『金日成主席革命活動史』

第3節 階級的教育の強化。
不朽の労作『思想活動において教条主義と
          形式主義を一掃し、主体性を確立するために』


 戦後、社会主義革命の遂行と社会主義の基礎建設において重要な問題は、党員と勤労者の階級的意識を高め、かれらを思想的に鍛え、党と大衆とのつながりを強め、人民大衆の創造的知恵と無限の力を革命と建設に総動員することであった。

 主席はこの問題を解決するため、1955年4月党中央委員会総会で、党員と勤労者にたいする階級的教育を強化し、党の活動方法と作風を改善する画期的な措置を講じた。

 当時、階級的教育の強化は、革命発展の合法則的要請であった。社会主義革命と社会主義基礎建設は、あらゆる搾取階級を一掃するたたかいであり、したがって、必然的に激しい階級闘争をともなうことになる。朝鮮の場合、国が南北に分断された状況のもとで革命と建設をおし進めなければならなかっただけに、それは特に重要な問題として提起された。ところが、一部の党員と勤労者のあいだには、搾取と抑圧に苦しんだ過去の境遇を忘れ、階級の敵にたいし原則的な闘争をおこなわず、個人主義、利己主義、資本主義の遺習や雇われ人根性など古い思想からぬけきれず、革命と建設に積極的に参加しない非階級的な傾向が生じていた。それは、社会主義革命と社会主義基礎建設を妨げる主な障害物であり、遠からず実現される社会主義社会で暮らす人々の精神道徳的風格とは縁遠いものであった。

 しかし、党の思想活動部門の指導的地位にいた反党分派分子は、党員や勤労者にたいする階級的教育を怠り、朝鮮の革命実践と国の実情に合わない外国の教育方式を模倣し、それを教条主義的、形式主義的におしつけていた。こうした偏向を正すため、主席は、4月総会で『党員にたいする階級的教育を強化することについて』と題する歴史的な報告をおこなった。主席は報告のなかで、党の思想活動の実態を分析し、党員と勤労者にたいする階級的教育を強化する必要性と階級的教育の基本方向を明らかにした。

 主席はまず、階級的教育を朝鮮の具体的実情に結びつけておこなうべきであると強調した。

 金日成主席は、次のように述べている。

 「我々は、他の国の党の闘争経験を朝鮮の実情に結びつけて研究せず、それを機械的に受け入れて党員に注入するといった傾向を絶対に許してはなりません」(『党員にたいする階級的教育を強化することについて』1955年4月1日)

 主席は、朝鮮の現実に結びつけて階級的教育をおこなうためには、党員と勤労者に朝鮮の社会経済状態と各階級の地位ならびにそれらの相互関係、特に敵階級の階級的本性と狡猾さ、革命の基本的原動力と同盟者の問題などを明確に認識させなければならないと指摘した。

 主席は次に、党員と勤労者が革命的世界観を確立し、朝鮮革命の最終的勝利を確信するよう教育しなければならないとし、そのためには、かれらに自然と社会発展の一般的合法則性を明確に認識させ、特に資本主義のもとでの階級闘争の本質と、資本主義と帝国主義は必ず滅亡し、社会主義と共産主義は必ず勝利するという科学的知識を身につけさせるべきであると強調した。

 主席はさらに、すべての党員と勤労者を不屈の革命闘士に、熱烈な政治活動家に育成しなければならないと指摘し、そのためには、かれらを組織生活に忠実で組織規律を厳守し、あらゆる非階級的行為に反対して断固たたかうよう教育するとともに、労働を愛し、社会的所有を愛護し、社会と集団の利益を重んじ、革命と建設で献身性と積極性を発揮し、政治的にぶさと安逸、心のゆるみを一掃し、敵の破壊・謀略策動を摘発するためにたたかうよう教育すべきであると強調した。また、階級的教育の方途についても明らかにした。

 階級的教育を強化するための主席の方針は、党の思想活動を主体的立場に立ち、朝鮮革命の現実的要請に合うよう着実におこない、革命勢力を政治的・思想的に強化し、革命と建設をいっそう力強くおし進める綱領的指針であった。

 戦後の社会主義革命と社会主義基礎建設を成功裏に遂行するためには、大衆の階級意識を高めると同時に、党の活動方法と作風を改善しなければならなかった。党の指導方法と活動家の活動作風を改善してはじめて、党と大衆とのつながりを強め、大衆の革命的熱意と創造的積極性を最大限に発揚して革命と建設を促進することができるのであった。特にそれは、過去、分派分子が労働党の伝統的な活動方法とは無縁な官僚主義的活動方法と作風を党内に扶植したためいっそう切実な問題として提起されていた。

 主席はこうした実情から、総会で『官僚主義をなくすために』と題する歴史的な報告をおこない、活動家の活動方法と作風を改善する問題、特に官僚主義をなくす問題について強調した。主席は、活動家の作風上の主な欠陥は官僚主義であるとし、官僚主義の本質と表現形態、弊害と思想的根源を全面的に分析し、その克服方途を明らかにした。そして官僚主義をなくすためには、一般的指導と個別的指導を結びつけ、説得と解説の方法で大衆を立ちあがらせ、すべての活動で集団的指導を保障し、活動家にたいする指導と統制を強化すべきであると強調した。

 主席は総会後、階級的教育の強化と党の活動方法と作風の改善に力を入れた。階級的教育の強化をはかって、宣伝活動家の隊列がかためられ、党の思想活動の体系と内容、形式と方法が改善され、党出版物の水準が高められた。そして、党員と勤労者のあいだで4月総会文献の討議が進められた。特に農民の階級的教育に力が入れられ、1955年6月に開かれた全国農村民主宣伝室長大会では農村での階級的教育を強化する課題が提起された。また11月には、各学校の現地指導をとおして学生にたいする階級的教育を強化する方途が示された。その結果、党員と勤労者の階級的自覚が非常に高まり、階級の敵と妥協することなくたたかう革命的気風が確立し、さまざまな非階級的傾向が克服されていった。

 主席は次に、活動家のあいだで官僚主義をなくし革命的活動方法と人民的活動作風を確立するため思想教育と同時に、全党的な思想闘争によって、すべての幹部が党の革命的大衆路線を正しく認識し、革命的大衆観点を確立するように導いた。そして、党活動で行政的活動方法をなくし、すべての活動を党委員会の集団的指導のもとでおこなうようにした。その結果、党内には反党反革命分派分子の扶植した古い活動方法と作風がなくなり、革命的活動方法と人民的活動作風が確立していった。

 主席は、革命と建設が進むにつれてすべての分野で事大主義、教条主義に反対し、主体性を確立する闘争をおし進めた。

 事大主義、教条主義に反対し主体性を確立することは、戦後の革命と建設で極めて重要な問題として提起された。朝鮮の社会主義革命と社会主義建設は、外国とは異なる特殊な社会経済的条件と環境のなかで進められた。したがって、労働者階級の既存の理論や外国の経験をもってしては、朝鮮の革命と建設における理論的・実践的問題を正しく解決することができず、すべての問題を主体的立場に立って国の実情に合うように解決しなければならなかった。また主体性を確立してはじめて、党員と勤労者の自主性と創造性を高め、革命と建設の膨大かつ複雑な課題を成功裏に遂行し、社会主義社会を速やかに建設することが可能であった。

 主体性の確立は、分派分子や事大主義者、教条主義者の害悪的策動がかつてなく激化していた状況のもとで、特に深刻な問題となっていた。

 戦後、分派分子は党の路線と政策にもとづいて活動するのではなく、他国に盲従し、朝鮮人民の力を信じようとせず、すべてを他国に依存しようとした。かれらは、朝鮮人民の歴史、文化、革命伝統さえ無視して民族虚無主義に陥っていた。教条主義と事大主義は極度に達し、その弊害はもはや容認できないものとなった。

 主体性を確立することは、国際共産主義運動に生じた修正主義の浸透を防ぎ、労働者階級の革命的原則を守るためにも緊切な問題であった。国際共産主義運動の内部に台頭した修正主義者は誤った路線をおしつけようとし、党内の反党反革命分派分子は、その機会に修正主義を引き入れようと策動した。こうした状況のもとで主体性を確立しないならば、外部からの修正主義の浸透を許し、朝鮮革命に重大な弊害をもたらす恐れがあった。

 主席は、人間が事大主義に陥れば愚か者になり、民族が事大主義に陥れば国が滅び、党が事大主義に陥れば革命と建設を台無しにすると指摘した。そして、主体性の確立を革命と建設の運命を左右する要の問題として提起し、事大主義、教条主義を一掃し、すべての分野で主体性を確立する断固とした措置を講じた。

 まず、思想分野で主体性の確立に力が注がれた。革命と建設は人間によって遂行され、思想意識は人間のあらゆる活動を規制する。したがって、思想分野で主体性を確立することは、全般的分野で主体性を確立する最も重要な問題であり、これを解決してはじめてその他の分野でも主体性の確立が可能となる。

 主席は1955年12月、党の宣伝扇動活動家におこなった『思想活動において教条主義と形式主義を一掃し、主体性を確立するために』と題する演説のなかで、思想活動で主体性を確立する綱領的な課題を示した。

 金日成主席は、朝鮮労働党の思想活動における主体について、次のように述べている。

 「我が党の思想活動における主体とはなんでしょうか。我々はなにをしているのでしょうか。我々は、どこかよその国の革命をおこなっているのではなく、まさに朝鮮革命をおこなっているのです。この朝鮮革命こそ、我が党の思想活動の主体なのです。したがってすべての思想活動は、必ず朝鮮革命の利益に服従させなければなりません」(『思想活動において教条主義と形式主義を一掃し、主体性を確立するために』1955年12月28日)

 朝鮮労働党の思想活動の目的は、党員と勤労者を動かして朝鮮革命を正しく遂行することにある。すなわち、党員と勤労者が主人としての態度を堅持し、自主的立場と創造的立場に立って朝鮮革命を責任をもって遂行するよう、かれらを思想的、理論的に十分に準備させることにある。したがって、党のすべての思想活動は当然、朝鮮革命を遂行する過程で提起される問題の解決に集中されなければならず、その形式や方法も国の具体的実情と民族的特性、人民の好みに合わせて定められなければならない。

 主席は、思想活動で主体性を確立する具体的な方途を明らかにし、そのためには、朝鮮の歴史、朝鮮人民の闘争史を研究し、それを広く宣伝しなければならないと指摘した。

 金日成主席は、次のように述べている。

 「朝鮮革命をおこなうためには、朝鮮の歴史を知り、朝鮮の地理を知り、朝鮮人民の風俗を知らなければなりません。そうしてこそ、人民をその気質に合うように教育し、かれらが自分の郷土と祖国を熱烈に愛するようにすることができるのです。
 我が国の歴史、朝鮮人民の闘争の歴史を研究し、それを勤労者に広く宣伝することがなによりも重要です」(同上〉

 党員と勤労者が、朝鮮の歴史、朝鮮人民の闘争史をよく知ってはじめて、事大主義と民族虚無主義をしりぞけ、高い民族的誇りと自負をいだき、主人としての立場と態度を堅持して朝鮮革命を立派に遂行することができる。この問題で特に重要なことは、主席の革命活動史と労働党の革命伝統で党員と勤労者を教育することである。主席の革命活動史と党の革命伝統を学ぶことによって、党員と勤労者はチュチェ思想とチュチェの革命理論、チュチェの指導方法を体得してチュチェの思想体系を確立し、主席の革命業績と経験を学んでチュチェの革命偉業の勝利のためにねばり強くたたかっていけるのである。

 主席は、思想活動で主体性を確立するためにはまた、自国のもの、特に自国の党の路線と政策を誠実に研究し、それを宣伝しなければならないと指摘した。

 金日成主席は、次のように述べている。

 「自国のものを誠実に研究し、それに精通するようにしなければなりません。そうでないと、実践過程でたえずぶつかる新しい問題を、我々の実情に即して創造的に解決することはできないでしょう」(同上)

 朝鮮革命は、固有の特性をもち、朝鮮革命の歴史的条件と環境、その進行過程は外国のそれと異なっている。したがって、自国のものをよく知ってはじめて、主人としての立場に立ちみずからの見解をもって、朝鮮の実情に即して革命と建設を成功裏に進めることができるのである。自国のものを知るうえで基本は、主席の革命思想とその具現である党の路線と政策に精通することである。党員と勤労者は、チュチェ思想と党の路線と政策を体得してこそ、革命と建設で主体的立場を堅持し、自主性と創造性を高度に発揚することができる。そうでないときには、独自の思考力が麻痺し、創意を発揮することができず、他に盲従してさまざまな左右の偏向をおかすことになる。

 主席は、主体性を確立することは決してプロレタリア国際主義と矛盾するものではないと指摘し、愛国主義と国際主義の相互関係について明らかにした。

 この著作の理論的・実践的意義は極めて大きい。著作の発表は、朝鮮で長いあいだつづいた事大主義・教条主義思想の影響を一掃し、修正主義などさまざまな日和見主義を克服し、あらゆる分野で主体性を確立し、自主、自立、自衛の革命的原則を全面的に具現するうえで画期をなすものであった。そして、それ以後党員と勤労者が主人としての態度を堅持し、自主的立場と創造的立場に立って革命と建設を進め、主席の革命思想、党の路線と政策にもとづいて社会主義革命と建設の諸問題を立派に解決していけるようになった。著作はまた、労働者階級の党が思想活動と革命と建設で堅持すべき基本的原則を新たに示して、共産主義者と革命的人民が自国の革命と建設を自己の見解と力にもとづいておし進め、国際共産主義運動と世界革命を促す展望を開いた。

 主席は、党の宣伝扇動活動家会議後、思想分野での主体性確立に大きな力を傾けた。まず、1956年2月の党中央委員会常務委員会では、党の思想活動の内容と形式を全面的に改編し、党員と勤労者を党のチュチェ思想で武装させる積極的な対策を立てた。そして、チュチェ思想とその具現である党の路線と政策、革命伝統の解説書を大量出版し、国立中央解放闘争博物館の内容の充実をはかる一方、党組織と勤労者団体のなかで党文書と党史、革命伝続の学習を強めるようにした。また、すべての党組織と宣伝文化機関が、宣伝活動を朝鮮のものを主にして進め、その形式と方法も人民の感情と好みに合うよう全面的な改善策を講じた。それとならんで、党員と勤労者のあいだで事大主義、教条主義、修正主義、セクト主義などあらゆる反党的・反動的思想傾向に反対する思想闘争を展開し、かれらの意識から古い思想の影響をなくしていった。

 主席は文学・芸術と教育分野での主体性の確立にも力を入れ、特に1956年1月の党中央委員会常務委員会と3月の文化宣伝省の幹部たちにおこなった談話では、朝鮮の現実と人民の英雄的な闘争を生き生きと反映し、人民の固有な民族的芸術形式を生かして主体性の確立した民族文化と芸術を発展させるべきであると、その指針を示した。主席はその後、事大主義者、教条主義者、反党反革命分派分子の害悪行為を克服し、文学・芸術を朝鮮革命の要請と人民の利益に即して、特に党の文芸政策に依拠して発展させるようにした。主席はまた、教育分野で主体性を確立するため、金日成総合大学、中央党学校など多くの教育機関と幹部養成機関を訪ね、教授要綱と教材を主体的立場に立って作成し、学生にチュチェ思想と革命に役立つ生きた知識を与える具体的な方途を示した。

 主席の指導によって、党員と勤労者はチュチェ思想と自力更生の革命精神を体得し、その思想観点と思考方式には根本的な転換が起き、思想分野で主体性が確立していった。

 主席は、思想分野での主体性の確立を優先させながら、同時に革命と建設の各分野で主体性を確立する闘争を強くおし進めた。

 金日成主席は、次のように述べている。

 「(略)我が党は、1955年に教条主義に反対しすべての分野で主体性を確立するという断固とした方針をうちだし、それを貫くためにひきつづきねばりづよくたたかいました」(『朝鮮労働党創立20周年にさいして』1965年10月10日)

 主席は、政治における自主性の原則を堅持し、既存の理論と外国の経験にこだわることなく、すべての路線と政策を朝鮮の実情と人民の利益に即して独自に立て、それを党と人民の力に依拠して貫徹した。対外関係においても、完全な平等と相互尊重の原則を守り、すべての国際問題をみずからの判断と信念にもとづいて自主的に解決した。また、党、政権、勤労者団体と経済・文化機関を朝鮮の具体的現実にかなうよう独創的に建設し、その指導体系と管理運営方法も朝鮮の現実的条件に即して発展させた。そして、すべての国家・経済・文化機関を徹底して人民の力と知恵に依拠して運営し、いっさいの活動を人民の民族的特性と好みに合わせておし進めた。特に、外国の内政干渉や圧力を決然としりぞけ、事大主義者、教条主義者の些細な外勢依存策をも徹底的に排撃した。

 主席は、経済的自立性をあらゆる面から強化した。特に、自力更生の革命精神を発揮して自立的民族経済建設路線を貫くために、その基礎をなす機械製作工業に力を傾け、各地に機械工場を建設して各種の機械を大量生産し、半製品を生産していた生産工程を拡充して完成品の生産へと転換させた。これとならんで、経済建設上の諸問題を朝鮮の実情と人民の要求にもとづいて解決するようにした。これは、自立的民族経済の建設を急速に実現する確固とした保障となり、経済における植民地的跛行性と奇形性、外勢依存の一掃を可能にした。

 主席は、国防建設でも主体性を確立していった。自衛路線を貫くため、人民軍を幹部軍隊につくりあげる活動に力を入れる一方、国防工業を発展させて軍隊の軍事技術装備を改善し人民軍を鋼鉄の軍隊に強化した。そして、人民的防衛体制を確立し、国防力の強化をはかった。

 主席の正しい指導のもとに主体性を確立する闘争をとおして、共和国は、政治において自主的で、経済において自立的で、国防において自衛的な社会主義強国に発展していった。





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