女性権利保障法について
−2011年2月26日−


 朝鮮民主主義人民共和国の最高人民会議常任委員会および内閣機関紙「民主朝鮮」(2月11、18、26日付)は、同国で制定された女性権利保障法に関する解説記事を掲載した。その全文は次のとおり。


(1)

 女性権利保障法は、女性の権利保障事業で、我が国家が堅持している原則と、それに関する制度と秩序を規定した法で、全7章55条から構成されている。

 金正日総書記は次のように指摘した。

 「女性は、男性のように社会に進出して働く権利を有しているだけでなく、幹部として活動できる権利も有しています」

 第1章女性権利保障法の基本(第1条〜第10条)ではまず、法の使命と女性の権利保障事業で、我が国家が一貫して堅持している原則、全社会的に女性に対する関心を高め、機関、企業所、団体が女性の権利を徹底して保障するうえで遵守すべき義務を規定している。

 女性は家庭の福利と社会の発展で重要な役割を果たす。

 女性権利保障法は、社会生活のすべての分野で女性の権利を徹底して保障し、女性の地位と役割をいっそう高めるのに貢献することを自身の使命としている。

 男女平等を保障することは、我が共和国の一貫した政策であるため、国家は女性の権利保障のための基本計画を立てて実行するようにし、女性の権利を保障することは機関、企業所、団体にとって義務である。

 女性権利保障法は、女性の権利保障事業を各級人民委員会の重要任務と規定し、各級の地方人民委員会が女性の権利保障事業を重要職能に定め、管轄地域の女性の権利を保障するための措置を講じなければならないということについて記している。

 女性同盟は女性の権利保障のための女性による組織なので、朝鮮民主女性同盟中央委員会と各級の女性同盟組織は、この法と女性同盟の規約に従って女性の権利を保障するための事業を責任をもって行わなければならないということについて規定している。

 職業総同盟と農業勤労者同盟、青年同盟をはじめ勤労団体組織は、この法に従って自己の組織に属した女性の権利を保障するための対策を立てなければならないと規定している。

 法機関は、各種の犯罪または違法行為によって女性の権利が侵害されないよう法による統制を厳格に行わなければならないということについても規定している。

 第1章ではこのほかにも、女性の権利保障分野での国際交流と協力問題、法の規定範囲と適用問題での原則を規定している。

 第2章社会・政治的権利(第11条〜第17条)では、選挙権と被選挙権、国籍取得と変更、保護をはじめ、社会・政治生活分野で女性の権利保障のための問題について規定している。

 女性は、社会・政治生活分野で男性と平等の権利を有する。誰も女性の社会・政治的権利と地位を制限したり、侵害する行為をできない。

 女性は、男性と平等に選挙権と被選挙権を有する。国家は、女性を社会・政治活動に積極的に参加させ、各級人民会議(地方議会)で女性代議員の比率を高めなければならない。

 女性は、男性と平等に国籍を取得、変更、保存する権利を有し、我が国において女性の国籍は結婚や離婚によって変更されない。

 女性は、すべての国家機関で活動する権利を有し、機関、企業所、団体は女性幹部を計画的に養成して登用しなければならない。

 法機関は、女性に関する事件を取り扱ううえで、女性の人格を尊重し、権利と利益を徹底して保障しなければならない。

 女性は、訴訟と請願の権利を有する。機関、企業所、団体は女性が提起する訴訟、請願を定められた期日内に責任をもって処理しなければならない。

 女性権利保障法の第1章と第2章に記されたこのような法的規定は、我が国社会主義制度の優位性に即して女性の権利保障事業をさらにしっかり行ううえで強固な法的保証となっている。


(2)

 金正日総書記は、次のように指摘した。

 「こんにち、我が国では党の革命的施策によって、女性の社会進出を保障できる有利な条件が立派に整えられています」

 女性権利保障法の第3章教育、文化、保健の権利(第18条一第25条)では、我が国で国家の正しい女性政策によって、徹底して保証されている教育、文化、保健分野での女性の権利保障と関連した問題が規定されている。

 教育指導機関と地方人民委員会は、女性が男性と平等に各級学校に入学したり、進学、卒業した後、職場配置を受けられる権利を徹底して保障しなければならず、大学や専門学校で生徒を募集する場合、性別を理由に女性を募集しなかったり、制限してはならない。教育機関では、女子学生の身体的特徴に合った教育を与え、女性のための当該施設を円滑に備えて女子学生の健康を保護、増進しなければならない。

 父母または後見人は、就学年齢に達した女児が中等一般義務教育体系に伴う教育を受けられるよう自身の義務を果たさなければならず、病気を患ったり、やむを得ない事由で当該の地方人民委員会の承認を受けた場合を除いては、就学年齢に達した女児をすべて就学させなければならない。

 各級の地方人民委員会と当該機関は、各自地方の実状に即して女性が職業技術教育を受けられる条件を十分に備えなければならない。

 機関、企業所、団体は、女性が男性と平等に科学、技術、文学、芸術、スポーツ活動に参加できるよう必要な条件を保障しなければならない。

 保健機関は、女性のための専門医療施設を整えて女性の健康を積極的に保護し、女性が不便なく治療を受けられるようにすべきである。

 特に、地方人民委員会と当該機関は、農村の女性が都市の女性と等しく教育と治療を受け、文化的な生活を送れるよう必要な施設と条件を十分に整えなければならない。

 女性権利保障法の第4章労働の権利(第26条〜第35条)では、労働分野での女性の権利保障と関連した問題が規定されている。

 地方人民委員会と当該機関は、女性が社会的労働に積極的に参加できるようあらゆる条件を十分に保障しなければならず、当該の機関、企業所、団体は、職場に通う女性が労働に心おきなく参加できるよう託児所、幼稚園、便宜施設のようなものをしっかり整えて運営しなければならない。

 従業員を採用する場合、女性に適さない職種や部署を除いては、性別またはその他に結婚、妊娠、出産のような理由で女性を採用しなかったり、制限してはならない。

 機関、企業所、団体は、女性に対する労働保護事業に深い関心を向けなければならない。女性には定められた労働安全施設、労働衛生施設を整え、女性の生理的特性に適った労働安全を保障しなければならない。女性に適さない業務と作業をさせることはできず、女性は産前産後期間、授乳期間に特別な保護を受ける。

 機関、企業所、団体は、同一の労働に対して女性に男性と同一の労働報酬を与えなければならず、3人以上の子供を持つ女性労働者の一日の労働時間は6時間であり、生活費(賃金)を全額支払う。技術資格、技能資格を与えたり、技能レベル判定を行う場合、女性という理由で差別をしてはならず、女性勤労者には定期的および追加休暇以外に、勤続年数に関係なく産前産後休暇を与え、この期間には女性に仕事をさせてはならない。本人の要求がある場合を除いては、結婚、妊娠、産前産後休暇、授乳期間のような理由によって女性を解雇してはならない。

 女性権利保障法の第3章と第4章に規定されたこのような法的内容は、女性に教育、文化、保健、労働分野で男性と同等の権利を保障する我が国社会主義制度の優位性をいっそう高く発揮させるうえで、強固な法的保証となっている。


(3)

 金正日総書記は、次のように指摘した。

 「女性は、革命と建設を推し進める力強い力量です」

 女性権利保障法の第5章妊娠および財産の権利(第36条〜第43条)では、人身および財産分野での女性の権利保障と関連した問題が規定されている。

 女性は、人身と健康、生命の不可侵権を有する。不法に女性の自由を拘束してはならず、暴力または非暴力的な方法で女性の身体に危害を加えることができず、女性の身体を検査することはできない。女性という理由で新生児の女児を殺したり、女児を産んだ女性、妊娠した女性、病気を患っている女性、障害を持つ女性、高齢の女性を虐待、ないがしろにすることはできず、妊娠した女性については産前3カ月から産後7カ月まで刑罰の執行を停止する。誰も女性を誘拐したり売買、強姦、輪姦する行為をできず、当該機関は女性に対する誘拐、売買、強姦、輪姦行為を防止するための対策を徹底して立て、そのような行為を行った者を法によって厳格に処罰しなければならない。淫売行為を行った者は法によって処罰し、淫売行為を組織したり、助長、強要した者も法によって処罰を受ける。

 女性は、人格権と名誉権、男性と同等の財産相続権を有する。機関、企業所、団体と公民は、女性の人格と名誉を尊重しなければならない。相続順位が同じ場合、性別を理由に女性を差別してはならない。

 結婚した女性は、家庭財産の所有権を夫と共同で有する。女性は収入の有無に関係なく夫と平等に家庭財産を占有、利用、処分することができる。女性は夫と離婚する場合、自分の個別財産権を主張することができる。

 女性権利保障法の第6章結婚、家庭の権利(第44条〜第51条)では、結婚と家庭での女性の権利保障と関連した問題が規定されている。

 女性は、自由結婚の権利を有する。

 女性の自由結婚を侵害したり、干渉してはならない。

 家庭では、女性に対するあらゆる形態の暴行をしてはならない。

 夫婦の間に離婚問題が発生した場合、男性は妻が妊娠中であったり、出産後1年以内である時、離婚を提起することができず、女性が夫を相手に離婚を提起する場合には前項の影響を受けない。

 夫婦が離婚する場合、住宅と家庭財産分割問題は双方が合意して解決する。協議がなされない場合には、当該の裁判所が双方の具体的な実状に根拠して子女と女性側の利益を保護する原則で解決する。

 女性は、夫と平等に未成年の子女を保護する権利と義務を有する。夫が死亡したり、行為能力を喪失したり、その他のやむを得ない事情によって未成年の子女の後見人になれない場合には、女性に子女を保護する権利と義務がある。

 女性には子女を産むか、産まないかの権利がある。

 国家的に女性が子どもを多く産んで育てることを奨励する。三つ子、多胎児を産んで育てる女性と子どもには担当医師を置き、立派な住宅と薬品、食料品、家庭用品を無償で提供するような特別な恩恵を施す。

 女性が出産する場合、当該の医療機関は安全で効果的な薬品と治療技術を提供し、女性の健康を責任もって保障しなければならない。保健機関と当該の機関、企業所、団体は、妊娠期間の女性の健康保護に深い関心を向け、母子の健康を気遣わなければならない。

 女性権利保障法の第7章女性の権利保障事業に対する指導、統制(第52条〜第55条)では、女性の権利保障事業と関連した当該の中央機関と地方人民委員会で指導体系を正しく立て、常に掌握し、統制することについてと、女性団体の任務を規定している。また、この法に違反して女性の権利保障事業に支障をきたした機関、企業所、団体の責任ある活動家と個別の公民に行政的または刑事的責任を負わせることについて規定している。

 すべての活動家と勤労者は、女性権利保障法の要求をしっかり知り、徹底して遵守することで、社会的に女性を尊重し、社会生活のすべての分野で女性の権利を徹底して保障している我が国社会主義制度の優位性をいっそう高く発揮することに積極的に貢献しなければならない。
2011.2.11、18、26 「民主朝鮮」−朝鮮通信=東京




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