『金日成主席革命活動史』

第11節 南朝鮮革命勢力の強化方針提示。
統一革命党の創立


 1960年代に入ってアメリカ帝国主義者と南朝鮮かいらい一味は、共和国北半部への侵略準備に拍車をかける一方、南朝鮮人民にたいするファッショ的暴圧と植民地的収奪をいちだんと強化した。アメリカ帝国主義者は共和国北半部への侵攻を策して数万の侵略軍を南朝鮮に常駐させ、多くの軍事基地を新設し、核兵器やミサイル兵器など大量殺りく兵器を続々ともちこむ一方、南朝鮮かいらい軍を70余万に増強し、その装備を強化した。また、侵略戦争のさい南朝鮮を効果的に利用するため、かいらい一味と日本軍国主義者を結託させ、東北アジア「反共」共同防衛体制の確立を策した。

 侵略目的の実現と植民地支配の維持をはかってアメリカ帝国主義者と朴正煕軍事ファシストー味は、各種の悪法を作成し、中央情報部など暴圧機構を大々的に拡張して、革命家と愛国的人民を厳しく弾圧した。かれらは、軍事クーデター後のわずか3か月間だけでも10万余の愛国的人民を連行、投獄、虐殺し、すべての政党、大衆団体、進歩的な言論・出版・報道機関を解散させた。また、増大する軍事需要をみたすため人民収奪を強め、南朝鮮経済を軍事化して、民族工業と農業を破壊した。

 南朝鮮人民の極度の無権利と貧困化は、植民地支配の危機を深めた。南朝鮮人民は軍事的な暴圧のもとでも、アメリカ帝国主義者と朴正煕一味に抗して、生存の権利と民主主義、祖国統一をめざすたたかいをもりあげた。その件数は、1962年に前年の2倍に増え、63年には、さらに広範な人民が闘争に参加した。特に、労働者のストライキ件数が急増し青年学生のたたかいも再び活発化した。

 しかし、これらのたたかいは、分散的で組織化されず、人民の自覚も低く、隊列が十分に成長していなかった。反革命勢力を打倒して南朝鮮革命を勝利に導くためには、革命勢力を強化することが焦眉の急務であった。

 主席は、1964年2月に開かれた党中央委員会第4期第8回総会で、祖国統一と南朝鮮革命を促すための革命勢力を強化する原則的な問題を明らかにし、アメリカ帝国主義を駆逐し朝鮮革命の全国的勝利を達成するためには、まず、主体的な革命勢力である北半部と南朝鮮の革命勢力を強化し、これにもとづいて国際革命勢力との連帯を強めるべきであると指摘した。そして、これら3つの革命勢力を強化する全面的な方向と方途を示し、そのなかで南朝鮮の革命勢力を強化すべき必要性と課題を明らかにした。

 金日成主席は、南朝鮮革命は南朝鮮人民によって主動的に進められるべきであるとし、次のように述べている。

 「(略)いま、アメリカ帝国主義者に直接、抑圧され搾取されているのは、南朝鮮の人民です。したがって、南朝鮮からアメリカ帝国主義者を追い出すためには、まず、南朝鮮の人民が主動的に立ち上がらなければなりません。そうしてこそ、南朝鮮におけるアメリカ帝国主義の植民地支配制度に直接打撃を与えることができるし、南朝鮮革命は人民大衆の力によって、より早く推進されます」(『祖国統一偉業の実現をめざし全力をあげて革命力量を強化しよう』1964年2月27日)

 南朝鮮革命が勝利するためには、アメリカ帝国主義の抑圧と搾取に苦しむ南朝鮮人民が、革命勢力を強化して主動的に決定的なたたかいを展開してこそ、アメリカ帝国主義の植民地支配に直接打撃を加え、かれらを駆逐したのち、人民大衆の志向と要求にかなう新しい社会を建設することができる。共和国北半部の人民は、南朝鮮人民を支援することはできても、その闘争を肩がわりするわけにはいかない。

 主席は南朝鮮の革命勢力を強化するためには、革命の強力な主力部隊を組織すべきであると指摘した。

 金日成主席は、次のように述べている。

 「では、南朝鮮の革命勢力をどのように成長させるべきでしょうか。
 なによりもまず、革命の主力部隊をしっかりとかためることが重要です。革命の主力部隊とは、革命に動員できる基本階級と、そのなかに深く根をおろしたマルクス・レーニン主義党を意味します。マルクス・レーニン主義党の指導のもとに、社会の基本階級である労働者、農民が立ち上がってこそ、革命は勝利することができます」(同上)

 強力な革命の主力部隊が準備されていてこそ、いかに複雑な状況のもとでも革命闘争を主動的におし進め、可能なすべての階層を広く結集して革命と反革命の力関係を革命の側に決定的に有利に変え、革命を勝利に導くことができる。

 主席は、革命の主力部隊を組織するためには、革命の参謀部である党を創立して最も革命的な階級である労働者階級のなかに深く根をおろし、南朝鮮住民の圧倒的多数を占める勤労農民を獲得して党勢を拡大すべきであり、同時にチュチェの革命的世界観を身につけ革命の戦略・戦術を作成しうるすぐれた活動家で党の指導部をかため、その指導のもとに革命闘争を展開し、闘争を通じて革命勢力を強化すべきであると強調した。

 主席は南朝鮮の革命勢力を強化するためには、また、各階層の広範な大衆を統一戦線に結集すべきであると指摘した。主力部隊を組織し、そのうえで団結しうるすべての階層を結集して革命の補助的力量をととのえるのは、主力部隊の成長を助けそれを支援する強力な部隊を編成して、革命勢力を強化する基本的条件である。主席は、統一戦線運動を成功させるためには、南朝鮮の知識人、青年学生、小市民、良心的な民族資本家など民主主義を求める各階層の大衆を統一戦線に参加させるべきであるとし、統一戦線運動の基本方針は、革命の主力部隊の指導的役割をたえず高める条件のもとで、下部統一戦線を強めて各階層の大衆を獲得し、これにもとづいて上層統一戦線を実現することであると強調した。

 主席は、南朝鮮の革命勢力を強化するためには、反革命勢力を最大限に弱体化させるべきであると指摘した。反革命勢力を弱めれば広範な大衆をその影響から切り離し、革命勢力の決定的な優位を確保することができる。そのためには、政治、経済、軍事のすべての面で敵の力を弱め、特に活発な敵軍切り崩し工作をもって軍隊を革命の側に引き入れるべきである。

 南朝鮮革命勢力の強化にかんする主席の方針は、南朝鮮革命を勝利に導く方途を示した科学的な方針であり、南朝鮮革命を促し祖国統一を達成するうえで南朝鮮の革命家と人民が堅持すべき指導指針であった。

 南朝鮮の革命家は、この方針を支持して、アメリカ帝国主義者とかいらい一味の厳しい弾圧のもとでも、あらゆる苦難に耐え革命勢力の強化に全力を傾けた。

 まず、チュチェ思想を指導指針とする革命的な党を創立するため、各道に地下革命組織をつくり指導的中核を育成して、1964年3月統一革命党創立準備委員会を結成した。同委員会は、闘争のなかで点検された革命家を中心にソウル市党委員会など地方党組織をつくり、先進的な労働者、農民、インテリで隊列を拡大する一方、主席の著作や革命活動史、非合法機関紙『革命戦線』、合法機関誌『青脈』などを刊行し、主席の革命思想、チュチェ思想で各級党組織のメンバーを教育した。こうして、南朝鮮における革命的党創立の準備は着実にはかどった。

 南朝鮮の革命家はまた、南朝鮮人民を一つの革命勢力として結集するたたかいをおし進めた。統一革命党組織は、労働者、農民をはじめ、広範な各階層大衆にたいする活発な政治工作によってかれらを階級的にめざめさせ、反米救国闘争に呼び起こすとともに、非合法組織である「民族解放戦線」や「祖国解放戦線」 そして、秘密読書会のほか「60年代学士会」「青年文学家協会」「青脈会」など、多くの合法団体を結成して広範な大衆を組織化した。

 南朝鮮の革命家はまた、さまざまな形の大衆闘争を通じて革命勢力を育成した。

 1964年に入って南朝鮮かいらい一味は、アメリカ帝国主義のあとおしで日本軍国主義者と売国的な「会談」を進め、南朝鮮を米日の二重の植民地に売り渡す策動をこらした。

 事態の重大さを見きわめた主席は、「会談」の反動的本質を暴露し、南朝鮮人民に強力な反対闘争の展開を呼びかけた。これに励まされた南朝鮮の広範な愛国的青年学生と人民は同年3月、かいらい一味の売国行為と日本軍国主義者の再侵略策動に反対して大衆闘争を展開した。たたかいは、しだいに反「政府」的性格をおび、6月3日にはその絶頂に達した。売国的な南朝鮮日本会談の反対と朴正煕かいらい政権の打倒を行動綱領としてかかげ、デモから暴動に移った蜂起者たちは、かいらい中央庁と「国会」議事堂周辺でかいらい警官隊を制圧した。事態は4.19蜂起をほうふつさせた。

 70余日間つづいたこのたたかいによって、米日帝国主義者と南朝鮮かいらい一味は、手痛い打撃をこうむり、南朝鮮日本会談を一時中断せざるをえなかった。しかし、かれらはその後秘密交渉を進め、翌年「会談」を再開して、犯罪的な「南朝鮮日本協定」をあわただしく成立させた。憤激した南朝鮮の青年学生と人民は、「協定」の排撃を叫んで、8月、再び闘争に立ちあがった。前年の6.3蜂起とこの8月闘争は、アメリカ帝国主義者と日本軍国主義者の侵略政策に反対し、売国奴一味の打倒をめざす反帝反ファッショ愛国闘争であった。

 統一革命党組織は、このたたかいに積極的に参加し、大衆を導いて、革命実践のなかで鍛え結集し、党の隊列を拡大していった。特に1966年10月の朝鮮労働党代表者会議後、主席の南朝鮮革命方針を支持して、闘争をさらに目的意識的かつ展望的、組織的に多様な形式と方法でくりひろげ、当面の課題である社会の民主化闘争を強化した。こうして、1967年の「大統領選挙」および「国会選挙」反対闘争、4か月にわたる1969年の「三選改憲」反対闘争など、反ファッショ独裁・反植民地闘争を通じてアメリカ帝国主義者とかいらい一味に痛撃が加えられ、革命勢力は大きく成長した。

 南朝鮮の革命家と人民の積極的なたたかいによって、革命的党創立の準備がすべての面で十分にととのった。統一革命党組織はわずか4、5年で、基幹工業などの産業部門と各農村、教育、文化、言論、出版機関に根を張り、たたかいのなかで点検された数多くの人々を隊列に加えた。党の指導的中核も準備された。特に金鐘泰(キムジョンテ)、崔永道(チェヨンド)らは、チュチェ思想を唯一の信念として敢然とたたかい、最期の瞬間まで主席の革命戦士の誇りを守りぬいた。

 十分な結党準備のもとに、1969年8月25日ソウルで、主席に忠実な指導的中核をもって統一革命党中央委員会が結成され、党の創立が内外に宣言された。その宣言と綱領によれば、統一革命党はチュチェ思想を指導理念とし、社会主義・共産主義社会の建設を最高目的とするとともに、アメリカ帝国主義とかいらい一味のファッショ支配をくつがえす人民民主主義革命の遂行によって植民地半封建的社会制度の転覆と人民民主主義制度の確立および民族の悲願である祖国の統一を達成することを当面の目的としている。

 統一革命党の創立は、主席のチュチェの革命的党建設方針の輝かしい実現であり、南朝鮮の革命家と人民の多年にわたる苦闘の貴い結実であった。こうして、労働者階級や農民など南朝鮮の広範を披抑圧・被搾取人民大衆は、階級的・民族的利益の真の守り手を得、信頼すべき前衛部隊、政治的参謀部の指導のもとに自由と解放をめざす革命闘争を展開することになった。このとき以来、南朝鮮の革命運動は、本質的な弱点を克服して新たな発展段階に入り、確信をもってたたかいを展開していけるようになった。

 主席は海外僑胞運動、特に在日朝鮮人運動を正しく導いた。

 1960年代に入ってアメリカ帝国主義者と南朝鮮かいらい一味は、在日朝鮮人にたいする弾圧策動を強め、日本反動当局も弾圧、同化の二面政策を露呈化したので、在日朝鮮人運動は大きな障害に直面した。

 主席は、内外の敵の策動をしりぞけてこの運動を発展させ支援する積極的な措置を講じた。

 ここでは、まず在日朝鮮人運動の進路が示された。なによりも、すべての在日同胞がチュチェ思想を深く学んでチュチェの思想体系を確立し、また総聯の統一団結を強化し、その活動をより組織的に展開すること、社会主義愛国主義教育を強めて在日同胞が朝鮮民主主義人民共和国の海外公民としての誇りをもってチュチェ朝鮮の尊厳と権威および民主的民族権利を守ってたたかうようにすること、そして、朝鮮労働党の祖国統一方針を支持して自主的平和統一を早めるためにたたかい、日本人民をはじめ、世界の革命的人民との団結を強化することなどが強調された。

 主席は、在日朝鮮人運動の発展をはかって惜しみない支援を送った。

 金日成主席は次のように述べている。

 「(略)我々は、海外朝鮮公民の民族的権利をおかし、かれらを迫害し、蔑視するあらゆる不当な策動に反対してひきつづきねばり強くたたかうとともに、常に海外同胞の正当なたたかいを断固として支持声援するでありましょう」(『国家活動のすべての分野で自主、自立、自衛の革命精神をいっそう徹底的に具現しよう』1967年12月16日)

 主席は、日本反動政府の弾圧策動を暴露する一方、1963年10月『朝鮮民主主義人民共和国国籍法』の公布によって、在日朝鮮同胞に共和国公民の地位を法的に保障した。そして、毎年莫大な教育援助費と奨学金を送り、帰国同胞を温かく受け入れ、総聯幹部をはじめ、多くの同胞を祖国に呼んで貴重な助言を与えた。主席の深い配慮に励まされた在日同胞は、内外の敵の策動を粉砕し、党の唯一思想体系にもとづく統一と団結をかため、総聯組織を強化し、朝鮮労働党の方針にそって在日朝鮮人運動を活発に展開した。

 総聯は、「日本永住権申請」、南朝鮮の「国籍」をしいる内外の敵の策動をしりぞけ、朝鮮国籍回復運動をくりひろげて共和国公民権を守り、在日同胞の迫害を企む日本反動当局の悪法制定を破綻させ、朝鮮人探し運動を展開して日本人への同化を防いだ。

 同時に帰国の権利を守りぬき、社会主義祖国と第三国への往来の自由をかちとった。総聯はまた、民主的民族教育を強めて在日朝鮮人青少年を主席に忠実な活動家に育成し、科学者、商工業者が科学、技術、経済の面から祖国の繁栄に貢献するようはかって共和国北半部の社会主義建設に大きく寄与した。

 総聯は、各階層の同胞に朝鮮労働党の祖国統一方針を解説してその貫徹に立ちあがらせ、南朝鮮人民の反米反かいらい救国闘争を支援する一方、主席の著作や革命活動史、社会主義祖国の発展ぶりを紹介する定期刊行物や各種図書を数か国語で出版、普及し、祖国統一にかんする対外活動も活発に進めて、日本人民をはじめ、世界の革命的人民との友好関係を深め、共和国の国際的地位の向上をはかった。

 主席の細心の指導のもとに総聯は、隊列を強化し愛国活動を強めて在日朝鮮人運動を発展させ、祖国の自主的統一を促すうえで大きな役割を果たしている。





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