への加盟方針を示した。そして1975年8月、共和国は非同盟運動の正式加盟国となった。

 その後、主席は、この運動を新興諸国人民の自主的な志向と要求に即して発展させることに取り組み、1975年12月の『非同盟運動は、我々の時代の強大な反帝革命勢力である』と題する論文をはじめ、多くの著作で、非同盟運動の地位と役割、この運動を発展させるうえでの原則的問題を全面的に解明した。

 主席は、反帝闘争を強めてこそ民族の独立を強化し、国の自主的発展を達成することができ、非同盟運動の目的も実現することができるとし、反帝反植民地主義闘争の強化は非同盟諸国の最も重要な課題であると指摘した。そして、すべての非同盟諸国がかたく団結して広範な反帝統一戦線を形成し、団結した力で反帝反植民地主義共同闘争をくりひろげ、また、政治的にかたく団結し、経済的、技術的に緊密に協力して国の自主的発展をはかり、反帝共同偉業の勝利を早めるべきであると強調した。

 主席は、支配圏の維持と拡張をめざす帝国主義者、支配主義者の策動によって非同盟運動が重大な試練に直面するや、国際情勢および非同盟運動の内外の情勢を全面的に分析し、非同盟の旗を高くかかげてこの運動を発展させるうえで提起される原則的問題を明らかにした。主席は、非同盟運動のすべての加盟国は、運動の固有な伝統と特性を守り、自主性を堅持して、一時経済的困難に直面するようなことがあっても支配勢力の「援助」に眩惑されたり、離間・分裂策動に乗せられてはならず、紛争問題はあくまで団結の理念にもとづいて協議の方法で解決し、内政干渉や特権的地位を許さない原則のもとに広範な統一戦線を形成して支配勢力の侵略と干渉に団結の戦略をもって対抗すべきであり、また、新しい国際経済秩序を立てるために努力し、国際政治関係においても列強の特権と専横に反対してたたかわなければならないと指摘した。これらの原則的問題は、非同盟運動の統一団結の強化と、運動発展の指導指針となった。

 主席はまた、社会主義勢力と国際共産主義運動の統一団結と、すべての反帝・自主勢力の結束のためたゆみない努力を傾け、なによりも社会主義諸国と共産党および労働者党の団結を優先させて、これにすべてを従わせ、意見の相違はあとにまわして共通点を見出し、団結をはかるよう全力を尽くした。そして、互いに分裂を助長したり団結を妨げるようなことをせず、団結と統一に有益なことのみをするよう、常に関心を払い、その模範を示した。また、新興諸国と世界の革命的人民が、自主性を堅持し、帝国主義にたいしていかなる幻想もいだかず、常に原則的立場を守るよう注意を払い、自主性を擁護するかれらのたたかいに積極的な支持を送った。特に、1975年4月〜6月と1980年5月に社会主義諸国と新興諸国を訪問して、自主性をめざすかれらのたたかいに連帯を表し、親善協力関係の発展をはかった。

 また、1970年代だけでも共和国を訪問した多くの外国の党、国家、政府の首脳や指導者、政界、学界その他各界の著名人士と会い、対外関係の強化をはかった。

 主席の世界革命の発展に寄与した不滅の業績とその高い国際的権威のゆえに、共和国の対外的地位は急激に高まり、朝鮮革命の国際的連帯は非常に強化された。

 共和国は、1970年代だけでも66か国と新たに外交関係を結び、多くの国との政治・経済・文化関係を拡大し、また、国際民主団体や経済協力機構をはじめ、各種の国際協力機構、国連専門機構などに加入して積極的な活動を展開している。

 こうして、共和国と世界各国との友好関係はいっそう強化され、朝鮮人民の革命偉業の支持者、共鳴者が急激に増えている。

 こうした趨勢を反映して主席の革命思想、チュチェ思想が世界的に急速に普及した。

 金日成主席は、次のように述べている。

 「我々のチュチェ思想は、日を追ってますます世界人民の大きな共感を呼びおこしています。これは、チュチェ思想が自主性を求める世界人民の志向と念願に合致しているからだと思います」(『オーストラリア記者の質問にたいする回答』1974年11月4日)

 こんにち、世界の進歩的人士と革命的人民は、チュチェ思想を労働者階級の偉大な革命思想として受けとめ、人類の進路を示す灯台とたたえている。多くの外国の革命家と社会活動家、学者が、チュチェ思想と、これを具現した実践的経験を学ぶため間断なく共和国を訪ねており、また、いろいろな方法を通じて自国でチュチェ思想を深く研究し、宣伝、普及している。

 主席の著作は、世界で50余民族語で翻訳出版されでおり、多くの国の出版社が主席の著作出版を最も重要な業務としている。このほかにも、新聞『チュチェ思想』、ブレティン『チュチェ時代』、『自主の旗』など各種定期刊行物が発行されている。

 また、主席の革命思想、チュチェ思想を研究、普及する研究会が、各大陸の多数の国に組織されている。

 主席の革命思想研究会は1969年にマリで最初に組織され、同年末には中近東とアフリカの20余か国で数10の研究会が結成された。ついでアジア、アフリカ、ヨーロッパ、ラテンアメリカの多くの国に「金日成同志の革命思想研究会」「金日成同志のチュチェ思想研究会」「金日成同志の労作研究会」「金日成同志の革命活動史研究会」その他いろいろな名称の研究会が組織され、「金日成図書館」も設置された。また研究会は、世界反動の本拠アメリカにも組織された。

 これらの研究会には、政界と言論界の著名人、博士、教授、学生など各界の人々が参加している。

 最近には、多くの研究会がその名称を「金日成主義研究会」「金日成主義研究委員会」に改めている。また、多くの国で研究会の全国的な指導体系をつくって、その活動を組織化する動きを見せており、多くの研究会を統一的に指導する中央機構も設置されている。

 1978年4月には東京に、チュチェ思想を研究する世界各国人民の便宜をはかるための国際的常設機関としてチュチェ思想国際研究所が創立され、機関誌「チュチェ思想研究」が各国語で発刊されている。またアジア、ラテンアメリカなどの地域的チュチェ思想研究所も組織されている。

 チュチェ思想にかんする研究討論会も活発に進められている。日本をはじめ、多くの国で全国的討論会がしばしば開かれており、こうした討論会は、一国の範囲を越えて地域的、大陸的、ひいては国際的な討論会へと規模が拡大されている。

 1971年12月、レバノンで中近東地域の「金日成同志の創造的チュチェ思想研究討論会」が開かれて以来、毎年チュチェ思想にかんする地域討論会が開かれている。また1974年10月、トーゴで「金日成主席の農村テーゼ発表10周年を記念する『農村問題解決のための第三世界人民の課題』にかんする科学討論会」が開かれ、ついで1976年9月にはマダガスカルで、1977年9月には朝鮮民主主義人民共和国で、1979年4月にはインドで世界的なチュチェ思想討論会が盛大におこなわれた。

 主席の革命思想、チュチェ思想は、急速に世界に普及し、世界各国人民の思想意識の発展と実践活動に大きな影響を及ぼしている。チュチェ思想にかんする研究・普及活動が強化されるにつれて、この活動は学術的認識段階を越えて、漸次革命的実践の指導指針を探究する段階に入っている。多くの国で党と政府の高位クラスの人士が、チュチェ思想の研究・普及活動に積極的に参加しており、それを活動と生活の指導指針にしている。

 チュチェ思想は、革命的人民の思想観点に根本的な変化をもたらした。既成観念にとらわれていた多くの人が、いまではすべてを自主性の見地から考察し判断するようになり、自主性の擁護を自己の社会生活と社会活動の基本的目的とするようになった。こうしてこんにち、チュチェ、自主、自立という単語は、世界の出版物で最も多く使われる共通語となっている。

 チュチェ思想の急速な普及は、世界の力関係を革命の側に有利に変える過程を決定的に早めた。チュチェ思想が普及し、国際的思潮となるにつれて、自主の道を進む世界各国人民のたたかいはいっそう意識化、組織化された。こうして、自主勢力は阻むことのできない強大な国際的革命勢力に成長し、国際関係を左右する重要な要因となった。

 チュチェ思想の急速な普及はまた、世界各国人民の革命闘争、進歩的運動の様相を一新させた。世界の革命的人民の運動はすべて自主性擁護に向けられるようになり、人類は全世界が自主の道を進む新しい時代を迎えた。この奔流によって世界の様相は根本的に変わってきている。特に、過去、従属と抑圧と搾取、屈辱と虐待を強いられていたアジア、アフリカ、ラテンアメリカの三大陸が、自主の旗のもとに新しい世界として生まれ変わっている。

 これらの事実は、世界が、主席の革命思想、チュチェ思想の示す道、自主性の擁護とその実現をめざす闘争の道を前進していることを示している。





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