『金日成主席革命活動史』

第5節 社会主義社会における勤労者団体の役割の向上


 金日成主席は革命と建設の進展にともない、勤労者団体の活動を改善することに深い注意を払った。これは当時、革命と建設の緊要な問題として提起されていた。

 勤労者団体の活動を改善してはじめて、党の大衆指導を保障し、人民大衆の政治的・思想的統一を強め、勤労者の革命的熱意と創造的積極性を最大限に高めて社会主義の全面的建設をおし進めることができるのであった。特に、社会主義制度が確立し、搾取階級が一掃されて勤労人民大衆があらゆるものの主人となった新しい環境は、勤労者団体が従来の半思想教育団体・半行政的組織の域を脱し、現実に即して活動することを求めた。勤労者団体の活動の改善問題は、当時、日和見主義者が社会主義社会における大衆的政治組織としての勤労者団体の役割を弱め、それをたんなる大衆クラブか親睦団体のようなものにしようとしていたことから、いっそう重要な問題となっていた。

 こうした現状を見きわめた主席は、『勤労者団体の活動を改善、強化するために』『勤労者団体の役割をいっそう高めるために』その他の著作で、社会主義社会における勤労者団体の活動について全面的な解明を与えた。

 そこではまず、社会主義社会で革命と建設が深まるにつれて、勤労者団体の位置と役割がますます重要になることが明らかにされた。

 金日成主席は、次のように述べている。

 「社会主義・共産主義を成功裏に建設するためには、革命と建設の深化、発展にともなって党の指導とプロレタリアート独裁をさらに強化しなければならず、職業同盟をはじめ、すべての大衆組織が党と政府を積極的に擁護し、党のうちだした路線と政策を無条件に受け入れ、それを徹底的に実行すべきであります」(『社会主義社会における職業同盟の性格と任務について』1971年12月14日)

 人々の思想意識と社会の組織化水準が高まるのは、社会主義社会発展の基本的方向であり、社会主義・共産主義を建設するためには、全社会が一つの思想と意志のもとに一糸乱れず動く全一体とならなければならない。勤労者団体は、社会の全構成員をそれぞれの政治組織のなかで、教育、改造し、党と領袖のまわりに結集することを使命とする革命組織である。したがって、革命と建設の発展につれて、勤労者団体の位置と役割はより強まるのである。

 主席はついで、社会主義社会における勤労者団体の性格を解明した。

 金日成主席は、次のように述べている。

 「(略)勤労者団体は広範な大衆の思想教育団体であり、党の外郭団体であります」(『勤労者団体の役割をいっそう高めるために』1968年10月11日)

 社会主義社会における勤労者団体は完全な思想教育団体とならなければならないとする主席の独創的な思想は、社会主義・共産主義建設の全期間、勤労者団体が党の外郭団体としての政治的性格を守り、勤労者団体建設とその活動を根本的に転換させるための指導指針である。

 金日成主席は、社会主義社会における勤労者団体の任務を明らかにし、次のように述べている。

 「こんにち、勤労者を革命化、労働者階級化することは、すべての党組織と勤労者団体の最大の革命任務であります」(同上)

 勤労者団体は、社会主義革命が勝利するまでは勤労者の思想教育活動とならんで、搾取階級に反対して勤労大衆の権利と利益を守り、社会制度を変革するたたかいを進めるが、社会主義革命の勝利後は、搾取階級が一掃され社会のすべてが勤労大衆に奉仕する新しい社会的・階級的条件がととのうので、完全な思想教育団体としての役割を果たし、勤労者の革命化、労働者階級化を最大の任務とする。

 主席は、勤労者団体がこの任務を果たすためには、すべての勤労者をもれなくそれぞれの組織に参加させて思想教育を強化し、組織生活を通じて鍛えるべきであり、文化・技術水準を高めて、各自がその革命課題を完遂することのできる有能な社会主義・共産主義建設者に育成すべきであると指摘した。

 主席ははじめて、社会主義社会における勤労者団体の位置と役割、性格と任務を全面的に解明して、勤労者団体にかんする労働者階級の革命理論を豊かにし、社会主義のもとでの勤労者団体建設の正しい方途を明らかにした。

 主席は、発展する現実に即して勤労者団体の組織形式と活動体系を改編し、その使命と役割を十分に果たすよう導いた。1964年6月の党中央委員会第4期第9回総会では、職業同盟の活動の改善対策と農業勤労者同盟を結成する措置が講じられた。

 まず、職業同盟活動の古い枠が打破され、新たな活動体系が確立された。

 金日成主席は、次のように述べている。

 「こんにち、我々には、職業同盟の活動における古い枠を完全にうちこわし、発展した現実にそくして同盟の活動を新たな高い段階に引き上げるべき重要な任務が提起されています」(『勤労者団体の活動を改善、強化するために』1964年6月26日)

 当時、職業同盟は行政管理機関と団体契約を結び、企業管理を監督し統制するなど、資本主義社会における労組活動の古い枠を打破できないでいた。それは、労働者と資本家の利害関係が対立する資本主義社会での労働組合の重要な活動形式であるが、朝鮮では人民政権の成立後社会主義制度が確立するまで私営企業が存在し、国営企業所がまだ党と国家の要求する水準で運営されていなかったあいだは、この活動形式がある程度許されていた。しかし社会主義革命の勝利後、私営企業がなくなって社会主義経済形態が全一的に支配し、テアンの事業体系の確立によって工場党委員会が企業活動のすべての問題を集団的に討議、決定し、その実行を監督し統制している状況のもとで、それは不要なものとなった。

 そこで主席は、職業同盟が工場側と団体契約を結ぶ方式と企業管理を監督し統制する機能を廃止して、完全な思想教育団体としての役割を果たし、それに適した活動体系を立てるようにした。職業同盟は特に、労働者のなかで党への忠実性教育、チュチェ思想教育、党政策教育、革命伝統教育、階級的教育を基本とする共産主義教育を強めるとともに、生産を保障するための政治活動、労働保護、技術教育、国家財産の愛護、文化革命の促進などの諸活動を中心的課題としておし進めるべきことが指摘された、こうして、職業同盟の活動は、古い枠を打破し、進展する革命と建設に合わせて高い段階に入った。

 主席はまた、農業勤労者の新しい大衆的政治団体として、農業勤労者同盟を組織した。

 農村に社会主義制度が確立し、農村テーゼの貫徹が前面に提起された現実は、それに適した大衆的農民組織の結成を求めた。

 解放直後、地主や富農とたたかう組織として貧農を中心に結成された農民同盟は、土地改革と農業協同化で大きな役割を果たしたが、地主と富農が一掃されてすべての農民が社会主義勤労者となり、社会主義農村建設が当面の課題として提起された当時、それは現実にそぐわない存在となった。農民同盟は農業協同化以後は事実上上部組織があるだけで、党や青年組織に加入していない農民は、組織生活をするところがなかった。労働者階級と農民の階級的差が存在する以上、かれらをすべて労働者の組織である職業同盟に加入させるわけにもいかなかった。

 こうした状況のもとで主席は、すべての農業勤労者をもれなく政治組織に加入させて社会主義・共産主義建設者とならせるため、農業勤労者同盟の組織にかんする方針を示し、1965年3月これを結成した。

 金日成主席は、次のように述べている。

 「農業勤労者同盟は、農村における技術革命、文化革命、思想革命の進展につれて、しだいに労働者化していく社会主義的農村勤労者の組織であります」(同上)

 農業勤労者同盟は、協同農場員に限らず国営農牧場や農業部門の国家機関、企業所の従業員も参加する農業勤労者の新しい社会主義的大衆政治組織である。そして、農村の思想革命、技術革命、文化革命を促すために農民を教育し、革命的熱意を発揮させることを基本任務とし、農村テーゼの貫徹を重要な課題としている。農業勤労者同盟の幹部は農村の中核分子でかためられ、作業班を単位とする基礎組織のうえに里単位、郡単位の組織がつくられ、郡単位の組織が中枢的な役割を果たすことになった。

 農業勤労者同盟の結成後、農民はすべて政治組織で生活をし、社会主義農村建設で創意と積極性を発揮している。

 主席は1964年5月、朝鮮民主青年同盟第5回大会で社会主義社会における青年同盟の任務と役割を新たに規定し、民主青年同盟を社会主義労働青年同盟に改組した。

 社会主義革命が勝利し、社会主義建設が進展するにつれて、青年の生活と風貌には大きな変化が生じた。社会主義的な勤労青年となったかれらは、政治意識水準と文化水準を著しく高め、革命闘争と建設事業を通じて自身を鍛え、党と領袖、祖国と人民のために献身し、互いに力を合わせて集団的革新を起こしていた。

 こうした現実に即して、青年組織をより強力な党の後続部隊に、社会主義・共産主義に向けてたたかう青年の戦闘的組織に発展させることが求められた。これは、民主青年同盟を社会主義労働青年同盟に改組することによって解決された。

 金日成主席は、社会主義労働青年同盟の課題を明らかにし、次のように述べている。

 「(略)青年同盟の各級組織をしっかりかため、同盟の組織生活をたえず強化し、すべての青年にたいする政治・思想活動をひきつづき強力にくりひろげなければなりません。こうして、政治、経済、文化のあらゆる分野で青年同盟と青年の役割をいっそう高めなければなりません」(『社会主義労働青年同盟の任務について』1964年5月15日)

 社会主義労働青年同盟の中心課題は、すべての青年があくまで党に忠実であるよう、チュチェ思想教育、党政策教育など政治・思想教育を強め、その組織生活を正しく指導し、かれらを革命化して社会主義制度と社会主義祖国の威力を強化するたたかいの先頭に立たせるとともに、祖国統一のために勇敢にたたかい、世界の進歩的青年と団結して反帝闘争を展開するようかれらを導くことである。

 主席は、女性同盟を組織的に強化し、その活動を改善する対策も立てた。特に1961年11月の全国母親大会、民主女性同盟第3回大会、全国保育員・教養員大会などで、変化した現実に即して女性同盟組織を強化する課題を示し、その実現のために力を傾けた。そして、女性同盟を上部組織化ないしクラブ化しようとする傾向を厳しく批判して、基礎組織を強化し組織指導体系を全般的に改編する措置を講ずるとともに、女性同盟組織が思想教育活動を強化しすべての女性を革命化、労働者階級化して、革命家に、共産主義的な母親に、新しい世代の共産主義教育者につくり、社会主義建設に積極的に参加させるよう導いた。

 主席は、勤労者団体の組織形式と活動体系の改編と同時に、その役割を高めることに力を入れた。1968年10月には、職業総同盟、農業勤労者同盟、社会主義労働青年同盟、女性同盟の各中央委員会幹部と会って、勤労者団体の役割を高める方途を示し、一連の強力な措置をとった。

 主席は、なによりも勤労者団体の自立性を高めることに力を入れ、党はその活動を代行することなく、勤労者団体が党の路線と政策にもとづいて自立的かつ創造的に活動するよう援助すべきであるとし、こうした観点から、勤労者団体をおしたて、任務も大きく与えて活動条件を保障するようはかった。こうして、勤労者団体の役割と自立性は非常に強まった。

 次に、勤労者団体の中核隊列の拡大と幹部の強化がはかられた。ここでは、同盟員の思想教育と組織生活を強め、革命実践を通じて多くの中核分子を育成し、その隊列を強化するとともに、多年間の革命闘争で政治的、思想的、階級的に鍛えられた優秀な活動家で幹部隊列をかため、後続幹部を系統的に育成した結果、勤労者団体は政治的、思想的に強化され、その役割が高まった。

 主席の細心の指導によって、勤労者団体の活動は根本的に改善され、党と大衆のつながりがさらに緊密になり、広範な大衆が主席のまわりにかたく団結して革命と建設で新たな革新を起こしていった。





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