『金日成主席革命活動史』

第1節 朝鮮労働党第5回大会


 金日成主席のすぐれた指導のもとに、朝鮮労働党と人民は第4回党大会後、おり重なる試練を乗り越え、社会主義建設の各分野で大きな成果をおさめた。

 全党と全社会にチュチェの思想体系が確立し、全人民の革命化、労働者階級化は大きく前進した。社会主義工業化の歴史的課題が完遂され、社会主義的民族文化はさん然と開花し、国防力も鉄壁にかためられた。アメリカ帝国主義とかいらい一味に反対する南朝鮮人民の闘争は大きな高まりを見せ、また、共和国の国際的地位もいちだんと高まった。

 朝鮮労働党と人民の前には、以上の成果を踏まえて革命と建設をおし進め、社会主義の完全な勝利と南朝鮮革命および祖国統一を促し、世界革命の発展をはかる課題が提起された。主席は新しい課題の遂行へ党と人民を奮い起こすため、1970年11月2日〜13日に第5回党大会を招集し、党中央委員会の活動報告をおこなった。そして、総括期間に革命と建設で達成された輝かしい成果を全面的に総括し、党の路線と政策の正しさと生命力について分析を加えたあと、社会主義の完全勝利と革命の全国的勝利を早めるための雄大な綱領を提示した。

 主席はまず、社会主義制度を強化し、社会主義の完全な勝利を早めるための課題を明らかにした。

 金日成主席は、次のように述べている。

 「我々は、技術革命をさらに高い段階に前進させて生産力をたえず発展させ、文化建設を促進して社会主義的民族文化をいっそう開花発展させ、思想革命を優先させて全社会の革命化、労働者階級化を力強くおし進めなければなりません」(『朝鮮労働党第5回大会でおこなった中央委員会の活動報告』1970年11月2日)

 思想、技術、文化の3大革命は、本質上社会主義・共産主義を建設するための人間改造と社会改造をその内容としており、また、それを実現する根本的な保障である。したがって、社会主義の完全な勝利を達成し、共産主義建設をおし進めるためには、思想革命、技術革命、文化革命を遂行しなければならず、革命と建設の進展にともなって、それはさらに強化されなければならない。

 主席は次に、技術革命の新しい里程標となる6か年計画の基本課題を明らかにした。

 金日成主席は、次のように述べている。

 「社会主義経済建設分野における6か年計画の基本課題は、工業化の成果を強化し発展させ、技術革命を新たな高い段階に前進させて、社会主義の物質的・技術的土台をいっそう強固にし、人民経済のすべての部門で勤労者を骨の折れる労働から解放することであります」(同上)

 7か年計画期間に社会主義的工業化が実現し、人民経済の全面的技術改造がおし進められて自立的な近代工業が創設され、人民経済各部門が基本的に近代技術の土台のうえにすえられた。しかし、社会主義の完全な勝利を達成するには、社会主義の物質的・技術的基盤をさらに強化しなければならず、そのためには、工業化の成果をかため、技術革命をより高い段階に引きあげ、国の生産力を急速に発展させることが必要であった。そこで、6か年計画はこの目標の実現を基本課題とした。

 主席はまた、6か年計画の部門別課題についても明らかにした。

 6か年計画期間の工業部門の中心課題は、弱い部門は補強し、欠けた部門は具備して工業の部門内部構造を完備し、少なくとも原料の60〜70%以上を国産でまかなうことによって工業の主体性を強化することであった。農業部門の中心課題は、畑潅漑と農業の化学化を促し、生物学の研究に力を入れて農業生産を高度に集約化することであった。

 主席はさらに、6か年計画期間におし進める課題として3大技術革命にかんする独創的な思想を示した。

 金日成主席は、次のように述べている。

 「工業と農業をはじめ、人民経済のすべての部門で技術革新運動を広範に展開して、重労働と軽労働の差、農業労働と工業労働の差を著しくちぢめ、女性を重い家事の負担から解放しなければなりません。これがまさに、今後数年のうちに遂行すべき3大技術革命の課題であります」(同上)

 3大技術革命課題は、社会主義工業化が実現したのち、労働者階級の党と国家が遂行すべき高い段階の技術革命課題であり、社会主義の完全勝利に向けての社会主義建設の戦略的課題である。

 3大技術革命を遂行すれば、勤労者を骨の折れる労働から解放して労働生活でより十分な平等を保障するとともに、人民経済の技術改造と生産力の発展を不断に促進して強力な社会主義の物質的・技術的基盤をきずくことができる。しかも、勤労者の技術・文化水準の向上と思想意識の改造問題、都市と農村の差と労働者階級と農民の階級的差を一掃する問題、古い社会が残した束縛から女性を完全に解放する問題も解決することができる。

 3大技術革命にかんする主席の思想は、社会主義のもとでの技術革命問題、社会主義の完全勝利を早める問題、女性の最終的解放にかんする問題などの正しい解決方途を史上はじめて示した独創的な思想であった。この3大技術革命方針には、搾取と抑圧から解放された勤労者を骨の折れる労働からも完全に解放して、自主的で創造的な生活を保障しようという主席の人民への深い愛と配慮がこめられている。

 主席は、文化革命をおし進めるための社会主義文化建設の主要な課題を明らかにした。

 金日成主席は、次のように述べている。

 「文化建設の分野で強力な思想闘争をくりひろげて、帝国主義の文化的浸透を徹底的にふせぎ、復古主義的傾向を克服することによって、教育、科学、文学・芸術をはじめ、社会主義文化建設のすべての部門が健全な土台のうえで急速に発展するようにしなければなりません」(同上)

 搾取社会の腐朽した文化および資本主義反動文化との闘争は、社会主義的民族文化建設の合法則的要請である。特に、帝国主義者が文化侵略を新植民地主義政策の主な手口としている状況にあって、これを阻止しなければ、社会主義的民族文化の健全な発達も、社会主義の獲得物の守護も困難となるであろう。また、時代の趨勢と階級的原則をはなれ、過去のものを無差別に復活し賛美する復古主義に反対しなければ、進歩的で人民的な民族文化遺産を社会主義の現実に即して批判的に継承し発展させることができない。したがって、帝国主義の文化侵略を防ぎ、復古主義的傾向を克服することは、社会主義文化建設の最も重要な課題である。

 主席は、文化建設の具体的な課題についても明らかにし、教育部門では100万以上のインテリを養成し、勤労者初技術・文化水準を全般的に向上させ、国家および社会による幼児の保育事業を発展させ、科学分野では主体性を確立し、緊要な科学・技術問題を適時に解決し、文学・芸術分野では勤労者を共産主義の世界観で武装させる革命的な文芸作品を多く創作することであると指摘した。

 主席は、思想革命を優先させ、全社会の革命化、労働者階級化をおし進める課題を示した。

 金日成主席は、次のように述べている。

 「思想革命を優先させ、すべての勤労者の革命化をたゆみなく進めるとともに全社会の労働者階級化を実現することは、資本主義から社会主義へ移行する過渡期に必ず解決しなければならない重大な課題であります」(同上)

 思想革命を遂行して全社会を革命化、労働者階級化することは、社会主義・共産主義建設の成果を左右する根本的問題の一つである。社会の全構成員を労働者階級化してこそ、階級的差をなくして無階級社会を実現し、社会主義の完全な勝利を達成することができる。そして、全社会の労働者階級化が実現しても人々の意識には古い思想の影響が残り、すべての勤労者が真の共産主義者に改造されるわけではないから、人民大衆の革命化は依然としてつづけなければならない。

 主席は、全社会の革命化、労働者階級化をはかる方途を全面的に明らかにした。すなわち、勤労者を教育し改造する思想教育活動を実践活動と密接に結びつけておし進めること、革命的組織生活を強めること、各分野で新しい社会主義的生活様式を確立すること、全党員と勤労者、特に幹部が自身と家庭の革命化からはじめて、分組と作業班、人民班を革命化し、職場と里の革命化に努めること、それらの活動で手本をつくりその経験を普及することである。

 主席は、当面した情勢に対処して国防力を強化する課題を示した。それは、党の軍事路線を堅持し、国防における自衛の原則を貫徹していつでも敵の侵攻を撃退できるよう、政治的・思想的および物質的準備をととのえることである。

 主席は、人民生活の向上をはかる課題を明らかにした。

 金日成主席は、次のように述べている。

 「現在、人民生活向上の分野で我々に提起される最も重要な課題は、労働者と農民の生活水準での差・都市住民と農村住民の生活条件での差を速やかになくすことであります」(同上)

 主席は、労働者と農民の生活水準の差、都市住民と農村住民の生活条件の差をなくすためには、郡を強化してその役割を高め、農村にバスを入れ、水道を引き、農村診療所を病院につくりかえることであると指摘した。

 主席は次に、南朝鮮革命と祖国統一を促す綱領的な課題を示した。

 主席はまず、南朝鮮革命の性格と基本的任務、革命の対象と原動力についていま一度明らかにしたあと、南朝鮮の革命勢力を強化する問題について指摘した。

 金日成主席は、次のように述べている。

 「(略)南朝鮮で反革命を粉砕し、革命の勝利をかちとるためには、革命勢力をひきつづき強化しなければなりません。革命勢力を十分にととのえてはじめて、敵の反革命的攻勢をそのつどうちやぶることができ、ひいては革命的大事変を準備よく迎えることができます」(同上)

 主席は、南朝鮮の革命勢力を強化するためには、労働者、農民など革命的大衆がいるあらゆるところで党勢を拡大し、勤労大衆をさまざまな大衆団体に結集し、その力を強めることであり、すべての愛国的政党、大衆団体および各階層の大衆と個々の人士が参加する反米救国統一戦線を形成し、特に青年学生を革命の戦列にかたく結集し、かれらと労働者、農民との組織的な結びつきを緊密にすべきであると強調した。

 主席はまた、南朝鮮の革命運動を発展させる当面の課題について明らかにし、そのためには、情勢を正しく分析し、革命の要請と大衆の意識水準を考慮にいれて、それに適した闘争スローガンをかかげ、闘争の形態と方法を正しく選択し、敵の内部矛盾や弱点などあらゆる可能性を巧みに利用しなければならないとし、当面の重要課題は、南朝鮮社会の民主化闘争を大衆的に発展させることであり、そのためには、民主主義的権利を獲得するための政治闘争と、生存の権利を求める勤労大衆の経済闘争とを結びつけ、また青年学生の闘争と労働者、農民の闘争とを結びつけること、そして常に、反革命的暴力には、革命的暴力で立ち向かう準備をととのえることであると強調した。

 主席は祖国の統一方針を再び明らかにし、そのためには、アメリカ帝国主義侵略者を南朝鮮から駆逐して、その植民地支配を一掃し、軍事ファッショ独裁をくつがえして革命の勝利を達成しなければならないと指摘した。

 主席は次に、世界革命をおし進め、国際革命勢力との団結を強めるための課題を示した。こではまず、反米闘争を強化することが指摘された。

 金日成主席は、次のように述べている。

 「こんにち国際舞台において、アメリカ帝国主義の侵略と戦争の政策に反対する闘争よりさらに緊急な課題はありません。ただ、アメリカ帝国主義の侵略勢力に反対する断固とした闘争を通じてのみ、世界の平和を守ることができ、民族の解放と独立のための闘争も、民主主義と社会主義をめざす闘争も勝利をおさめることができるのであります」(同上)

 主席は、反米闘争を強化するためには、アジアとヨーロッパ、アフリカとラテンアメリカ、そして、大国と小国とを問わず、世界のいたるところで反米闘争を幅広く積極的にくりひろげるべきであるとし、革命途上諸国、たたかう諸国の人民が互いに団結し支援し、特に、アメリカ帝国主義が侵略の矛先を向けているアジアの革命的諸国人民が戦闘的団結を強化すべきであると強調した。これとならんで世界各国の人民は、アメリカ帝国主義のアジア侵略の突撃隊である日本軍国主義の復活に反対し、一致した行動をもってその侵略野望をくじかなければならないと指摘した。

 主席はまた、国際革命勢力との団結の強化について指摘し、それは朝鮮革命勝利の重要な要因の一つであるとし、朝鮮労働党と人民は、今後もプロレタリア国際主義の旗、反帝反米闘争の革命の旗を高くかかげて、社会主義諸国をはじめ、帝国主義とたたかう各国人民と団結し、アメリカ帝国主義と日本軍国主義に反対し、平和と民主主義、民族独立と社会主義・共産主義偉業の勝利に向けて力強くたたかうであろうと強調した。

 主席は最後に、党建設と党活動の成果を総括し、党を組織的、思想的に強化し、その指導的役割を高める課題を示した。

 ここではまず、党の唯一思想体系の確立が党活動の総体的課題として規定づけられた。

 金日成主席は、次のように述べている。

 「我々は、マルクス・レーニン主義の思想、我が党のチュチェ思想を確固不動の指導思想として、党内に唯一思想体系を確立し、それにもとづいて党の思想・意志の統一を強化する活動を総体的課題として掌握して、党活動をひきつづき深化発展させていかなければなりません」(同上)

 思想・意志の統一は、労働者階級の党の生命であり、すべての勝利の決定的な要因である。もし、党内に党の唯一思想に反する他の思想が少しでも許されたり、行動上の統一が保てないならば、そうした党は事実上一つの党であるとは言えない。したがって、党の唯一思想体系の確立と、それにもとづく党隊列の思想・意志の統一は、党活動の総体的課題となる。

 主席は唯一思想体系にもとづいて党を組織的、思想的に強化し、広範な大衆を党のまわりに結集する課題を示した。そして、幹部と党員と大衆を一つの思想・意志で武装させて党のまわりにかたく結集し、党政策の貫徹へと奮起させる活動が党活動であるとし、幹部にたいする活動、党員にたいする活動、大衆にたいする活動について明らかにした。さらに、党の思想活動分野の中心課題は、全党に唯一思想体系を確立する活動を着実に進めることであるとし、そのためには、すべての党員と勤労者を党の唯一思想、チュチェ思想で武装させ、修正主義に反対する思想教育を強化すべきであると指摘した。

 主席はまた、発展する現実と情勢の要請に即して革命と建設にたいする党の指導を強める課題を示し、社会主義経済建設にたいする党の政治的指導を強化し、国家・経済機関が新しい社会主義経済管理体系にもとづいて経済を科学的、合理的に管理するよう指導と統制を強化すること、各級人民委員会の役割を高め、人民軍と社会安全機関、司法・検察機関にたいする党の指導を強化することなどについて強調した。

 主席の第5回党大会の報告は、社会主義の完全勝利と革命の全国的勝利を促す理論的・実践的問題を全面的に解明した不朽の文書であり、朝鮮労働党と朝鮮人民が党を強化し、革命と建設を前進させるうえで堅持すべき戦闘的な綱領であった。特にそれは、党の唯一思想体系の確立を党活動の総体的課題として規定し、思想、技術、文化の3大革命を高度の段階に前進させる綱領的な課題を提起することによって、党を決定的に強化し、社会主義建設で一大転換をもたらす展望を開いた。

 報告は社会主義・共産主義建設の原則的諸問題と、反帝反米闘争と全般的世界革命を促すための根本的な諸問題に科学的な解明を与えることによって、労働者階級の革命理論をいちだんと発展させ、全般的世界革命の促進に大きく貢献した。

 大会は、社会主義経済建設の基本的方向にもとづいて人民経済発展6か年計画を確定し、発展する現実の要請に即して党規約を部分的に修正、補充した。

 大会は、全党員と人民の最大の敬慕の念をこめて、金日成主席を朝鮮労働党中央委員会総書記に再選した。

 第5回党大会は、主席の指導のもとにチュチェ思想の全面的勝利をめざすたたかいの成果と社会主義工業化の輝かしい勝利を総括した勝利者の大会であり、主席を中心とする全党と人民の不動の統一と団結を示威した団結の大会であった。

 第5回党大会を契機として朝鮮革命はさらに高い段階に進み、革命と建設は新たな高揚を迎えることになった。





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