『金日成主席革命活動史』

第8節 不朽の労作『社会主義教育にかんするテーゼ』。
社会主義文化の発展


 金日成主席は、社会主義経済建設をおし進める一方、社会主義文化の発展に大きな力を入れた。

 主席は、社会主義文化建設において教育を最優先させ、その全面的な発展をはかった。

 ここではまず、若い世代を高度の一般知識と近代科学・技術の基礎知識を身につけた共産主義建設の後続部隊に育成するため、1975年には全般的11年制義務教育を全面的に実施し、ついで1976年には、『朝鮮民主主義人民共和国幼児保育・教育法』を制定して、幼児をすべて国家と社会の負担で保育する制度を法的に固定化した。また、働きながら学ぶ教育体系を発展させて、すべての勤労者の技術・文化水準を全般的に中学校修了程度に到達させるようはかった。

 特に、高等教育機関を拡充し、働きながら学ぶ高等教育体系を発展させるなどの措置を講じて、6か年計画期間に、技術者、専門家の数を100万名に拡大し、民族幹部問題を立派に解決した。こうして、70年代の半ばに、共和国の教育は極めて高度の段階に達し、民族経済と科学、文化を急速に発展させる大きな展望が開かれた。

 思想、技術、文化の3大革命が促進され、全社会のチュチェ思想化が日程にのぼった共和国北半部の実情は、すでに達成した成果を踏まえて、社会主義教育を急速に発展させることを急務とした。

 教育の発展をまってはじめて、社会の全構成員をチュチェ型の共産主義革命家に育成し、チュチェ思想にもとづいて経済と文化の改造を促進することが可能であった。こうした革命の要請を見きわめた主席は、1977年9月、党中央委員会第5期第14回総会で不朽の労作『社会主義教育にかんするテーゼ』を発表した。

 テーゼではまず、社会主義教育学の基本原理が明らかにされた。

 金日成主席は、次のように述べている。

 「社会主義教育学の基本原理は、人々を革命化、労働者階級化、共産主義化することである。つまり、人々を共産主義的革命思想で武装させ、そのうえで深い科学知識と健全な体力をもたせることである」(『社会主義教育に関するテーゼ』1977年9月5日)

 社会主義教育は、人間を自主的で創造的な社会的存在に育成する事業である。人間が自主的で創造的な存在となるためには、自主的な思想意識と創造的能力をもたなければならないが、これは教育によって達成される。したがって、社会主義教育の目的は、人間を自主的な思想意識と創造的能力を備えた共産主義的革命家に育成することである。社会主義教育がその目的を達成するためには、人々をまず共産主義的な革命思想で武装させ、さらに深い科学知識と健全な体力を備えるようにしなければならない。

 人間は共産主義的な革命思想を所有してこそ、共産主義的人間としての品位を備え、自主性と創造性を高度に発揮することができる。また、深い科学知識と健全な体力を所有してはじめて、自然と社会の変革に目的意識的に参加し、自主的で創造的な活動を展開することができる。

 したがって、社会主義教育学の基本原理は、共産主義的な革命思想と、自然および社会にたいする深い知識、健全な体力をかねそなえた共産主義的な人間、革命と建設に主人らしく参加する革命家を育成すること、すなわち、人々を革命化、労働者階級化、共産主義化することである。

 主席は、社会主義教育学の基本原理を正しく具現するため、教育事業で遵守すべき原則を明らかにした。それは、教育事業における党性、労働者階級性の具現と主体性の確立、教育と革命実践の結合および党と国家の責任のもとに教育事業を進めることである。

 主席は、テーゼのなかで社会主義教育の内容を明らかにした。

 金日成主席は、次のように述べている。

 「社会主義教育の内容は、人々を革命化、労働者階級化し、知・徳・体を兼備し全面的に発達した共産主義的人間に育成できるように構成されなければならない。社会主義教育の内容は革命性で貫かれるべきであり、科学性と現実性が保たれなければならない」(同上)

 主席は、社会主義教育においてはまず、政治・思想教育を強化すべきであると指摘した。政治・思想教育は、社会主義教育で最も重要な位置を占めている。政治・思想教育を強化してこそ、学生を革命的世界観が確立し、共産主義者としての思想的・道徳的品位を備えた革命家に育成することができ、科学・技術教育と体育でも成果をあげることができる。

 主席は政治・思想教育で重要なことは、学生をチュチェ思想で武装させ、科学的で革命的な世界観を身につけさせ、革命教育と共産主義教育を強化して労働者階級の革命意識と共産主義道徳を所有させることであると強調した。

 主席はまた、科学・技術教育を強化すべきであると指摘した。科学・技術教育は、人類が達成した先進的な科学・技術を修得し、その活用能力をつちかう教育である。これは、全面的に発達した人間の重要な条件であり、科学的な世界観を確立する基礎である。

 主席は科学・技術教育で重要なことは、一般知識教育と専門知識教育を強化し、これを徹底して党政策化することであると強調した。

 主席はさらに、体育を強化すべきであると指摘し、体育の使命は青少年学生の体力を増進し、労働と国防に備えさせることであり、学校体育では、学生の体力を鍛え、均整のとれた身体の発育に重点をおくべきであると述べた。

 主席は次に、社会主義教育の方法を明らかにした。

 金日成主席は、次のように述べている。

 「社会主義教育は、科学的で革命的な教育方法にもとづいておこなってこそ成果をおさめることができる。我々は、社会主義教育の目的と使命にそくして、科学的で革命的な教育方法をうち立て、それによって教育活動をおこなわなければならない」(同上)

 主席は、社会主義教育の方法で重要なことは、啓発式教授・教育をおこなうこと、理論教育と実践教育、教育と生産労働を結合させること、組織生活、社会・政治活動を強化し、教授活動と密着させることであり、これとあわせて学校教育と社会教育を結合させること、就学前教育と学校教育、成人教育を並行させることが重要であると強調した。

 この教育方法は、教育課程の合法則性と社会主義教育の本質を正しく反映した科学的な教育方法であり、社会主義教育の目的にかなった革命的な教育方法である。

 主席はさらに、共和国の社会主義教育制度の本質と優位性を明らかにし、この制度を発展させる課題を示した。すなわち、社会主義教育制度を発展させ完成するためには、全般的11年制義務教育制度と全般的無料教育制度、働きながら学ぶ教育制度、国家的幼児保育・教育制度を強化し、特に全社会のインテリ化をめざして全人民に高等教育を実施する準備をととのえるべきであるとし、また教育機関の機能と教育者の役割を高め・教育事業にたいする党の指導と国家の保障、社会の支援を強化することについても明らかにした。

 主席の著作『社会主義教育にかんするテーゼ』は、社会主義教育の理論的・実践的諸問題を集大成し、全一的に体系化した社会主義教育学の叢書であり、偉大な共産主義的教育綱領である。

 教育テーゼの発表によって、朝鮮労働党と人民には、次代の教育と民族幹部の育成を成功裏に進め、社会の全構成員をチュチェ型の共産主義革命家に育成し、全社会をインテリ化する有力な思想的・理論的武器が与えられた。テーゼは、労働者階級の教育理論を高い段階に発展させ、共産主義者と革命的人民に教育事業発展の正しい道を示した。

 主席は、社会主義教育テーゼの発表後、教育事業をいちだんと発展させるために努力を払った。まず、1978年10月、全国教育者大会を招集して、社会主義教育テーゼを貫徹するため、教員の資質と役割を高め、授業の内容と方法を改善し、働きながら学ぶ教育体系を拡大する革命的な措置をとった。これとならんで、全般的無料義務教育制度と働きながら学ぶ教育制度、幼児保育・教育制度を改善して勤労者の一般知識水準と技術・文化水準の向上をはかった。特に、教育事業にたいする党の指導を強化し、人民政権機関の役割を高め、毎年教育テーゼの実行状況を総括することを制度化した。

 こうして、人民教育事業と民族幹部養成事業には、大きな変革がもたらされた。教育において社会主義教育学の原理が貫徹され、教育の質が改善され、教育事業が全党、全国家的事業となった。大学が129校から170校に増加し、481の高等専門学校が新設されて多くの有能な技術者と専門家が養成されるようになり、全般的高等義務教育を実施する条件がととのえられた。全国各地に託児所と幼稚園が完備し、すべての幼児を全的に国家と社会の負担で保育できるようになった。

 主席の指導によって共和国は、最も発達した教育制度と教育機関をもった「教育の国」「学びの国」となった。

 主席は、科学研究活動の発展にも大きな力を入れた。

 1972年12月、自然科学部門の活動家協議会でおこなった演説『我が国の科学・技術を発達させるためのいくつかの課題』をはじめ、多くの著作は、科学研究活動の方向と方法を全面的に明らかにした。

 金日成主席は、次のように述べている。

 「科学研究活動における基本は、我が党と我が革命の要求する方向に従い、主体的立場にしっかり立って科学・技術を発展させることであります」(『国家活動のすべての分野で自主、自立、自衛の革命精神をいっそう徹底的に具現しよう』1967年12月16日)

 主席は科学研究活動では、すでにきずかれた国の経済土台を効果的に利用し、民族経済の自立性と主体性を強化し、技術革命を発展させ、共和国の科学を世界的水準に到達させるうえに必要な科学・技術上の問題を解決するために力をそそぐべきであると指摘した。そして、科学研究の成功を期するため、科学者、技術者の革命化、労働者階級化をおし進め、研究グループを生産現場に派遣する措置を講ずる一方、研究活動に必要な条件や設備も十分に保障した。こうして共和国の科学は、短期間に急速な発展を遂げた。科学者、技術者たちは、国内の燃料による主体的な冶金法と新しい鋳造法を発明し、大自然改造に必要な多くの近代的な機械設備を製作した。また、自国の原料による合成ゴム工業と新しい化学繊維工業を創設し、主体的な作物の育種・栽培法など新しい科学・技術上の問題を多く解決した。科学者、技術者のなかから党と革命のため、祖国と人民のために献身的にたたかう隠れた英雄が輩出した。

 主席は、文学・芸術を全面的に発展させるため大きな力を傾けた。

 主席は、『教育と文学・芸術は、人々の革命的世界観の確立に貢献すべきである』をはじめ、多くの著作で、社会主義文学・芸術を発展させる基本的方向と実現方法を明らかにした。

 金日成主席は、次のように述べている。

 「(略)作家、芸術家は、勤労者と青少年の革命的世界観の確立に貢献する革命的な文学・芸術作品を多く創作するため積極的に努力しなければなりません」(『教育と文学・芸術は人々の革命的世界観の確立に貢献すべきである』1970年2月17日)

 主席は主体的な文学・芸術を発展させるためには、党の唯一思想体系を確立し、党性、労働者階級性、人民性の原則を堅持し、社会主義的内容と民族的形式とを正しく結合し、社会主義リアリズムの創作方法に依拠して思想性と芸術性の高い作品を多く創作すべきであるとし、文芸活動で専門家本位に走る傾向と神秘主義を打破し、文学・芸術を大衆的に発展させるべきであると指摘した。そして、テーマの正しい設定問題、革命伝統をテーマにした作品と社会主義建設を取り扱った作品および革命闘争にかんする作品の創作を統一的にとらえていく問題、主人公の典型の創造と人々の革命的世界観形成および革命化過程を深く掘り下げて描く問題、朝鮮革命の実践闘争のなかで成長する主人公の姿を大きな幅と深さをもって形象した革命的大作を創作する問題など、革命的文学・芸術作品の創作で提起される諸問題について正しい解明を与えた。

 この主体的な文芸思想と創作方針は、社会主義文学・芸術を全面的に発展させるうえで堅持すべき指針となった。

 主席は、共和国の文学・芸術を革命的文学・芸術の手本とならせるために、文学・芸術で新たな転換をもたらす具体的な措置をとった。

 主席の構想に従って、党中央は文学・芸術の革命的転換をもたらすために心血を注いだ。そして、主席の主体的な文芸思想を具現するため、共産主義的人間学にかんする思想と理論、種子論にかんする思想と理論、創作における速度戦の方針、創作過程を革命化、労働者階級化の過程とならせる方針、新しい創造体系と創作指導体系および主体的な創造方法と創作指導方法を確立する方針、抗日遊撃隊式の芸術活動を強化し文学・芸術の普及に努める方針など独創的な思想と理論、方針を示し、その具現のために力を尽くした。特に、文学・芸術活動で党の唯一思想体系を確立することに第一義的な意義を認め、主席によってきずかれた革命的な文芸伝統を擁護し継承発展させるよう作家、芸術家を導いた。

 党中央は、共和国の文学・芸術を真に革命的で主体的な文学・芸術に発展させるため、社会主義リアリズム文学・芸術の手本であり、主体的文学・芸術のすぐれた模範である、主席によって創作された不朽の名作をいろいろな形式の文芸作品につくりかえる活動をおし進めた。また、労働者階級の領袖の形象創造を社会主義・共産主義文学・芸術建設の根本的問題として位置づけ、主席の革命活動史と共産主義的風格を形象した革命作品の創作に大きな力を入れた。これと合わせて、党と領袖に忠実な現時代のチュチェ型の新しい人間の姿を描いたすぐれた作品を多く創作し、思想、技術、文化の3大革命の遂行に立ちあがった人民を力強く励ました。

 党中央はまた、作家・芸術家の隊列を強化し、かれらが主席への忠誠心に燃えて創作で革命的な転換をもたらすよう導き、創作過程を具体的に指導した。主席の主体的な文芸思想と賢明な指導および党中央の独創的な文芸方針と不眠不休の指導によって、文学・芸術のすべての分野で一大転換がもたらされた。

 抗日革命闘争期に主席によって創作された不朽の名作『血の海』『ある自衛団員の運命』『安重根、伊藤博文を撃つ』『城隍堂』などの映画化、歌劇化、演劇化、小説化がなされた。また、労働者階級の領袖の形象創造問題が立派に解決された。党中央の指導のもとに主席の栄光に輝く革命活動史を扱った『不滅の歴史』シリーズ物の長編小説や『白頭山』などの革命映画が創作され、また、主席の革命業績を後世に長く伝えるため万寿台(マンスデ)の丘に建立された主席の銅像を中心とする大記念碑的作品、三池淵とワンジェ山の大記念碑などが建てられた。

 文学・芸術の内容や形式においても根本的な変革が起きた。主席に忠誠を尽くした抗日革命闘士と、革命の各発展段階で党と領袖のため、祖国と人民のため青春も生命もささげた典型的な主人公の姿を描いたすぐれた作品が多く創作され、特に、革命的大作の創作で大きな前進が遂げられた。そのほかにも、節歌を基本的な形象手段とし、傍唱(パンチャン)と舞踊を新しく取り入れた独特な形式の「血の海」式歌劇と、チュチェ時代にふさわしい新しい型の「城隍堂」式演劇を創造して、歌劇および演劇発展の新紀元を画した。

 主席の賢明な指導と党中央のたゆみない指導によって、共和国の文学・芸術は、党員と勤労者を革命的に教育し、創造的労働と新しい生活の創造へと励ます生活のテキスト、有力な闘争の武器となり、共和国は、文学・芸術のすべての部門がらんまんと開花するチュチェ芸術の全盛期を迎えた。

 主席は、社会主義的生活文化と生産文化の確立および人民保健医療事業の発展にも大きな努力を払った。そして、それを確立するため全国のテレビジョン化を実現し、多くの近代的文化施設を建設して、人民の増大する文化的需要をみたす措置がとられた。また、農村里へのバスの運行と農村水道化を実現して労働者と農民の生活条件での差をちぢめ、農民の生活上の便宜がはかられた。これと合わせて、すべての部門、すべての単位で生産文化が確立し、勤労者が社会主義的生活様式に従って働き、生活するようになった。また、党中央委員会第5期第2回拡大総会で保健医療事業の改善対策を立て、党の予防医学的方針の貫徹へと医療従事者を呼び起こした。また、平壌産院をはじめ、近代的医療機関を多く設け、都市や郡機関所在地および農村里の病院を拡充した。そして、共和国のすぐれた保健医療制度と医療成果を法的に固定化し、さらに発展させるため『朝鮮民主主義人民共和国人民保健法』を制定した。こうして、人民のための治療および予防と医療奉仕が、画期的に改善され、勤労者と幼児・児童の健康が保護増進されて、共和国人民の平均寿命は解放前より35年も延びて73歳に達した。

 金日成主席の指導によって社会主義文化が全面的に発展した結果、思想革命と文化革命が急速に進められ、全社会のチュチェ思想化偉業はさらに促進された。





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