『金日成主席革命活動史』

第1節 朝鮮労働党第4回大会


 1960年代のはじめ、朝鮮革命は新たな発展段階を迎えた。

 社会主義基礎建設の完成によって、社会主義を全面的に建設する歴史的な課題が提起され、それを担当する革命力量と物質的条件もととのっていた。これは、社会主義の全面的建設にかんする理論的・実践的問題と方針、具体的な課題を明らかにすることを急務とした。

 また、南朝鮮の情勢と国際情勢にも大きな変化が生じ、南朝鮮革命と祖国統一を早め、世界革命を促す新たな戦略・戦術的方針を示すことが求められた。

 金日成主席は情勢の要請にこたえて、1961年9月11日から18日にかけて朝鮮労働党第4回大会を招集し、党中央委員会の活動報告をおこなった。

 主席は報告で、朝鮮に先進的な社会主義制度が確立し、自立的民族経済の基盤をもつ社会主義工業・農業国がきずかれたことを総括したあと、社会主義の全面的建設の新たな闘争課題をうちだし、社会主義の高峰をきわめるための7か年人民経済計画を示した。

 金日成主席は、次のように述べている。

 「7か年計画の基本課題は、勝利した社会主義制度に依拠して全面的な技術改造と文化革命を遂行し、人民生活を画期的に向上させることであります。我々は、社会主義的工業化を実現して人民経済のあらゆる部門を近代技術で装備し、全人民の物質・文化生活水準を決定的に向上させて社会主義の高峰をきわめなければなりません」(『朝鮮労働党第4回大会でおこなった中央委員会の活動報告』1961年9月11日)

 7か年計画の基本課題は、社会主義的工業化を実現し、人民経済の全分野で全面的な技術革命をおこなって社会主義の物質的・技術的基盤をきずき、朝鮮を近代的工業と発達した農業を備えた社会主義的工業国に発展させることであり、全面的技術改造にふさわしく文化革命を進めて科学・技術幹部問題を解決し、勤労者の文化・技術水準を高めるとともに、人民生活全般を社会主義社会にふさわしい水準に向上させ、全人民にすべての面で豊かな生活を保障することであった。主席の示した7か年計画のこの基本課題は、社会主義基礎建設の成果を踏まえて社会主義の全面的建設をおし進める社会主義建設の雄大な設計図といえた。

 主席は、ついで7か年計画の部門別課題を示した。工業部門の中心課題は、工業生産の構造を完備しその技術的基盤を強化して、多面的に発達し、強固な原料源をもち、最新技術で装備した自立的工業体系を確立することであり、7か年計画期間に工業総生産額は3.2倍に増大させることが予定された。

 農業部門の中心課題は、技術改造をおし進めて農業の機械化を実現し、農業生産を高めることであり、7か年計画最終年度の穀物総収量は600万トン台に到達する目標であった。

 科学・文化分野では、科学研究活動で主体性を確立し、社会主義建設の科学・技術問題を適時に解決し、近い将来、科学を世界的水準に引きあげ、科学・技術幹部を大々的に養成し、9年制技術義務教育を完全に実施すると同時に、成人教育を強化して勤労者の一般知識と技術知識を豊かにすることが重要な課題として示された。そして、7か年計画期間に人民の物質・文化生活を画期的に向上させる具体的な課題も示された。

 主席はついで、南朝鮮の新たな情勢に即して南朝鮮革命と祖国統一を促す闘争課題を提起し、南朝鮮革命の性格と基本的要求を重ねて明らかにするとともに、南朝鮮人民の闘争課題を示した。

 金日成主席は、次のように述べている。

 「南朝鮮人民は、広範な大衆のなかに深く根をはった労働者、農民の独自の党をもち、その合法的な地位をたたかいとらなければなりません」(同上)

 南朝鮮で労働者、農民の独自の革命的党を創立することは、南朝鮮人民の闘争の経験と教訓および地域革命としての南朝鮮革命の相対的独自性にもとづく不可欠の要請であった。こうした党がなくては、明確な闘争綱領を示して革命的大衆を結集し、大衆闘争を組織的に展開することが不可能である。

 主席は、南朝鮮人民は、党を創立するとともに、アメリカ帝国主義侵略軍を駆逐し、南朝鮮社会の民主的発展を達成すべきであるとし、その方途を明らかにした。

 主席はつづいて、祖国の自主的平和統一方針を再せん明し、それを実現するため南朝鮮で労働者階級の指導する労農同盟にもとづいて全愛国勢力を網羅する反米救国統一戦線を形成し、南朝鮮の愛国的民主勢力と北朝鮮の愛国的社会主義勢力の団結を達成すべきであると指摘した。

 主席は、報告期間の党建設の成果と経験を全面的に総括し、新たな課題を示した。

 金日成主席は、次のように述べている。

 「我々は、党をひきつづき組織的、思想的に強化し、その指導的な役割を高めることに全力を注がなければなりません」(同上)

 社会主義制度確立後の新たな環境と社会主義の全面的建設の膨大な課題は、革命の参謀部である党を強化し、その指導的役割と戦闘的機能を極力高めることを急務とした。また、多年間の党内闘争によって分派分子が一掃された結果、党活動全般を高い段階に発展させる条件もつくられていた。

 主席は、党建設と党活動の水準を全面的に高める課題を示し、特に、幹部陣容の強化とその指導能力の向上を重要な問題として提起した。

 金日成主席は、次のように述べている。

 「こんにち、党活動で最も切実な問題は、幹部陣容をひきつづきしっかりと固め、その指導水準を決定的に向上させることであります」(同上)

 これは、党を組織的、思想的に強化し、革命と建設にたいする党の指導を確立する根本的な保障であった。

 主席は、幹部は、党の政策と革命理論、社会主義経済建設の知識を身につけ、大衆から学び、実地の活動を通じて指導能力を高めるべきであると指摘した。また、党建設と党活動の水準を高めるためには、党生活の拠点であり党の基礎組織である初級党組織を強化すべきであるとし、初級党組織−細胞を活気にみちた組織、大衆を力強く導いていく戦闘的な組織につくり、党員の党生活と党性を強めて党的思想体系を確立し、いつどこでも党の路線と政策を擁護し貫徹するよう全党員を教育すべきであると強調した。

 主席はつづいて、新たな環境に即して党の指導的役割を高めるため、各級党委員会を強化し集団的指導を強めて、すべての国家機関と勤労者団体、経済・文化機関が党の唯一的指導のもとに各自の機能と役割を果たすようにすべきであると指摘した。党の指導的役割を高めるうえでは、特に、活動方法と活動作風の改善を重要な問題として提起した。

 金日成主席は、次のように述べている。

 「各級の党委員会は、そのすべての活動で党の革命的な大衆路線を徹底的に貫き、革命的な活動方法と活動作風をたえず発展させなければなりません」(同上)

 党活動では、革命的な大衆路線を具現したチョンサンリ精神、チョンサンリ方法を貫くことが重要な問題であった。

 主席は、党委員会が、指導を下部に接近させて大衆のなかへ入っていき、新しい芽を発見して一般化し、大衆の熱意と創意を引き出して党の政策を貫徹すべきであるとし、大衆の教育、改造を全党、全大衆の運動としてくりひろげるための課題を示した。

 金日成主席は、次のように述べている。

 「大衆を教育、改造し団結させることは、現段階で我が党が解決すべき中心的な問題であります。我々は人々を教育、改造する活動に全党を動員し、これを大衆的な活動として展開しなければなりません」(同上)

 主席は、大衆を教育、改造する活動は、人々の意識の領域からも資本主義を一掃し、長いあいだ受け継がれてきたいっさいの古いものから人民大衆を解放する深刻な思想革命であるとし、このためには、複雑な階層の大衆を教育、改造して党のまわりに結集し、すべての勤労者を新しい型の人間につくらなければならないと強調した。そして、大衆を教育、改造する思想教育活動の方向と方法についても明らかにした。つづいて党の統一と団結を強化する課題を示し、党員を党の革命思想で武装させ、党の統一と団結をはかって進めてきた闘争の経験を教え、全党員が党の思想に反する傾向と強くたたかい、党隊列の統一と団結を守るようにすべきであると強調した。

 主席は次に、国際情勢に分析を加え、反帝反米闘争を強化し、党の自主的対外政策を貫徹するための課題を示した。そして、アメリカ帝国主義者と日本軍国主義者とはあくまでたたかうという党の立場を明らかにし、社会主義諸国と世界の革命的人民に反帝反米闘争を積極的に展開するよう呼びかけた。

 主席はさらに、社会主義諸国との統一と団結の強化、民族独立諸国との友好関係の設定、被抑圧人民の民族解放闘争の支持、朝鮮人民の自由と独立を尊重する国々との国家関係の強化にかんする党の立場を再せん明し、また、今後も修正主義と教条主義に反対する2つの戦線でたたかい、国際関係で自主性の原則を堅持することを指摘した。

 第4回党大会における主席の報告は大きな意義があった。

 それは、社会主義建設の理論的・実践的問題を全面的に解明した綱領的な文書であり、新たな段階の革命課題を遂行するうえで党と人民が堅持すべき戦闘的旗印であった。それはまた、南朝鮮革命と祖国統一を早める科学的な方途を示す歴史的文書であり、南朝鮮人民を反米・反かいらい闘争に奮起させる強力な思想的・理論的武器であった。そして、反帝反封建民主主義革命と社会主義革命、社会主義建設の諸問題を明確にしたこの報告は、新社会建設と社会主義をめざす各国人民にとって革命と建設の最も正しい指導指針となった。

 第4回党大会では、人民経済発展7か年計画を討議し決定したのち、祖国の自主的平和統一の促進にかんする宣言書を採択し、党と革命の新たな要請に即して党規約の一部を修正し補充した。大会は、全党員と人民の一致した念願を反映して主席を再び朝鮮労働党中央委員会委員長に選出した。

 第4回党大会は、社会主義基礎建設を完成した勝利者の大会、全党が主席のまわりに結集した不敗の威力を示した団結の大会であり、党と革命の発展にとって新たな高い目標を示した歴史的な大会であった。

 大会を契機として朝鮮革命はより高い発展段階に入り、社会主義・共産主義建設の新局面が開かれた。





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