『金日成主席革命活動史』

第12節 反帝反米共同闘争の強化と世界革命の発展


 1960年代に入って国際共産主義運動と世界革命全般が急激なもりあがりを見せ、国際分野では、革命と反革命の力関係が革命の側に有利に変わった。社会主義諸国の威力が増大し、植民地、半植民地および新興諸国人民のたたかいが強化され、植民地体制が崩壊に瀕し、帝国主義諸国は弱体化した。

 しかし世界革命は、前進過程に大きな試練にさらされた。アメリカ帝国主義者は、陰険な二面政策をかかげて各国人民をまどわしながら、いたるところで侵略と戦争策動を強行し、国際共産主義運動内の左右の日和見主義も、社会主義諸国の統一団結と国際労働者階級の革命偉業に重大な障害をつくりだしていた。

 情勢は、世界革命の勝利を促す戦略・戦術的方針を示し、国際共産主義運動と反帝民族解放闘争を新たな高揚に導くことを、緊切な課題として提起した。

 主席は、国際共産主義運動の統一と団結をかため、世界革命の勝利を促すためたゆみなく努力した。

 まず、国際共産主義運動と社会主義諸国の統一と団結の達成に深い注意を払い、ここでは、左右の日和見主義に反対する闘争を第一の任務とみなして、原則的なたたかいを展開した。

 国際共産主義運動と社会主義諸国は、帝国主義をはじめ、あらゆる反動勢力と対決している現時代の強大な革命勢力であるにもかかわらず、当時、その統一と団結が達成されずにいた。その主な原因は、左右の日和見主義が出現して労働者階級の革命思想に反する「理論」をふりまきながら、それに従わない共産党と労働者党、社会主義国を排斥する分裂・離間策を弄していたためである。したがって、左右の日和見主義を克服することなしに国際共産主義運動と社会主義諸国の統一と団結を実現することは不可能であった。

 主席は、多くの著作を発表して左右の日和見主義の反動的な本質と害悪を暴露し、それとたたかううえで共産主義者が堅持すべき原則的な立場と態度を明らかにした。

 主席はまず、左右の日和見主義の発生根源と本質、危険性について分析した。

 金日成主席は、次のように述べている。

 「内ではブルジョア的影響のとりことなり、外では帝国主義の圧力に屈服すること、これが、修正主義発生の根源であります。過去の修正主義も現代修正主義も、すべてその本質は同じものであり目的も同じであります。両者とも時代が変わったという口実のもとにマルクス主義の基本原則を否定し、革命闘争を放棄することを求めています」(『党の組織活動と思想活動の改善について』1962年3月8日)

 主席は、右翼日和見主義の思想的潮流である修正主義の反動的本質と危険性は、革命の頭脳である領袖の役割を否定し、党の指導とプロレタリアート独裁を拒否し、階級闘争を放棄し、帝国主義との妥協を説き、被抑圧・被搾取人民の革命闘争に反対することにあると指摘した。また極左日和見主義は、反修正主義を口実にして、情勢の変化は考慮せず非現実的な詭弁を並べ超革命的な言辞を弄するが、実際には原則的な立場に立って帝国主義や搾取階級とたたかうことができず、人々を極端な行動にかりたてて社会に不安な雰囲気をつくりだし、革命と建設を挫折させると指摘した。

 主席は、左右の日和見主義との闘争で堅持すべき原則を全面的に明らかにし、左右の日和見主義を克服し国際共産主義運動と社会主義諸国の統一と団結を達成するためには、2つの戦線でたたかうべきであるが、そのさい、ひたすら団結を願って、たたかいながら団結し、団結しながらたたかう原則を堅持しなければならないとし、そのためには、諸党間の意見相違を組織的決裂にまで導いてはならず、日和見主義に反対する思想闘争と帝国主義に反対する実際の闘争を通じて意見の相違をせばめ共通点を見出すべきであると強調した。左右の日和見主義を克服するためには、特に、各国の党と社会主義諸国が帝国主義に反対し、植民地民族解放運動と各国の労働運動を支持し、ひきつづき社会主義・共産主義へと前進し、内政不干渉、相互尊重、平等、互恵の原則を厳守すべきであると指摘した。

 この独創的な日和見主義に反対する闘争方針は、国際共産主義運動と社会主義諸国の統一と団結を守り、当面の難局を切り開くうえで、共産主義者と革命的人民が堅持すべき指導指針であった。

 主席は、闘争と団結の旗をかかげてあらゆる日和見主義に反対し、社会主義諸国と共産党、労働者党間の相互関係の発展をはかってたゆみない努力を傾けた。そして、左右の日和見主義者の反革命的な理論と主張を全面的に暴露して、共産主義者と革命的人民が、その本質を把握し、排撃するようにする一方、他国の内政に干渉し、自己の誤った路線と政策に従わない党と国家を離間させようとする日和見主義者の策動に反対して強くたたかった。同時に、各党、各国が、公開的な論争をやめて友好、協力を強めるよう、積極的に働きかけた。そして、社会主義諸国と各国の党に多くの代表団を送り、相互の往来と接触を深め、各種の協定を結んで行動の統一をはかった。

 こうして、左右の日和見主義の影響力が弱まり、社会主義諸国と国際共産主義運動の統一と団結の強化および世界革命の発展が促された。

 主席は、世界的な反帝反米闘争と植民地民族解放運動を強化する闘争方針を示し、『反帝反米闘争を強化しょう』『アジア・アフリカ・ラテンアメリカ諸国人民の偉大な反帝革命大業は必勝不敗である』などの著作で、その戦略・戦術を全面的に明らかにした。

 ここではまず、アメリカ帝国主義に主なほこ先を向けることを世界革命の基本的戦略と規定づけ、世界のすべての革命的人民が、こぞってアメリカ帝国主義に立ち向い、その五体を引き裂くべきであると指摘した。

 金日成主席は、次のように述べている。

 「(略)革命途上国、戦う諸国の人民が、世界のいたるところで、それぞれアメリカ帝国主義の腕をもぎとり、足ももぎとり、首を切りとらなければなりません。たとえ、小さな力であっても、世界の革命的人民がこのようにこぞって立ち向かい、アメリカ帝国主義に反対する戦いを強力にくりひろげ、いたるところでアメリカ帝国主義の五体を引き裂くならば、アメリカ帝国主義はついには滅びさるでありましょう」(『朝鮮労働党第5回大会でおこなった中央委員会の活動報告』1970年11月2日)

 アメリカ帝国主義がいかに強大であっても、革命途上諸国の人民がこぞって立ち向かい、かれらの魔手がのびているすべてのところで決然とたたかうならば、必ずそれを敗滅させることができるであろう。

 この戦略は、革命途上諸国、特に小国の人民が崇米・屈従思想と外勢依存思想をふり切り、自己の運命の主人として自分の力を信じ、反帝反米闘争に決起することを求める自主時代の強力な反帝闘争戦略であり、アメリカ帝国主義の悪辣な「各個撃破戦略」を粉砕して、かれらの力を最大限に分散させ、その滅亡を促すすぐれた戦略である。

 主席は、世界革命の基本的戦略を実現するためにはまた、国際的な反米共同行動を達成し、反帝反米統一戦線を形成すべきであると指摘した。

 金日成主席は、次のように述べている。

 「アメリカ帝国主義に反対する闘争を力強く展開するためには、必ず国際的な反米共同行動を実現し、反米統一戦線を形成しなければなりません」(『国家活動のすべての分野で自主、自立、自衛の革命精神をいっそう徹底的に具現しよう』1967年12月16日)

  アメリカ帝国主義を撃滅するためには、たとえ、立場が不徹底で動揺する勢力であっても、より多くの同盟者を獲得して反帝戦線を拡大し、アメリカ帝国主義を最大限に孤立させて共同で打撃を加えなければならない。

 主席の反帝反米共同行動および反帝反米統一戦線方針によって、世界の反帝勢力を結集して、アメリカ帝国主義に強力な集団的反撃を加え、世界革命の勝利を促し、すべての国の革命闘争を促す道が開かれた。

 主席はついで、植民地民族解放運動を強化する戦略・戦術的方針を示した。

 ここではまず、世界革命における植民地民族解放運動の地位と役割が新たに解明された。

 金日成主席は、次のように述べている。

 「アジア、アフリカ、ラテンアメリカ諸国人民の反帝反植民地主義闘争は、抑圧され、さげすまれてきた数億人民の神聖な解放闘争であると同時に、世界帝国主義のこの生命線を断ちきる偉大な闘争である。この闘争は、社会主義をめざす国際労働者階級の革命闘争とともに、我々の時代の2大革命勢力をなしており、これらは、帝国主義を葬りさる一つの流れに合流している」(『反帝反米闘争を強化しよう』1967年8月12日)

 現時代は、帝国主義の植民地体制が完全に崩れ、自主、自立をめざす被抑圧人民の解放闘争が全面的に勝利する歴史的な時代として特徴づけられる。上昇一路にあるアジア、アフリカ、ラテンアメリカ諸国人民の民族解放闘争は、歴史の発展を規定する決定的な要因の一つとなっている。

 主席は、変化した時代の特徴を分析したうえで、従来発達した資本主義国労働者階級の後備部隊とされていた植民地民族解放運動を、社会主義をめざす国際労働者階級の革命闘争とともに、現時代の二大革命勢力と評価し、世界革命の勝利をはかる新たな勢力編成の理論的な基礎を明らかにした。世界革命における民族解放運動の地位と役割にかんする主席の思想は、この運動を過小評価する日和見主義的見解に痛撃を加え、アジア、アフリカ、ラテンアメリカ3大陸人民には、大きな勇気を与えて、帝国主義の生命線を断ちきるかれらのたたかいを励ました。

 主席は、植民地民族解放闘争で堅持すべき根本的原則と立場についても明らかにした。そして、民族解放は他人によってなされるものでなく、もっぱら被抑圧人民自身が革命闘争に奮起し断固たたかってこそ達成することができる、帝国主義は決してすなおに植民地支配を放棄せず、滅亡に瀕すれば瀕するほど必死になって暴力手段に頼るので、武器をとって戦わずには帝国主義を打倒することはできないとし、民族解放を早めるためには、各国の革命家が革命闘争の試練を通じて中核を育成し、人民大衆を覚醒させて主体的革命勢力を準備し、革命の情勢が成熟すれば決定的な闘争をくりひろげて反動支配をくつがえすことであると指摘した。

 金日成主席は、新興諸国人民の進路を示し、次のように述べている。

 「(略)独立をかちとった人民は、外国帝国主義と国内反動勢力の破壊活動を粉砕し、それらの経済的基盤を一掃し、革命勢力を強化し、進歩的な社会制度を樹立し、自立的民族経済と民族文化を建設するためにたたかうべきである」(同上)

 政治的独立は、民族解放偉業の勝利をはかる第一歩にすぎない。帝国主義者は、民族の独立を達成したかつての植民地・半植民地人民に新植民地主義のくびきをかけようと、破壊活動と転覆陰謀をつづけている。政治的独立を民族解放革命の完成とはきちがえて反帝闘争を中断するならば、革命の前進はおろか、革命の獲得物さえ奪われる恐れがあることを、歴史の経験は物語っている。したがって、政治的独立を達成した国の人民は、革命をおし進めて外国帝国主義と国内反動勢力の破壊策動を粉砕し、その政治的・経済的基盤を一掃し、進歩的な社会制度を確立し、自立的民族経済と民族文化を建設するためにたたかわなければならない。

 主席は、新興独立諸国の人民は、自力更生の革命的原則を堅持して、他の新興独立諸国や発展途上諸国との経済・技術協力を深めるならば、十分に自立的民族経済を建設し、民族の独立を強めることができると強調した。

 主席はつづいて、反帝反米共同闘争と世界革命において、各国の共産主義者と革命的人民が堅持すべき原則を明らかにした。

 金日成主席は、次のように述べている。

 「(略)個々の国の人民の革命闘争は、互いに支持しあい、補充しあう関係にあり、世界革命という一つの流れに合流している。先に革命に勝利した国は、その経験と模範をもって、まだ勝利していない国の革命を援助し、自己の政治的、経済的、軍事的な力で世界人民の解放闘争を積極的に支援すべきであり、まだ革命が勝利していない国の人民は、さらに積極的に戦って帝国主義者の圧殺政策から勝利した他の国の革命を守り、自国の革命の勝利を早めるべきである」(『アジア・アフリカ・ラテンアメリカ諸国人民の偉大な反帝革命偉業は必勝不敗である』1968年10月8日)

 個々の国の革命運動は、民族的なものであると同時に世界革命の一部分として、互いに支持し補充しあう関係にある。したがって、個々の国で革命の民族的任務と国際的任務をともに遂行するのは、自国の革命と世界革命の最終的勝利をはかる不可欠の条件である。

 主席は、社会主義諸国の人民は、反帝闘争を強化し、自身の経験と模範によってまだ革命に勝利していない国の革命闘争を支援し、政治的・経済的・軍事的援助を強化すべきであり、植民地・半植民地諸国の人民は極力闘争をもりあげて自国革命の勝利を早め、勝利した国の革命を帝国主義者の圧殺政策から守るべきであると強調した。そして、資本主義諸国の労働者階級は、資本主義制度をくつがえすたたかいとともに反帝闘争、特に宗主国の労働者階級と植民地人民を離間させようとする帝国主義者の策動と、植民地従属国にたいする侵略と収奪に反対するたたかいを強化すべきであると指摘した。特に、3大陸人民の戦闘的団結と連帯が、反帝反米革命勢力を著しく強め、帝国主義者の侵略と国際反動の連合戦線を粉砕する不敗の力量であるとし、アジア、アフリカ、ラテンアメリカ諸国人民の戦闘的団結を強めるよう強調した。

 反帝反米闘争と世界革命にかんする主席の独創的な思想と理論は、アメリカをかしらとする帝国主義勢力を撃破し、世界革命の勝利を促す方途を示した科学的な思想と理論であり、共産主義者と革命的人民が自国の革命と世界革命を遂行するうえで堅持すべき指導指針である。

 主席は、反帝反米闘争を強化し世界革命を促す最も科学的かつ革命的な方針を示したばかりでなく、この方針を実現するために力を注ぎ、帝国主義、特にアメリカ帝国主義との原則的なたたかいをくりひろげた。そして、アメリカ帝国主義の朝鮮戦争挑発策動を粉砕する一方、世界各地で強行されているかれらの侵略と戦争策動および新植民地主義政策を暴露して新たな世界制覇の野望をくじいた。同時に、国際機構や組織、国際会議に多くの代表を派遣して、反帝反米闘争を活発に展開した。特に、1969年9月平壌で開かれた世界反米記者大会で演説をおこない、反帝反米闘争を強化するための綱領的指針を示し、進歩的な記者と言論人のたたかいを励ました。

 主席は、革命途上諸国人民への支援と団結の強化を党と共和国政府の重要な対外政策とし、それを強力におし進めた。そして、植民地・半植民地諸国人民の民族解放闘争を物心両面から支援し、団結を強めるために努力する一方、資本主義諸国人民の革命闘争と民主主義運動を極力支援した。

 主席はまた、新興諸国人民との政治的・経済的・文化的連係と友好団結を強めるために力を傾け、かれらの反帝反植民地主義闘争を全的に援助するため多くの代表団を送るなど支援を惜しまなかった。さらに、1965年4月には、新興独立諸国人民との連帯を強化するためインドネシアを訪問して、民族独立の達成後、朝鮮の党と人民が新しい社会づくりでおさめた成果と経験を紹介し、またバンドン会議10周年記念式典に参加して多くの新興諸国の指導者と会い、新社会建設のたたかいを励ました。

 主席の積極的な活動は、アメリカ帝国主義の孤立と戦争政策の破綻を促し、世界の革命的人民の反帝反米闘争と世界革命を発展させるうえに大きく貢献した。





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