『金日成主席革命活動史』

第4節 朝鮮労働党第3回大会


 1956年に入って内外の情勢は大きく変化した。

 共和国北半部では戦後の復興建設が基本的に終わり、都市と農村では生産関係の社会主義的改造が全面的に進行し、人民の思想意識も社会主義的に急速に改造されていった。

 南半部でもアメリカ帝国主義とその手先の戦争挑発策動とファッショ的暴圧に反対し、祖国の自主的平和統一をめざす人民の闘争気運が日ましに高まった。

 全般的国際情勢は朝鮮革命に有利に変わっていたが、それでもなお複雑をきわめ緊張していた。アメリカをかしらとする帝国主義者は新たな戦争挑発に奔走し、狂気じみた「反共」攻勢によって社会主義諸国を内部から崩壊させようと策動した。国際共産主義運動内部に発生した修正主義は、日和見主義的路線をかかげて世界革命の発展に重大な難関をもたらした。

 党内の反党反革命分派分子は、複雑な情勢に乗じ、外部勢力をうしろだてにして党と革命に反対する策謀をこらした。

 情勢は、党と人民が社会主義基礎建設を完成し祖国の統一を達成するためにいっそう強くたたかい、党の統一と団結を強め、あらゆる分野で、主体的立場、革命的原則を堅持することを強く求めていた。

 主席は党と革命の要請を見きわめ、1956年4月23日から29日にかけて朝鮮労働党第3回大会を招集した。

 主席は党中央委員会の活動報告で、内外の情勢を分析し、報告期間、革命と建設でおさめた業績と経験を全面的に総括し、党と人民を新たな勝利へと奮起させる綱領的課題を示した。

 主席はまず、国際情勢の特徴を分析し、党の自主的で原則的な対外政策をせん明した。そこでは、社会主義諸国との親善・団結と協力の強化、自主権の相互尊重と平等権にもとづく世界平和愛好諸国との政治的・実務的連係の達成、アメリカ帝国主義のアジア侵略と日本軍国主義の復活反対、植民地主義に反対するアジア人民の共同闘争の強化、植民地民族解放闘争への積極的支援、そして、戦争の再発を企む反動勢力の策動に警戒心を高め、国防力を強化することなどが強調された。

 党の対外政策は、いかに複雑な情勢のもとでも、自主性と労働者階級の原則を堅持し、修正主義者の策動を粉砕し、朝鮮革命に有利な国際的環境をつくり、世界革命を促進する革命的立場を反映したものであった。

 主席は次に、革命と建設を促進し社会主義基礎建設を完成する課題を提起し、そのための人民経済5か年計画を明らかにした。

 金日成主席は、次のように述べている。

 「来年度から始められる第1次5か年計画期間には、戦後に達成されたすべての成果にもとづき、共和国北半部での社会主義建設で大きな前進を遂げなくてはなりません。
 人民経済のすべての分野にわたって、社会主義的部門をさらに拡大発展させ、工業化の基礎建設をより力強くおし進め、軽工業と農業生産を新たな水準に引き上げ、人民の物質・文化生活をひきつづき向上させなければなりません」(『朝鮮労働党第3回大会でおこなった中央委員会の活動報告』1956年4月23日)

 5か年計画の基本的課題は、生産関係の社会主義的改造を完成し、社会主義的工業化の基礎を強化し、人民の衣食住の問題を基本的に解決することであった。

 主席はまた、5か年計画期間における人民経済の部門別発展方向と課題を示し、工業部門では発展速度を高めて近代的工場を増設し、現存の工場を拡充して工業の植民地的跛行性を一掃し、社会主義的工業化を促すべきである、そして、この課題を完遂するためには、重工業、特に機械工業を優先的に発展させるとともに、国内原料源に依拠する軽工業を発展させなければならないと強調した。また農業部門では、農業生産特に穀物生産の急速な成長をはかって住民の食糧と人民経済の需要をみたし、農業協同組合を組織的、経済的に強化し、農業協同化を完成しなければならないと指摘した。さらに基本建設と技術者養成事業、そして人民の物質・文化生活水準の向上と関連した具体的な課題も明らかにした。

 5か年計画は、社会主義基礎建設の歴史的課題を完成する設計図であり、朝鮮を農業国から社会主義工業・農業国に転化発展させる戦闘的綱領であった。

 主席は、国家社会制度の強化をはかる課題を示した。そのためには、労働者階級の指導的役割を高め労農同盟を強め、友党員および宗教者、中小商工業者、自由職業者など広範な階層との団結をはかり、祖国統一民主主義戦線を強化しなければならないと指摘した。また、各級人民政権機関の活動に各階層の人民大衆を広く参加させ、政権機関が人民生活に常に深い関心を払い、日常活動で人民大衆に依拠し、内務・検察・司法機関の役割を高め、内外の敵の反国家的・反革命的活動と破壊・謀略活動を適時に粉砕しなければならないと強調した。

 主席は次に、南朝鮮の事態を全面的に分析したのち、自主的祖国統一方針を重ねて明らかにし、その実現の具体的な方案を示した。主席は、北と南のすべての愛国勢力が団結して祖国を統一するための共同闘争を力強く展開することを強調し、労働党はアメリカ帝国主義に反対し、祖国の統一を心から望むすべての人と協商し、かれらの過去を問わない
であろうと指摘した。そして、祖国の平和的統一を早めるうえで最も重要な問題の一つは、北と南の政治的・経済的・文化的連係と相互往来、通信の交換を実現することであり、このためには南北間の接触を進める問題をはじめ祖国統一にかんするすべての問題を討議し、その実際の対策を立てる常設委員会を北と南の代表で構成することを提案した。そして、これらの提案を実現するためには停戦を強固な平和に変え、アメリカ帝国主義侵略軍をはじめ、すべての外国軍隊を撤退させ、朝鮮の内政にたいする外部勢力の干渉をなくさなければならないと強調した。

 この祖国統一方案は、祖国の統一問題を朝鮮人自身の力で解決する自主的な方案であり、国と民族を愛する人であれば誰でも受け入れることのできる公明正大な現実的方案であった。

 主席は次に、党の強化をはかる課題を示した。

 まず、党の統一と団結が強調された。

 金日成主席は、次のように述べている。

 「我々は、朝鮮革命の参謀部である我が党の指導的役割をあらゆる面から高め、その戦闘力を強化するために、これまでの闘争でかちとった党の統一と団結を大切に守らなければなりません。
 党を切り崩そうとする敵のいかなる企みをも余すところなく粉砕し、党内にあらわれうる不純な要素にたいし警戒心を高め、それに容赦のない打撃を加えなければなりません」(同上)

 主席は、党内から朴憲永一味が一掃されたが、その思想的影響は依然として残っており、M・L派、火曜派の影響も完全に取り除かれていないと指摘し、分派主義に反対する闘争を強めて党の統一と団結を強化しなければならないと強調した。

 主席は党の組織指導活動分野の課題を示し、まず、党員の党生活を強化し、党性を鍛えなければならないと強調した。

 金日成主席は、次のように述べている。

 「(略)党員の党生活を強め、その党性を鍛え、階級的自覚を高める活動を、党の求める水準にまで発展させなければなりません」(同上)

 主席は党員の党生活を強め党性を鍛えるためには、党員が党の規約上の原則と義務を徹底的に守るよう指導、統制し、党員の党生活を指導する幹部からさきに、党生活を忠実におこない、党内民主主義を発揚させ、批判と自己批判、特に下部からの批判を強め、解説と説得の方法で党員を忍耐強く教育しなければならないと強調した。

 主席はさらに、幹部と党員の革命的大衆観点を確立し、党の活動方法と作風を改善しなければならないとし、革命的大衆観点を確立するためにはこれを深刻な思想改造運動として展開しなければならないと強調した。そして、幹部と党員は、いつどこでも人民大衆に命令する権利がないことを認識し、大衆の無限の創造力に依拠して活動し、日常質素かつ謙虚に生活し、人民的な礼儀と風習を尊重し、特に人民がなにを要求しているかを知ってその解決策を適時に講ずる気風を確立するよう教育しなければならないと指摘した。そして、党の活動方法と作風を改善するためには、党組織と活動家が行政・経済活動を代行したり、その指導をおろそかにする傾向をともに克服し、政治活動を優先させながら、これに経済活動を正しく結びつけるべきである、したがって活動家は常に、下部に接近し現実に浸透して実情を具体的に研究、分析し、あらゆる問題を主観的に、皮相的に見たり処理するのではなく、本質を把握して慎重に処理し、当面の問題にこだわらず一定の展望のもとに活動しなければならないと強調した。また、幹部事業、勤労者団体の活動についても具体的な課題を示した。

 主席は、党の思想活動部門の課題を示し、党の思想活動で必ず主体性を確立しなければならないと強調した。

 金日成主席は、次のように述べている。

 「思想活動は、当然、朝鮮革命発展の各時期と段階に提起される革命課題に従って、その主な任務と方向と内容が決められなければならず、広範な大衆の意識水準と実際の生活に即して進められなければなりません」(同上)

 主席は党の思想活動で主体性を確立するためには、広範を党員に朝鮮革命の性格と任務、その展望について解説し、自国の革命闘争の歴史と経験、教訓をもって教育すべきであると強調した。そして、党の思想活動ではまた、形式主義を克服することが重要であるとし、大衆にたいする政治活動は、勤労大衆の社会主義的意識を高め、党と人民に提起された政治的・経済的課題を自覚的に遂行するよう着実におこなわなければならないと指摘した。また、思想活動は、必ず経済活動と密接に結びつけて経済発展に実質的に役立つようにおこなうべきであると強調した。

 主席はまた、党の宣伝部門の隊列を充実させ、大衆啓蒙活動、出版事業、教育・科学・文学・芸術部門の活動を強化する課題を示した。

 党を組織的、思想的に強化する方針は、党内に些細な反党的・反革命的思想傾向を許さず、党を不敗の革命的党に発展させ、その戦闘的機能と指導的役割を最大限に高める革命的な方針であった。

 主席の党中央委員会の活動報告は、社会主義基礎建設と党建設の理論的・実践的問題を集大成した不朽の文書であり、党と人民が社会主義革命を完遂し、社会主義制度を確立するうえで堅持すべき有力な思想的・理論的武器であった。それはまた、祖国の自主的統一に向けての朝鮮人民の闘争方針を示した歴史的文書であり、アメリカ帝国主義とかいらい一味に反対する南朝鮮人民のたたかいを励ます戦闘的旗印であった。報告は、国際共産主義運動の内部に修正主義が台頭した状況のもとで、革命をおこなう国がその立場を守り、革命的原則を堅持する方途を明らかにし、共産主義者と革命的人民が革命と建設で主体性を確立し、労働者階級の革命偉業を完遂するための指針であった。

 大会では、党建設と発展する革命の要請に即して、党の新規約と、祖国の自主的統一のための具体的方案『祖国の平和的統一のために』が採択された。

 大会は、全党員の一致した意思と念願をこめて主席を再び朝鮮労働党中央委員会委員長に選出した。

 第3回党大会は、革命と建設が進展し内外の情勢が複雑であればあるほど、全党が主席のまわりにかたく団結し、みずからの考え、みずからの方式で生き、チュチェの革命偉業をあくまで完遂することを内外に宣布した大会であり、いかなる状況のもとでも主体的立場、革命的原則を堅持することを内外におごそかに宣言した歴史的な大会であった。

 第3回党大会を契機に、朝鮮革命は新たな発展をはじめ、革命と建設はさらに力強く前進することになった。





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