「朝鮮民主主義人民共和国対外経済契約法」の主な内容
 −2012年9月17日−


  朝鮮民主主義人民共和国対外経済契約法には、対外経済契約の締結とその履行、契約の譲渡と変更、取り消し、契約違反に対する責任、紛争解決の方法などが指摘されている。

 対外経済契約締結の内容には、契約当事者、契約締結前に交換する文書の効力発生関係、契約締結の方法が属する。

 対外経済契約当事者は、契約において権利を行使し義務を履行する当事者である。

 共和国において対外経済契約の当事者は、対外経済取引を行う承認を得た機関、企業、団体である。

 対外経済取引の承認は、中央貿易指導機関が行う。

 対外経済取引の当事者は契約を結ぶ前に、基本契約書締結の目的で合意書や通信交換文書などを交換する。

 当事者が契約締結前に交換する合意書や通信交換文書は、契約が締結される前まで効力を有する。

 対外経済契約は、合意書や通信交換文書に基づいて締結される。

 外国の投資または国外の投資に関する契約、取引額が巨額であったり国家的意義を有する契約は、中央貿易指導機関もしくは当該機関の承認を得て締結しなければならない。

 対外経済契約に法的効力を持たせるには、必ず合意の内容を書面化しなければならない。テレックスやファックスで結んだ契約も書面契約となる。

 対外経済契約は次の場合に効力を持つ。

 1.当事者(代表者またはその代理人を含む)が契約書に署名した場合。

 2.契約書に指摘された契約効力発生条件が整った場合。

 3.当該上級機関が契約を承認した場合。

 4.当事者が合意した契約の条項が実現の可能性を持つ場合。

 対外経済契約の当事者は契約書に記された期間内に契約上の義務を正確に履行しなければならない。

 契約の譲渡、変更はあくまで当事者間の合意に基づき書面の形式で行われる。

 譲渡は契約上の権利あるいは義務の一部または全部の場合があるが、それが法的効力を持つには必ず相手の当事者の同意を得なければならない。

 契約の内容は、当事者の合意の上で修正、削除、補足の方法で一部変更することができる。

 対外経済契約の当事者は契約締結後、相手の当事者の契約違反または不履行の程度によって契約の全部または一部を取り消すことができる。

 しかし、契約書自体が効力を失う場合も、損害補償、清算、紛争解決に関する契約書の条項は有効である。

 契約当事者が契約に違反した場合は、履行強制責任制度と損害補償責任制度によって損害を補償する。

 「朝鮮民主主義人民共和国対外経済契約法」では損害補償責任を基本として認めている。

 損害補償は貨幣、現物、財産権または価格の調整、自費によって行うことができる。

 契約書に記載されている契約金、損害補償金、違約金などを所定の期日内に支払わなかった場合は、遅れた日数に応じて利子または延滞料を支払わなければならない。

 対外経済契約の締結および履行に関する紛争を解決する方法には協議、調停、仲裁、訴訟がある。

 「朝鮮民主主義人民共和国対外経済契約法」は、契約に関する紛争を、訴訟や仲裁よりも当事者間の和解をめざす協議の方法で解決することを求めている。





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