『金日成主席革命活動史』

第4節 全社会のチュチェ思想化綱領の提示。
3大革命グループ運動の開始


 金日成主席は、社会主義の完全勝利のたたかいを導くなかで、特に、全社会チュチェ思想化の戦闘的な課題を示し、その実現のために力を傾けた。

 全社会のチュチェ思想化は、当時、朝鮮革命の成熟した要請であった。

 金日成主席は、次のように述べている。

 「朝鮮の労働者階級と勤労人民の革命的前衛部隊である我が党は、こんにち、全社会を我が党の革命思想、チュチェ思想で一色化する戦闘的な綱領をかかげ、その実現をめざしてたたかっています」(『党活動をいっそう強化することについて』1974年7月31日)

 労働者階級の革命偉業は、本質において、革命の道を開拓し、それを勝利へと導く労働者階級の領袖の思想と指導を革命と建設の各分野に具現するたたかいであり、それは、領袖の革命思想で全社会が一色化されることによって完成する。

 朝鮮の労働者階級と勤労人民は、金日成主席が革命の道を切り開いたときから革命隊列のチュチェ思想化を進め、解放後は党と社会のチュチェ思想化をおし進めて革命と建設を一路勝利へと前進させた。革命と建設で勝利を達成した朝鮮労働党と人民には、社会主義の完全勝利を促し共産主義社会を建設する歴史的な課題が提起され、そのためには、主席の革命思想、チュチェ思想で全社会を一色化しなければならなかった。

 当時、共和国には、全社会のチュチェ思想化を実現する条件と可能性が十分にととのっていた。全社会を思想的に一色化するためには、革命と建設の正しい指導思想がなければならず、思想の一色化が社会と革命発展の成熟した要請となり、それを受け入れるだけの大衆の高度の自覚と鍛えられた政治勢力がなければならない。時代と革命の要請を正しく反映した偉大な指導思想であるチュチェ思想が、朝鮮革命の進路を示しており、社会主義工業化の実現によって社会主義の物質的・技術的基盤が強まり、党が、組織的、思想的にかつてなく強化されて党の基礎がしっかりきずかれ、全人民の政治的・思想的統一が高度に強化されたことは、全社会をチュチェ思想で一色化する条件と可能性をつくりだしていた。

 主席は、こうした朝鮮革命の成熟した要請を正しくとらえて全社会のチュチェ思想化方針を提起し、党中央は全社会のチュチェ思想化を党の最高綱領としてせん明した。

 金日成主席は、全社会のチュチェ思想化の本質的内容を明らかにして、次のように述べている。

 「全社会のチュチェ思想化は、共和国政府の最高目的であります。共和国政府は、社会の全構成員をチュチェ型の共産主義的人間につくりあげ、全社会をチュチェ思想の要求どおり徹底的に改造し、共産主義の思想的要塞と物質的要塞を占領しなくてはなりません」(『チュチェ思想の旗を高くかかげ、社会主義建設をさらに促進しよう』1978年9月9日)

 全社会のチュチェ思想化は、主席の革命思想、チュチェ思想の旗のもとに切り開かれ発展してきた朝鮮革命の継続過程であり、革命と建設を前進させて主席の革命偉業、チュチェの革命偉業を最終的に完成するたたかいである。

 全社会をチュチェ思想化するということは、主席の革命思想、チュチェ思想を唯一の指導指針として朝鮮革命を前進させ、チュチェ思想にもとづいて共産主義社会を建設し完成していくことを意味する。言いかえれば、社会の全構成員を主席に限りなく忠実なチュチェ型の共産主義革命家に育成し、チュチェ思想にもとづいて社会を徹底的に改造し、共産主義の思想的要塞と物質的要塞を占領することを意味する。

 主席は、全社会のチュチェ思想化は勤労人民大衆の革命闘争の最高段階であり、労働者階級の党が恒久的に堅持すべき最高綱領であると指摘した。

 全社会のチュチェ思想化は、勤労人民大衆の革命闘争の最高段階である。

 金日成主席は、次のように述べている。

 「全社会をチュチェ思想化する闘争は、本質において勤労人民大衆の自主性を完全に実現するための闘争であります」(同上)

 すべての革命闘争は、人民大衆の自主性を擁護し実現するたたかいである。勤労人民大衆の自主性は、かれらがあらゆる束縛と従属から脱却して、自然と社会の主人として社会生活の全領域にわたって自主的で創造的な生活を全面的に営むようになるとき完全に実現する。

 勤労人民大衆が自主性を完全に実現するためには、あらゆる古い思想の束縛と文化的後進性から脱却して共産主義的人間としての思想的・精神的品位と資質を備えるとともに、搾取社会のあらゆる遺物を一掃し、生産力と文化を高度に発達させて、共産主義の物質的・技術的基盤を強固にきずかなければならない。したがって、全社会のチュチェ思想化によって社会の全構成員をチュチェ型の共産主義革命家に育成し、経済と文化をはじめ、社会生活の各分野をチュチェ思想にもとづいて改造することは、勤労人民大衆の自主性を完全に実現するためのたたかいであり、人民大衆の革命闘争において最高段階となるのである。

 全社会のチュチェ思想化はまた、社会主義・共産主義建設の全期間、労働者階級の党と人民大衆が堅持すべき最高綱領である。それは、全社会のチュチェ思想化の綱領に労働者階級の党の最終目的とその根本的な実現方法が明示されているからである。

 チュチェ思想には、共産主義社会の本質的要求とその完成の合法則性、社会を共産主義的に改造する基本的な方向と要求ばかりでなく、共産主義社会で生活する人々の思想、理論および精神的・道徳的品位と、共産主義社会のもとでのすべての社会関係と活動方式が全面的に明らかにされている。チュチェ思想にはまた、共産主義建設の革命的道程と、その過程で労働者階級の党が堅持すべき戦略および闘争方針が示されている。共産主義社会は、まさにチュチェ思想が具現された社会であり、チュチェ思想は勤労人民大衆が偏向をおかすことなく共産主義社会を建設するための指導指針であり、戦略・戦術である。したがって、人民大衆は、チュチェ思想の旗のもとに革命と建設を進め、チュチェ思想をあらゆる分野に具現してこそ、共産主義社会を建設することができる。それゆえ、全社会のチュチェ思想化は、共産主義社会を建設し完成していく唯一の正しい方途であり、労働者階級の党の最高綱領となるのである。

 金日成主席は、全社会のチュチェ思想化綱領を実現する根本方途を明らかにし、次のように述べている。

 「社会主義・共産主義を成功裏に建設するためには思想、技術、文化の3大革命をひきつづき力強くおし進めなければなりません」(『3大革命を力強く展開して社会主義建設をいっそう促進しよう』1975年3月3日)

 3大革命は、社会の全構成員を革命化、労働者階級化、インテリ化する人間改造と、経済と文化を共産主義的に改造する社会改造をともに成功へと導くカギである。
 労働者階級の党は、3大革命を展開してこそ、社会の全構成員をチュチェ型の共産主義的人間に改造することができ、全社会を労働者階級の姿に似せて改造して階級的差をなくし、必要に応じた分配を実現しうるほどに生産力を発展させることができるのである。したがって3大革命は、労働者階級の党が全社会のチュチェ思想化を実現するために堅持すべき基本的な革命課題である。

 主席が明らかにした全社会のチュチェ思想化にかんする思想は大きな意義を有している。全社会のチュチェ思想化綱領が示されたことによって、人類の最高の理想である共産主義への道程が史上はじめて明確にされ、朝鮮労働党と人民は少しの偏向もなく共産主義への前進運動をおし進め、チュチェの革命偉業を完成する保障をもつことになった。また、これによって朝鮮労働党は、チュチェ型の革命的党としての性格と使命をいっそう明確にし、党活動の総体的任務、党活動で堅持すべき基本的戦略目標と闘争方針が明らかになった。

 主席は、全社会のチュチェ思想化を実現するため思想、技術、文化の3大革命に拍車をかけた。

 ここで最も重要なことは、3大革命にたいする指導を根本的に改善することであった。

 全社会のチュチェ思想化は、思想革命を高い段階へと発展させて社会の全構成員の革命化、労働者階級化を強化し、技術革命では新たな高い段階の3大技術革命課題を遂行し、文化建設でも、教育、科学、文学・芸術などの各部門を全面的に新たに発展させることを求めていた。しかし、一部の幹部の思想意識水準と政治水準および実務能力は急速に発展する現実に追いつけず、3大革命の発展に大きな障害をつくりだしていた。

 3大革命の旗のもとに、思想・技術・文化分野で古いものを一掃し、全社会のチュチェ思想化を促すためには、指導を下部に接近させて実質的に援助し、下級機関の幹部が党の要求からはずれることなく、活動できるようにすることであった。

 主席は、この問題を解決するため、3大革命グループ運動を提唱し、1972年の秋、政治水準と実務能力のある党の中核と青年インテリで指導グループをつくり、軽工業工場に派遣して3大革命遂行の指導能力をテストしたのち、1973年2月、党中央委員会政治委員会拡大会議で、重要な工場、企業所、協同農場に3大革命グループを派遣する措置をとった。

 主席は、社会主義建設の各部門に派遣される3大革命グループ講習会での演説や『思想革命、技術革命、文化革命をさらに促進しよう』などの一連の著作で、3大革命グループ運動で提起される問題を全面的に解明した。

 金日成主席は、次のように述べている。

 「(略)3大革命グループは、大衆のなかに深くはいり、かれらの革命的熱意と創造的知恵を積極的にくみあげなければなりません。そうして、3大革命グループと工場、企業所、協同農場の幹部、そして全勤労者が力をあわせて、思想・技術・文化革命をさらに力強くくりひろげなければなりません」(『思想革命、技術革命、文化革命をさらに力強くおし進めよう』1973年3月14日)

 主席は、3大革命グループの最も重要な課題は思想革命の強力な遂行であるとし、党員と勤労者が、チュチェ思想と党の路線および政策をしっかり把握して革命と建設に主人らしい立場と態度で臨み、党の路線と政策を尺度にしてすべてを計り、それに依拠して行動し、組織生活を強め、革命的な法規と規定にもとづいて生活するようにすべきであると指摘した。また、技術革命の重要な課題は、幹部と勤労者の技術革命にたいする認識を改めさせ、人民経済の各部門で保守主義、事大主義、技術神秘主義、経験主義を打破し、大衆的な技術革新運動と勤労者と科学者、技術者の創造的協力を強めて高性能の各種機械を多く創案製作し、生産工程の機械化と自動化を促すことであると強調した。さらに、文化革命の中心課題として、勤労者の文化・技術水準を早急に向上させ、生産文化と生活文化を確立することがあげられた。

 主席は、3大革命グループの活動方向と活動原則を示し、グループ員は幹部の古い思想に反対してたたかいながらも、根気よく説得し、科学・技術を身につけるよう教えるべきであり、また当該党組織に依拠して活動し、特に大衆のなかに入って、親身になってかれらを助け率先垂範する革命的指導作風を確立し、常に謙虚で質素に生活すべきであると指摘した。そして、全党と行政・経済機関の幹部は、思想、技術、文化の3大革命遂行の先頭に立ち、3大革命グループの意見を謙虚に受け入れて欠陥を改め、かれらと協力して活動の改善につとめるべきことが強調された。

 主席は3大革命グループを派遣したのち、かれらの活動全般に大きな関心を払った。

 主席は、党中央委員会第5期第10回総会での結語と1975年の工業部門活動者会議でおこなった演説など多くの著作で、3大革命グループ運動を強化する具体的な課題を示し、工業と農業部門だけでなく社会主義建設のすべての部門に3大革命グループを派遣する措置をとった。そして、運動がもりあがるにつれてグループの隊列を強化し、その責任と役割を高めるようにした。また、グループ員が党活動規範を逸脱して行動していることを知ってこれを適時に是正し、また、一部の幹部が3大革命グループ運動に無関心な態度を示していたときには、それを克服する組織的な対策を講じた。党中央は、3大革命グループの活動を戦闘的に実質的に指導するため、党中央委員会が統一的にその指導に当たることにし、中央から末端の単位にいたるまで整然とした3大革命グループ指導体系をうち立てた。

 主席は、国家の重要な問題を討議する各種の会議に革命グループを参加させて重要な任務を与え、かれらの活動を高く評価し励ました。主席の正しい指導と大きな配慮によって、3大革命グループ運動はいっそう発展し、党の革命指導方法として定着していった。

 主席の提唱で創造された3大革命グループ運動は、3大革命を力強く推進する最も有力な革命指導方法である。

 金日成主席は、次のように述べている。

 「3大革命グループ運動は、チョンサンリ方法を具現した近代的な革命指導方法であります。言いかえれば3大革命グループ運動は、政治的・思想的指導と科学的・技術的指導を結びつけ、上部が下部を援助し大衆をふるいたたせて、思想、技術、文化の3大革命をおし進める新しい形態の革命指導方法であります」(『チュチェ思想の旗を高くかかげ、社会主義建設をさらに促進しよう』1978年9月9日)

 3大革命グループ運動は、政治的、思想的に鍛えられた党の中核と、チュチェ思想と近代科学・技術を身につけた青年インテリによって組織されたグループが下部を指導する運動であるので、政治的・思想的指導と科学的・技術的指導を同時に遂行することができる。また、いろいろな部門の多くの人々が同時に派遣されるため、下部の実情を全面的、具体的に把握して下部の活動家を実質的に助けることができる。それだけでなく、革命グループが常に生産単位の勤労大衆とともに生活しながら指導するため、かれらの無限の力と創造的知恵を最大限に引き出すことができる。これは、3大革命グループ運動が、3大革命を高い段階に高めるべき社会主義建設の新しい発展段階にかなった科学的で革命的な革命指導方法であることを示している。

 主席の正しい指導と党中央のすぐれた指揮によって3大革命グループ運動が力強くくりひろげられた結果、3大革命グループが活動しているあらゆる単位で3大革命が活発に進められ、人間改造と技術改造、文化建設では、次々に飛躍と革新が起きた。3大革命グループ運動によって、党と国家・経済機関活動家の役割がいちだんと高まり、多くの3大革命グループ員がすぐれた革命の前衛に成長した。

 こうして、全社会のチュチェ思想化の歴史的偉業は強くおし進められ、革命と建設で新たな転換がもたらされた。





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